ハーマイオニーの秘密〜17年目のレリオーサ   作:YM

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第5話

(全ての物語を語り終えた後、ハーマイオニーは胸ポケットに入っていたハンカチを取り出し、それで頰を拭った)

 

これで分かってくれたでしょ?あの悪名高きドラゴマルフォイ、いやマルフォイ兄さんがどんな人間、魔法使いだって事が。こんなに悲しくて胸が傷む話をしたのは久しぶりね。視聴者の皆んなはそれじゃあ何故マルフォイ兄さんがあんな風になってしまったのか?そう思うわよね。記憶を失った私が目を開けると、優しそうな老夫婦が私を見ていたの。とても心配そうに。部屋は汚かったけど、その瞳がマルフォイ兄さんを思わせて、私は思わず叫んだわ。マルフォイ兄さんはどこ?と。けれど老夫婦は力なく首を振るばかりで。後で聞いた話だけど、あの白仮面の計らいにより私は田舎のマグル一家の里子となり、肝心の兄さんもマルフォイ家で目が覚めたらしい。けれど、ホグワーツで初めて再会し、私は言葉を失ってしまったわ。あの私を抱きしめてくれた優しかった兄さんはそこにはいなかった。宿命のライバルのハリーを睨め付けるその瞳。私は愕然としたわ。勿論親友達には愚か他の誰かに相談できるわけでもなく、私は一人苦しんだ。そして思い出したの。私が気を失う前にあの男が言っていた言葉。"不完全な術である故不完全な結果も否めないと"あの時はその意味すら理解できなかったけど、全くの別人になってしまった兄さんをみて私は分かった。闇魔法。禁じられた魔法を無理やりに掛けてしまったせいで兄さんが、私の愛する大切な人に何らかの"支障"が出てしまった事を。でも私は諦めなかった。もう前の暗闇とダチだった私とは違うの。魔法学校に入学した私は、ハリー達とそれなりの冒険をする中、闇組織の一員としても成果を出し、その傍ら兄さんを元に戻す魔術の研究に没頭した。目まぐるしい毎日だったけど、今となっては私のいい思い出よ。あの時ほんの11才だったけど、幸か不幸か記憶がなくなるまでのそれを鮮明に覚えているわ。ホグワーツへ入学してからも毎日のようにあの稲妻の夢をみて、うなされる事も少なくなかった。いっそ忘れてしまえれば。そう思う事もなかったわけじゃない。けれどあの時の記憶が辛い時の私を支えてくれる事もある。全ての記憶を失うぐらいなら、兄さんとの大切な思い出を消し去るぐらいなら、私は嫌な記憶も引き受ける事にしたのの。そして何よりも、私が闇組織の一員としてホグワーツに潜り込んだわけだけど、ふふ、気付いたらその悪を退治する側に回っていて、当時堅物だった私を支えてくれた二人の親友。額に刺青の入った魔法会の重鎮ハリーポッターと赤毛で気の利かない、だけどアホでトンデモナイ事をしでかしてくれるロン。ほら、あのシーンを覚えてる?校庭でシーカの箒を片手にグリフィンドール生とスリザリン生が睨み合うシーン。あの時はホントウに鳥肌ものだったわ。大好きだった兄さんに最低最悪の一言を吐かれ、普段は冴えないロンが落ち込んでいる私の為に仕返ししてくれた。ナメクジくらえ?だっけ。何だか言葉にするにも恥ずかしい呪文だけど、でも私はその時ほどロンの優しさを知らされた事はないわ。え?じゃあロンとマルフォイどちらの肩を持つかって?そんな卑怯な質問しないで。意地悪な子は私は嫌いよ?マルフォイ兄さんもロンも私のいや、ハリーポッターシリーズにおける重要な人?なんだから。え?答えになってないって。これ以上はお預けよ。そしてとうとうこの日がやって来た。シリーズでのわたしの苦労が実り、やっと、私は見つけた。兄さんを治す魔法を。その時、唐突にドアがノックされた。

 

「ハーマイオニーいる?アイツが来たよ」

 

親友の二人には

魔術の解かれた兄さんがまだ許せないのか、ロンはそう怒った声で言った。

私はドアを開け、いつもの目に痛い鮮やかな赤髪を認めた。

 

「ほんとうにアイツに会うのかよ?」

 

「当たり前じゃない。彼は私の本当の兄さんなんだから」

 

先ほどその驚愕の真実を知らされ、落ち着きを保っているハリーとは裏腹にざわつくロン。

 

「本当に兄さんになんだよな?いざ顔を合わせて、兄さんじゃなくなったりしないよな?」

 

いつまで経っても子供のように念を押すロンを諭した。

 

「何を心配してるの。ロンこそハーマイオニー以外の女はいないってここで証明してくれる?」

 

「はぁ?」

 

間抜けズラのロンを置いて、私は階下と続く階段の手すりに手を掛けた。一階からハリーと打ち解けたように話す誰かの声がした。この声は。私の全ての臓器が浮き立つ一方で、心が一層引き締まった。私は一歩一歩階段を降り、兄さんの元へ近づいていった。緊張のし過ぎで足がもつれた。そのまま階下に真っ逆さまだったはずなのに、私は誰かに受け止められた。あの時、翼なきモノを庇ってくれた大きくて温かい体を思い出した。けれど、今私の目の前にいるのは。

 

「ハーミーただいま」

 

間違いない。その優しくて温かな瞳は私の兄さん。マルフォイ兄さんだ。

 

「おかえり、兄さん」

 

私はそのまま兄さんの深く穏やかな瞳に吸い込まれていった。

 

 

 

 

 

 

 

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