スクスタクエスト〜空と海と大地と呪われしYAZAWA〜   作:『シュウヤ』

9 / 45
コメディ一直線?
はて何の事やら。


第9話

「──そこにいるのは誰⁉︎」

飛んできた鋭い声。三人か振り返ると、

「あなた達……」

そこにいたのは、花束を抱えた金髪の女の子。

この人が件のマリー姉ちゃんかなと三人が思ったのも束の間、

「とうとう現れたわね! リーザス像の瞳の宝石を狙って、絶対にまた現れると思ってたわ!」

確実に良からぬ感情を抱かれていた。

「ちょ、ちょっと待ってよ! 穂乃果達は何もしてな──」

慌てて穂乃果が弁明しようとした瞬間、彼女は呪文を唱え火の玉を放ってきた。

「うひゃあ⁉︎」

間一髪で避け、火の玉は像へ直撃する。

「今度は逃がさないわ!」

すると、先ほどより大きな火の玉を生成し始める。

「うわわわわ……ど、どうしよう⁉︎」

「と、とりあえず話ができる状況じゃないよ!」

「何とかして、落ち着かせないと……」

三人がたじろいだ時、

 

──待て!

 

「「「「⁉︎」」」」

どこからか声が響いた。

 

──私だ、鞠莉。私の声が、分からないか。

 

「さ、サーベルト兄さん……⁉︎」

鞠莉の瞳が、驚愕に見開かれる。

 

──その呪文を止めるんだ、鞠莉。私を殺したのは、この方達ではない。

 

「と、止めろって言われても……もう、無理デース!」

発射寸前だった呪文の照準を、鞠莉は強引に変えた。

「うわっ⁉︎」

火の玉は穂乃果の顔をかすめて、像の脇にあった燭台を粉砕した。

「…………」

その威力に穂乃果達が戦々恐々していると、

「うひゃ⁉︎」

そんな穂乃果を押し退けて、鞠莉は像へと駆け寄る。

「……ほのほの、大丈夫?」

「さっきからこんなのばっかりだよぉ!」

嘆く穂乃果を、鞠莉は完全にスルー。

「サーベルト兄さん⁉︎ 本当にサーベルト兄さんなの⁉︎」

 

──ああ、本当だとも。聞いてくれ、鞠莉。そして、そこにいる旅の方よ。

 

呪文の直撃を受けて燃え上がる像は、訥々と語り出す。

 

──死の間際、リーザス像は我が魂のかけらを預かって下さった。この声も、その魂のかけらの力で放っている。だからもう、時間が無い。

 

「…………」

穂乃果達も、ゆっくりと像の傍まで歩み寄る。

 

──像の瞳を見つめてくれ。そこに、真実が刻まれている。さあ、急ぐんだ。

 

言われるがまま、鞠莉と三人は像の紅い宝石を見つめる。

 

──あの日、塔の扉が開いていた事を不審に思った私は、一人でこの塔の様子を見に来た。そして……。

 

頭に流れ込んでくる、ややノイズのかかった映像。

今いる塔の最上階を歩いているのは、一人の精悍な男性。おそらくサーベルトだろう。

付近には誰もいないが、サーベルトは警戒して辺りを見回す。

すると、先ほどまで無人だった場所に、一人の男が唐突に現れた。道化師のような見た目をした、背の高い男が。

「だ、誰だ貴様は⁉︎」

腰の剣に手をかけたサーベルトに、

「悲しいなぁ……」

男がは口を開く。

「何だと……? 質問に答えろ! 貴様は誰だ! ここで何をしている!」

「くっくっく……。我が名はドルマゲス。ここで、人生の儚さについて考えていた」

「ふざけるな!」

激昂したサーベルトだったが、

「くっ……⁉︎ どうした事だ! 剣が……剣が抜けん!」

腰の剣は、錆びついたかのようにビクともしない。

「悲しいなぁ……。君のその勇ましさに触れるほど、私は悲しくなる」

意味深なセリフを呟くドルマゲスは、手にした杖でサーベルトを示す。

すると、

「ぐわっ⁉︎ き、貴様……何をした⁉︎ 身体が……くそっ! 動かん!」

サーベルトの身体が硬直してしまう。

もがくサーベルトへと、悠々と近付くドルマゲス。

「おのれ……! ドルマゲスと言ったな……。その名前、決して忘れんぞ!」

睨みをきかせるサーベルトに、

「ほう? 私の名を忘れずにいてくれるというのか。なんと喜ばしい事だろう」

ドルマゲスは一切臆さない。

「私こそ忘れはしない。君の名は、たった今より、我が魂に永遠に焼き付く事になる。──さあ、もうこれ以上私を悲しませないでおくれ」

「くぅっ……! き、貴様ぁぁぁぁっ!」

吠えるサーベルトを抱くようにドルマゲスは身を寄せると、持っていた杖を何の躊躇いもなく突き立てた。

「かはっ…………!」

力なく倒れたサーベルトへ跪くと、

「君との出会い、語らい、その全てを、我が人生の誇りと思おう……。君の死は、ムダにはしないよ」

優しく語りかける。そして立ち上がると、

「くっ……くっくっく…………。んくっ……くっくっく…………。きひゃっ! きひゃひゃ! ヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャッ! ヒャーッァッヒャッヒャッヒャッヒャッ!」

奇怪な笑い声を上げ、音もなく姿を消した。

それを見つめ続けた、リーザス像の紅い瞳。

 

 

 

──旅の方よ、リーザス像の記憶、見届けてくれたか。私にも、何故かは分からぬ。だが、リーザス像は、そなた達が来るのを待っていたようだ。願わくば、このリーザス像の記憶が、そなた達の旅の助けになれば、私も報われる。

 

「…………」

穂乃果達は、言葉が出ない。

 

──鞠莉よ、これで我が魂のかけらも、役目を終えた。お別れだ……。

 

「No! どうすればいいの⁉︎ お願い……行かないでよ、兄さん……」

全身を震わせて別れを拒む鞠莉。

 

──鞠莉、最後に、これだけは伝えたかった。この先も母さんは、お前に手を焼く事だろう。だが、それでいい。お前は、自分の信じた道を進め。

 

燃える炎が、声と共に小さくなっていく。

 

──さよならだ……鞠莉。

 

そして、完全に消えてしまう。

「あ、あ……あ……。う……ううぅっ…………!」

鞠莉は、すがりつくように、泣き崩れてしまう。

それを見守る三人。

「なんて事よ……。あのサーベルトってのを殺したの、間違いなくドルマゲスじゃないのよ!」

感情を吐き出すように呟くにこ。

「って、キニコちゃんいつの間に⁉︎」

オーバーなリアクションで飛び上がる愛。

「何となくだけど、サーベルトって人も、にこ達にドルマゲスを倒せって言ってるっぽいわね」

にこは三人に向き直ると、

「あの人の想い、無駄にできないわよ!」

「ドルマゲスを追いかける理由が、増えたって事にゃ! 凛も許さないよ!」

穂乃果達も、真剣な表情で頷く。

「──Sorry、あなた達、お願いがあるの」

泣き崩れる鞠莉が、口を開いた。

「どうか……今は一人にさせて……お願い」

「────」

何か言いかけた穂乃果の肩を、曜が叩く。そして小さく首を横に振る。

「…………」

何かを思った穂乃果だったが、小さく頷いた。

「……一旦、リーザス村に戻ろっか」

「うん」

「そだね」

穂乃果達は、泣き崩れる鞠莉を尻目に、階段を降りていった。

「──ねえ……」

その前に、鞠莉が再び声をかけてきた。

「名前も分からないけど……誤解してSorry……。今度また、ゆっくり謝りマス……」

穂乃果は無言で小さく頷くと、ほんの少しだけ笑顔を作った。

それを見て安心したのか、

「もう少ししたら、村に戻る……から……」

鞠莉はまた涙を溢れさせる。

 

 

 

 

塔を後にした五人はすっかり暗くなった道を歩きながら、

「ドルマゲス……無関係な人を殺して何がしたいのよ! さっさと見つけ出して、にこにーの鉄槌をお見舞いする必要があるわ!」

「にこちゃん戦えないにゃー」

「まあまあ。それにしても、肝心のドルマゲスはいなかったね。どこに行っちゃったんだろ……」

「何か情報が掴めるといいんだけど……」

「まあひとまずは、マリーちゃんが無事だった事をポル君マル君に伝えに行こうよ。話はそれからそれから」

 

 

 

 

・穂乃果

LV13

どうのつるぎ

うろこのよろい

皮の盾

皮のぼうし

金のブレスレット

 

・曜

LV12

石のオノ

たびびとの服

うろこの盾

皮のぼうし

スライムピアス

 

・愛

LV12

ブロンズナイフ

皮のこしまき

うろこの盾

皮のぼうし

ーーー

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。