スクスタクエスト〜空と海と大地と呪われしYAZAWA〜   作:『シュウヤ』

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ゲームだと、犯人探しのヒント少なすぎると思うの。


第25話

酒場を出ると、すぐ近くを歩いていた男に話しかける。

「ねえ、猫みたいな見た目した女の子を見なかった⁉︎」

男は一瞬悩んだ素ぶりをすると、ニヤニヤした笑みを浮かべた。

「おう、見たぜ見たぜ。ほんのついさっきな」

「ホント⁉︎ どこ行ったか教えて!」

男は口を開きかけ、そこで一度止まる。それから、

「ヘヘッ、オレってば記憶力ねぇからよぉ。すぐ忘れちまうんだよなぁ。100Gあったら、思い出せるかもしれないんだけどよぉ〜」

「む……」

あからさまに金をせびる男に、穂乃果は顔をしかめる。

「だから、教えて欲し──」

男の声は、そこで止まる。

「──さっさと話した方が、お互い気持ちいいと思うんだよね?」

愛が、《ダガーナイフ》を男の首元で光らせる。前髪の隙間から覗く眼光は、この上なく鋭い。男は背筋を伸ばして早口に答える。

「物乞い通りに消えてくのをチラッと見ました!」

男が答えたのを確認して、愛は武器をしまう。

「だってさ、みんな。早く行こ」

「お、おお……愛ちゃん凄い……」

流石に驚きを隠せない三人は、やや戦慄する。

へたり込んだ男は、

「あ、アンタ何モンだ……?」

「ただの里帰り中の、通りすがりの旅人だよ」

 

 

先ほど歩いた物乞い通りで聞き込みを続ける四人。確かに目撃情報は他にもあったのだが、誘拐場所までは誰も知らなかった。おまけに、

「猫みたいな女の子? さあ、知らないね」

通りの終点で得られる証言は、驚きの内容だった。

「……本当に?」

愛が武器に手をかけたが、

「ホントだって! 嘘つく意味なんてねぇよ! おれは見てねぇ! ずっとここにいたから、通ったら気付くさ。だが見てねぇ!」

その男は首を振るだけだった。

「……つまり?」

「凛ちゃんはこの通りのどこかにいる、って事になるよね……」

四人は物乞い通りを振り返る。薄暗く小汚いこの通りには隠れるほどの建物は無く、小さな酒場がポツンと一軒建つだけである。当然、店内も捜索済みだが成果は無かった。

「凛ちゃん、どこ行っちゃったんだろう……?」

「くぅ……アタシがいながら、こんな失態を犯すなんて……」

手がかりなく行き詰まった四人に、

「なぁ──」

目の前でうろたえる男が話しかけた。

「これは関係あるか分からないんが……さっき酔いどれキントが、ここから街の反対側へ歩いてくのを見たんだ。やけにご機嫌だったのが気になってな。アイツ、いつも酒代求めてウロウロしてるからさ」

「『酔いどれキント』って?」

「パルミドじゃ有名なコソ泥さ。ケチなクセに酒好きで、盗んだ金でいつも酒を飲んでるんだよ」

「ソイツが……凛を?」

「さあね。その猫の女の子が金持ちなら、攫うかもな。……そんな金持ちが、パルミドに来るかは知らんが」

「…………」

「怪しいね……。そのキントって人」

「凛がそんなお金持ってるように見えたかは分からないけど、もしかしたら……」

「何か……心当たりが?」

「ちょっとだけ。とにかく、そのキントってのを探し出そう。この街のどこかにはいるはずだから」

「うん」「分かった」

 

 

 

 

街の反対側で聞き込みをする四人。時に金をせびろうとする輩もいたが、

「早く喋った方がいいと思うよ?」

愛のナイフ脅しでみな素直に答える。

途中で出入り口で見張るにこと合流し、

「凛は見つかった⁉︎」

「いや、まだ……」

「そう……。でも少なくとも、外には出てないわ。街の出口はここしか無いんでしょ? ずっと見てたけど、怪しいヤツは誰もいなかったわ」

「でね、にこちゃん──」

千歌は、現在の情報をかいつまんで説明する。

「……そのキントってヤツが怪しい訳ね。じゃあとっととソイツを見つけ出して、洗いざらい吐いてもらおうじゃない……!」

「濡れ衣って可能性もまだあるから、そこだけ気を付けてね?」

曜が一応注意をしたが、あまり効果は無さそうだった。

 

 

「──酔いどれキント? ああ、さっきその辺を歩いてたな。えらく上機嫌だったが……ははぁ、アンタ達何かを盗まれたって訳だ。そりゃご愁傷様だが、ここはパルミドだ。盗まれる方が悪いってな」

豪快に笑う男に、にこはブルブル震える。

「凛は大切な仲間よ……! そんな笑い話で済む問題じゃ……!」

「おっと、怒らせちまったか。悪い悪い。……しかしキントのヤツ、ホントにどこ行ったんだ? ついさっきまでそこら辺にいたんだが……。ヤツの家はこの辺でもないしなぁ」

提供できる情報は全て話した、とばかりに男は去っていった。

「ああもう、どこにいるのよ……。そもそも、この街の構造が複雑すぎるのよ……!」

にこの怒りが爆発しそうになった時、

「──ねえ愛ちゃん、あそこは?」

穂乃果が指をさした。

「ん? あれは掘っ建て小屋だね。多分藁とかしまってる倉庫か何かだと思うよ。ほのほの、それが?」

「…………」

穂乃果は愛の言葉には答えず、ゆっくり小屋に近付く。

「ほのほの?」

穂乃果は黙ったまま、小屋のドアに手をかけた。

古い小屋だけあって鍵はかかっておらず、ギィ、と小さな音を立ててドアは開いた。

「どうしたのほのほ──」

愛の声は、途中で止まる。

「998枚、999枚……1000枚っと! オヤジのヤツ、目が利きやがるぜ。あの猫耳娘の希少性を一発で見抜くたぁ、流石は闇商人ってとこか。──ま、このキントさまにとっちゃ人攫いくらい朝飯前ってモンさ。フヘヘへ……──ヒック!」

頭巾を被った男が、小屋の奥で楽しげにぶつぶつ呟いていた。

『…………』

すぐにその男が犯人の『酔いどれキント』だと察した穂乃果達は、無言で男を取り囲む。

「──ヒッ⁉︎ う、うわあぁ誰だお前ら! ま、まさかあの猫耳娘の飼い主……⁉︎」

並々ならぬ圧力に気付いたキントは、飛び上がって壁にぶつかった。

「飼い主って何よ仲間よ!」

怒りを露わにしたにこが一歩詰め寄ると、

「う、うわぁ魔物だぁぁぁ! こ、殺されるっ!」

「誰が魔物よこの人でなし!」

「とりあえず話が進まないから、にこにーは下がっててねー」

ヒートアップしたにこの襟首を、愛が掴んで引き寄せる。

「ちょちょ……っ」

「──さて」

代わりに目の前に仁王立ちした愛は、《ダガーナイフ》を音もなく抜く。

「アンタが攫った猫耳の女の子は、アタシのた〜いせつな仲間なんだよね。今すぐ返さないと、無事じゃ済まないかもしれないよ?」

「「「…………」」」

すぐ後ろに立つ穂乃果達も、抜きはしなかったが鋭い視線で武器に手を置いた。

「あ、あわわわ……ゆ、許してくれぇ! まさか魔物の知り合いだとは知らなかったんだぁ……」

「それはもういいから、早く」

「こ、このとおり、娘を売った金は返すから、どうか命ばかりは……!」

「……“売った”?」

愛が眉をひそめる。

「……ひょっとして、物乞い通りにある闇商人の店の事?」

「へ、へえ、その通りです。よくご存知で……」

「アタシはここの出身なの。──よし、分かった。じゃあ売ったお金を渡して」

「そ、それはこちらに……」

キントは、持っていた皮袋を恐る恐る差し出す。

「……言っておくけど、誤魔化したりしたらタダじゃ済まないよ?」

袋を受け取った愛の目が細まり、

「せ、1000ゴールドです! 本当にこの金額で売ったんです!」

キントは震え上がって小さくなった。

「ま、そういう事にしておいてあげる」

愛はくるりと振り向くと、打って変わっていつもの明るい笑顔を浮かべた。

「──一安心、かな。今の話に出てきた闇商人って、実はアタシの知り合いなんだよね。アタシがこのお金を渡して頼めば、きっと凛は戻ってくるよ!」

「ほ、ホントなのね⁉︎」

愛はニッ、と笑うと、

「さ、こんなヤツ放っておいて闇商人のお店に行くよ!」

キントを一瞥すると小屋から出て行った。

 

 

 

 

 

 

・穂乃果

LV20

はがねのつるぎ

くさりかたびら

せいどうの盾

鉄かぶと

スライムピアス

 

・曜

LV19

鉄のオノ

せいどうのよろい

鉄の盾

ヘアバンド

金のブレスレット

 

・愛

LV19

ダガーナイフ

おどりこの服

せいどうの盾

とんがりぼうし

金のロザリオ

 

・千歌

LV18

ホーリーランス

レザーマント

騎士団の盾

はねぼうし

聖堂騎士団の指輪

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