海賊の海兵【完結】   作:恋音

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変わらぬ今と変えた過去。

 人探しをするゾロとナミ、2人は目撃証言を集めながら海軍支部を回り、ルフィの居場所を探していた。

 

「あ〜〜〜…見つからない」

「支部の海兵だって事しか分からねぇもんな…」

 

 ナミはお礼を、ゾロは指南を。お互いの利害が一致しており、行動を共にしている。

 彼らはとある島の飯屋にて大きなため息を吐いていた。

 

東の海(イーストブルー)だけでも広いってのに…、船はオンボロだし、相方は無自覚方向音痴だし、情報手に入らないし、いつの間にか賞金稼ぎになっちゃってるし…」

「仕方ねぇだろ、手っ取り早く金稼ぐにはこれが1番だったんだからよ」

「そのお金を酒に溶かしたアンタに稼ぐとか言われたくないわね!」

「酒に溶かす…」

 

 お前も飲んでたじゃねぇか、と言いたかったがそれなりに長い仲である相方の性格は把握していた。ゾロはそっと言いたいことを飲み込んで、不機嫌そうなナミを呆れた目で見るだけにした。

 

「泥棒やめて体がだいぶ鈍ってたわね…、久しぶりの戦闘に手間取っちゃった」

 

 先日あった海賊との1戦でナミはゾロより軽いが怪我を負っていた。利き手に巻き付けた包帯をそっと擦る。

 

「なんだ、お前って泥棒してたのか。まさか、自首しに探すのか?」

「馬鹿ね……証拠が無ければ犯罪にならないの。そんなヘマしてる訳ないじゃない」

「つまり、捕まる気は無い、と」

「そうとも言うわね」

 

 当然でしょう、と言いたげな表情のナミにゾロは再びため息を落とし、話題を変えた。

 

「次はどこに行くつもりだ?」

「他の支部を経由しながらローグタウンに向かうのが1番いいんじゃない?」

「ローグタウン?」

「ほら、アイツって海賊の海兵って言ってたじゃない」

「おう」

「だから海賊王の処刑場があるローグタウンに何か情報が無いかな〜って」

「はぁ〜…お前も考えてたんだなぁ〜」

 

 逆にゾロは無計画だった様で、感心した声を上げた。ゾロは海賊の海兵だと事前情報が無かった為、印象に残ってないのだろう。残っている印象といえば、麦わらの帽子に強い威圧感。

 そして脆そうな心だった。

 

「海賊の海兵?」

 

 突然、男の声が聞こえた。

 

「知ってるのか?」

「いいや、知らねぇ。悪ぃな、勝手に話聞いちまった」

「別に聞かれて困る話をしてる訳じゃ無いから大丈夫、安心して」

「そっか」

 

 隣のテーブルに座っていたのだろう、同年代の男が軽快な笑みを浮かべている。

 2人も邪険に扱う事無く、男はニッコリと笑う。

 

「にしても変わった海兵がいるもんだな」

「でしょう?」

「俺の親父は海賊なんだけどよ、そんな海兵がいるのは想像してなかった。元海兵で海賊〜、とか海兵だけど海賊になってる〜、とかなら有りそうだけど」

「…海兵の海賊ってスパイじゃない」

 

 男は2人の空いた席に座り話を再開する。

 

「元海賊の海兵とか?」

「ありそうだけど、海賊って名乗ってた」

「それってなんとか武海って事じゃねぇか?」

「なんとか武海ってのが何か分からないけど、海兵の制服は着てたわよ?」

 

 コミュニケーション能力が高いであろう男は、スルスルと話に聞き入り、加わる。ナミも男の気持ちの良い調子に楽しそうに話していた。

 

「なんとか武海って七武海の事か?」

 

 ゾロが首を傾げながら男に聞くと、男はそれだ!と思い出し指をさした。

 

「七武海?」

 

 ナミはあまり聞かない単語に頭を捻る。

 

「政府公認の7人の海賊だ。政府の狗って言われてたりするが強い」

「やけに詳しいわね」

 

 1年共に航海してきたが、ゾロという男はハッキリ言って馬鹿だ。しかしナミの知らない事を述べたゾロに驚いてしまったのだ。

 驚いた視線に、失礼な話だと不服そうにしながらも、ゾロは己の夢について話をする。

 

「七武海の鷹の目ミホーク、そいつは世界一の大剣豪って言われてるんだ」

「ヘェ、それで、憧れているの?」

「いいや、憧れているのは海賊の海兵だ。鷹の目は俺の目標。いつか倒して、俺は世界一の大剣豪になる」

「男って馬鹿ね…せいぜい頑張りなさいよ」

 

 七武海の話に一区切りが着くと、男は最初から疑問に思っていたことを口にした。

 

「この村って何も無いけどさ、なんで来たんだ?」

「その海賊の海兵を探しに。でもここは支部も無いし、食料調達が主ね」

「それと旅してる中で小舟が結構ボロになっちまってよ…修理か新しい船を手に入れる為に寄ったってわけだ」

 

 先日の1戦では賞金首が居たものの宝しか手に入っていない。そんな事を思いながら話すと男は一つ提案を上げた。

 

「俺の働いてる所に1隻船があるんだ、頼んでみようか?」

「いいの!?」

「おう。だけどさ、ちょっと交換条件」

 

 鼻の長い男はニヤリと笑って告げる。

 

「海賊の海兵ってのに興味が湧いたから、俺も一緒に行ってもいいか?」

 

 ナミとゾロは2人して目を見開いた。

 

 

 

 ==========

 

 

 

 それは約十数年前の話。

 

 1人の少年は雷になった。

 

 

 ──そして思い出したのだ。

 

「私は故郷(ビルカ)を捨てた、いや、踏み台にした」

 

 かつてビルカが故郷(つき)を捨てたように。

 

 自分は数年後、この手でビルカを滅ぼしたのだ。そして正真正銘この地の長、神となった。

 

 父も母も殺して。

 

 未来の話をしているはずなのに過去形になる可笑しさに口角をニタリと上げた。

 

「嗚呼…!私は蘇った!この、美しく醜い雲の大地に!」

 

 月の浮かぶ深い夜。

 限りない大地(フェアリーヴァース)を見上げながらエネルは高笑いをする。両親の死に様を見届けた時の様に。

 

「エネル?どうしたの?」

「……なんでも無い、気にするな。ただ、長い長い夢から目覚めただけだ」

 

 起こしてしまった女性に笑いかける。

 ただそれだけなのに、彼女はエネルに対して恐怖を覚えた。チグハグなまでの様子に。

 

「慢心などしないさ、能力にかまけるバカとは違う。そうだ、此度は力を手に入れようでは無いか。この狭い空で神になれど…──」

 

 ──虚しいだけだ。

 

「……、何を馬鹿な」

 

 口で馬鹿にしても、心は求めていた。

 拳でぶつかり合う、争いの日々を。白い海で出会い、青い海で生きた麦わらの小僧を。

 

「愚かなり」

 

 きっと、出逢うだろう。

 それが運命ならば。

 

 




人探しチームがとある青年を仲間にした今。
エネルが変えた空島の過去。

決して優しさではない、神として他人を管理する暇があるのなら青海で大暴れするために力溜めてやろうっていうねちっこい判断。やだ、ハイスペックが本気を出した。

ナミさんお誕生日おめでとう。人探しチームを頑張って引っ張って。ナミさん記念で評価押して行って下さい(ちゃっかり)
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