スクスタクエスト〜空と海と大地と呪われしYAZAWA〜   作:『シュウヤ』

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コレ実際、地図に『明らか怪しい場所』があるからすぐ分かっちゃうんだよね。


第44話

「さて、またしても穂乃果が軽率にお願いを引き受けたワケなんだけども」

「うっ……」

 若干トゲのあるセリフが飛んでくるが、発言者のにこは肩をすくめる。

「今さら気にしてないわよ。いつもの事だし。どうせサザンビーク国領へ行くには、このベルガラック地方を抜けなきゃならないのよ。そのついでにちょっと探検しても平気でしょ」

「珍しくにこちゃんに余裕がある……」

「一言余計よ」

 にこは千歌を睨むと、

「ドルマゲスは今、闇の遺跡に籠城してる。わざわざ結界まで使うくらいなんだから、その日の宿代わりにする訳じゃないでしょ。それに出入り口は見張っててくれてるし、ま、何とかなるわよ」

「にこちゃんと凛ちゃんの呪いが解けるまで、あと一歩だね!」

「だからってノンビリするのとは違うからね! 頼まれた以上、完遂しないと収まりが悪いってだけよ」

「じゃあにこにーが安心できるように、早いとこお願い片付けてサザンビークへ向かおう!」

「いやっ……まあ、そうだけど……まあいいわ」

 

 

 

 

 丘を降りた一行は、その裏手に回る。

「──あった」

 そこに鎮座していたのは、キラーパンサーの石像。座り込んだ姿勢で、彼方の一点を見つめていた。

「花陽ちゃんとことりちゃんが言うには、ここらにはこのキラーパンサーの石像が四つあって、不思議な木ってのはそれぞれの石像の視線の先にあるって話だったよね」

「明け方にしか見えない木かぁ……。世の中には不思議な出来事があるんだねぇ」

 感心する千歌だったが、

「古の魔法船に乗ってる出来事の方がよっぽど不思議よ」

 にこの正論。

 空を見つめた曜が、

「もう陽が傾き始めてる。タイムリミットは明け方だけど、真っ暗じゃ探しようがないよ。急ごう!」

 

 

「──これが四つ目だね」

 石像の真横で、愛が地図の現在地を丸く囲む。

「視線の方角はこっち、と……」

 そしてそこから矢印を伸ばす。四つの矢印がぶつかった場所をさらに囲むと、

「例の木がある場所は、大体この辺りって感じかな」

 そこは大陸でも奥まった場所で、周囲には人工物は見当たらない。すでに夜の闇が支配しており、煌々と賑やかなベルガラックの街灯りも、かなり前から見えなくなっている。

「ベルガラックで何も話を聞かなかったから変だと思ってたけど、こんな辺鄙な場所にあるなら誰も知らなくて当然かもなぁ……」

 愛は街があるはずの方角を見つめながら呟く。

「……で、例の木はどこにあるのかしら」

 にこが周囲を見回すが、樹木は生えているものの特別感は無い。

「しまったな……。特徴聞いてないから他の木と見分けつかないかもしれない……」

「いやちょっと、夜通し歩いてきたのにもう一日とか無理よ?」

「それはみんなそうだけど……」

「手分けして探す?」

「いや、こんな暗闇で一人になったらいざって時に対処できなくなっちゃう」

「それもそっか……」

「…………」

「こんな事なら、私が花陽ってのから話聞いておけば良かったわ……。キラーパンサーなんて魔物愛好家なら、この姿でも驚かなかったかもしれないのに」

「いやぁ、それはどうだろう……」

「何ですって──凛?」

 反射的に噛み付いたにこの脇を、凛が無言で通り抜ける。

「ど、どうしたんだろう」

「あっち……光ってないかにゃ?」

「えっ?」

 凛が指差した先、木々の無い開けた場所がぼんやりと光を放っていた。

「月明かり……じゃないよね?」

「んな訳ないでしょ。月なら空に浮かんでるわよ!」

 言うが早いか駆け出したにこに、背中を叩かれる穂乃果。

「うわわっ、待って待って!」

 

 

 少し遅れた穂乃果がその場に辿り着くと、

『…………』

 全員が口を開けた状態で上を見ていた。

「うわ……」

 そして穂乃果も、同じポーズを取る。

 そこに現れたのは、緩やかに優しい光を放つ、色鮮やかな大樹だった。周りの木々と比較して鮮やかすぎる群青色は、絵画なのではないかと疑ってしまうほどだった。

「特徴なんて……聞くまでもなかったね」

「船の一件から、もう何があっても驚かないと思ってたけど……これは驚いた」

 各々がそれぞれ呆けた表情で大樹を見上げていると、

「──そこに誰かおるのか?」

 突如聞き知らぬ声が響いた。

『!』

 我に返った六人が声の発生源を見やると、

「お主らは……人間か?」

 全身が青みがかった、色素の薄いキラーパンサーが佇んでいた。

「…………」

 思わず武器を構えそうになった曜を、穂乃果が制する。

「──我が名はバウムレン。我が友花陽さまの命で使いに出たが、行く道が分からなくなってしまった……。通りすがりの旅人に聞くのもおかしな話だが、お主らは知らぬか? わしはどこへ行くはずだったのか……」

 その哀しさと戸惑いを孕んだ声色に、穂乃果は無言でバウムレンへと近付く。そしてカバンから、《深き眠りのこな》を取り出して彼に見せた。

「花陽ちゃんから、預かってきたの」

「……む? むむむっ⁉︎ そ、その粉は……! 旅人よ、その粉、花陽さまからと申したか⁉︎」

 小瓶を一目見て顔色を変えたバウムレン。その意図は分からないが、穂乃果は問いに頷く。

「な、なんと……! にわかには信じられんが……」

 驚愕に近い声色で声を絞り出したバウムレンは、

「いや……その話を聞いて、ようやく合点がいったわい……」

 力なく顔を伏せた。

「おかしいと思っていたのだ……。行けども行けども、同じ所をグルグルと回ってばかりなのだからな……」

 察しのいい愛や曜は、この辺りで真実に気付く。

「旅人よ、礼を言わねばならん。そなたらが来なかったら、わしは永遠に行くべき道を失ったままであった……」

「えっと、それは、どういたしまして?」

「すまぬが、その小瓶の栓を抜き中の粉を辺りに撒いてくれぬか」

 お安い御用とばかりに穂乃果は頷くと、小瓶の中身の粉を周囲に振り撒いた。

 白くキラキラした粉が辺りに広がり、バウムレンの周りを白いモヤが覆い始めた。

「……旅人よ、もしも再び花陽さまに会う事があったらこう伝えてもらえぬか。──このバウムレン……花陽さまに会えたという、それだけで、まこと幸福な人生であった……とな」

「……分かった」

 状況は把握できていないが、ただならぬ空気には敏感な穂乃果は大きく頷いた。

 それを見たバウムレンの口元が、笑ったような気がした。キラーパンサーである故、表情の変化は分からないのだが。

「ではさらばだ旅人よ。達者で旅を続けるがよい」

 そう言って後ろを向いたバウムレンは、歩き出すと空へ向かって姿を消していった。

 

 

『…………』

 残されたのは、言葉を失った六人。そこに、朝日が差し込んでくる。

「──なんかまた凄い体験しちゃったけど、最後のお願いを果たそっか」

「うん、花陽ちゃんに報告しなきゃ。バウムレンさんの言ってた事を」

 

 

 

 

 

・穂乃果

LV26

はがねのつるぎ

鉄のむねあて

ライトシールド

しっぷうのバンダナ

スライムピアス

 

・曜

LV25

鉄のオノ

せいどうのよろい

鉄の盾

サンゴのかみかざり

金のブレスレット

 

・愛

LV26

まどうしの杖

おどりこの服

ホワイトシールド

銀のかみかざり

金のロザリオ

 

・千歌

LV26

ホーリーランス

鉄のよろい

ライトシールド

スライムのかんむり

聖堂騎士団の指輪

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