スクスタクエスト〜空と海と大地と呪われしYAZAWA〜   作:『シュウヤ』

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おばけきのこは、やりたかったネタの一つ。


第7話

リーザス村を出た一行は、

「ほら、あそこに見えるだろ?」

ポルクが示した左側を見た。

視界の先には、三つ羽根の風車が回る建物。

「あそこがリーザス像の塔だ。マリー姉ちゃんは多分、あそこに……」

「よし、行こうみんな!」

幸先よく進み出した穂乃果達だが、塔までは遠くはないが近くはなく、道中にモンスターもいる。

 

[サーベルきつねが現れた!]

「タホドラキーが現れた!]

[タホドラキーが現れた!]

 

鋭い細剣を持った狐と、緑色をしたドラキー。

 

[サーベルきつねのこうげき! 穂乃果は7のダメージを受けた!]

 

「うっ、速いねあのモンスター」

先手を打たれて怯んだが、穂乃果は気をとり直して武器を構える。

 

[穂乃果はかえんぎりを放った! サーベルきつねに19のダメージ!]

 

「やっぱり、場所が変わればモンスターの生息も変わるんだね。気をつけなきゃ」

 

[曜のこうげき! サーベルきつねに20のダメージ! サーベルきつねを倒した!]

[愛のこうげき! タホドラキーAに18のダメージ!]

[タホドラキーAのこうげき! 曜は2のダメージを受けた!]

 

「おや、あまり強くない?」

意外なダメージの低さに驚きを見せたが、

 

[タホドラキーBはルカナンをとなえた!」

[穂乃果の防御が9下がった!]

[曜の防御が10下がった!]

[愛の防御が9下がった!]

 

普通のドラキーとは、やはり違う行動を取ってくる。

 

[タホドラキーAのこうげき! 愛は6のダメージを受けた!]

 

「ちょっとダメージ増えてる! 他のモンスターといっぺんに出てきたら、厄介かも……」

「長引くと不利になりそう。早く倒そう!」

今後も戦闘が続く以上、一つの戦闘に時間をかけてはいられない。穂乃果は柄を握り直すと、武器を振り上げた。

 

[穂乃果のこうげき! タホドラキーAはひらりと身をかわした]

 

「くぅ……避けられた!」

「ほのほの、どいて!」

「へ?」

 

[愛はメラを唱えた!]

 

「うわぁっ!」

飛来した火の玉を見て、穂乃果は慌てて逃げる。

 

[タホドラキーAに18のダメージ! タホドラキーAを倒した!]

 

「愛ちゃん! びっくりしたよ!」

「やーごめんごめん。呪文なら避けられないかと思ってさ」

「あはは……こんなんで、大丈夫かな」

 

[曜のこうげき! タホドラキーBに22のダメージ! タホドラキーBを倒した!]

[魔物のむれをやっつけた!]

 

幼い故に戦力にならないとはいえ、穂乃果達の戦闘をやきもきしながら見ていたポルク。安全が確認できるやいなや、

「さあ行くぞ! 時間が無いんだって!」

すぐに駆け出す。

「そんなに急がなくても……」

「まあまあ、人の命が最優先って事で、ね?」

「全部解決したら、またゆっくり戦えばいいじゃん?」

非常事態ではあるものの、勝利の余韻に浸れない三人は若干のモヤモヤが残ってしまう。

そして戦闘は一回で済むはずもなく、

 

[おおきづちが現れた!]

[リリパットが現れた!]

[かぶとこぞうが現れた!]

 

木のハンマーを持った一頭身のモンスターに、頭巾をかぶった弓矢を携えたモンスター、大きなツノを持ったカブトムシのようなモンスターが立ちふさがった。

「……あれ? あの左のハンマー持ってるモンスター、どこかで見た事ない?」

「あ、本当だ。滝の洞窟で道を塞いでたモンスターにそっくり」

「もしかして、お仲間なのかな?」

「話したら、前みたいに戦わなくてよかったりするかも? おーい、穂乃果達強いから、度胸に免じて見逃してくれるー?」

 

[おおきづちのこうげき! 穂乃果は12のダメージを受けた!]

 

「痛いっ! そんな事なかった!」

「何やってるの穂乃果ちゃん……」

穂乃果の質問に対して、相手からの返事はハンマーだった。

「ぐぬぬ、しかも結構強いし……」

「滝の洞窟にいたモンスターも、本当に強かったのかもね。見逃してもらって正解だったのかな」

モンスターを目の前にして、攻撃されてもなおお喋りをする三人を見ながら、

「戦う気あるのかコイツら……」

ポルクは思わず漏らす。その言葉を、

「よーく分かるわその気持ち……」

同じく見守るだけのにこは深く頷く。

「……ずっと気になってたんだけど、お前モンスターじゃないんだよな?」

「失礼ね。このにこにーのどこがモンスターだって言うのよ」

「もう全体的に」

「ぬわぁんですって⁉︎」

「ねえ、凛は凛は?」

「お前は……まあ耳とか猫だけど、見た目は人間だし大丈夫だな。こっちのキノコは、村に入ってきたら間違いなくやっつけてたな」

「く、屈辱だわ……。こんなガキンチョに、言いたい放題言われるなんて……。ドルマゲス倒して呪いが解けたら、見てなさいよ!」

「だから誰なんだよそのドルマゲスって」

非戦闘員の三人が言い合っている間に、

 

[魔物のむれをやっつけた!]

 

穂乃果達はモンスターを殲滅。

「おーい、どうしたの〜?」

「仲良くなれた感じっぽくない?」

「仲良くなんてなってないっての! 早く行くわよ!」

「おい、道案内できるのおいらだけなんだぞ!」

「やっぱり仲良しに」

「「なってない!」」

 

 

十分ほどで塔のすぐ近くにやってくると、脇の茂みからまるで待ち伏せのようにモンスターが飛び出してくる。

 

[おばけきのこ達が現れた!]

 

「に、にこちゃん⁉︎」

「まさかの裏切り⁉︎」

「喧嘩売ってんのかあんたらは」

反射的に叫んだ穂乃果と曜に、にこは眉間を押さえる。

「でもよく見て、三体もいるよ。もしかして、にこにー分身できたの?」

「さっさと倒しなさい!」

三人はいたって真面目なのだが、傍目には茶番にか見えない。いっその事、予備の武器を持って自分が戦ってやろうかとにこは本気で考えた。

 

[魔物のむれをやっつけた!]

 

「イエーイ、にこちゃん討伐!」

「私じゃないっつってんでしょ!」

 

 

 

 

 

ようやく、リーザス像の塔へ到着した一行。

目の前に、両開きかと思われる扉が。

「試しに開けてみろよ。別にカギはかかってないからさ」

「む……じゃあ見ててよ」

ポルクに挑発され、穂乃果は扉を思い切り押す。

「ぐぬぬぬぬぬ…………!」

しかし、扉はビクともしない。

「ダメだぁ、動かない……」

「もしかして、引くんじゃないの?」

穂乃果の代わりに進み出た愛が、今度は思い切り扉を引いてみる。

「むむむ……っ、違うっぽいね」

だが、やはり扉は動かない。

曜にも正解は分からなかったので、三人は降参というようにポルクを見た。

ポルクは得意げな表情を浮かべると、何故か扉の前でしゃがみ込む。

「この扉はな、こうやって開けるんだよ!」

そして、扉を持ち上げた。上に。

『…………』

開いた口が塞がらない三人。

「驚いたか! この扉は、なんと上に開くようにできたんだ!」

「それは、確かに分からなかったなぁ……」

「両開きに見えるのも、トリックって事か……」

「いやー、これは流石の愛さんも一本取られた!」

「あの日、この扉が開いてたのを不思議に思ったサーベルト兄ちゃんが調べる為にこの塔に入って行ったんだ。そしたら……」

自然と途切れる言葉。

「……とにかく、おいらに手伝えるのはここまでだ。年に一度の聖なる日以外は、塔の中にもモンスターは出る。マリー姉ちゃんの事、頼んだぞ!」

最後まで横柄だったポルクだったが、その眼差しは真剣。

「任せてよ!」

穂乃果も、持ち前の笑顔を見せて胸を叩いた。

 

 

 

 

・穂乃果

LV11

どうのつるぎ

うろこのよろい

皮の盾

皮のぼうし

金のブレスレット

 

・曜

LV10

石のオノ

たびびとの服

うろこの盾

皮のぼうし

ーーー

 

・愛

LV10

ブロンズナイフ

皮のこしまき

皮の盾

皮のぼうし

ーーー


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