スクスタクエスト〜空と海と大地と呪われしYAZAWA〜 作:『シュウヤ』
……これ以上キャスティング増やせないんですが。
パヴァン王のあとを追って一度城内へ戻った四人は、玉座の間で会議をしている彼の姿を見つけた。
「──まずは現場を念入りに調べるべきだ! きっと重要な手がかりが残されているはずです!」
「──さっさと盗っ人のあとを追わないと、奴らドンドン逃げちまう! すぐにでも出発しましょう!」
「──これだけの人数じゃ心細い。街の者からも討伐隊のメンバーを集めるべきでは?」
「宝物庫が荒らされたとなれば、王の威信にも関わる。隠密に事を運ぶべきかと」
口々に意見が飛び交うその会議の場で、パヴァン王は真剣に意見を聞いている。逆に言えば、全ての意見を検討している。
「……こりゃあ、纏まる未来が見えないね」
そんな愛の言葉を耳にした、すぐ近くに立っていた番兵が苦笑いする。
「我らが国王は、真面目だが優しすぎる。全員の意見を尊重し無下にしないから、こういう重要な会議はいつも長引くんだよ。……俺らはこの国の兵士だから、王の命令なしには動けない。待ってられないってんなら、自分達で動いた方がいいと思うぜ?」
「王様ってのも大変なんだねぇ……」
四人は番兵に礼を言ってその場を離れると、再び一階に戻ってくる。
「……で、どうする?」
先ほどと同じ質問。その答えは、
「行く!」
「だよね!」
だった。
がらんどうの宝物庫へやって来た四人は、くり抜かれた石壁を調べる。
石レンガで何層も隙間なく組まれたその壁は頑丈そうで、簡単に破壊できる強度ではない。
ポッカリ空いた空洞も、暗闇となって最奥は見えない。
「……これは、人間の仕業じゃないかもね」
愛が出した結論に、三人は振り返る。
「例えば屈強な男の人がこの穴を掘って壁をぶち抜くには、……そうだな、二十人いても十年はかかるだろうね。それにこの穴の高さ──」
愛は上を見上げる。穴の直径は、四人の身長をゆうに超える。手を伸ばして、なんとか届く高さだった。
「お宝を運び出すにしても、人間が通るならこんな広くする必要はない。……この大きさじゃないと通れない何かが、盗っ人の正体」
「な、何かって?」
「それは分かんないけど。でも、犯人見つけてハイお終いって訳にはいかなそうかな」
緊張感のある発言に、四人は揃って無言で武器を取り出す。
「──じゃ、盗賊探しといきますか!」
宝物庫から伸びる抜け穴は、流石に一本道だった。だが三百メートルはあろうかというその長さに、より『人外説』を確信する一行。
ようやく抜け穴を出た四人は、さらなる手がかりを探す──までもなかった。たった今通ってきた抜け穴よりさらに大きい、荷馬車すら余裕で入れそうなほど巨大な洞窟が、すぐ先でポッカリ口を開けていた。どう見ても自然形成かつ即席のものではなかった。
「絶っっっ対何かあるよね」
「うん、怪しさ満点」
見張りの存在は見当たらないが、それでも強襲を警戒しながら洞窟へ近づく。
「盗賊のアジト……かな?」
「多分……」
「いやー、アタシこの大陸に関しては隅々まで歩いたつもりだったんだけどな。こんな場所初めて来たよ。やっぱほのほのと一緒だと未知の体験だらけで面白いや」
「そんな呑気な話してる場合じゃ……」
洞窟内に潜入した四人だったが、まず目に入ったのはスコップを手にしたモグラの魔物だった。向こうもこちらを見つけて猛突進。
「っ!」
反射的に剣を構えたが、モグラは目の前で急停止。
「お、お前らっ、人間だなっ? 盗まれたお宝取り返しにここまで来たんだよなっ?」
盗っ人側からその確認をしてくるとはこれいかに。敵意はないのか、穂乃果達は首を傾げる。
「て事は、結構強いんだよな? ──なあ頼む! ボスを止めてくれ! アレを盗んでからもう、おかしくなりそうで……!」
「アレ?」
「た、頼んだぞ!」
何やら様子がおかしい事を察知。
「ハープを盗んだのって、このモグラ達なのかな?」
「かもしれないね。なるほど、確かにモグラなら、あんな凄い穴掘れるのも納得だ」
「ここは多分そのアジトで、……何故か助けを求めていると」
「ボスがどうとかって言ってたよね?」
勝手にモグラのアジトと名付けたその洞窟は流石に入り組んでいたが、
「人間だ!」
「助けてくれるのか⁉︎」
「ボスはこっちじゃないぞ!」
モグラ達に道案内までされる始末。中にはすでに倒れて動けないモグラもいた。
「……どうなってるんだろう」
その疑問には誰も答えられないが、最奥部に近づくにつれて、真相は音となって四人を襲った。
「「「「──うっ……⁉︎」」」」
無意識に耳を塞いでしまうような、地鳴りのような音。全身が震えて意識が遠のくような、そんな、
「……歌?」
絶望的に下手な、歌声。
洞窟の壁で反響し、幾重にもエコーがかって襲いくる歌声に四人はモグラ達の言葉の真意を悟る。
「こんなのずっと聴いてたら、確かにおかしくなっちゃう……!」
「止めなきゃ……! モグラ達の為……っていうか、穂乃果達が死んじゃう!」
最奥へと駆け出し、そこで見たのは、
「ぼ、ボス……」
「も、もう、やめ……」
「誰か……なんとかしてくれ……」
地面を這いつくばるモグラ達と、絶望的な歌声を披露するでっぷりと太った成人男性ほどもある巨大なモグラ。そしてその手に握られた、
「“月影のハープ”……!」
ひとしきり歌い終わった巨大モグラは、
「──いいっ!」
楽しそうに両腕を上げた。
「物凄くいいモグ! ワシの芸術性を、このハープがさらに高めているモグ!」
息も絶え絶えなモグラ達は、何も答えない。
「そうかそうか、感動して言葉も出ないモグか! 可愛いやつらモグ!」
「ええ……」
その一方通行っぷりに、穂乃果も言葉を失う。
「──ん?」
そこで巨大モグラは、目の前に立つ穂乃果達の存在に気付く。
「おお! そこのお前ら、見かけない顔モグがワシの歌を聴きにきたモグか?」
「それは──」
「そんな訳ないじゃん。一度にこにーと凛の歌聴いてみるといいよ?」
交渉を試みようとした横で、愛がバッサリ切り捨てる。
「……何だと? ではもしや、ワシの芸術の友、“月影のハープ”を奪いに来たモグか⁉︎」
案の定交渉は決裂。陽気な声色から一転、怒気を孕んだ口調で巨大モグラは身体を震わせる。
「モグググググ…………許さーんっ!!」
[ドン・モグーラがあらわれた!]
[モグラの子分たちがあらわれた!]
「結局こうなるんだから……!」
「みんな、アイツをとっちめてハープを取り返すよ!」
[千歌はしっぷうのごとく斬りつけた! モグラの子分Aに56のダメージ!]
[穂乃果のはやぶさのごとき高速の二回こうげき! ドン・モグーラに82のダメージ!]
[愛はイオラをとなえた! ドン・モグーラたちに平均61のダメージ! モグラの子分Aをたおした!]
[曜は蒼天魔斬をはなった! ドン・モグーラに90のダメージ!]
[ドン・モグーラの芸術スペシャル!]
披露される地獄の歌声。
「うっ……!」
意識が揺らぎかけ、全員辛うじて持ち堪える。が、
[モグラの子分Bは混乱した!]
[モグラの子分Cは混乱した!]
「あの歌、味方まで巻き込んで……」
「早く止めないと、モグラくん達が可哀想だ!」
[穂乃果はかえん斬りをはなった! ドン・モグーラに71のダメージ!]
[千歌はさみだれ突きをはなった! ドン・モグーラに88のダメージ!]
[曜はオノむそうをはなった! モグラの子分たちに平均62のダメージ! モグラの子分Cをたおした! モグラの子分Dをたおした!]
[愛はメラミをとなえた! ドン・モグーラに88のダメージ!]
「ぐぐ……見た目通りタフだねー!」
総攻撃を仕掛けても一向に倒れないドン・モグーラ。
[ドン・モグーラは大地をはげしくゆさぶった!]
[穂乃果たちは平均41のダメージを受けた!]
[愛はベホイミをとなえた! 穂乃果のキズが回復した!]
長引く戦闘。ただでさえたらい回しで疲弊していたパーティは、消耗していく。
「よーしこうなったら……この前手に入れた、奥の手!」
穂乃果は携行品をまさぐると、何かを手に取った。
「……チーズ?」
星形をした見覚えのある乳製品。
「トーポ〜、出ておいで〜」
自分で食べるのかと思いきや、チーズをポケットから頭だけ出したネズミのトーポに与えた。
「穂乃果ちゃん、こんな時に何して──」
[穂乃果はトーポにはりきりチーズをあたえた!]
[穂乃果のテンションが5上がった!]
[曜のテンションが5上がった!]
[愛のテンションが5上がった!]
[千歌のテンションが5上がった!]
「……トーポって、何者?」
摩訶不思議現象に、三人は呆然。
[ドン・モグーラのこうげき! 千歌は47のダメージを受けた!]
「うぐっ……! とにかく今は、この大モグラをやっつけよう!」
[穂乃果のはやぶさのごとき二回こうげき! ドン・モグーラに105のダメージ!]
[曜は蒼天魔斬をはなった! ドン・モグーラに120のダメージ!]
[千歌はさみだれ突きをはなった! ドン・モグーラに109のダメージ!]
[愛はメラミをとなえた! ドン・モグーラに140のダメージ! ドン・モグーラをたおした!]
よろよろと後退した巨体が、ズシン、と地響きを立てて倒れた。
[モグラの子分Bは逃げだした!]
「魔物のむれをやっつけた!]
「──も、モグっふ……。やられ、た……」
ドン・モグーラが倒れ、手にしていたハープが地面に落ちてカラン、と音を立てる。
「や、やっと倒せた……!」
「ボスー!」
「しっかりして下さい!」
ドン・モグーラが目を回すやいなや、周りのモグラが持ち上げるとどこかへ運んでしまう。
一匹だけ残ったモグラがこちらへ向くと、
「ボスを止めてくれてありがとう。だが頼む、トドメは刺さないでくれ。すぐ人のモノ盗んじゃうのと、破壊的に歌が下手なのの他は、とってもいいボスなんだ! そのハープは返すよ。だから……」
懇願するように見上げてくる。
「分かった! 目的はこのハープだったし、コレが手に入るならそれでオッケー!」
「ありがとう強い人間! じゃあな!」
お辞儀をすると、左右に蛇行しながら危なっかしくボスを運ぶ仲間達の手助けをするモグラ。
そんな姿を見送りながら、
「あれだけ大変な思いして、死にそうな歌を聴かされてもそれでもボスを慕うって、不思議な社会だねぇ、モグラ」
そんな感想が口から漏れた。
・穂乃果
LV23
はがねのつるぎ
鉄のむねあて
せいどうの盾
しっぷうのバンダナ
スライムピアス
・曜
LV22
鉄のオノ
せいどうのよろい
鉄の盾
サンゴのかみかざり
金のブレスレット
・愛
LV23
まどうしの杖
おどりこの服
キトンシールド
毛皮のフード
金のロザリオ
・千歌
LV23
ホーリーランス
レザーマント
騎士団の盾
スライムのかんむり
聖堂騎士団の指輪