魔法少女リリカルなのは ~朱槍の魔道士〜   作:がっしー

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第70話投稿です。

今年のギル祭り、慢心王の宝具レベルが突然4にまで上がって喜びと恐怖に震えました。

それと、リリカルなのはのキャラソンコンプリートBOXのジャケットイラスト。個人的に1番よかったのは、大人なのはの腰に手を伸ばしている大人フェイト。この2人ホント隙あらば百合百合してる
でも自分はユーなのの方が好き(もちろんなのフェイも好き)

それはともかくどうぞ


一夜明けて

 

 

 

時空管理局地上本部

 

『こちらは、昨日テロ事件を受けた時空管理局中央本部の上空です。施設の被害や負傷者の数、事件の詳細については、未だ管理局側からの発表はありません。事件直後に犯人らしき人物からの犯行声明があった模様ですが、その内容については『慎重な検討の後に公表する。』と広報部からの報告がありまし「ドン!」』

「なぜだ!なぜこんな事になっている!?」

 

自身の執務室で早朝のニュース番組を見ていたレジアスは拳を机に叩きつけ怒鳴る

 

「あの男に連絡は!?」

「か、回線が変えられています…研究所ももぬけの殻で……」

ピッ ピッピッ「――ッ!」ドン!

 

そばに控えていた秘書の一人である男性に強い口調のまま問い掛けると怯えた表情で男性は答え、レジアスも通信を繋ごうとパネルを押すが繋がる気配がなく声にならない声を上げ再び机に拳を叩きつけた

 

「……今まで十分に重用してきたハズだ、なのに何故。クッ、オーリスはどうした!」

「今は、対策に駆け回っています。警備部隊と関係者に順次相談を……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ではそちらには第五部隊を、各次元世界の使者達も自国に戻る為の手配を……」

 

通路を歩きながら部下たちに指示を出すオーリス、そこに前から歩いてきた人物を見て1度足を止め両者共に敬礼をする

 

「八神二佐、お疲れ様です」

「オーリス三佐、後ほどお時間よろしいでしようか?お伺いしたい事がありまして」

「これから会議ですので、こちらからご連絡します」

「はい」

 

事務的な、しかしどこかギクシャクした短い会話を終え再び歩き出したオーリスの背を、はやては暫く見つめていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

機動六課

 

「施設は半壊、人員も非戦闘員を除き殆どが重軽傷…。一応、部隊を動かす最低限の人員が残ってた事を喜ぶべきか……」

 

火事により所々焼け落ちた六課や破壊したガジェットの調査をしながら周りに聞こえない程度の独り言を呟くミハル

 

(イヤ、それより問題は…)

「おい見ろよ、あいつ」

「あぁ、噂の…」

 

少し離れた場所で、調査の応援に来ていた局員数人が自分を見ながらコソコソと話をする姿を見てミハルはため息を漏らす。昨夜のスカリエッティからの犯行声明の最後に告げられた言葉、管理局内で箝口令がしかれたとはいえ、『ミハル=クリストスがスカリエッティの子ではないか』という噂は少しづつだが広がり始めていた

 

(ま、なのは達の金魚のフンなんて言われてた頃に比べれば何ともないか)

「ミハル」

「ん?おぉシグナム。六課の皆、……ザフィーラとシャマルさんの容態は?」

 

そんな周囲の空気など知らぬと言うようにシグナムが声をかけるとミハルが負傷した局員達の容態を聞く

 

「重症だったが一命は取り留めた。……クーフーリン殿の事を聞きたいのだろ?行ってこい」

「悪いな。それじゃ「危ない!!!」」

 

ミハルが立ち上がったその時、脆くなっていた六課外壁が崩れ、落下地点には数人の局員が突然の事にその場から動けずにいる

 

「いかん!レヴァン―」

 

まずい状況を察知したシグナムがデバイスを取り出そうとした時、一陣の風が追い抜いた

 

「オラァ!」

ドゴン!!

 

その場にいた誰よりも速く動いたミハルが崩落する瓦礫を蹴り飛ばす。吹き飛んだ瓦礫は海に水柱を上げ沈んでゆく

 

「……無事か?」

「あ、あぁ」

「助かった…」

 

未だ呆けた顔をしていた局員達にミハルが声をかけると我に返ったのか返事を返す

 

「シグナム。それじゃ行ってくるわ」

「…ああ、お前も昨日から働きずめだろ。少し休んでくるといい」

「あいよ」

 

シグナムの言葉に適当に応えながらミハルは病院に足を向けた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聖王教会 医療院

 

コンコン「邪魔するぞ」

「ミハル」

「ミハル君」

「ヴィータ、お前も来てたのか」

「あぁ、私の方も一段落したからな」

 

シャマルとザフィーラのいる病室にノックをして入ると先客にヴィータが室内にいた

 

「見舞いの品だ。後で看護師の人にでも剥いてもらえ」

「ありがとうミハル君」

 

途中に寄った店で買ったフルーツの盛り合わせを机に置き別のベットに横たわるザフィーラの前に立つ

 

「ザフィーラは…まだ無理か」

「えぇ、ザフィーラが盾になって守ってくれたから…」

 

ミハルが多くの包帯を巻かれ小さな寝息を立てる狼姿のザフィーラの毛並みを傷が痛まないように優しく撫でる

 

「私の方も…リインが守ってくれた。リインとユニゾンしてなかったら死んでたかもしれねぇ」

 

ヴィータも自分の不覚を打たれるせいでリインに大怪我させてしまった事を悔やむ

 

「マリーさんから連絡受けたわ。リインちゃんは今夜には目を覚ますって」

「……シャマルさん。昨日の戦闘で何があったか、詳しく教えてください」

 

「心配しないで」とヴィータを慰めるシャマル。ミハルは椅子に座り真剣な表情で昨夜の1件について尋ねる

 

「…そうね。――六課が襲撃を受けて、私達は必死に戦ったけど敵の数に押される形で劣勢に立たされたわ」

 

ミハルの顔を見て僅かな逡巡の後、シャマルは口を開いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でも、さよなら」

 

その言葉と共に彼のISから放たれたエネルギー弾がクーフーリン達に殺到し爆煙を上げた

 

「――後は聖王の器を……!」

 

踵を返そうとしたオットーの頬を何がが掠め、血が流れる

 

「どこ行きやがる。まだ勝負はついてねえぞ」

 

爆発の煙が晴れ、力無く倒れるザフィーラとシャマルを背に、オットーを見据えるクーフーリンが立っていた

 

「だめ、逃げて……」

 

意識が朦朧とする中、シャマルが止めようと手を伸ばす

 

「はっ、これだけいいようにされてしっぽ巻いて逃げろって?―――冗談じゃねぇ」

「!」バッ!

 

シャマルの制止を聞かず駆け出すクーフーリン。慌ててオットーは手をかざし、レイストームによるエネルギー弾を放つ

 

「―――」

「先程より早く…!」

 

弾丸の嵐の中を意に返さぬスピードで迫るクーフーリンにオットーは10体近いガジェットを盾のように自身の前に並べる

 

「そんなんで止まるかよ!」

 

その言葉と共に振り上げられた槍にガジェットが宙を舞う。拘束しようとするガジェットとエネルギー弾を掻い潜り一機、また一機と蹴り飛ばし、弾かれ、貫かれ機能を停止する

 

「仕方ありません。少々汚い手ですが……」

 

残ったガジェットが3機になった所でオットーは攻撃対象をクーフーリンから彼の後方にいるシャマルとザフィーラに切り替えた

 

「っ!テメェ!!!」

「……」

 

2人の周囲に展開されたエネルギー弾に気付いたクーフーリンは怒りの形相でオットーを睨むもオットーは無言でエネルギー弾を放つ

 

「クソッタレが!」

 

暴言を吐きながら反転し、2人の元に戻ったクーフーリンは槍を振るい弾をはじき返す

 

「レイストーム」

「っ、この…」

 

2人をかばうクーフーリンの体に帯状のエネルギーが絡みつき動きを封じる

 

「フゥ―――!!!」

 

拘束を解こうと息を吐き出しながら四肢に力を込めるクーフーリン。拘束していたエネルギーがひび割れるような音が鳴る

 

 

――――ドスッ

 

 

 

しかし、その行動は胸を貫く刃によって止まる事になった

 

「少々、暴れすぎです」

「ごフッ……そういやぁいなかったな、お前…」

 

口から血を吐きながら背後に立つディードを睨む

 

「チッ、ドジっちまったッウ……!」

 

自分の不注意に呟くもツインブレイズが引き抜かれその顔は苦痛に歪む

 

「さて、痛めつける趣味はありません。次で終わりです」

「ストップ、ディード」

 

掲げたブレードを振り下ろそうとしたディードにオットーが制止を呼びかける

 

「ウーノ姉様から彼を連れてくるように命令だ」

「なぜ彼を?作戦対象では無かったはずですが」

「どうやら向こうでタイプゼロの捕獲に失敗したらしい」

「その代わり、と言う訳ですか」

 

納得したのか武器を降ろすディード。上空からガジェット数機が下降し、クーフーリンをレイストームの捕縛の上からアームで更に拘束し上昇する

 

「ぅ……(いけない。彼が……)」

 

遠のく意識の中、手を伸ばそうとするシャマルだが体がいうことを聞かない

 

「さて、ルーテシアお嬢様が聖王の器を見つけるまで周囲の警戒にあたりましょう」

「えぇ、そろそろ地上本部から六課の救援が来るでしょう」

「(皆、ごめんなさい)………―――」

 

オットー達の会話と炎の音を最後にシャマルの意識は途切れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これが私の知る全てよ。…ごめんなさいミハル君、私達のせいでクーフーリンさんは……」

 

話を終え、頭を下げようとするシャマルにミハルは手で制す

 

「気にしないでください。…結果がどうあれ捕まったのはあの人の自業自得ですから」

「「…………」」

 

有り体な言葉を語るもミハルの乾いた笑みにシャマルとヴィータはかける言葉が見つからず黙ってしまう

 

「……もう昼過ぎか、本部のはやてを迎えに行かないと、シャマルさんお大事に。ヴィータ、今の話六課の皆にも伝えといてくれ」

 

席をたち別れを告げ病室を後にし、残された2人は静かにその背中を見送った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地上本部

 

「戦闘機人、人造魔導師。いずれもかつてはレジアス中将が局の戦力として採用しようとした技術です」

「随分と昔の話です」

 

曲の廊下を移動しながら会話をするはやてとオーリス

 

「安定して数を揃えられる量産可能な力。倫理的問題を問われず、量産によるコストダウンさえ出来れば実現可能な計画……レジアス中将はその計画をどこかで、秘密裏に進めてはいませんでしたか?」

「……」

 

オーリスが立ち止まり、はやても数歩遅れて足を止めオーリスに向き直る

 

「スカリエッティはその依頼先として理想の存在です。違法研究者でさえなければ間違いなく歴史に残る天才ですから」

「………」

 

以前沈黙したままのオーリスに対し、はやては更に自分の推測を語る

 

「恐らくはスカリエッティとの司法取引が行われ、中将は機が熟するのを待っていた。スカリエッティが人造魔導師や戦闘機人を大量生産しそれを地上本部が発見・摘発する…という状況を作れるのを、そうなれば摘発したそれらを試験運用という形にに持って行けるでしょうし――その途中、掴まれたくない事実を事故死させるのも、優秀な人造魔導師素体を得ることも」

「下らない妄想はいい加減にしてもらいたいものですね」

「ご意見を伺いたいだけです」

 

次第に声に力が入るはやての考えをにオーリスは妄想として切り捨てるも尚も引かないはやて

 

「……貴方は、入局10年でしたか?」

「はい」

 

突然話が代わり質問されたはやては少し間をあけ返事を返す

 

「中将は40年です。10年前、貴方が自分の命惜しさに、自分の騎士に犯罪行為をさせていた時期にも!貴方がその歳で二佐にまで駆け上がれた魔力の源、貴方の体に溶けたロストロギア『闇の書』が数多の命を奪い続けていた時期にも!…中将は地上の平和を守る為働いていました」

「自分と闇の書の罪……否定はしません。そやけど、隠された真実があるならそれを陽の当たる場所に持ってくる。それが今の私の仕事です」

 

少し感情的になったオーリスにはやては自分の過去を指摘されるも、はやては怯むことなくオーリスを見すえる

 

「はやて、ここにいたのか」

 

睨み合う2人。そこにはやてを迎えに来たミハルが現れる

 

「ミハ兄…」

「ミハル陸曹……ちょうど良かった、貴方にお聞きしたいことがあります」

 

こちらに気付いたオーリスがミハルを睨みつける

 

「聞きたいことですか…答えられることであれば」

「昨夜のスカリエッティの犯行声明。その最後の一言…あれは事実ですか?」

「「―――」」

 

オーリスの質問に周りの空気が張り詰める。そんな空気の中、ミハルは平然と回答を口にした

 

「ンー…どうなんでしょう?」

 

アハハ、と愛想笑いを見せるミハルにオーリスが眼鏡の位置を正しながら口を開く

 

「……随分と楽観的ですね。今回の本部への襲撃、敵はまるでこちらの防衛網を全て知っていたかのような手際でした。もし貴方が本当にスカリエッティの息子であるなら情報を流したスパイの疑惑が出てきますが?」

 

自分より背の高いミハルを見上げながら話すオーリスにミハルはため息を吐く

 

「本当に父親かどうかも分からない犯罪者の側について、仲間を裏切る程。自分は腐ってないですよ」

 

落ち着いた言葉ながらも言外に、「ふざけた事をぬかすな」と上官に言い放つミハルに、オーリスは僅かに表情を不機嫌になり、はやて達に背を向ける

 

「一応、貴方の言い分は理解しました。八神二佐、聴取や捜査をしたいなら、調査許可証か特別令状を持って来なさい。話はそれからです」

「近い内、きっと」

 

その会話を最後にオーリスは歩き去り。ミハルとはやての2人だけが残された

 

「……ミハ兄、スカリエッティとの関係については、ちゃんと聞かせて貰うで」

「それは親友としてか?それとも上司としてか?」

「上司としてや」

「…了解。まぁ話は後だ、このまま本局に行くんだろ」

「うん」

 

やれやれといった顔で承諾したミハルは力強く足を踏み出したはやての後ろを歩いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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