魔法少女リリカルなのは ~朱槍の魔道士〜   作:がっしー

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第67話投稿です。

前回の投稿からほぼ一月も空いてしまい申し訳ありません。今後ともよろしくお願いします。………なんか最近前書きで謝罪してばっかだな…

それはともかくどうぞ


本部警備と予言の始まり

9月12日 午前11時55分 時空管理局地上本部

 

『公開意見陳述会の開始まであと3時間を切りました。本局や各世界の代表による。ミッドチルダ地上管理局の運営に関する意見交換が目的のこの会――波乱含みの議論となる事も珍しくなく。地上本部からの陳述内容について注目が集まっています。今回は特に、兼ねてから議論が絶えない地上防衛用の迎撃兵器、アインヘリアルの運用についての問題が話し合われると思われます』

「報道陣はいつもの事だが…今回は民衆も多いな」

 

ミッドの放送局の生中継を見ながら嘆息をつき警備を行うミハル

 

[現在正面玄前、カエサル准将到着。周囲に警戒せよ]

「おっ、カエサル隊長か」

 

警備局員の念話報告により視線をテレビから要人が歩く道路に移すとそこには恰幅の良い男性が秘書の女性を後ろに連れ歩いていた

 

「…」

「…」コク

 

男性――カエサル――がこちらに気づくとミハルは小さく頭を下げる

 

「……」

「…」

 

するとカエサルは後ろの女性に声をかけると女性はカエサルから離れミハルの元にやって来た

 

「お久しぶりですわね。ミハルさん」

「お久しぶりです。クレオパトラさん、それで要件は?」

 

笑顔を見せ話しかけてきた女性――クレオパトラ――に敬礼を返すミハルはこちらにやって来た理由を尋ねる

 

「えぇ、カエサル様からこれを渡すように言われまして」

「!…コレは」

 

答えながらクレオパトラが取りだした物を見たミハルは驚きを見せる。彼女から差し出されたのは、ペン型のアイテムだった

 

「……コレを自分が使う可能性があると?」

「わたくしには分かりません。…しかし、カエサル様が渡すのを決めたと言うことは恐らく、そう言う事でしょう」

「………」

 

クレオパトラの言葉に無言で差し出されたアイテムを見つめるミハル。やがて踏ん切りが着いたのかそれを受け取る

 

「使わない事を願いますよ」

「そうですわね。貴方とソレの相性はある意味、良いとは言えませんもの」

 

互いに愛想笑いをし、ミハルは再び敬礼をする

 

「わざわざありがとうございます。カエサル隊長にも伝えておいて下さい」

「分かりました伝えておきますわ。……ミハルさん、無理は禁物ですわよ」

「………無理をしなきゃ誰かを助けられるほど強くないんですよ。――俺は」

 

去り際に残されたクレオパトラの言葉をミハルは独り言のようにつぶやいた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

午後14時54分

 

「もうそろそろか……ギンガ、それに4人も気を引き締め直せよ」

『はい!』

 

時計の針を確認したミハルが深夜警備後の休憩から戻ってきたギンガを含めた5人に注意を促すと、ヴィータがミハルの横に並ぶ

 

「いよいよだな」

「あぁ、なのは達は内部警備のせいでデバイスを持ってない今、六課で直ぐ状況に対応出来るのは俺たちだけだ」

「分かってる。問題ねぇよ、敵は全部叩き潰すだけだ」

「そうだな……と、通信?シャマルさんからだ」

 

スバル達には聞こえない程度の声で闘志を燃やす2人。するとランサーが通信が来たことを知らせミハルが回線を開く

 

「あっ良かった繋がった。ごめんなさいねミハル君。こんな時間に…」

「大丈夫ですよシャマルさん。何か六課の方で問題が?」

 

緊張が高まってきた現場にわざわざ連絡を入れる程のことがあったのかと考えるミハル

 

「えっと…問題というかなんと言うか…「おっ!これも魔法か?大したもんだなぁ!」あっ、ちょっと…!」

「………ハ?」

 

何故か言葉を濁すシャマル。すると画面外から声が聞こえ、現れた人物にシャマルが画面中央から右端に追いやられ、その人物を見たミハルは呆けた声を出してしまった

 

「………なにしてんの、クー兄」

「よォ、ミハル。久しぶりだなそっちは、はやての嬢ちゃんとこのガキンチョか、相変わらず小させぇなあー」

 

頭を抱えながら通信画面に現れた男――クーフーリン――はそんな事は気に止めずミハルの横に居たヴィータに話しかける

 

「ちっこいのは余計だ。クーフーリン」

 

それに対しヴィータが画面に映るクーフーリンを睨みつけるも当の本人は意に返さずカラカラと笑う

 

「てかどうやってミッドに来たんだよ?実家に転移門置いてないのに」

「月村家からだよ。転移門使わせてくれって頼んだら快く貸してくれたぜ」

 

疑問にに答えるクーフーリンにミハルは眉間を少し押さえため息を漏らすと画面端に追いやられたシャマルに視線を向ける

 

「シャマルさん。すいませんけどクー兄に六課施設内での一般人用のパスと俺の部屋から釣竿渡しといて下さい。勝手に目の前にある海で釣りするハズですから」

「分かったわ」

 

頼まれたシャマルは早足にその場を去り、残ったクーフーリンにジト目を向ける

 

「クー兄。今は仕事中でそっちに戻るのは夜だろうけど。フェル爺やフィンさんみたいに女性に手は出さないでくれよ?もししたら師匠にチクるから」

「する訳ねぇだろ。俺をあの二人と同じにするな」

「……まっ、忠告はしたから。通話切るよ」

「おう」

 

話を終えモニターが消えた後、ミハルはやれやれと首を横に振る

 

「あの…ミハルさん」

 

その様子を見ていたスバルが声をかけてきた

 

「さっきの人。『クー兄』って、兄弟なんですか?」

「あー、違う違う。同じ師に教えを受けた兄弟子だよ」

 

自分と同じ姉妹(きょうだい)がいるのかと興味本位で聞くスバルにミハルは苦笑いをしながら手を横に振る

 

「兄弟子…ってことはもしかしてミハルさんより強いんですか?」

 

その話を聞いていたティアナが尋ねると少し考え込むミハル

 

「んー…。魔法無しの戦闘なら俺の勝ち目は薄いかな?」

「そんなに強いんですか…」

『――ではこれより。公開意見陳述会を開始します』

 

答えるとキャロが驚いた顔をすると上空のモニターから高齢の局員が陳述会開始を宣言した

 

「お喋りは終いだ。お前ら、警備に集中しろよ」

『は、はい!』

 

それを見てヴィータが再度全員に注意を促し、ミハル達は敬礼をし各々の配置に戻って行く中。ミハルは空を見上げる

 

「さて、鬼が出るか蛇が出るか…」

 

自分に問うように言葉をもらし、警備へと戻って行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

午後19時21分

 

「開始から4時間ちょっと。中の方もそろそろ終わりね」

「最後まで気を抜かずに、しっかりやろう!」

「「はい!」」

 

日が傾き、空や建物が朱から紺に変わり始めた頃。腕時計を見ながら警備の終わりが近い事を考えるティアナと拳を握りあと少しとガッツを飛ばすスバルに返事をするエリオとキャロ

 

「あれ?ギンガはどこに行ったですか?」

「北エントランスに報告に行ってるよ。ついて行こうかと思ったんだが…」

「ギンガなら1人で大丈夫だって私が止めた」

 

そこから少し離れた場所にヴィータ、リイン、ミハルの3人がこの場にいないギンガについて話をする

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻 ミッド上空

 

「うーん…連中の尻馬に乗るのはどうも気が進まねぇけど…」

「それでも、貴重な機会ではある。……今日ここで全てが片付くのなら、それに越したことはない」

「まあね?」

 

遠くにそびえ立つ地上本部を見据えるアギトとゼストの2人

 

「つか、私はルールーも心配だ。大丈夫かなぁ、あの子?」

「心配ならルーテシアについてやればいい」

「ムッ」

 

この場にいないルーテシアの心配をするアギトがゼストの言葉に口をへの字に曲げる

 

「今回に関しちゃ旦那のことも心配なんだよ!ルールーにはまだ虫達やガリューがいるけど、旦那は1人じゃんか!」

「………」

 

口調を強め詰め寄るアギトに無言で返すゼスト

 

「旦那の目的はこの髭オヤジだろ?」

 

モニターに映るレジアスに視線を向けるアギト

 

「そこまでは私が着いていく。旦那のこと、守ってあげるよ」

「……お前の自由だ。好きにしろ」

「するともさ!旦那は私の恩人だからな」

 

作戦の時間が迫っているのかモニターを消しながら諦めたようにアギトの同行をゼストは許した

 

 

 

 

 

 

 

同時刻 スカリエッティの研究所アジト

 

「ナンバーズ。ナンバー3、トーレからナンバー12、ディードまで全員配置完了」

『お嬢とゼスト殿も所定の位置に着かれた』

『攻撃準備も全て万全。後はGOサインを待つだけです』

 

司令塔として研究所から各ナンバーズの配置を確認を終えたウーノにトーレ、クアットロ2人からの準備完了の報告が知らされる

 

「フッ、ククク…フハハハハハ。クハハハ……」

「楽しそうですね」

 

椅子に座り、堪えきれない笑い声を漏らすスカリエッティ。その様子にウーノがどこか嬉しそうに問いかける

 

「あぁ…楽しいさ。この手で世界の歴史を変える瞬間だ……。研究者として、技術者として、心が沸き立つじゃぁないか。そうだろウーノ?」

 

自らの心情を語りながらスカリエッティは椅子から立ち上がる

 

「我々のスポンサー氏にとくと見せてやろう。我らの思いと、研究と開発の成果を………さァ!始めよう!!」

「はい!」

 

号令の元、ウーノは宙に浮くキーボードをまるで鍵盤を叩くように操作を始める

 

 

 

 

 

 

「ミッション……スタート!」

 

同時に現場指揮を執るクアットロも作戦開始を宣言する

 

「アスクレピオス。限定解除」

 

最初に動いたのはルーテシア。自らの魔力を解放し、召喚魔法の準備を始める

 

 

 

 

 

 

 

 

地上本部 管制室

 

「エネルギー波を確認。近くの魔道士に連絡を…」

「おい!ウソだろ!?」

 

ルーテシアの魔力を感知した局員が現場確認を行おうとしたところ、別の局員が慌てた声を上げる

 

「通信管制システムに異常…クラッキング!侵入されてます!!!」

『!!?』

 

本部の電子防壁を越え、システムを破壊、改竄されている事実に局員達は慌てて対処を行うもモニターは次々と砂嵐に切り替わってゆく

 

 

 

 

「クアットロさんのIS、シルバーカーテン。電子の織り成す嘘と幻。銀幕芝居をお楽しみあれ!」

 

 

 

 

「緊急防壁を展開!予備のサーチシステム、立上げ急げ!」

 

しかし、それでもさすが地上本部に務める局員。上司と思われる男性が直ぐさま指示を飛ばす

 

「まさか本当に、本部を狙ってくるとは……」

 

カリムの予言を知っていたのであろう上司が苦い顔をするも現状の状況共有を急がせようと口を開く

 

「早くレジアス中将にも連絡を―――」

 

だが、それ以上男性が言葉を発する事はなかった。天井から投擲されたガス弾により管制室にいた局員全員が倒れたからだ

 

「フフん♪セインさんならこの位、朝飯前ってね!」

 

自身のIS、ディープダイバーによって天井をすり抜けて現れたセインが1人得意げに自慢した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本部地下 エネルギー貯蔵タンク

 

地上本部の莫大な電力の1部を賄うタンクの前に片目を眼帯で隠した小柄な女性。彼女は両手に持った計6本のナイフを周囲の配管や機材に投擲し刺し込む

 

「IS発動。ランブルデトネイター」

 

能力を発動し合図に右手で指を鳴らす。すると投擲したナイフが突如爆発し、更に誘爆も発生し周囲は火の海に変わる。その中、当の本人であるナンバーズのチンクは踵を返しその場を後にする

 

 

 

 

 

 

 

「防壁出力減少。ルーお嬢様〜!お願いしますぅ〜」

「遠隔召喚。開始…」

 

クアットロのお願いによりルーテシアが召喚魔法によって本部周囲にガジェットⅠ型、Ⅲ型が外で警備をする局員の前に現れる

 

「げ、迎撃しろ!」

「何言ってる!下がって体制を立て直すんだ!」

 

突然の出現と管制室を通した通信が繋がらない事で局員達の統率は大きく乱れる

 

「IS、ヘヴィバレル」

 

更に攻めの手は緩めず、ディエチが砲塔を構える

 

「バレットイメージ……エアゾルシェル。発射」

 

収束されたエネルギーが轟音と共に撃ち出され本部の数棟あるビルの一つに直撃し、ビルからは土煙とともに黒煙が登り始めた

 

 

 

 

 

陳述会 会場

 

「何だ?」「地震?」

「どうしたんだ一体…」「何か爆発したのか?」

 

ディエチの攻撃により陳述会を行っていた者達も異変に気づき始めていた

 

「攻撃です」

「会の中止はせんぞ。迅速に賊を捕らえろ」

「ハッ」

 

ザワつく会場内で1人の局員から現状を聞いたレジアスはあくまでも折れない強気な方針をとる

 

「地上本部の防衛は鉄壁だ。侵入出来る者などおらん」

 

 

 

 

 

 

「別に侵入する必要はないわよ?囲んで無力化しちゃえば♡」

 

内部の会話すら筒抜けとなっている状況にクアットロは愉快そうにガジェットを操作する

 

『――――』

 

いくつかのガジェット達が飛び込むと本部を覆う障壁がガジェットの進行を阻むが、数にものを言わせ内部に侵入。AMFの出力を上昇、クアットロのISにより本部内の隔壁が降り電力の供給を断った

 

 

 

 

 

「あかん!閉じ込められた!」

「AMF濃度が高い。魔力が結合出来なくなっています」

 

会議室内に閉じ込められる形になったはやてとシグナム。慌てて通話を試みるも

 

(通信も…通じへん。やられた…)

 

完全に後手に回ってしまったこの状況にはやての頬に冷たい汗が流れた

 

 

 

 

 

 

 

 

「ガジェットを破壊しろ!これ以上好きにやらせるな!!」

『オォー!!!』

 

本部の襲撃を受け救援に来た空戦魔道士達

 

「セッテ、お前は初戦闘だが…」

「心配無用。伊達に遅く生まれていませんよ」

 

その相手をするのはトーレとナンバーズ最後発のセッテ。姉であるトーレを超える身長とその体格にも見劣りしない2本のブーメランブレードを両手に装備している

 

「IS発動、スローターアームズ!」

「ライドインパルス!」

「「アクション!!」」

 

己のISを発動し、100人近い魔道士に突撃する2人。そのスピードとパワーに、救援部隊は瞬く間に落とされてゆく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

混沌を極め始める状況の中ミハル達は攻撃してくるガジェットを迎撃しながら本部に向かっていた

 

「ガスは致死性ではなく麻痺性!今、防御データを送るです!」

 

リインがそう言うとスバル達のバリアジャケットが淡く光る

 

「ヴィータ副隊長!私達が中に入ります。なのはさん達を助けに行かないと!」

「あぁ」

 

本部突入を進言するスバルにヴィータも肯定する。すると六課から通信が入る

 

『本部に向かって航空戦力!速い…、ランク……推定オーバーS!』

「「………」」コク

 

未確認の高ランク魔道士出現を聞きミハルとヴィータは僅かに視線を交し小さく頷く

 

「そっちは私とリインが上がる。地上はコイツらがやる!ミハル、こいつらも頼む」

 

範囲の広い大技を多く持つヴィータがリインと共に迎撃に向かうと宣言し、はやてとシグナムのデバイス、待機状態のシュベルトクロイツとレヴァンティンをミハルに渡す

 

「届けてあげてください!」

「分かってる。2人も気をつけろよ!」

「おう!」

 

短く言葉を交わしヴィータとリインはミハル達と別れる

 

「リイン!ユニゾンいくぞ!」

「ハイです!」

「「ユニゾン、イン!」」

 

掛け声と共にリインがヴィータと融合する。それによりバリアジャケットの色が赤から白をベースになり髪も薄い橙色へ、瞳も水色へと変化しユニゾンを終えたヴィータは空へと飛び上がっていった

 

 

 

 

 

 

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