スクスタクエスト〜空と海と大地と呪われしYAZAWA〜 作:『シュウヤ』
トラペッタに戻った一行は、希の家へ向かう。
家のドアを開けると、
「そろそろ、戻ってくると思ってたんや」
座っていた希が、口を開いた。
「な、何で分かったの⁉︎」
驚いた穂乃果に、希はニヤリと笑う。
「そりゃあ、ウチは占い師の希。そのくらいの事は分かるやん。この玉が、ただのガラス玉でも、ね……」
感心した三人に、
「しかし、まあ大概のお節介やんなあ。また捨てるかもしれんのに」
「あー、滝壺に物を捨てるな、だって。古傷が痛そうだったから」
とりあえず、ザバンの伝言を伝える穂乃果。当然、何の事か分からない希は首を傾げる。
「ねえ希ちゃん、何で水晶玉捨てちゃったの?」
「むしゃくしゃしたからやん」
「むしゃくしゃしたからなんだ……」
少し曜が呆れた所へ、
「希さん!」
ユリマが飛び込んできた。
「おっとっと」
追突しそうになった愛は、慌てて横に避ける。
「ユリマっち……」
「私、もう知ってるんです。どうして私がここにいるのか、私の両親がどうなったか……」
「それは……」
話が見えない三人は、顔を見合わせる。
「希さんの占いって、本当に凄かったんですよね。どんな事でも占えた。だから、どこに逃げたか分からなかった私の両親の居場所も、言い当てた」
希は、天井を仰いだ。
「……ウチは、昔から占いが得意やったん。小さい頃から、色んな人が占いに来てくれたんや。ウチは嬉しくて、来る人来る人全員の探し物を占った……。何も考えず、に」
「あ……」「そういう事……」
曜と愛は察しがついたのか、小さく呟く。一方穂乃果は、未だに首を傾げたまま。
「……その結果、ユリマっちを一人ぼっちにしてしまったんや。ウチが、身を隠した両親の居場所を言い当ててしまったばっかりに……」
ここで、穂乃果も結論に辿り着く。
「希ちゃん……そっか……」
「その事を知って、一人ぼっちのユリマっちを見て、ウチは思ったん。ウチの占いで誰かが不幸になるなら、もうそんな占いはいらないって」
「そんな事ないです!」
希の独白を、ユリマが遮った。
「私の面倒を見てくれたのは、他でもない希さんじゃないですか。私、希さんの助手で良かったって、そう思ってます。凄い占い師の助手なんだって、胸張らせて下さいよ!」
「ユリマっち……」
翌日。
目を覚ました穂乃果は、身体を起こす。すぐ横では、曜と愛が、未だ眠りこけていた。
「昨日は、大変だったもんなぁ」
昨夜、一件が落着した時にはすでに日が落ちていた為、希の家に泊まった穂乃果達。夕飯をご馳走になった後は、洞窟を探検した疲れも出て泥のように眠ってしまった。
「フア……」
あくびをしながら階段を降りると、
「お、やっと起きたんか。もう昼やで〜。こんな時間まで寝ちゃうなんて、相当疲れてたんやな」
水晶の前に座る希が、小さく手を振った。
「……穂乃果ちゃん達には、お礼を言わなきゃやな。ありがと」
「そんな、気にしなくていいよ。やりたくてやっただけなんだから」
クスッと笑った希は、真剣な表情をすると水晶玉に向き直った。
「……こうやって占うの、いつ以来かなぁ」
少し楽しそうな希。
だが、
「な、何やこれ!」
唐突に大きな声を上げた。
「ど、どうしたの⁉︎」
驚いた穂乃果が駆け寄り、大声で目が覚めたのか、曜と愛も階段を駆け下りてきた。
「見える、見えるんや! 道化師のような怪しい男が、南の関所を破っていったみたいや!」
「道化師……?」
「むむ、むむむむ……? コイツや! この道化師が、マスター・ライラスの事件の犯人や!」
「えっ⁉︎」
「この道化師……どこかで見た事あるんやけど……」
希は必死に記憶を遡り、
「……あっ、そうや! 確か、マスター・ライラスの弟子やったん! だいぶ、感じが変わってるけど……」
「マスター・ライラスの弟子?」
「それってもしかして……」
「……ドルマゲス?」
にこが言っていた言葉を思い出しながら、三人は同じ結論を出す。
その答えに、希も頷く。
「間違いないやろな」
「そ、それで? もっと詳しく教えて!」
身を乗り出してきた穂乃果に、
「ち、ちょっと待ってな」
希は再び水晶に集中する。
「……お?」
すると、何かに気付いたのか、小さく声を出す。
「何々⁉︎」
「ここに小さな傷が……。文字も書いてある? …………『あほう』やと⁉︎ どこの誰やん! ウチをあほうとか言うんは!」
激昂した立ち上がった希に、
「詳しくってそっちじゃないよぉ〜!」
思わず穂乃果がツッコミを入れた。
トラペッタをあとにした一行は、破られたという南の関所へ向かった。
「希ちゃんの話だと、ドルマゲスはこっちに向かったんだよね」
「みたいだね。それで、その先にはリーザスっていう小さな村があるんだってね」
「道に沿って行けば、ドルマゲスもそこに向かった、って事だ!」
希の占いを三人から聞きながら、にこは少なからず感心していた。
「へえ。その希っての、案外やるのね。見直したわ」
「にこちゃん、会ってすらないにゃ」
「それはアンタもでしょうが」
「あ、そういえば、ユリマちゃんが二人にもよろしく言っておいて、だってさ」
「“キノコと猫さんの女の子も、これからの旅に気を付けて”って言ってたよ」
「にこはどう足掻いてもキノコなのね……もういいわよ」
ややふてくされたにこに、
「やっぱりキニコちゃんの方が「しないっつてんでしょ!」
関所に到着すると、その惨状が一目で分かった。
頑丈そうな鉄扉は破壊されひしゃげ、かけられていた石橋には瓦礫が散乱していた。関所を警備していたであろう兵士の姿は見当たらない。
「これは酷いね……」
「ドルマゲスの目的って、何なんだろう?」
「まあー、良からぬ事だというのは間違いなさそうだよね〜」
結果的に何事もなく関所をスルーできた一行は、ほどなくしてリーザス村に到着。
「待てっ! お前たち何者だ!」
村に入った瞬間、小さな子供に声をかけられた。その態度や雰囲気から、歓迎されているようには見えない。
「えーっと、穂乃果達は……」
「いーや分かってるぞ。こんな時にこの村に来るって事は、お前らも盗賊団の一味だな!」
旅をしてる、と言おうとした穂乃果の言葉を遮って、子供は穂乃果を指差した。
「……どうする?」
「どうするって言われても」
「まずは話させてもらわないとじゃない?」
というか盗賊団って何? と思った穂乃果だったが、子供はその質問すら許さなかった。
「マルク! サーベルト兄ちゃんのカタキだ! 成敗するぞ!」
「がってんポルク!」
ポルクと呼ばれた子供は、すぐ後ろに立っていたマルクと呼ばれたもう一人の子供に声をかけた。
[ポルクが現れた!]
[マルクが現れた!]
「え、これ……戦わなくちゃいけないの?」
唐突に、理不尽に売られた喧嘩ではあるが、小さな子供相手に剣を抜くのもはばかられる。
穂乃果達が迷っていると、
「こ、これ、お前達! ちょっと待たんかい!」
ポルクとマルクの背後から、声がかかった。
振り返った二人と、穂乃果達が視線を向けると、険しい表情をした年老いた女性が立っていた。
「よく見んかい、この早とちりめが! この方達は、旅のお方じゃろが!」
そう一喝して、二人の頭を小突いた。
「お前達、マリーお嬢様から頼まれ事をしとったんじゃろう。まったく、フラフラしよってからに」
そう言うと、二人をけしかけて追い払った。
ポカンとしている穂乃果達に、
「すみませんねぇ、旅の方。あの子達も、悪い子達じゃないんだけど……」
女性は丁寧に頭を下げた。
「だ、大丈夫です〜。ちょっとビックリしただけで」
「最近、村に不幸があったもんで……」
「不幸?」
「まあ、詳しい話は村の者にでも聞くといいじゃろう」
自分からは話したくないのか、女性は言葉を濁した。
「この村はいい村じゃよ。どうぞ、ゆっくりしていってくだされ」
「はあ……」
何かがあったとは分かるが、その内容までは知りようがない穂乃果達は微妙な反応をするしかない。
「とりあえず、情報を集めよっか」
「だね〜。手分けして、村の人達に話を聞いてみよう」
・穂乃果
LV10
どうのつるぎ
うろこのよろい
皮の盾
皮のぼうし
ーーー
・曜
LV9
石のオノ
たびびとの服
うろこの盾
皮のぼうし
ーーー
・愛
LV9
ブロンズナイフ
皮のこしまき
皮の盾
皮のぼうし
ーーー