スクスタクエスト〜空と海と大地と呪われしYAZAWA〜   作:『シュウヤ』

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探索回ですね。チャプターの最初は、どうしてもこういうイベントが多くなってしまう。
次回から、また戦闘シーンあります。


第6話

村の住人に話を聞いて回った三人は、村の入り口に集合して情報を交換する。

「オハラ家の長男のサーベルトって人が、亡くなっちゃったんだってね」

「うん、しかも、誰かに殺されたって話だし」

「村の人は、盗賊の仕業だって予想してるらしいねー。だからさっきのポル君マル君は、あたし達を盗賊だと勘違いしたんだね」

三者同様、話は似た内容だった。

「それで、その妹さんである鞠莉って人があのお屋敷に住んでると」

愛が視線を、村の奥へと向ける。

そこには、他の民家とは明らかにスケールの違う大きな屋敷が建っていた。

「うーん何やら大変な事があったみたいだよね……。穂乃果達は、ドルマゲスの行方を知りたいだけなんだけど……」

「とりあえず、お屋敷の人にも話聞いてみる? 何か手がかり掴めるかもしれないよ」

「そうしようか〜。そのマリーって人とも、話してみたいし。傷心中なのはちょっと申し訳ないけど」

屋敷へ向かう三人。ふと、曜がポツリと呟いた。

「まさか、この事件にドルマゲスが絡んでるとか……ないよね?」

「まさか〜。いくらなんでも、そう何度も出てきたりしないよ〜」

「そうそう。ネガティブシンキングはやめっ」

「そ、そうだよね!」

 

 

 

 

「お邪魔しまーす」

屋敷の玄関を開けた穂乃果は、控えめに中を覗いた。

すると、すぐそばに立っていた兵士がこちらを見た。

「客人ですか? 正直、おもてなしできる状況じゃないんですけどね……。まあ、あんまり粗相はしないようにお願いしますよ。何しろ自分は、今回の事件が起きてから雇われた新米なものでね……」

大丈夫なのかなという心配がよぎったが、門前払いはされなかったので穂乃果達は改めて屋敷の中へ入る。

目の前の大きな階段を登って二階へ上がると、先ほどのポルクとマルクがとある部屋の前に立っていた。

「何してるんだろ?」

穂乃果が近付くと、

「あ、お前か。さっきは悪かったな」

意外にも、素直に謝るポルク。

「でも、ここは通せないぞ。“誰にも会いたくないから誰も部屋に入れるな”っていうマリー姉ちゃんの命令だからな」

だが、鞠莉の部屋らしいドアの前からは、頑として動こうとしない。

「どうしても?」

「どうしてもだ」

ポルクとマルクの意思は強固なようで、譲る気配はなさそうだった。

「うーん、一度話をしてみたいんだけどなぁ」

穂乃果は腕組みをして悩むが、このままではその願いは叶いそうにない。

「ひとまず、他の人にも話を聞いてみようよ」

「そうそう。それからどうするか、考えればいいじゃん」

二人に説得され、渋々頷く穂乃果。

まずは、すぐ近くのテーブルに座っていた気の強そうな女性に声をかけてみた。

「私はアローザと申します。我が家の家訓では、喪に服している間は家人は家を出る事はなりません。鞠莉にそう言いつけたら、あの子ったら家どころか部屋からも出てきやしないわ」

「あ、ちょっと上手い」

「愛ちゃん」

素で感心した愛を、曜が慌てて肘で小突く。

どうやらこのアローザという女性がこのオハラ家を取り仕切っているようだが、そのアローザでも鞠莉を連れ出す事はできていないようだった。

「うーん、諦めるしかないのかなぁ」

八方塞がりの状況に穂乃果が玄関へ戻ろうとした時、

「……ん?」

曜が何かを見つけた。

「どしたの?」

「あの人……困ってるっぽい?」

見ると、使用人らしき人が樽や木箱の間でオロオロしていた。

「探し物かな?」

「手伝ってあげよう!」

考える前に、穂乃果は声を出して歩いていた。

「んー、やっぱりほのほのはお人好しだねぇ」

「どうかしましたかー?」

穂乃果が声をかけると、

「ど、どうしよう……。ネズミが出るの! 私だってネズミ嫌いなのに、退治しろって言われちゃって……」

使用人は軽くパニックで独り言を呟いていた。

「ネズミ?」

穂乃果がキョロキョロと辺りを見渡すと、

「あ、いた」

ネズミが一匹、壁に空いた小さな穴の奥へと消えていった。

「ああどうしよう……。この壁の向こうはマリーお嬢様のお部屋なのに……。退治できなかったら私、叱られちゃう……」

うろたえる使用人を尻目に、穂乃果はネズミが消えた穴を調べてみる。

「どう、穂乃果ちゃん」

「うーん、真っ暗で何も見えないや……」

ネズミがやっと通れる程度の大きさ。当然、人間では指が数本入る程度である。

「呼びかけたら、聞こえないかなぁ」

「人のお屋敷だし、あまり迷惑な事はしちゃダメだよ?」

「さっきの新米兵士さんが、怒って飛んでくるかもね」

「う……じゃあやめとく……」

壁の穴から顔を離した穂乃果は、今度こそ手詰まりかと頭を抱えた。

その直後、

「……ん? うわわわっ」

穂乃果の上着のポケットが、大きく揺れた。

そしてそこから、

「あ、可愛い」

頭頂部から背中にかけて一筋の長いたてがみのような毛の生えた、つぶらな目をしたネズミのような動物が顔を出した。

「穂乃果ちゃん、その子は?」

「いやー、そういえばそうだった。忘れてたよ」

穂乃果はそのネズミらしき動物を手のひらに乗せると、

「名前はトーポっていうんだ〜。多分、ネズミだと思う」

「ほのほののペット?」

「うーん、分かんない。気が付いたら、一緒にいたから」

「へー。でも、普通のネズミとはちょっと違うみたいだね。全然逃げないし、賢そう」

トーポの頭を撫でながら、曜は癒される。

「……あ、もしかしたら、トーポちゃんならこの穴から向こうに行けるんじゃない?」

「え?」

穂乃果は、愛の声につられて視線を下げる。確かに、ネズミと同サイズのトーポなら問題なく穴へ入れそうだった。

「トーポ、お願いできる?」

言葉が通じたのか定かではないが、トーポはじっと穂乃果を見つめ返す。それを肯定と受け取ったのか、穂乃果は穴の前にトーポを下ろしてみた。

「…………」

「あ、入った!」

するとトーポは、軽快な足取りで穴の奥へと消えていった。

 

 

しばらくすると、トーポは穴から出てきた。何故か、後ろ向きで。

「どうしたんだろ?」

首を傾げた穂乃果。よく見ると、トーポが何かを咥えていた。

「……手紙?」

何やら文字の書かれた、一枚の紙切れだった。

「どれどれ……」

拾い上げた穂乃果は、その手紙を読んでみる。曜と愛も、脇から覗き込む。

「『誰がこの手紙を読んでいるのか分からないけれど、もし私以外の誰かが読んでいるなら、この手紙は遺書だと思って下さい。きっと今ごろ、私はこの世にはいないでしょう。私は東の塔に行きます。サーベルト兄さんのカタキを討つまで、村には戻りません。私は、自分の信じた道を行きます。あと、ポルクとマルク。ウソついてsorry。鞠莉』だって……」

「え、これ……大変な事じゃない?」

「流石に遺書は、穏やかじゃないねぇ……」

穂乃果は手紙と目の前の壁を見比べながら、

「……もしかして、鞠莉ちゃんは今部屋にいないんじゃ……」

「手紙の内容からすると、そうっぽいね」

「ポル君とマル君、騙されちゃってるみたいだ。これは教えてあげないと」

三人は手紙を持って、未だ部屋の前に立ち続けるポルクとマルクの元へ行くと、部屋には誰もいない旨を告げた。

「……はあ? マリー姉ちゃんは部屋にはいない? そんなわけないだろ。ウソつきめ」

案の定、鞠莉が部屋にいると信じ切っているポルクは怪訝な顔。

「もしも本当にいないって言うなら、その証拠でも持ってきてみろっての。べ〜だ!」

「く〜……生意気なぁ……!」

「ほ、穂乃果ちゃん、落ち着いて……」

思わずヒートアップした穂乃果を押さえて、曜は手紙を差し出した。

「はいコレ。読んでみて」

「……何だ? コレ」

手紙を受け取ったポルクは、サッと文章に目を通した。

「はーん? 何だコレ! コレがマリー姉ちゃんの書いた手紙? ふん! お前、ウソばっか言うよな!」

「むむむっ……!」

「はーい曜も落ち着く落ち着く」

思わず半歩踏み出した曜を、愛がなだめる。

「まあまあ。もし何だったら、部屋の中を見てみればいいじゃん?」

「ウソつきの言う事なんて信じられるか!」

「お? 愛さんも怒っちゃうよ?」

笑っていない笑顔で愛も腕組み。

ついに止める存在がいなくなったかと思われた前に、

「……でも、何も知らないこいつらが書いたにしては、ちょっとホントっぽくない?」

マルクが口を開いた。

「むぅ…………」

それには同感なのか、ポルクはしばらく悩む。

「…………よーし分かった! じゃあ今確かめてやる!」

ポルクは強気な姿勢を崩さず、こちらに睨みを効かせながら部屋のドアを少し開けて中を覗く。直後、勢いよく開け放った。

「わびゃっ⁉︎」

不幸にもドアの前に立っていたマルクは、ドアに跳ね飛ばされた。

「うおおっ⁉︎ マジでいねーじゃん!」

部屋の中から響く声。内心不安だった三人は、顔を見合わせて安堵する。

「うわわわわ……こりゃヤバイって……」

ポルクは手紙を読み返し、

「一人で東の塔にって……そんな事したら、サーベルト兄ちゃんみたいに……」

他を置いてけぼりにして慌て出す。

「と、とにかく、こうしちゃいられない! マリー姉ちゃんを東の塔から連れ戻さないと!」

そう言うと、ポルクは穂乃果達を指差す。

「お前ら! お前らもこうなった原因の一つなんだからな! おいらが東の塔の扉を開いてやるから、中からマリー姉ちゃんを連れ戻してこい! いいな?」

言い分はこの上なく理不尽だが、

「困ってるみたいだし、助けないと!」

「乗りかかった船を降りるなんて、私自身が許せないヨーソロー!」

「人助け、愛さん頑張っちゃうよ」

根っからのお人好しの三人は、気にすることなく了承。

「じゃあ早く行くぞ! ……あと、魔物と戦うのは、お前達に任せるからな!」

 

 

 

 

・穂乃果

LV10

どうのつるぎ

うろこのよろい

皮の盾

皮のぼうし

ーーー

 

・曜

LV9

石のオノ

たびびとの服

うろこの盾

皮のぼうし

ーーー

 

・愛

LV9

ブロンズナイフ

皮のこしまき

皮の盾

皮のぼうし

ーーー

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