スクスタクエスト〜空と海と大地と呪われしYAZAWA〜 作:『シュウヤ』
はて何の事やら。
「──そこにいるのは誰⁉︎」
飛んできた鋭い声。三人か振り返ると、
「あなた達……」
そこにいたのは、花束を抱えた金髪の女の子。
この人が件のマリー姉ちゃんかなと三人が思ったのも束の間、
「とうとう現れたわね! リーザス像の瞳の宝石を狙って、絶対にまた現れると思ってたわ!」
確実に良からぬ感情を抱かれていた。
「ちょ、ちょっと待ってよ! 穂乃果達は何もしてな──」
慌てて穂乃果が弁明しようとした瞬間、彼女は呪文を唱え火の玉を放ってきた。
「うひゃあ⁉︎」
間一髪で避け、火の玉は像へ直撃する。
「今度は逃がさないわ!」
すると、先ほどより大きな火の玉を生成し始める。
「うわわわわ……ど、どうしよう⁉︎」
「と、とりあえず話ができる状況じゃないよ!」
「何とかして、落ち着かせないと……」
三人がたじろいだ時、
──待て!
「「「「⁉︎」」」」
どこからか声が響いた。
──私だ、鞠莉。私の声が、分からないか。
「さ、サーベルト兄さん……⁉︎」
鞠莉の瞳が、驚愕に見開かれる。
──その呪文を止めるんだ、鞠莉。私を殺したのは、この方達ではない。
「と、止めろって言われても……もう、無理デース!」
発射寸前だった呪文の照準を、鞠莉は強引に変えた。
「うわっ⁉︎」
火の玉は穂乃果の顔をかすめて、像の脇にあった燭台を粉砕した。
「…………」
その威力に穂乃果達が戦々恐々していると、
「うひゃ⁉︎」
そんな穂乃果を押し退けて、鞠莉は像へと駆け寄る。
「……ほのほの、大丈夫?」
「さっきからこんなのばっかりだよぉ!」
嘆く穂乃果を、鞠莉は完全にスルー。
「サーベルト兄さん⁉︎ 本当にサーベルト兄さんなの⁉︎」
──ああ、本当だとも。聞いてくれ、鞠莉。そして、そこにいる旅の方よ。
呪文の直撃を受けて燃え上がる像は、訥々と語り出す。
──死の間際、リーザス像は我が魂のかけらを預かって下さった。この声も、その魂のかけらの力で放っている。だからもう、時間が無い。
「…………」
穂乃果達も、ゆっくりと像の傍まで歩み寄る。
──像の瞳を見つめてくれ。そこに、真実が刻まれている。さあ、急ぐんだ。
言われるがまま、鞠莉と三人は像の紅い宝石を見つめる。
──あの日、塔の扉が開いていた事を不審に思った私は、一人でこの塔の様子を見に来た。そして……。
頭に流れ込んでくる、ややノイズのかかった映像。
今いる塔の最上階を歩いているのは、一人の精悍な男性。おそらくサーベルトだろう。
付近には誰もいないが、サーベルトは警戒して辺りを見回す。
すると、先ほどまで無人だった場所に、一人の男が唐突に現れた。道化師のような見た目をした、背の高い男が。
「だ、誰だ貴様は⁉︎」
腰の剣に手をかけたサーベルトに、
「悲しいなぁ……」
男がは口を開く。
「何だと……? 質問に答えろ! 貴様は誰だ! ここで何をしている!」
「くっくっく……。我が名はドルマゲス。ここで、人生の儚さについて考えていた」
「ふざけるな!」
激昂したサーベルトだったが、
「くっ……⁉︎ どうした事だ! 剣が……剣が抜けん!」
腰の剣は、錆びついたかのようにビクともしない。
「悲しいなぁ……。君のその勇ましさに触れるほど、私は悲しくなる」
意味深なセリフを呟くドルマゲスは、手にした杖でサーベルトを示す。
すると、
「ぐわっ⁉︎ き、貴様……何をした⁉︎ 身体が……くそっ! 動かん!」
サーベルトの身体が硬直してしまう。
もがくサーベルトへと、悠々と近付くドルマゲス。
「おのれ……! ドルマゲスと言ったな……。その名前、決して忘れんぞ!」
睨みをきかせるサーベルトに、
「ほう? 私の名を忘れずにいてくれるというのか。なんと喜ばしい事だろう」
ドルマゲスは一切臆さない。
「私こそ忘れはしない。君の名は、たった今より、我が魂に永遠に焼き付く事になる。──さあ、もうこれ以上私を悲しませないでおくれ」
「くぅっ……! き、貴様ぁぁぁぁっ!」
吠えるサーベルトを抱くようにドルマゲスは身を寄せると、持っていた杖を何の躊躇いもなく突き立てた。
「かはっ…………!」
力なく倒れたサーベルトへ跪くと、
「君との出会い、語らい、その全てを、我が人生の誇りと思おう……。君の死は、ムダにはしないよ」
優しく語りかける。そして立ち上がると、
「くっ……くっくっく…………。んくっ……くっくっく…………。きひゃっ! きひゃひゃ! ヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャッ! ヒャーッァッヒャッヒャッヒャッヒャッ!」
奇怪な笑い声を上げ、音もなく姿を消した。
それを見つめ続けた、リーザス像の紅い瞳。
──旅の方よ、リーザス像の記憶、見届けてくれたか。私にも、何故かは分からぬ。だが、リーザス像は、そなた達が来るのを待っていたようだ。願わくば、このリーザス像の記憶が、そなた達の旅の助けになれば、私も報われる。
「…………」
穂乃果達は、言葉が出ない。
──鞠莉よ、これで我が魂のかけらも、役目を終えた。お別れだ……。
「No! どうすればいいの⁉︎ お願い……行かないでよ、兄さん……」
全身を震わせて別れを拒む鞠莉。
──鞠莉、最後に、これだけは伝えたかった。この先も母さんは、お前に手を焼く事だろう。だが、それでいい。お前は、自分の信じた道を進め。
燃える炎が、声と共に小さくなっていく。
──さよならだ……鞠莉。
そして、完全に消えてしまう。
「あ、あ……あ……。う……ううぅっ…………!」
鞠莉は、すがりつくように、泣き崩れてしまう。
それを見守る三人。
「なんて事よ……。あのサーベルトってのを殺したの、間違いなくドルマゲスじゃないのよ!」
感情を吐き出すように呟くにこ。
「って、キニコちゃんいつの間に⁉︎」
オーバーなリアクションで飛び上がる愛。
「何となくだけど、サーベルトって人も、にこ達にドルマゲスを倒せって言ってるっぽいわね」
にこは三人に向き直ると、
「あの人の想い、無駄にできないわよ!」
「ドルマゲスを追いかける理由が、増えたって事にゃ! 凛も許さないよ!」
穂乃果達も、真剣な表情で頷く。
「──Sorry、あなた達、お願いがあるの」
泣き崩れる鞠莉が、口を開いた。
「どうか……今は一人にさせて……お願い」
「────」
何か言いかけた穂乃果の肩を、曜が叩く。そして小さく首を横に振る。
「…………」
何かを思った穂乃果だったが、小さく頷いた。
「……一旦、リーザス村に戻ろっか」
「うん」
「そだね」
穂乃果達は、泣き崩れる鞠莉を尻目に、階段を降りていった。
「──ねえ……」
その前に、鞠莉が再び声をかけてきた。
「名前も分からないけど……誤解してSorry……。今度また、ゆっくり謝りマス……」
穂乃果は無言で小さく頷くと、ほんの少しだけ笑顔を作った。
それを見て安心したのか、
「もう少ししたら、村に戻る……から……」
鞠莉はまた涙を溢れさせる。
塔を後にした五人はすっかり暗くなった道を歩きながら、
「ドルマゲス……無関係な人を殺して何がしたいのよ! さっさと見つけ出して、にこにーの鉄槌をお見舞いする必要があるわ!」
「にこちゃん戦えないにゃー」
「まあまあ。それにしても、肝心のドルマゲスはいなかったね。どこに行っちゃったんだろ……」
「何か情報が掴めるといいんだけど……」
「まあひとまずは、マリーちゃんが無事だった事をポル君マル君に伝えに行こうよ。話はそれからそれから」
・穂乃果
LV13
どうのつるぎ
うろこのよろい
皮の盾
皮のぼうし
金のブレスレット
・曜
LV12
石のオノ
たびびとの服
うろこの盾
皮のぼうし
スライムピアス
・愛
LV12
ブロンズナイフ
皮のこしまき
うろこの盾
皮のぼうし
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