スクスタクエスト〜空と海と大地と呪われしYAZAWA〜 作:『シュウヤ』
ようやく切り立つ崖の航路を抜けると、平原に一軒だけ建てられた建物が見えた。白い壁に質素な外観。屋根に取り付けられたオブジェは、神を示すそれだった。
「あそこが目印の教会で間違いなさそうだね」
「じゃあここから、そのベルガラックも近いのかな? ようやくドルマゲスの行方を追えるね!」
「はやる気持ちは分かるけど、もうそろそろ日が暮れそうだし今日はここまでにしよう」
出鼻を挫かれた穂乃果は若干不満そうだったが、
「誰も土地勘が無い場所を夜中に歩くのは危険だし、何よりドルマゲスを対峙した時寝不足だったら大変でしょ?」
そう説得されては頷くしかない。
「──こんばんは旅のお方。もしお疲れでしたら、空いているベッドで休まれてはいかが?」
中に入ると、事務作業をしていたシスターが笑顔を向けた。
「贅沢とは言えませんが、旅の皆さまの為にと無料でお使いいただけますわ。どうかご遠慮なさらずに」
「ありがとうございます!」
と、穂乃果は隣の寝室の隅で小さく震える人影を見つけた。
「あの人は?」
「私にも詳しくは……。何やらとても怖い思いをしたそうです。不吉な前兆でなければ良いのですが……」
「な、なるほど……」
「それはもう、嫌な予感しかしないね」
穂乃果達は神妙な面持ちで頷く。
「……情報収集はアンタ達に任せるわ」
「お布団が待ってるにゃ〜!」
その横で、にこが欠伸をしながらベッドへ歩く。
「たまのベッドくらい、ゆっくり休ませてちょうだい」
そう言われては、ノーとは言えなかった。
「教会くらいだもんね、にこちゃん見て騒がないの」
あとパルミド、と愛が付け足す。
穂乃果は部屋の隅へ向かうと、怯える相手へ声をかける。まだ幼い、子供の僧だった。
「そんなに震えて、何か怖い事でもあったの?」
「じ、実は……アレを見て以来、脳裏から離れなくて……」
「アレ?」
「アレっていうのはですね……海の上を走る、道化師の格好をした不気味な人間の事です」
「! その話、詳しく」
「詳しくと言われましても……見かけただけなので、ベルガラックの方へ向かったんじゃないかというくらいしか……。ぼくは忘れたいんです……なのに忘れられない……。アレは幽霊だったんじゃ……。それとも、ぼくの修行が足りないせいで内面の悪しき心が幻を……」
震える僧を気の毒に思いながら、穂乃果は礼を言う。
「やっぱりドルマゲスはベルガラックへ向かったんだ」
「カジノで有名な街に、何しに行ったんだろ?」
「まさかギャンブルしに行った訳じゃないだろうしねぇ……」
「よく分かんないけど、胸騒ぎがするのは確かだよ……」
穂乃果は今すぐ走り出したい衝動を抑えるかのように、その場で足踏みをする。
「ホラ、ほのほの落ち着いて。休む事も大事な戦略の一つだからさ」
そんな穂乃果の肩を掴んだ愛は、ベッドへと方向転換させる。
「ちゃんと寝て起きる! 万全じゃないと、ドルマゲスには太刀打ちできないよ」
マイエラ修道院での出来事と、トロデーン城の惨状を思い出して他の三人は押し黙る。
「──愛さんだって、今すぐドルマゲス追いかけに行きたいよ。でも敵は強大だもん。こっちも万全じゃなきゃ、ね?」
「みんな本当の気持ちは同じって事だよ、穂乃果ちゃん!」
「うわわっ」
千歌に背中を叩かれ、穂乃果はたたらを踏む。
「う、うん、そうだよね。急に目的が近くなったから、焦っちゃった」
穂乃果がきちんと納得して頷いたのを確認して、愛はニカッと笑う。
「じゃあ、寝て起きるまで競争ね! 一番起きるの遅かったねぼすけさんは、ベルガラックまでみんなの荷物運び!」
言うが早いかベッドへ飛び込んだ愛は、布団をかけて「おやすみ!」と目を閉じる。
「うわわっ、愛ちゃんズルい!」
「早く寝なきゃ!」
と、三人も慌ててベッドへ駆け込み布団を被った。そして誰も喋る事なく、静寂が訪れる。
「ドルマゲス……。もう、絶対逃がさないから……!」
横になったまま穂乃果は、天井に手をかざすと力強く握りしめた。それから力を抜いて、目を閉じた。
──翌朝、
「……これは、どういう事なのかしら」
小柄な身体に六人分の荷物を抱えたにこが、仏頂面と三白眼を向ける。
「「「「ねぼすけさんの罰ゲーム」」」」
「アンタら四人だけでやってなさいよ!」
・穂乃果
LV24
はがねのつるぎ
鉄のむねあて
せいどうの盾
しっぷうのバンダナ
スライムピアス
・曜
LV23
鉄のオノ
せいどうのよろい
鉄の盾
サンゴのかみかざり
金のブレスレット
・愛
LV24
まどうしの杖
おどりこの服
キトンシールド
毛皮のフード
金のロザリオ
・千歌
LV24
ホーリーランス
レザーマント
騎士団の盾
スライムのかんむり
聖堂騎士団の指輪