海賊の海兵【完結】   作:恋音

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てがみ

 

 

 ──前略

 

 

 お前ら元気か?ちゃんと冒険してるか?

 

 俺は元気だ!心配すんなよ!元気過ぎて迷惑だって怒られるくらい元気だ!

 

 でもお前ら俺の事大好きだからなー。言っても勝手に心配するだろうけど。

 

 

 俺さ、この世界で記憶を思い出して、赤犬に希望だって言われた時は戸惑った。だって俺は海賊で、そこは海軍だ。

 何とかなるかって、って海兵になって色んな事が変わって行った。

 『仲間』とそっくりな奴が居て、赤犬の言ってた孤独を理解したし、やっぱりお前らが居ないとダメだなって思ったよ。

 

 麦わらのルフィを助けてくれてありがとう。

 

 

 

 

 

 俺は今、シャボンディ諸島で中将をやってる。

 海賊支部って言うんだ、面白いだろ?

 

 ゾロは覚えてるかなー。モーガンって奴居ただろ?俺とお前が初めて出会った時のいけ好かない海兵!

 一緒に色んな所で色んな事やって、今ではそいつが俺の相棒だ。

 モーガンと言えばよ、アイツ凄いんだ!俺と同じ記憶のあるエネルと互角に戦えるようになってさ、すっげェ驚いた。

 

 

 今のお前ら。ゾロと、ナミと、ウソップと、サンジの4人は海賊支部に入って部下になった。

 仲間と重なって何も考えないようにしてたし無意識の内にお前らを求めてた。それを、アイツらに押し付けたんだ。本当に悪かったと思ってる。

 お前らにも、アイツらにも失礼だ。

 

 それからチョッパーは医者が必要だから迎えに行った。俺の『記憶』の事はほとんどが知っている事だから、疑問とかもなくてすぐ動いてくれたんだ。邪魔口はついでにぶっ飛ばした。赤犬とモーガンに叱られた。

 

 ロビンはクロコダイルの所にいる。20人位だったかな、冒険をしてるんだって。驚くだろ?

 なんと!そこにはビビとカルーも居るんだ!歴史はそいつ等と探すって。ボンちゃんとか3の奴とかもいるから『麦わらの一味』に負けないくらい楽しいと思う。良かったって、思ったよ。

 

 ブルックはラブーンと一緒に前半の海を旅して音楽家をしてる。海上ライブなんだ!チョッパーを連れて帰る途中のアラバスタで偶然出会って聞かせてもらった。やっぱりビンクスの酒は海賊の唄だよなぁー!ヨーホーヨーホー!

 

 あとさ。これ腹が立ったんだけど、赤犬が海軍の軍艦をフランキーに造らせてたんだ。赤犬が本部で使ってた軍艦とか、俺が海賊支部を作った時の軍艦とか。

 良い船だなーって言ったら「それお前の所に居た船大工の船だ」って。ほんっっっとムカつく!なんで赤犬の奴俺の喜ぶことをピンポイントでやるんだろうな!フランキーの船が乗りやすいに決まってるだろ!

 

 意外なことにジンベエはハンコックと仲良しなんだ。タイヨウの海賊団だから余計に話しやすいんだろう、って赤犬は言ってたけど、嫉妬した。ジンベエは!俺の仲間!……じゃ、ないけどさ。

 親友としてハンコックもこの世界で新しい関係を築くんだって。

 

 

 

 俺も色々変えた。

 あと色々やらかした。

 

 海賊支部は前半の海をメリー号で、後半の海をサニー号で渡ってるからどんな所にでも行ける。

 ナミに連れて行ってもらって、見たことある筈なのに全く違う見たことない景色を沢山見た!同じ所でも全然違うんだな!俺、感動した!

 

 勝手に動くなって海軍に怒られるけど、ウチは気にする人間の方が少ないから無駄だな。

 

 

 あ、1番怒られたのは四皇とのタイマンだな!

 やっぱり四皇ってのは強くてさ、まだまだ学ぶ事が沢山ある。

 あくまでもタイマンだから暇なエネルとかは幹部で我慢してるんだ。いっつもカタクリが嫌そうな顔をしてるよ。なかなかに名勝負だぞ、見聞色の達人同士って。

 

 面白いから、終わったら決まって皆で宴するんだ!色んな奴らが居てすっげー楽しいんだけどさァ、敵味方関係なく騒ぐと必ずモーガンがため息を吐く。失敬だよな。

 

 

 そう言えば黒ひげとも話したなァ。

 堂々とおっさんの首を狙ってるんだけど、トラ男が『がん』って病気を治しちまったから全然敵わないって言ってたよ。

 トラ男は許さないって。馬鹿だなーアイツ。

 

 

 トラ男は中途半端な記憶しか無いから『前』の記憶に困る事は無い。

 でもそれ以前にお人好しだから、ハンコックの背中治して気に入られたり、白ひげのおっさんの主治医になったり、赤犬もなんだかんだ利用してる。特に最悪の世代対策にな。

 ヴェルゴがトラ男とロシーを連れてドフラミンゴの所に奇襲を仕掛けて、七武海でも利用され始めたから……なんて言うか、どんまいって感じだな。

 

 ドフラミンゴは3人が説得して、王様辞めたって。でもアイツ頭良いからどっかで悪い事してると思うんだ。

 

 

 他にもまだまだあったんだ。

 魚人島の皆がシャボンディ諸島に引っ越して来たり、革命軍と協力して天竜人ってシステムぶっ壊したり。

 

 

 丁度その時赤犬は元帥になった。

 大将やるか?って誘われたんだけど、自由に出来ないからこのままで居る!って言ったら、俺の爺ちゃんみたいだって笑われた。

 なんだと!って返したけど、本当はちょっとだけ嬉しかったんだ。

 

 

 パワーバランス?って言うのが本格的に崩れて来て、海軍もそうなんだけど他の海賊が力を付けてきたんだ。

 だから新体制って事でその頃から七武海は無くなったんだけど、その代わりに似てるけど少し違う海賊隊って言うのが出来た。

 赤犬の奴さー、俺に全部押し付けて来てよー。

 

 コビーやロシー、それとフルボディが先立ってまとめてくれてるんだけど、一癖も二癖もあるから頭抱えてるよ。

 あ、旧七武海が率先して入ってくれたから良い方だって。世間で気難しいって言われてるらしい砂ワニとかハンコックとか、あとモリアとか。だからかな、なんかすげぇいっぱい居すぎてビックリした。

 

 見たことあるやつも知らないやつも、ノルマとダメな事、あと約束とかそこら辺を決めてようやく完成したんだ。

 

 

 俺の生きる、新しい世界。

 

 

 「今」の事ばっかり話して悪ィな。

 でも俺、この世界に生まれて生きて、沢山悩んで沢山泣いて。それでアイツらと向き合ってようやく『世界』と決別出来た。

 

 今の俺が生きるのはこの世界だ、って。

 

 なんか違うなって思ったり、ふとした時思い出す事はある。でも忘れたり捨てたりしねェ。

 

 「今」も『前』も俺を作った大事な物だから。

 

 皆と一緒に大事にして行こうと思う。

 

 

 俺が愛した、青いキレイな世界を!

 

 

 

 

 ==========

 

 

 

 

 

 

 

「……──ルフィ! 出るぞ!」

 

 男の声が聞こえる。

 海に愛される実を食べた、王の名を呼ぶ声だ。

 

「おーう…!」

 

 王は返事をすると先程書き上がった手紙を海へと投げた。海水を染み込ませながら手紙は海の底へと消えていく。

 昔見た、懐かしい夢で逢えた仲間の様に。

 

「……ん?」

 

 ふと甲板に置かれた古びた樽を見つける。

 変哲の無い物だったが、懐かしい気持ちに満たされた心は自然と体を動かせる。

 

 王は樽に足を置いた。

 優しい潮風が頬を撫でる。

 

 

 彼の目に、脳裏に写る光景。

 それは『過去』か「今」か、それとも───。

 

 

「始まりはあの日、俺は…─────ッ!」

 

 

 

 

 

 心に残る記憶はとても大事な思い出。

 

 

 『仲間』じゃないけど守りたい者、『友達』だけど新しい関係を。同じ記憶を共有するのはかつての『敵』や今の友。

 

 

 少年はいつの日からか青年に変わる。

 一線引いて遠くから眺めていた世界は、いつの間にか手を伸ばせば届く距離にあった。

 

 

 羊船は波をその身に浴び、海を走る。

 

「船長、不幸は終わり(バッドエンド)だよ!」

 

 誰にも聞こえない呟きは、風となり、船を世界を包み込む。

 

 少しずつ、世界は巡る。

 

「────出航ッ!」

 

 

 海賊の海兵と名乗る男は、今日も海の上で麦わら帽子と自由のコートをなびかせ、笑った。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

──完──




【00:00】

2019.2/17(全45話)
『海賊の海兵』完結致しました。

駆け足になりましたが計画していた最終話を1周年という記念すべき日に迎えられて良かったと思っています。
評価、お気に入り、誤字報告、感想等、本当に沢山の方に頂き嬉しい限りです。本当にありがとうございます。
え?誤字報告は不要にしろ?……うん、無理かな。

余韻もクソも無くなる後書きにしようと思いましたが辞めようと思いました、が、無理でしたね。


さて、今回無理矢理すぎるバッドエンドにした理由。
私の様な二次小説作者として、原作は神です。特にこの海賊の海兵というのは『前=原作』を重要視した作品になっております。どうしても、原作を『苦』と捉えて変えた世界がハッピーエンドってそりゃないでしょう!と思いまして。幸せなバッドエンドという名前だけのエンドが決まりました。私のエゴですごめんなさい。後悔はしない。

終わらないで!というお声を頂いて本当に嬉しいです。ですがどうしても最終話のサブタイトル的に話数を増やせない理由がありまして……目敏い方は気付いてるかも知れませんね。ヒントはカウントダウンです。(節子、これ答えじゃないんやで、あくまでもヒントなんやで)

あとがきの終わり方が分からない(切実)
1年間本当に楽しかったです。海賊の海兵は本当に終わってしまいましたが良ければ恋音の創作意欲というか暴走にお付き合いください。

☆恋音先生の次回作にご期待ください──!
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