転入してきた心閉ざした系エスパー女子がオタク文化によって逞しく成長している件について 作:かんろ
突然ですが私は超能力者です。
・・・いやまぁ、こんなことを言っていたら何言ってんだこいつ?と思われても仕方がないことかもしれないけど、私は本当に超能力者だよ?
スプーン曲げや透視なんて出来るし、人の心だって読める。人を浮かすことだって出来る。
いろいろな超能力が使える万能超能力者なのです!
そんな超能力者な私ですが、これでも昔は心を閉ざしてた系の超能力者だった時期があります。
だって・・・ねぇ?
机の上に気持ち悪いとか死ねとか書かれてることをみていたり、クラスメイトの皆がひそひそ声で私を気味悪がったり(心読めるから声丸聞こえ)
そんな生活をひたすら繰り返して見てよ?誰だって心折れるし
心閉ざした系の人にならない?
まぁ、今はそんなことなくて逆に超能力を有効活用してるのだけど
え?心閉ざした系の超能力者だった私が超能力を活用しているのならどんな超能力者なのかって?
全員に復讐系?ノンノン、そんなのさらにハブられておしまいじゃない。
実は裏組織に雇われている超能力者?・・・厨二病はそこそこにした方がいいわよ?
なら私はどんな超能力者になったかって?
ふっふっふっ・・・私はオタク趣味に全振りしているオタクエスパーなのです!
ここまでこの高校に私のエスパーを浸透させるのは苦労したのよ?
心を読む能力で困っている人を解決しながら私という存在を皆に認めさせ、気持ち悪いという輩には徹底抗戦してだまらさせ、先生には私という存在がいかに便利なのかをアピールしまくったのよ?
え?どう聞いても心閉ざした系の超能力者だったように見えない?ただの変人超能力者?
・・・そうよねぇ、私自身も信じられないもの。私を見てくれる人はいない、私は世界から認められてないってずっっっと殻にこもっていたあの時の私から考えられると。
ならどうしてそこまで変われたか、それは・・・
めちゃくちゃ失礼な男の子がきっかけで私は変わっていったのです。
今では感謝してるんだけどね、その失礼な男の子のおかげで私はここまで変わることができたんだから・・・
あれは一年前、私がこの高校に転校してたころだったわ。
超能力者のせいで転勤を繰り返して、気持ち悪いと言われて避けられていた私はクラスの人達に何を言われてもひたすら耳を貸さなかった。
『ねぇ、超能力見せてよー』 『スプーン曲げできるって本当か!?』 『けど超能力で転勤してきたんでしょー?もしかしたら悪い噂とかあるんじゃない?』 『ふん!超能力なんてそんな非科学的もの私は信じない!どうせ口だけの何かだろう』
「(なんとでもいえばいい。私は貴方達に関わらない。関わったら私は不幸になる)」
当時はそんなことを思いながら暗い顔をしていたわ。そしたらね・・・
『人生損してるなー、いや絶対人生損してるよ』
なんていう声が響いてきたのよ?
はっ?と思いながら周りを見渡すとね、眼鏡をかけた男の子から聞こえたのよ
その男の子から響く声は止まらなくて
『超能力だぜ?それがあればテスト見放題じゃん、悪巧みし放題じゃん、だから損のない人生を送ってほしいなー』
なんて響いてきたの、それを聞いた瞬間。私の怒りはすぐにでてきたわ
私の悲しみをしらないで、私の苦しみをしらないで、そんなことを考えるなんて・・・!
そう思ったらいつの間にかその男の子にグーパンしていたわ。
けどそのグーパンした男の子、困惑しながら『え?わたくし貴方に何かしましたか?』なんて顔をするものだから、腹が立って仕方がなくって
関わらないって決めたのについ
『私のことも知らないでそんなこと考えないで!』っていったの
その男の子とこれ以上顔も合わせたくなかった私は教室の外に飛び出したわ
その日?家で一日中泣いたわよ、私の深淵に土足で入り込んだのよ?可哀想だと思わない?
けど、その男の子とはそれで終わらなかった。
むしろここから私とその男の子の因縁が始まったわ
一日中泣いて、学校に来た次の日にその男の子から
『おい!グーパンエスパー女子!!お前は人生を損している!!』
そんな言葉、というか念波が響いてきたの。
そしたらその男の子があるアニメではこんな職業があった、あるゲームでは、こんなカッコいい理由があった。ある小説ではこんな人生があったって、私に人生を損している理由を言い出したのよ。
正直、うざいことこの上なかったわ。しかもどれもこれも前にゲームだとアニメだと小説だととついていたから現実感全くなかったし。
どれもこれも二次元だからバカらしいわってその時返したいたわ。
・・・タイムマシンがあったらその時の私をボコボコにしたいわ。
ゲームやアニメ、小説を馬鹿にするなんて絶許案件。
まぁ、その男の子もエスパーも充分二次元だろと憤慨していたのだけど
けどその男の子めちゃくちゃタフだったのよ、こうやって冷たく返したのに諦めずにゲームやアニメ、小説を引用しながら私に人生損してる念波を送り続けたの。
その念派を送り続けたのは夏休み近くなっても続けていてね。いい加減に終わらせたかった私はその男の子に提案をしたの。
貴方がいうゲームやアニメを見せなさいってね。
男の子はその提案をした瞬間大喜びしていたわ。私にゲームやアニメの素晴らしさを教えることができる瞬間が来たって、私を絶対に喜ばせてやるってね
無駄なことだと思ったわ、私はずっと苦しんできた、悲しんできた。だから喜ぶこと、感動することなんてないってね。
結果?・・・今のオタクエスパーっぷりの私を見れば一目瞭然じゃない。
堕ちたわ、男の子が紹介した最初のアニメですぐに堕ちたわ。
最初は興味なさげに見てたけど、途中から興奮し始めて最後には号泣したわ
そうしたらその男の子がその私を沼に落とす一言を言ったのよ。
『これ、原作がゲームなんだけど・・・やる?』ってね。
すぐにやりたいっていったわ、男の子が用意したらすぐに夢中でプレイしたわ
そのゲームも面白くて、感動して。すぐに次のゲームやアニメ、小説を見たいってせがんでいたの。
あれ?今思い出すと、あの時私に対してちょろいっていっていたような・・・
まぁいいわ。そこから私は男の子にせがんで色んなアニメやゲーム、小説とかのオタク文化を見始めたわ。
やりたいことが出来るというか、心を閉ざしていて何も見なかった私はオタク文化はとても魅力的で、のめり込んでいった。
私と彼の念派会話は損をしているという話からどんなゲームを見た、どんなアニメや小説を見たという会話になり。
時間が過ぎて秋の頃には私の方が幅広く手を出すようになって。
冬になった頃には自分で作りたいと思って我慢しきれなくなり、プログラミングや絵描きを始めたわ。
「そして、春。このオタク部の成立にいたるわけなのよ」
「ぶちょーながっ!?オタク部成立までのスピーチながっ!?しかもスピーチなのに最初が重すぎる!!もっと気楽にしてきださいよ、ぶちょー!」
「そうは言ってもね、副部長。貴方と私の関係を語るにはこれくらいあったほうがいいと思うのよ」
「しかも俺とぶちょーの関係の話だった!?・・・それ、部員が集まってぶちょーがどうして転身したのかを聞いてから話しましょうよ〜。とりあえずスピーチ原稿はやり直しですよ」
「あら残念。だったら副部長、部長命令です。私と一緒にスピーチ原稿を作成しなさい」
「はいはい、わかりましたよぶちょー」
そんな感じで私が部長、男の子が副部長としてオタク部をすることを目指している。
きっかけは最悪だったけど、副部長の意地が私をここまで変えてくれた。そこにはもう感謝しなかない。
私はもう苦しんでも悲しんでもそれがずっと続くことはない。だって素晴らしい物を私は知っているのだから
「あ、そだ。ぶちょー、やり直す前の原稿。どうせですしタイトル付けときましょ、タイトル。印象深い方が見つけやすいでしょ」
「タイトル、タイトルねぇ・・・だったらこれとかどう?
オタク部は入部を待っています