スクスタクエスト〜空と海と大地と呪われしYAZAWA〜 作:『シュウヤ』
次回から、また戦闘シーンあります。
村の住人に話を聞いて回った三人は、村の入り口に集合して情報を交換する。
「オハラ家の長男のサーベルトって人が、亡くなっちゃったんだってね」
「うん、しかも、誰かに殺されたって話だし」
「村の人は、盗賊の仕業だって予想してるらしいねー。だからさっきのポル君マル君は、あたし達を盗賊だと勘違いしたんだね」
三者同様、話は似た内容だった。
「それで、その妹さんである鞠莉って人があのお屋敷に住んでると」
愛が視線を、村の奥へと向ける。
そこには、他の民家とは明らかにスケールの違う大きな屋敷が建っていた。
「うーん何やら大変な事があったみたいだよね……。穂乃果達は、ドルマゲスの行方を知りたいだけなんだけど……」
「とりあえず、お屋敷の人にも話聞いてみる? 何か手がかり掴めるかもしれないよ」
「そうしようか〜。そのマリーって人とも、話してみたいし。傷心中なのはちょっと申し訳ないけど」
屋敷へ向かう三人。ふと、曜がポツリと呟いた。
「まさか、この事件にドルマゲスが絡んでるとか……ないよね?」
「まさか〜。いくらなんでも、そう何度も出てきたりしないよ〜」
「そうそう。ネガティブシンキングはやめっ」
「そ、そうだよね!」
「お邪魔しまーす」
屋敷の玄関を開けた穂乃果は、控えめに中を覗いた。
すると、すぐそばに立っていた兵士がこちらを見た。
「客人ですか? 正直、おもてなしできる状況じゃないんですけどね……。まあ、あんまり粗相はしないようにお願いしますよ。何しろ自分は、今回の事件が起きてから雇われた新米なものでね……」
大丈夫なのかなという心配がよぎったが、門前払いはされなかったので穂乃果達は改めて屋敷の中へ入る。
目の前の大きな階段を登って二階へ上がると、先ほどのポルクとマルクがとある部屋の前に立っていた。
「何してるんだろ?」
穂乃果が近付くと、
「あ、お前か。さっきは悪かったな」
意外にも、素直に謝るポルク。
「でも、ここは通せないぞ。“誰にも会いたくないから誰も部屋に入れるな”っていうマリー姉ちゃんの命令だからな」
だが、鞠莉の部屋らしいドアの前からは、頑として動こうとしない。
「どうしても?」
「どうしてもだ」
ポルクとマルクの意思は強固なようで、譲る気配はなさそうだった。
「うーん、一度話をしてみたいんだけどなぁ」
穂乃果は腕組みをして悩むが、このままではその願いは叶いそうにない。
「ひとまず、他の人にも話を聞いてみようよ」
「そうそう。それからどうするか、考えればいいじゃん」
二人に説得され、渋々頷く穂乃果。
まずは、すぐ近くのテーブルに座っていた気の強そうな女性に声をかけてみた。
「私はアローザと申します。我が家の家訓では、喪に服している間は家人は家を出る事はなりません。鞠莉にそう言いつけたら、あの子ったら家どころか部屋からも出てきやしないわ」
「あ、ちょっと上手い」
「愛ちゃん」
素で感心した愛を、曜が慌てて肘で小突く。
どうやらこのアローザという女性がこのオハラ家を取り仕切っているようだが、そのアローザでも鞠莉を連れ出す事はできていないようだった。
「うーん、諦めるしかないのかなぁ」
八方塞がりの状況に穂乃果が玄関へ戻ろうとした時、
「……ん?」
曜が何かを見つけた。
「どしたの?」
「あの人……困ってるっぽい?」
見ると、使用人らしき人が樽や木箱の間でオロオロしていた。
「探し物かな?」
「手伝ってあげよう!」
考える前に、穂乃果は声を出して歩いていた。
「んー、やっぱりほのほのはお人好しだねぇ」
「どうかしましたかー?」
穂乃果が声をかけると、
「ど、どうしよう……。ネズミが出るの! 私だってネズミ嫌いなのに、退治しろって言われちゃって……」
使用人は軽くパニックで独り言を呟いていた。
「ネズミ?」
穂乃果がキョロキョロと辺りを見渡すと、
「あ、いた」
ネズミが一匹、壁に空いた小さな穴の奥へと消えていった。
「ああどうしよう……。この壁の向こうはマリーお嬢様のお部屋なのに……。退治できなかったら私、叱られちゃう……」
うろたえる使用人を尻目に、穂乃果はネズミが消えた穴を調べてみる。
「どう、穂乃果ちゃん」
「うーん、真っ暗で何も見えないや……」
ネズミがやっと通れる程度の大きさ。当然、人間では指が数本入る程度である。
「呼びかけたら、聞こえないかなぁ」
「人のお屋敷だし、あまり迷惑な事はしちゃダメだよ?」
「さっきの新米兵士さんが、怒って飛んでくるかもね」
「う……じゃあやめとく……」
壁の穴から顔を離した穂乃果は、今度こそ手詰まりかと頭を抱えた。
その直後、
「……ん? うわわわっ」
穂乃果の上着のポケットが、大きく揺れた。
そしてそこから、
「あ、可愛い」
頭頂部から背中にかけて一筋の長いたてがみのような毛の生えた、つぶらな目をしたネズミのような動物が顔を出した。
「穂乃果ちゃん、その子は?」
「いやー、そういえばそうだった。忘れてたよ」
穂乃果はそのネズミらしき動物を手のひらに乗せると、
「名前はトーポっていうんだ〜。多分、ネズミだと思う」
「ほのほののペット?」
「うーん、分かんない。気が付いたら、一緒にいたから」
「へー。でも、普通のネズミとはちょっと違うみたいだね。全然逃げないし、賢そう」
トーポの頭を撫でながら、曜は癒される。
「……あ、もしかしたら、トーポちゃんならこの穴から向こうに行けるんじゃない?」
「え?」
穂乃果は、愛の声につられて視線を下げる。確かに、ネズミと同サイズのトーポなら問題なく穴へ入れそうだった。
「トーポ、お願いできる?」
言葉が通じたのか定かではないが、トーポはじっと穂乃果を見つめ返す。それを肯定と受け取ったのか、穂乃果は穴の前にトーポを下ろしてみた。
「…………」
「あ、入った!」
するとトーポは、軽快な足取りで穴の奥へと消えていった。
しばらくすると、トーポは穴から出てきた。何故か、後ろ向きで。
「どうしたんだろ?」
首を傾げた穂乃果。よく見ると、トーポが何かを咥えていた。
「……手紙?」
何やら文字の書かれた、一枚の紙切れだった。
「どれどれ……」
拾い上げた穂乃果は、その手紙を読んでみる。曜と愛も、脇から覗き込む。
「『誰がこの手紙を読んでいるのか分からないけれど、もし私以外の誰かが読んでいるなら、この手紙は遺書だと思って下さい。きっと今ごろ、私はこの世にはいないでしょう。私は東の塔に行きます。サーベルト兄さんのカタキを討つまで、村には戻りません。私は、自分の信じた道を行きます。あと、ポルクとマルク。ウソついてsorry。鞠莉』だって……」
「え、これ……大変な事じゃない?」
「流石に遺書は、穏やかじゃないねぇ……」
穂乃果は手紙と目の前の壁を見比べながら、
「……もしかして、鞠莉ちゃんは今部屋にいないんじゃ……」
「手紙の内容からすると、そうっぽいね」
「ポル君とマル君、騙されちゃってるみたいだ。これは教えてあげないと」
三人は手紙を持って、未だ部屋の前に立ち続けるポルクとマルクの元へ行くと、部屋には誰もいない旨を告げた。
「……はあ? マリー姉ちゃんは部屋にはいない? そんなわけないだろ。ウソつきめ」
案の定、鞠莉が部屋にいると信じ切っているポルクは怪訝な顔。
「もしも本当にいないって言うなら、その証拠でも持ってきてみろっての。べ〜だ!」
「く〜……生意気なぁ……!」
「ほ、穂乃果ちゃん、落ち着いて……」
思わずヒートアップした穂乃果を押さえて、曜は手紙を差し出した。
「はいコレ。読んでみて」
「……何だ? コレ」
手紙を受け取ったポルクは、サッと文章に目を通した。
「はーん? 何だコレ! コレがマリー姉ちゃんの書いた手紙? ふん! お前、ウソばっか言うよな!」
「むむむっ……!」
「はーい曜も落ち着く落ち着く」
思わず半歩踏み出した曜を、愛がなだめる。
「まあまあ。もし何だったら、部屋の中を見てみればいいじゃん?」
「ウソつきの言う事なんて信じられるか!」
「お? 愛さんも怒っちゃうよ?」
笑っていない笑顔で愛も腕組み。
ついに止める存在がいなくなったかと思われた前に、
「……でも、何も知らないこいつらが書いたにしては、ちょっとホントっぽくない?」
マルクが口を開いた。
「むぅ…………」
それには同感なのか、ポルクはしばらく悩む。
「…………よーし分かった! じゃあ今確かめてやる!」
ポルクは強気な姿勢を崩さず、こちらに睨みを効かせながら部屋のドアを少し開けて中を覗く。直後、勢いよく開け放った。
「わびゃっ⁉︎」
不幸にもドアの前に立っていたマルクは、ドアに跳ね飛ばされた。
「うおおっ⁉︎ マジでいねーじゃん!」
部屋の中から響く声。内心不安だった三人は、顔を見合わせて安堵する。
「うわわわわ……こりゃヤバイって……」
ポルクは手紙を読み返し、
「一人で東の塔にって……そんな事したら、サーベルト兄ちゃんみたいに……」
他を置いてけぼりにして慌て出す。
「と、とにかく、こうしちゃいられない! マリー姉ちゃんを東の塔から連れ戻さないと!」
そう言うと、ポルクは穂乃果達を指差す。
「お前ら! お前らもこうなった原因の一つなんだからな! おいらが東の塔の扉を開いてやるから、中からマリー姉ちゃんを連れ戻してこい! いいな?」
言い分はこの上なく理不尽だが、
「困ってるみたいだし、助けないと!」
「乗りかかった船を降りるなんて、私自身が許せないヨーソロー!」
「人助け、愛さん頑張っちゃうよ」
根っからのお人好しの三人は、気にすることなく了承。
「じゃあ早く行くぞ! ……あと、魔物と戦うのは、お前達に任せるからな!」
・穂乃果
LV10
どうのつるぎ
うろこのよろい
皮の盾
皮のぼうし
ーーー
・曜
LV9
石のオノ
たびびとの服
うろこの盾
皮のぼうし
ーーー
・愛
LV9
ブロンズナイフ
皮のこしまき
皮の盾
皮のぼうし
ーーー