スクスタクエスト〜空と海と大地と呪われしYAZAWA〜   作:『シュウヤ』

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船を手に入れるまで、全然装備新調できないんですよねぇ。


第37話

 ハープを取り返した事を報告しにアスカンタ城の玉座の間に向かった四人は、

「──犯人は必ず現場に戻ってくる! 地下に見張りをたてるべきです!」

「──とにかく急ぐべきだ! ハープを盗んだ奴らを見失ってしまいます!」

「──たったこれだけの兵では返り討ちにあうだけだ。危ない橋を渡るべきではありません」

「──街の者に噂が漏れる前に盗っ人を捕まえなくては。少数精鋭で行くべきでしょう」

 聞こえてくる会議の声に揃って呆れ顔を見せた。

「まだ会議してたの……? あれから結構時間経ってるよね?」

 四人の姿を見た先ほどの番兵が、

「おおあんたら、戻ってきたか。その様子だと、ハープはもう取り返したって感じだな。……言った通りだったろ?」

 立場上大きな声では言えないのか、やれやれと首を振る番兵。

「とにかく国王に教えてやってくれ。進展しない会議を見ているだけで疲れちまう」

 ハープを片手に、パヴァン王へと歩み寄る穂乃果達。

「おや皆さん、どうかしまし──そ、それは“月影のハープ”……⁉︎ もしや、皆さんが取り返してきて下さったのですか⁉︎ どうしてそんな危ない真似を……」

 あなたが頼りないから、とは流石に言えない。

「……いや、しかし、流石、と言うべきですね。重ね重ね、皆さんにはご迷惑をおかけして申し訳なく思います。ですが、皆さんがご無事でそして、ハープが戻ってきて良かった。約束通り、そのハープは皆さんに差し上げます」

 小さく拍手したパヴァン王は、にこやかに微笑む。

「どうかこの先の旅もお気をつけて。皆さんのご無事を祈っています」

 

 

 

 

 アスカンタ城の前で待機していたにこ達と合流し、顛末を説明しつつトロデーン城の図書館へ舞い戻る一行。

 着く頃には陽も暮れて、月の光が窓枠から差し込んでいた。壁に形成された窓のような扉も、そのまま残っていた。

「──数多の月夜を数えてきたけれど、これほど時の流れを遅く感じた事はなかったわね」

 月影の世界で、絵里は全てを悟っていたようだった。

「見事、“月影のハープ”を見つけてきた……そうよね?」

「うん!」

 穂乃果は笑顔で、ハープを絵里に手渡す。

 絵里は優しい手つきでハープを撫でる。

「このハープも、随分と長い旅をしてきたようね。──さあ、荒れ野の船のもとへ。微睡む船を起こし、旅立たせる為に歌を奏でましょう?」

 ポロロン、と絵里が弦をひと撫で。

 まるで舞台が転換したかのように、立っているのは荒野の船のすぐ近く。

「は……え⁉︎」

 戸惑うにこ達を気にも留めず、絵里は船へと歩み寄る。

 絵里は船底に手を触れると、

「この船も“月影のハープ”も、そして私も、みんな旧き世界に属するもの──」

 振り返って優しい笑顔を向ける。

「礼を言うわ。懐かしい者に、こうして巡り合わせてくれて」

「あ、えっと……うん。どういたしまして?」

 含みを持たせた彼女の言葉を全て理解する事はできない。疑問を残したまま、穂乃果は応える。

「──さあ、おいでなさい。過ぎ去りし時よ……海よ。今ひとたび、戻ってきて頂戴……」

 絵里が、本格的に演奏に入る。静かで綺麗で、厳かで神秘的な音色が辺りに響く。

 そして穂乃果は見た。目の前を、魚が横切るのを。文字通り透き通った、半透明の水が地面から溢れ出てくるのを。

「──言の葉は、魔法のはじまり。──歌声は、楽器のはじまり。──さあ、歌いましょう」

 ハープを演奏しながら、絵里は口を開く。そこから響き渡るのは、綺麗なソプラノ。

『…………』

 六人は一度顔を見合わせると、笑顔で頷き合った。揃って息を吸い込み、歌を紡ぐ。

 

 

 

 

 気が付いた時には、六人は甲板に立っていた。朽ち果てていたはずの船は、新品同然でしっかりと海面に浮いていた。絵里の姿は、もう無かった。

「何だか不思議な体験をしたわね……」

「大昔の魔法って、凄いんだにゃ〜」

「“月影のハープ”とその奏者と旧き魔法、か〜。まだまだ愛さんの知らない世界が多いなぁ」

「それより船だよ! 船! 私達、ついに自分達の船を手に入れたんだよ!」

「曜ちゃん落ち着いて、ハイどうどう」

 思い思いに感動を口にする五人。

「それより、とにかくドルマゲスだよ! 穂乃果達、その為に頑張って船探してたんだから!」

 そうだった、と我に返る五人。

「せっつーの話だと、ドルマゲスは西に向かったんだったよね。だから、今はとにかく西の大陸に向かって情報を集めないといけない訳だよ」

 情報屋せつ菜のおさらいをすると、穂乃果は頷く。

「よしっ、じゃあとにかく西へ向かおう! きっとそこに何かあるはず!」

「──へへっ」

 すると曜が甲板の先端まで躍り出ると、ビシッと敬礼を決めて西の方角を指差す。

「進路を西へ、面舵いっぱい! それじゃあ行くよ! ──全速前進〜、ヨーソロー!!!」

 

 

 

 

 

 

・穂乃果

LV23

はがねのつるぎ

鉄のむねあて

せいどうの盾

しっぷうのバンダナ

スライムピアス

 

・曜

LV22

鉄のオノ

せいどうのよろい

鉄の盾

サンゴのかみかざり

金のブレスレット

 

・愛

LV23

まどうしの杖

おどりこの服

キトンシールド

毛皮のフード

金のロザリオ

 

・千歌

LV23

ホーリーランス

レザーマント

騎士団の盾

スライムのかんむり

聖堂騎士団の指輪

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