スクスタクエスト〜空と海と大地と呪われしYAZAWA〜 作:『シュウヤ』
ポルクと別れ、塔へと入った三人は、改めて背後の扉を見つめる。
「……あんな仕掛けになってたなんてねー」
「確かにあれは、知らないと開けられないね」
「下手に鍵かけるより、有効かもしんないね〜」
仕掛けは単純だった故に見破れなかった事が若干悔しい三人だったが、
「……とにかく、今はこの塔にいるっていう鞠莉ちゃんを連れ戻す事だね!」
気を取り直して目の前の塔を見上げる。
「……何か話によると、盗賊とかにリーザス像のお宝を盗まれないように入り組んだ造りになってるらしいよ」
曜がポルクから聞いた情報を伝える。
「んー……難しい事は分かんない! だから曜ちゃんに任せた!」
先陣切る穂乃果は、胸を張って言い切った。
「ええ……」
「愛さんも無理!」
「ええ……」
作戦会議くらいすべきではと思った曜だが、
「さあ行こう!」
穂乃果がその提案を聞き入れるとも思えず。諦めて後ろを歩く。何かあったら、すぐに忠告できるように注意しながら。
[じんめんガエルが現れた!]
姿を見せたのは、赤紫色をしたカエル型のモンスター。つぶらで穏やかにも見えるその姿に、
「んー、あんまり強そうじゃないね」
穂乃果は剣を握る手を少しだけ緩めた。
「ちょっとほのほの、あんまり油断したらダメだよ?」
「む、それもそうだね。よーしやるぞー!」
分かりやすくやる気を出した穂乃果。
[穂乃果はかえんぎりを放った! じんめんガエルに22のダメージ!]
穂乃果の攻撃を受けたじんめんガエルは、立ち上がりながらくるりと後ろを向いた。
「──うわっ⁉︎」
誰ともなく驚いた声が上がる。カエルの背中には、青い舌を垂らした悪人面が模様のように描かれていたからだ。
「……急に怖そうになったね……」
[じんめんガエルはギラを唱えた!]
[穂乃果は12のダメージを受けた! 曜は13のダメージを受けた! 愛は12のダメージを受けた!]
「う……裏返ったら強くなった……?」
「もしかしたら、そういうモンスターなのかも……」
「とにかく、もう一度攻撃してみよっか!」
[愛のこうげき! じんめんガエルに10のダメージ!]
再度攻撃を受けたじんめんガエルは、再びくるりと半回転すると無害そうなカエルの顔がこちらを向いた。
「やっぱり……」
ひとまず予想が的中した事を知った三人。曜の攻撃でじんめんガエルを撃破する。
「いやー、面白いモンスターがいるんだねぇ」
ホイミを唱えて回復しながら、穂乃果は呑気に呟く。
「……私としては、もうちょっと慎重に行動してくれるとありがたいんだけど……」
「よーし、この調子で頑張るぞー!」
「うん、聞いてないよね」
予想はしていた、とばかりに曜は遠い目。その肩を、愛が軽く叩いて親指を立てる。
[ベビーサタンが現れた!]
[ベビーサタンが現れた!]
[ホイミスライムが現れた!]
ベビーサタンへ攻撃を仕掛けた穂乃果だったが、
[ホイミスライムはホイミを唱えた]
[ベビーサタンAのキズが回復した!]
敵の呪文で回復されてしまう。
「ぐぬぬ、先にあっちから倒すべきか……」
穂乃果が標的を変えた直後、
「ベビーサタンAはイオナズンを唱えた!]
[ベビーサタンBはメガンテを唱えた!]
「えっ⁉︎ それってすっごく強い魔法じゃなかった⁉︎」
「そんないきなり……⁉︎」
「それはびっくり……!」
唐突な展開に三人は身構える。が、
[しかしMPが足りなかった!]
[しかしMPが足りなかった!]
攻撃は飛んで来なかった。
「な、なーんだ……」
「びっくりした〜……」
「思わせぶりな事するねー。愛さん騙されちゃったよ」
安堵で胸を撫で下ろした三人は、
[穂乃果はかえんぎりを放った!]
[曜はかぶとわりを放った!]
[愛はポイズンダガーを放った!]
お返しを言わんばかりに一斉攻撃。
しばらく内部を攻略していると、壁で仕切られた部屋へ出た。
「あれ? 行き止まりだ」
振り返っても、登ってきた階段しか見当たらない。
「道、間違えたかなぁ……」
三人は首を傾げ、部屋を見回してみる。
「──ん?」
と、愛の目が何かに止まった。
「愛ちゃん、どうしたの?」
「この壁、なーんか怪しくない?」
「怪しい? 何が?」
「ホラ、この顔見たいな模様」
愛は壁にある人の顔のような丸い模様へと近付く。穂乃果と曜は、その後ろから覗き込む。
「愛さんの直感が、キュピーンって告げてるんだよね。ここ何かある! って」
そう言って壁に愛の手が触れた瞬間、
「──うわわっ⁉︎」
「おっとっと⁉︎」
三人が立っていた床が、突然回転し出した。そして、回転扉の要領で、壁の反対側へと出た。
「……おお、なるほど……」
感心したように曜が呟き、
「ふふーん、愛さんの直感はよく当たるのだ!」
愛はドヤッと胸を張る。
「ほ〜、でもこれ、どういう仕掛けになってるんだろ?」
疑問に思った穂乃果は、つい壁の模様へと手を伸ばし触ってしまう。
結果、
「……えっ?」
ゴゴゴゴ、と。再び壁が回転し穂乃果は反対側へ出てしまう。
「う、うわぁ! モンスターいるぅ〜!」
慌てた声。そして再び回転する壁。酷く焦った様子の穂乃果が、壁に張り付いて現れた。
「穂乃果ちゃん……」
「なにやってるのさ〜」
呆れ顔の二人の視線を受け、
「う……もう穂乃果は前歩かない! 二人に任せた!」
反省したのか機嫌を損ねたのか、定かではないが曜と愛の一歩後ろへ下がった。
やれやれと肩をすくめた二人は、別の壁の模様の前へと向かった。
「──あ、ここが最上階みたいだね」
階段を登った曜が、口を開いた。
「え? あ、ホントだ」
これ以上上へ続く階段は無く、正面には女神の石像が鎮座していた。その両目の部分には、質素な石像には不釣り合いなほど紅い宝石が煌めいていた。
「てゆーか、もう夜だね」
塔の窓から見える外の景色では、星空が輝いていた。
「結構時間かかっちゃったんだねー」
「入り組んでたし、大変だったもんね」
穂乃果と曜はやり切ったように会話をしているが、
「いやいや、お二人さんここに来た目的覚えてる? 肝心のマリーちゃんがいないじゃん」
愛の言葉で目的を思い出す。
「そ、そうだった! 進むのに必死だったけど、そういえばその鞠莉ちゃん見てない!」
「途中で追い抜いちゃったのかな? もしかしたら、鞠莉ちゃんの目的の場所はこの最上階じゃなかったりして……」
「うーんでも、ここ以外にそれっぽい場所も無かったと思うけど……」
三人は特に考えるでもなく、石像へと歩みを進める。まるで、紅い宝石に吸い込まれるように。
「……んー、穂乃果宝石とか全然分からないんだけど、これは綺麗だね」
「私はちょっと分かるけど、これはかなり価値ある宝石だと思うよ」
「お、目利きの曜が言うなら間違いないんだろうね。これは盗賊さん達も狙いたくなる訳だ」
そんな雑談を交わした後、これからどうするか穂乃果が口を開きかけた瞬間、
「──そこにいるのは誰⁉︎」
三人の背後から、鋭い声が飛んだ。
・穂乃果
LV13
どうのつるぎ
うろこのよろい
皮の盾
皮のぼうし
金のブレスレット
・曜
LV12
石のオノ
たびびとの服
うろこの盾
皮のぼうし
スライムピアス
・愛
LV12
ブロンズナイフ
皮のこしまき
うろこの盾
皮のぼうし
ーーー