最悪の世代。
そう呼ばれる存在が遂にシャボンディ諸島に集まった。9人の超新星、億越えの新米海賊。
彼らは追われる者として最低でも3日間は諸島に滞在しなければならない。
諸島全体がピリピリとした空気に包まれる。
同時期に天竜人の来訪。ヘタをしてしまえば海軍大将が飛んでくる。
そして最近頭角を現し始めた6人組の有名な賞金稼ぎ一味も上陸していた。
しかし、諸島に集った無法者にとって何よりも不運な事がある。
「改めてだけど、よく来たな!赤犬に白ひげのおっさん!」
その日、シャボンディ諸島13番
「うじゃうじゃいるな」
「居るな」
「手応えのある奴ばかりだ」
「ハッハッハッ!」
4人は声を揃えてシャボンディ諸島の様子を伺う。牙を研ぎ始めた獣の存在に特に変わった点は無い。強いて言うなら、ルフィやゾロが道を違えた事によって頭数に入っていない事だろう。
不運な無法者達は知らない。
四皇の一角である白ひげが訪れるついでに革命軍の主戦力も連れてきた事。
赤犬という大将が在中している事。
そして海賊支部という異質な場所に、異例の強さを持った将校が居る事を。
「しっかし……こうも4人が揃うと色んな意味で威圧感が凄いな……」
「元は全員敵同士、まー仕方ねェと思うけどな」
「白ひげは立場的に少しは自重せねばならんと思うがのォ、敗北者」
「マグマの男は細かい事を気にし過ぎだ…」
決して仲は良くない。
超人系の2人がフレンドリーだからこそ円卓を囲む事が出来る。
4人は支部の前でそれぞれ椅子に座り顔を突き合せていた。
ルフィと交流を測りたかったエースやサボも流石にこのメンツには苦笑いをして距離を置く。
海賊支部のメンバーは白ひげ海賊団のクルーと交流を図る羽目になるという、異様な経験を味わっていた。とても味わいたくない。
しかし唯一、モーガンは支部の壁にもたれかかって様子を見ている。
「これで少なくとも1人居るのか……」
「白ひげのおっさんは5人目の逆行者を知ってんだよな?」
「俺にとっちゃァ1人目だがな……」
ニューゲートは腕を組んで5人目の人間を思い出す。
「お前達の方が関わる手段があるだろう」
「「は?」」
その言葉にルフィとサカズキは声を揃えて驚いた。白ひげ海賊団に忍び込んだ人間が、まさか海軍と関わりのある人間だとは。
「サイファーポールか、海兵か、七武海か、国関連……は可能性が少ないな」
実力があると言えばこの辺りだろう。ニューゲートは答えを言うつもりが無いらしく、周囲の様子を探りながら酒を煽った。
「ん……?」
エネルが声を拾う。
雷に見聞色の覇気を混ぜ、盗聴したのだ。
今や範囲はシャボンディ諸島程度軽々覆える事が出来る。しかし耳が疲れるので普段はしない。
「ヤハハハ!冥王が怒り狂っておるぞ!」
「やっぱり気付くかー……まぁだろうな……」
ルフィは面子を見直して納得する。
見聞色の覇気を持っていれば、逆行者の強大な声は簡単に聞こえて来るだろう。
「それよりこれからの事で相談があるんだ」
「……随分と成長を見せるな」
「にっしっし!」
ルフィはチラリとモーガンを見て嬉しそうに歯を見せて笑う。それに釣られて3人はほんの少しだけ釣られて笑った。
サカズキは自分の味わった絶望を乗り越えられた事に。エネルはより一層進化する強敵に。ニューゲートは後の世に安心して。
「俺、考えたんだ…───」
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ナミは1番
「今をときめく賞金稼ぎの航海士!…──……」
彼女は今、人間オークションにいた。
自分の値段が着々と上がっていく空間で、首に取り付けられた爆弾をどう外そうかと悩む。
彼女達はシャボンディ諸島を知らなかった。何とか辿り着いたのは良いものも、ロビンでさえ島の基礎知識しか無い。
人攫いや人間オークションが多く存在する事や魚人の迫害。挙句、天竜人の驚異でさえも。
幸いな事に天竜人の件は喧嘩を売りかけたゾロを止めた女海賊に教えて貰い冷や汗をかいたが。
競りが始まり、中盤。彼女の値段がもう少しで決まる所だろう。
そんな時だ。
──ドガァンッ!
ナミの後ろ、丁度ステージの壁から巨大な爆発音と土煙と共に1人の老人が現れた。
「あのアホ共……戦争でも起こす気か……!」
首に爆弾が付いている辺り彼も商品だったようだ。しかし爆発する枷を無理矢理、目にも止まらぬ早業で除けてしまうと怒り狂った様子でステージを降りようとした。
「スマンが緊急事態だ、シャボンディどころか世界の命運を分ける。失礼するよ」
よく分からない言い訳を言いながら外に出ていく。突然の混乱に来客の天竜人は怒りを見せる。
「(ラッキー……!)」
ナミは司会から鍵をスると混乱に乗じて逃げ出した。残った商品に……人間に鍵を渡すのも忘れない。
「(こんな所で終われないのよッ!)」
もはや意地にも等しい『お礼』。それが1人の彼女を押し進める。
ルフィは一切関与していないが、彼の影響でまたしても守られたと知らないナミは嘆いていた不運など忘れて幸運に感謝した。
これからゾロ達の元へ向かうにしても、探し回っているであろう彼らの方向も分からない。現在地すら分からないのだ。仕方ない。
それでもナミは足を動かした。
……その時。
「そっちはダメだ」
「えっ」
ナミの手を不健康そうな男が掴んだ。
その姿に覚えはある。なまじ賞金稼ぎとして資金を調達していない。
〝死の外科医〟トラファルガー・ロー。
「は、離してッ」
「こっちだ……!」
抵抗しても力量は違う。呆気なくナミは手を引かれ逃げ出そうとしていた方向とは別の場所へと連れてこられた。
「……はァ、はァ」
「お前の行こうとしていた方向はシャボンディ諸島の海軍支部がある場所だ」
「かいっ、海賊、支部じゃなくて…?」
「は?そんなものこんな所にあるのか?」
「それっ、に!あたしは賞金稼ぎだから、特に問題無いんだけど……ッ!」
息も絶え絶えにナミが指摘をするとローは驚いた顔をしたまましばらく考えて視線を逸らした。
「……恰好から海賊かと思った」
「失礼ね!あんたさっきの人間オークションに居たでしょ!?私賞金稼ぎ一味として紹介されてたじゃないッ!」
「いや……聞いてるふりして寝てたから覚えてない……」
「船で寝なさいよ海賊!」
「頭痛が酷くて動けなかった」
「医者じゃないの!?」
ズキンと痛む頭を押さえるロー。ナミは彼の顰めた顔を見てそれが嘘では無いと知る。
「ナミーーッ!」
「あ!ウソップ!」
「無事だったか!いやぁ、良かった。アイツらもお前を探してるんだ!」
ナミの耳に聞きなれた声、そして視界には見慣れた姿が入り込んだ。
「って、げぇ!?トラファルガー!?」
「待ってウソップ、一応私を助けてくれたのよ」
「あ、なるほど……」
それにしても、とナミは口を開いた。
「なんで、助けてくれたの?」
「………なんとなく」
簡潔な答えを口に出すと、ローは2人を凝視して再び頭痛に苦しめられた。
「ちょっ、ちょっと!大丈夫なの!?」
「俺は医者だ……自分の身体に異常が無い事位分かっている……」
「じゃあお前、なんだって頭痛が」
「昔からだ。持病の発作、とでも思ってくれ」
フラリとローが体を傾けたが、慌ててウソップが支える。
……頭痛でこれはあまりにも異常だろう。自分達に船医は居ない。
「昔から、ずっと……」
ズキズキと頭を激しく突き回る『ナニカ』。
ローはナミとウソップを見てうっすら笑った。
「
そのままナミとウソップに背を向けて、ローは仲間達の元へ踵を返す。
未だにズキズキと痛む。
原因は分かっているんだ。この諸島に来ればナニカ分かる。
しかしそれと比例して頭痛が激しくなる。
何か、違う。ナニカと。
脳裏に浮かぶのは麦わら帽子の似合う笑顔。
「……俺は、お前は、誰だ」
世界に迷子が1人。
逆行者5人目は次回、そしてその次は(なんて表現したらいいのか分からない丸)人目。
沢山の評価ありがとうございます。楽しみにしてくれてるみたいなので頑張って予定通りに更新する為に、戒めとして更新予定時間をお知らせします。
4,6,9,11,13,15,17日になったすぐの0:00です(今は)
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