遅れてしまい申し訳ありません。ポケモン新作にのめり込みこんな事に…。ワ、ワイルドエリアが楽しのがいけないんだ!
それはともかくどうぞ
「ゴホッ…ゴフッ!……ゴフッ………ゴフッ!」
「旦那!……旦那!」
ミッドチルダの山中。日が落ち空が深い青に染まり始めた頃、咳と共に口から血を吐くゼストにアギトが今にも泣き出しそうな顔で呼びかける
「ゴホッゴフッ……、ハァ…もう大丈夫だ、すまんな。心配をかけた」
やがて咳が収まったゼストは近くの木に背中を預け座り込む
「グスッ…!ごめん旦那。私が使えなかったから……」
「お前は、よくやってくれた。あの赤い騎士は、融合機の乗りこなしも含めいい騎士だった」
自分を責めるアギトに敵が強かったとヴィータを賞賛するゼスト
「旦那の方が強い!旦那がベストで私がもっと上手くやれてたらあんな奴……!」
「今が俺のベストさ、お前は精一杯やった」
両手をわなわなと震わせるアギトを慰めるゼスト
「アギト、お前が入れていくれた薬湯。もう一杯貰えるか?」
「!うん!!」
ゼストの願いに先程とはうって変わり笑顔を見せ飛び去るアギト。その場に残ったゼストの前に通信画面が開きウーノが映される
『騎士ゼスト、ウーノです。お加減は……良くないようですね』
ゼストの顔色と地面に広がる血溜まりを見てウーノの顔に影が差す
「放っておけ。最早お前達にとって、俺もレリックも必要ないのだろ」
『そんな事はありませんが…』
「幾つか成すべき事があるだけだ…それが済めば勝手に死ぬ。お前達の邪魔になる事など無いはずだ」
言葉を濁すウーノにゼストは言及することは無く言葉を続ける
『寂しいものですね。戦闘機人と人造魔導師の違いはあれど、私達はお仲間のはずですのに』
「俺はお前達とも違う。一度は死に、再び土に還るまでの僅かな時間を生きているだけの、――ただの死者だ」
『……ルーテシアお嬢様は先程検査と調整を終えました。時期そちらに戻られるはずです』
「そうか」
『どうかご自愛ください』
ゼストの体を気遣う言葉をかけ通信が終了すると同時に薬湯を入れたアギトが戻ってきた
「旦那、薬!」
「あぁ……」
差し出されたカップを受け取りゼストはそれをゆっくりと飲むのだった
時空管理局本局、時空航行艦船舶所
「はやて」
声をかけてきた相手を見てその男性の元に早足で駆け寄る
「ロッサ!ごめんな、お待たせや」
「流石のはやても、ちょっと元気ないかい?」
「うーん……まあそうやね」
笑顔の中に僅かな疲れを見逃さなかった男性――ヴェロッサ・アコーズ――の言葉にはやては肯定する
「ヴィヴィオやクーフーリンさんを攫われたのも大失態や、部隊員達も怪我させてもうたしな…そやけど、持ってかれたものは取り戻すし、今度は絶対ちゃんと守る」
自身の失態と不甲斐なさを嘆くはやて。しかしその目は力強く先を見すえている
「うん、落ち込んでもやる気は減ってないね。中々立派だ」
「夜天の主として、六課の部隊長として当然や」
ワシャワシャと頭を撫でるロッサにはやてはフンス!と胸を張る
「しかし、本気なのかい?はやてとクロノ君の頼みだから何とか許可は取ったけど」
そう言いながらロッサはガラスの向こうに停泊する1隻の船を見るとはやてもそれにつられて視線を船に移す
「隊員たちの住居や生活空間も含めて本部は絶対必要やし、今後の事を考えれば移動出来る本部の方がええ……アースラ、お休み前にもうちょっとだけ私達と一緒に頑張ってな」
かつて、なのは達を含め多くの思い出が残る船、アースラにはやては語りかけた
「ぅ、ぅぅ……アゥゥ…!」
ある部屋の一室、手術台のような台の上で手足と腰を拘束されたヴィヴィオがいた
「ハァーイ。お姫様、怖くないですよー」
「ヒッゥ!」
すると近くでモニターを操作していたクアットロが落ち着かせようと声をかけるもヴィヴィオは短い悲鳴を上げ暴れようとするも、拘束具によってビクともしない
「……バイタル安定、魔力安定よし。移植準備完了」
その横でディエチが作業を終える
「ありがと、ディエチちゃん。それにしても、ドクターとウーノ姉様遅いわねー。まだあの男の検査をしてるのかしら」
ンーと伸びをしながらクアットロが愚痴を言っているとまるで図ったかのようなタイミングでスカリエッティとウーノが部屋に入ってきた
「遅くなって済まないね2人とも」
「あらドクター、いえいえお気になさらず。どうでした?例の男の検査結果は」
オホホとわざとらしく笑うクアットロの質問にスカリエッティは満足そうな顔で答える
「素晴らしいの一言に尽きるね。リンカーコアこそ無かったが彼の身体能力はあの騎士ゼストを凌駕している。あれ程の肉体ならかつて作製した|強化外骨格<パワースーツ>にも耐えるだろう」
「ドクター、それは危険ではありませんか?あの装備は騎士ゼストですら持て余した代物です。あの男…クーフーリンに使いこなせるか……」
「なに、元々廃棄予定だった代物。せっかくの機会なんだ、使わない手はないだろう」
ウーノの指摘にスカリエッティはクーフーリンの体を気にする様子は見られない
「ぁぁ、イヤ…いやぁぁぁアアアーーー!!!」
すると突然、ヴィヴィオがウーノの持つ箱を見ると悲鳴を上げた
「お姫様、きっと分かってるのね。……これから自分がどうなるか」
「ママーーー!!ママーーー!!!」
「んふふ。泣いても叫んでもだーれも助けになんて来てくれませんよ?」
箱が開けられ中から現れたのは『VII』とプレートに刻印されたレリック
「うあああああああああああああ!!!アアアアアア!!!!」
「さあ…、始めようか。『聖王の器』に『王の印』を譲り渡す」
輝きを増すレリックをスカリエッティは手に取ると泣き叫ぶヴィヴィオに声をかける
「ヴィヴィオ。君は私の、最高傑作になるんだよ!」
「ママーーー!!!!!」
施設中に響き渡る声でヴィヴィオは大好きな|母親<なのは>に助けを求め続けた
アースラ艦内 作戦会議室
「地上本部による事件への対策は、残念ながら後手に回っています」
地上本部襲撃から1週間が経ち、壊滅した地上拠地からアースラへの移動も問題なく終わり。ミハルを含めなのはやフェイトなど手の空いた隊員たちによる今後の方針について話が行われていた
「地上本部だけでの調査の継続を強硬に主張し、本局の介入を固く拒んでいます…よって、本局からの戦力投入はまだ行わません。同様に、本局所属である機動六課にも操作情報は公開されません」
「そやけどな、私達が追うのはテロ事件でも、その主犯格であるジェイル・スカリエッティでもない」
この1週間における地上本部の対応をグリフィスが説明にはやてが言葉を続ける
「ロストロギア、レリック。その捜査線上にスカリエッティとその一味がおるだけ…そうゆう方向や」
「あぁ、なるほど。表向きはあくまでもロストロギアの回収。もし本部が文句言ってきてもこっちは表向きの言い訳ができる訳か」
はやての考えを理解したミハルは納得する
「そや。で、その過程で誘拐されたなのは隊長とフェイト隊長の保護児童ヴィヴィオとミハル陸曹の知人である民間人、クーフーリンの捜索・救出、そうゆう線で動いていく。両隊長、意見があれば」
「…理想の状況だけど、また無茶してない?」
「大丈夫?」
質問を促された2人は部隊の方針よりもはやての心配をする
「後見人の皆さんの黙認と協力はちゃんと固めてあるよ、大丈夫。何より、こんな時の為の機動六課や、ここで動けな部隊を起こした意味が無い」
「…了解」
「なら、方針に依存はありません」
「うん。……なら次は、ミハル陸曹に話してもらう事があります」
『………』
僅かに緩んだ会議室の空気が再び静まり返る。その状況に内心ため息をつきながらミハルは椅子から立ち上がる
「……それじゃあ、説明するか。ランサー」
<Yes,sir>
ミハルの指示に従いランサーがいくつかのウィンドウを空中に表示させる
「とりあえず、ここにいるメンバーだけでなく管理局全体で流れてる噂のについて答えるか――――俺と今回の事件の首謀者、ジェイル・スカリエッティは、ほぼ間違いなく親子だ」
『……………』
先程よりも長い沈黙が続く
「ほぼ。と言ったのは明確な証拠がないからだ。まず1つ目、コレは昔、師匠から渡された俺の両親の指輪だ。指輪の裏側には2人の名前のイニシャル、S.Cと… J.Sの文字が刻印されている」
「でもそれやと、スカリエッティとミハ兄の父親のイニシャルがたまたま一緒やった可能性もある。もしそうやとしても、スカリエッティが何で管理外世界にいるんや?」
ミハルの説明にはやてから疑問が投げかけられる。ミハルは無言で頷くと話を続ける
「次に2つ目だ…これを見てくれ。スカリエッティが関与、又は直接関わったと見られる事件過去三十年にかけてグラフ化したものだ」
説明に合わせるようにミハルが1枚の画面が大きく表示される
「すごい数ですね、20件近い年まで…」
「…あれ?でも、51年から54年は何も事件を起こしてませんね」
年間毎に分けられた棒グラフを見て驚くキャロ。するとティアナが明らかに穴の出来た年代に気づく
「そう。約25年前、スカリエッティは当時行っていた研究、人と機械の融合技術を管理局に摘発され煙に巻くように姿を消し、―――そしてこの潜伏していた時期に俺は産まれている」
「管理局の捜査網から逃れるたために管理外世界に逃亡……うん。一応話の筋は通るな」
顔を険しくしながらも納得するはやて。他のメンバーも程度の差はあるが、頷く等の反応を見せる
「そして最後、1週間前のスカリエッティ本人による発言。もし仮に管理局の動揺が狙いなら、俺じゃなくレジアス中将クラスの局員の後暗い事を匂わせればいい。…これで俺からの説明は以上」
「あ、あの……」
説明が終わり席に座り直すミハルにキャロが恐る恐るといった様子で手を挙げる
「ミハルさんは気にならないんですか。本当にスカリエッティが自分のお父さんだったらって……」
キャロの質問にミハルは右手を握りしめ、開かれた左手に打ち込み、乾いた音が会議室に鳴る
「簡単さ、父親なら息子として止める。違うなら次元犯罪者として捕まえる。――どっちにしろやる事は変わらない」
そう答え、小さく笑うミハルを見て会議室にいた全員が僅かながら胸の内に秘めていた『もしかしたら』といった不安が消えていく
「よし、ほんなら会議は終了。捜査・出動は本日中の予定や、万全の体制で出動命令を待っててな」
『はい!』
はやてがそう締めくくり席を立つと他のメンバーも立ち上がり部屋を後にした
数刻後
アースラ内で割り当てられた一室でミハルは瞑想していた
<マスター、時間です>
「……………スっー、フーーー。ありがとうランサー」
設定していた時間を告げられ瞑想を終えたミハルの感謝の言葉を受け取るランサー
<やはり、不安はありますか?>
その質問にミハルは目の前の机に置かれた1週間前、クレオパトラから渡された物を見る
「無いといえば嘘になるが、大丈夫だ」
そう答えながらソレを手に取り答える
「メリットもデメリットも自分が1番わかってる。使い所は間違えないさ」
<なら問題ありません。私はマスターを全力でサポートするだけです>
「頼りにしてるぜ相棒」
話を終えミハルが手に取ったアイテムを胸ポケットに入れるとアースラ艦内で緊急事態のアラームが鳴り響く
「動いたか…行くぞランサー!」
<Yes,sir>
その音を聞き、今一度覚悟を決めたミハルは部屋を出て廊下をかけ向けて行った