スクスタクエスト〜空と海と大地と呪われしYAZAWA〜   作:『シュウヤ』

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戦闘シーンと移動をバッサリカットすると、すっごく楽ですね(笑)


第26話

一行が愛の案内で向かったのは、物乞い通りに一軒ある酒場。捜索時にも確認はしたが、当然凛はいなかった。

「愛ちゃん、ここは……」

「いいからいいから」

穂乃果の声を遮って、愛は酒場のマスターに話しかける。

「──何ぃ? 裏の店の方に用があるから入れてくれって?」

マスターは一行をジロジロ眺めると、

「……フン、いいぜ入んな」

カウンターへの入り口を開けてくれた。

「サンキューマスター」

愛はスタスタとマスターの背後にある扉へ手をかけると、反対側の手で手招き。恐る恐る扉へ向かう穂乃果達に、マスターが背を向けたまま声をかける。

「一つ約束だが、奥のドアが闇商人の店に通じてる事はあまりおおっぴらにしてくれるなよ? 何しろ盗品を扱う店だからな。知っている人間が増えれば、それだけ危険が増すのさ」

凄みのある声色に、穂乃果達は黙って頷いた。

 

 

ドアの向こう側は、あまり広くない空間だった。奥にあるカウンターに、男が一人立っているだけ。

男はすぐに気付くと、

「おっ、愛じゃねーか。久しぶりだな。今日はどうしたんだ? 何か売る物でもあるのか?」

「や、そうじゃないんだよね〜。今のアタシは、ここにいる人達と旅をしてるの」

男はへぇ、と軽く流す。

「──それよりも、さ! ついさっき、何か取引なかった? 酔いどれキントってのと」

「キント? ──ああ、来たぜ。はっはっ! あんな野郎に盗まれるなんて、お前さんともあろう者が油断したもんだな」

愉快に笑う男に、愛は腕を組む。

「それはいいから。──で、その売り物の猫みたいな女の子、返してくんない? お金なら、ここに全額あるから」

愛は金貨の入った皮袋をカウンターに置く。重い音がして、カウンターが軋む。

「あー……なるほどな」

男は困った様子で、頭をかいた。その態度に、愛は首を傾げる。

「何か出し惜しむ理由でも? 言い方は癪だけど、アタシが盗品を買うって話だよ」

チラリとにこの様子を伺った愛は、男に詰め寄る。

「キントに1000ゴールドで売ったんだから、アタシにも同じ金額じゃないとおかしいよね?」

「あーいや、そうじゃねぇんだ。別にお前さんからぼったくろうだなんて考えてねぇよ」

「じゃあどうして」

「いやその……言いにくいんだがよ、そのキントから買った猫耳娘、もう売っちまったんだ」

「はい⁉︎」

背後でやり取りを見守っていたにこが、カウンターに飛び乗る。

「何ですって⁉︎ どこの誰に売ったのよ!」

「うわっ、魔物⁉︎」

「ちょ、にこにーはややこしくなるから下がってて」

愛はにこを抱え上げると、

「ほい」

曜に差し出す。

「あ、うん……」

「私は荷物か!」

愛はそのツッコミには応えず、

「──で、どこの誰に? そのくらいは教えてくれてもいいよね?」

「まあいいけどよ……」

男は言いにくそうに、

「……買ってったのは、実は盗賊りなりーなんだよな」

「いっ⁉︎ 盗賊りなりーって、あの盗賊りなりー⁉︎」

「あ、ああ。すまねぇが、オレにはこれ以上どうしようもできねえや。あとはお前さん自身で、どうにかしてくれや」

「……はいさ〜」

穂乃果達にはりなりーなる人物が誰かは分からないが、この場では解決しない事だけは理解できた。

 

 

 

 

闇商人の店を出た愛は、大きくため息をついた。

「まさか、この件にりなりーが関わってくるなんてなぁ……」

「愛ちゃん、その『りなりー』って誰? 知り合い?」

「ん? ああ、ちょっと昔の知り合いで……。──名前は、璃奈。で、俗称がさっきから言ってる『盗賊りなりー』。ちょっと苦手な所あってね……。そうも言ってられないけど」

愛は苦笑すると、

「りなりーの家は、街の外。ここから南西に行った池に囲まれた水源地帯にあるんだよね。凛ちゃんを助け出す為、いっちょやるとしますか!」

一人気合いを入れて、街の出口へと向かった。

『…………』

璃奈がどんな人物か知らない穂乃果達は、一度顔を見合わせてから愛の背中を追った。

 

 

 

 

 

 

パルミドからほど近い場所に建っていた一軒家。しかし、その玄関の前には門番のごとき男が一人仁王立ちしていた。

「りなりーに話があるんだけど、通らせてもらえる?」

愛が近付いて口を開くも、

「あっ! てめーは愛じゃねーか! 璃奈さまがてめぇに会うもんか! 帰れ帰れ!」

門前払いだった。

「…………へえ?」

だがそこで引き下がる愛ではなく、視線鋭く腰のナイフに手をかけた。

「脅しなんか通用しねぇぞコラ!」

流石にパルミドの街を歩いている小悪党とは違うのか、愛の威嚇にも怯まず近くの斧を持ち上げた。

「ちょちょ、愛ちゃん⁉︎」

慌てたのは穂乃果だったが、

「──さっきから、騒々しい。部屋まで丸聞こえ」

止めたのは、別の声だった。

「す、すみません璃奈さま!」

声の主である璃奈に、ドア越しに頭を下げる男。

「礼儀知らずの客が押しかけてきたもんで……すぐ追い返しますんで!」

「相手は愛さんでしょ。あなたじゃ、止められない。私が話を聞くから、通して」

「へ、へえ……璃奈さまがそう言うんじゃ仕方ねえ。──ほらよ、通りな!」

男は不服そうだったが、主従関係は明確なのかそれ以上何かを言ってくる事はなかった。

 

 

五人が中に入ると、立派な一軒家の奥で揺り椅子に座る人物がいた。こちらに背を向けているが、体格はかなり小柄。

「…………」

少し緊張した面持ちで、愛は璃奈に歩み寄っていく。

「──久しぶりだね、りなりー」

「愛さんがわざわざここに来るなんて、随分と珍しい」

そう言いながら振り向いた璃奈を見て、愛以外は目を丸くした。

「……相変わらずだねぇ、りなりーは」

「表情を見せたら、不利になる。──璃奈ちゃんボード、『エッヘン』」

璃奈はその顔を、厚い紙のような物で隠していた。その紙には、眉、目、口が描かれており得意げな表情だと読み取れる。

「──それで、一体何の用? 後ろの人達は?」

「この人達は、旅の仲間。アタシは今、この人達と旅をしてるんだよ」

「なるほど」

「──それで、ここに来た理由。りなりー、パルミドで闇商人から買い物をしたでしょ? 猫みたいな女の子」

「うん、買った。可愛くて、元気いっぱいだったから。いい買い物した。──璃奈ちゃんボード、『ウンウン』」

「あの子、アタシ達の旅仲間の一人なんだよ。だから、譲ってくれないかな?」

「ダメ」

「う、即答……」

「あの子、お気に入り。譲りたくないし、売りたくもない。愛さんに頼まれても、ダメ」

「ぐぬぬ……どうしてもダメ? 大切な仲間なんだよ……。アタシにできる事なら、何でもするから!」

「……愛ちゃんがそこまで言うなんて、驚いた。──璃奈ちゃんボード、『ビックリ』」

驚いた表情の紙に差し替えた璃奈は、揺り椅子から立ち上がる。

「愛ちゃんにそこまでお願いされたら、無下にはできない」

「じゃあ……!」

「──でも」

愛の言葉を、璃奈は遮る。

「一つだけ、条件がある。──ここから北にある洞窟、分かるよね?」

「そ、それって……」

「そこに眠ってる宝石、“ビーナスの涙”を取ってきたら、考えてあげる」

「うぐぐ……流石りなりー……」

愛はたじろぐと、大きく肩を落とした。

「……頑張ってくるよ」

「よろしく。──璃奈ちゃんボード、『フレフレ』」

話は終わったとばかりに、璃奈は再び揺り椅子に座る。そしてこちらに向き直った愛は、やや疲れた様子で口を開いた。

「ひとまず、ここから出ようか。詳しい話は、そっちでするから」

 

 

 

 

 

 

・穂乃果

LV20

はがねのつるぎ

くさりかたびら

せいどうの盾

鉄かぶと

スライムピアス

 

・曜

LV19

鉄のオノ

せいどうのよろい

鉄の盾

ヘアバンド

金のブレスレット

 

・愛

LV20

ダガーナイフ

おどりこの服

せいどうの盾

とんがりぼうし

金のロザリオ

 

・千歌

LV19

ホーリーランス

レザーマント

騎士団の盾

はねぼうし

聖堂騎士団の指輪

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