スクスタクエスト〜空と海と大地と呪われしYAZAWA〜 作:『シュウヤ』
でもいいチャンスだからここではもう一回登場です。
一度元の世界に戻ってきた一行。
「で、誰かその“月影のハープ”って楽器に心当たりはあるの?」
返答は沈黙。
「そりゃそうよね。そう簡単にはいかないか」
「絵里ちゃんが言うには、穂乃果達四人が全員行った事ある場所なんだよね?」
「そこで会った誰かが、楽器のある場所を知ってる……はず」
絵里の言い回しが独特だったのもあり、見当の段階から暗礁に乗り上げる。
「ん〜〜〜〜〜〜〜…………」
穂乃果は腕を組んで唸ると、
「──あ」
何かに気付く。
「心当たりあるの⁉︎」
「ううん、分かんない」
「っ」
「分かんないけど、分からないから行ってみようよ!」
疑問符を浮かべる仲間達に、穂乃果は明るい笑顔を向けた。
「ここは……」
【ルーラ】で穂乃果達が降り立ったのは、
「──トラペッタじゃない」
かつて騒動になった、旅の最初に訪れた街。
「私、穂乃果ちゃん達とはこの街来てないけど……」
一応、千歌が記憶違いでない事を確認する。
「そうじゃなくて、穂乃果達は探し物をしてるんでしょ?」
「「──あ」」
ここで、曜と愛も目的を理解する。
「……私は中には入らないわよ。用事があるならさっさと済ませてきなさい」
この街でいい思い出が無いにこは、仏頂面で外壁の影に歩いていった。
「とにかく、行こう!」
迷う事なく街を進んだ穂乃果は、奥まった路地に建つ一軒家の前へ。
「……なんだか遠い昔のようだねぇ」
愛の呟きを背に、穂乃果はドアをノック。
「開いとるよ」
返事はすぐに来た。
「お邪魔しま〜す」
ドアを開けた穂乃果は、正面に座る占い師と目が合う。
「待っとったで。何やら大変な事態になってるみたいやな」
希は微笑むと、目の前に置かれた水晶玉に手を置く。
「……誰?」
「占い師の希ちゃん。見つけられないモノはないって評判なの」
「ひゃ〜、それは凄い」
初対面だった千歌は、隣の曜へこっそり耳打ち。
「もしかして、全部お見通し?」
「詳細はウチにも分からん。超人ではないからね、大まかにしか把握はできないんよ。……でも、穂乃果ちゃん達が何か探し物をしてるのは分かる。それでウチを頼りに来た事も」
希はウインクすると、
「じゃ、早速……。──む〜、むむむ……」
水晶玉に手をかざした希は、
「見えるで……。これは……お城? どこかのお城やな……それから、まだ若い王様……ちょっと気弱そうだけど、晴々した顔をしてるね……お世話してる女の子も楽しそうやな」
見えた内容をそのまま伝えていく。
「──こんな所かな。参考になった?」
「お城……」
「気弱そうな……」
「若い王様……」
「お世話する女の子……」
希の口にした単語を繋ぎ合わせた四人は、
「「「「──!」」」」
同時に顔を見合わせた。
希に礼を言った四人は足早に街を出るとにこと凛を回収。すぐさま千歌が【ルーラ】を唱える。
「どうしたのよそんなに慌てて。何か分かったの……って、ここ、アスカンタ城じゃない」
外壁から覗く建物を見上げたにこが、
「ここに……“月影のハープ”があるの?」
「かもしれない! 王様に訊いてくるからちょっと待ってて!」
二人を置き去りに、四人は城内へと駆けていく。
「……忙しないわねぇ」
「それだけ頑張ってくれてるって事にゃ」
「……珍しく素直じゃない」
「にこちゃん酷いにゃ。せっかくあの時助けてあげたのに」
「……それ一生言い続けるつもりじゃないでしょうね。てゆーか、結局私の方が悲惨な呪いかけられたんですけど?」
「…………」
「そこはフォローしなさいよ!」
顔を覚えられているので門兵にも歓迎され、入り口を素通りさせてもらう。
中に入ってすぐ、一階で見知った顔を発見する。
「あっ、皆さん! また来てくれたんですね! 嬉しいです!」
エプロン姿の歩夢が、パタパタとこちらへ駆け寄ってくる。
「やっほー久しぶり」
愛がにこやかに手を振る。
「お忙しい旅の合間、こうしてお顔を見せに来ていただけるなんて……」
胸の前で手を合わせる歩夢に、愛は少しだけ目を細める。
「ん〜……歩夢さあ、その話し方どうにかなんないの?」
「えっ……私、何か失礼を……? も、申し訳ありません!」
「ちがーう!」
下げられた頭に、愛は軽くチョップ。
「そうじゃなくて、丁寧すぎるって事! アタシ達、年も同じくらいだしそもそも貴族でも王族でもないの! だからそんなかしこまった話し方されたら、逆に困っちゃう!」
「そ、そう言われましても……」
「じゃあ、もうアスカンタには来ない」
「そ、そんな! ……わ、分かりまし──分かった」
「うんうん! その方がいいって!」
満足げに頷いた愛は、三人に顔だけ向ける。
「ほのほの達も、それでいいっしょ?」
「うん! これでもっと仲良くなれたね、歩夢ちゃん!」
「う、うん! ありがとう」
手を握って穂乃果にブンブン振られる歩夢に、曜が本題を切り出す。
「ところで、パヴァン王っている?」
「王様? 王様なら、玉座に。きっと喜ぶだろうから、挨拶してあげてね」
「そのつもり。ありがとう!」
それじゃあ、と仕事に戻った歩夢に手を振ると、いつぞやのように玉座の間へと続く階段を登る。
あの時は打ちひしがれる背中を見ただけだったが、
「──あなた方はもしや!」
今回は違った。こちらを見つけるやいなや、玉座から立ち上がって表情を輝かせていた。
「ああ、やはりそうだ! 皆さん、よくこの城に立ち寄ってくれました」
穂乃果の手を取って、頭を下げるパヴァン王。
「あの時の事……なんと感謝すればいいか」
「一国の王様が、そんな簡単に頭を下げない! シセルさん怒っちゃうよ!」
「ち、ちょっと愛ちゃん⁉︎」
檄を飛ばした愛を、ポカンと見つめるパヴァン王。
「いやはや……ご立派な方々だ。その通りですね」
パヴァン王は怒りを見せるでもなく苦笑すると、今度は屹立する。
「それで、アスカンタへはどのようなご用でいらっしゃったのですか?」
「実は──」
色々な部分をぼかして、曜が“月影のハープ”を探している事を伝える。
「……なるほど。“月影のハープ”でしたら、確かに我が国にあります。古来より我がアスカンタに伝えられてきた、国の宝なのです」
「いわゆる、『国宝』ってヤツだ……」
「そんな気はしてたけど、やっぱりそのくらい貴重なモノだよね……」
一国の王の口から『宝』と言われては、流石に腰が引けてしまう。
「──だが、他ならぬ皆さんの頼みとあらば。いいでしょう、ハープは差し上げます」
そんな四人とは裏腹に、パヴァン王はにこやかに譲渡を申し出た。
「えっ、いいの⁉︎」
あまりにあっさりとした物言いに、思わず声に出てしまう穂乃果。
「ええ、約束しましたから。あなた方の力になる、と。──さあ、ついてきて下さい。ハープは城の地下にある宝物庫に厳重に保管されていますから」
先導する背中を見つめながら、改めて相手が『国王』である事を認識する。
「──な、なんて事だ……! これは、一体……⁉︎」
宝物庫への扉を開けた瞬間、パヴァン王は悲痛な声を上げた。後ろを歩いていた穂乃果達も、その背中の隙間から様子を伺い察する。
宝物庫、であったその部屋は、ただのがらんどうな空間でしかなかった。
“月影のハープ”はおろか、金品の類いは何一つ見当たらない。
見ると、部屋の奥にある石壁が崩れており、長々とした空洞が口を開けていた。どう見ても、自然発生ではない、人為的な穴だった。
「まさか、盗っ人が……⁉︎」
穴を調べたパヴァン王は、膝から崩れ落ちる。が、
「……いや、こうしちゃいられない」
拳を握ると、すぐに立ち上がる。こちらに向き直ると、
「……どうやら、“月影のハープ”は盗賊に盗まれてしまったようです」
見れば分かる、と四人は頷く。
「多分奴らは、この抜け穴を通った先にいるはずです」
それは分かる、と四人は頷く。
「この先は危険です。何が待ち構えているか分からない」
それも分かる、と四人は頷く。
「皆さん、決してこの奥へは行かないで下さい」
ん? と四人は頷きかけて止まる。
「これから城の兵を集め、必ずやハープを取り戻してみせます。ええ、必ず!」
責任と決意に燃える瞳に、四人は納得。
「あなた方は、城で待っていて下さい!」
言うが早いか、本人が城内へと戻っていく。
「…………どうする?」
「どうするって言われても……」
「とりあえず一旦戻ろうか」
「兵隊がいっぱいいるなら、それだけで心強いもんね」
・穂乃果
LV23
はがねのつるぎ
鉄のむねあて
せいどうの盾
しっぷうのバンダナ
スライムピアス
・曜
LV22
鉄のオノ
せいどうのよろい
鉄の盾
サンゴのかみかざり
金のブレスレット
・愛
LV23
まどうしの杖
おどりこの服
キトンシールド
毛皮のフード
金のロザリオ
・千歌
LV23
ホーリーランス
レザーマント
騎士団の盾
スライムのかんむり
聖堂騎士団の指輪