試験も終わり命日の土曜に俺は友美の墓参りに行った。恭介が一緒じゃないのは恋人の俺だけで行ったほうが天国の友美も喜ぶだろうとのことだった。お墓の前で友美の両親に会った。
「おお、礼二君じゃないか。友美の為にすまないね。」
「いえ、俺は俺の意志で来ただけです。それに友美には思い出をたくさんもらったのでこれくらいはしたいので。」
「そうかい。では私たちは墓参りが済んだから行くよ。恋人と二人きりの時間も必要だろうからね。」
「すみません。」
俺は線香と花を供えて拝んだ。
「友美。俺に好きな人ができた。けれどそれはお前に対して失礼なんじゃないかと思うと何もできない。それにお前の事を忘れなくてはならないのかという不安にも襲われる。俺はどうすればいいんだ?」
「終わったか?」
「ああ。待たせたな。恭介。それじゃあ俺は行くぜ。」
「ああ。また学校でな。」
そして翌週月曜日
授業は聞いているが休み時間になると友美の事が脳裏を常によぎっていた。そして昼休みになった。
「どうしたの九条君?顔が怖いよ?何かあったの?」
「白鳥か。ああ少し悩み事があってな。」
「悩み事?私で良ければ力になるよ?」
「助かる。その悩み事が「恋の悩みね。」そうなんだよってえ?」
「あ、先輩。」
「白鳥。この人は?」
「あ、九条君は初めてだよね。紹介するよ。合唱部の先輩の有栖川先輩。他人の恋の話が大好きでいつも探している先輩。」
「初めまして。詩織ちゃんの先輩の有栖川小枝子です。君の名前は?」
「九条礼二です。」
「礼二君。もしよかったら放課後音楽室に来て。そこで相談に乗るわ。」
「…。」
「九条君。有栖川先輩は何があっても聞きに来るから諦めたほうがいいよ。」
「わかりました。それじゃあ音楽室で。」
「そういえば礼二君は軽音部よね?真人君と靖君にも伝えておくね。君が今日は遅れるって。」
そして放課後音楽室にやってきた。
「礼二君来てくれたんだね。それじゃあそこに座って。」
「はい。」
「まずは状況から聞くね。」
「まず去年の二日前まで俺には恋人がいました。しかしその恋人はその日に病で亡くなりました。そしてこの学校に入学して俺に積極的にアピールしている子がいましてその子の事をだんだん好きになっていきました。しかし好きなったとしても付き合ったりしたら病で死んでいった彼女の事を忘れていってしまわないか。ということや彼女に対して失礼じゃないのかという思いに駆られるんです。俺はどうすればいいんですか?」
「礼二君。君にはすごくつらい過去があったんだね。けれど思い続けてもその子は戻ってくるの?」
「それは…。」
「戻ってこないよね?それなら礼二君にできることは一つ。何だと思う?」
「…わかりません。」
「前を向いて歩いていくことよ。もちろん死別してしまった礼二君の彼女さんのことも胸にとどめてね。そして新たな恋を始めていけばいいと思うの。」
「けど俺なんかにそんなことできる気がしません。」
「大丈夫。礼二君は心が強い子だから。それだけ思いが強い子ならきっとできるわ。きっといた彼女さんのことは忘れないと思う。だから頑張って一歩ずつ歩いて行って。」
「くっ。」
「泣きたいなら好きなだけ泣いて。涙は心を浄化してくれるから。男の子だって泣きたいときは泣いたっていいんだよ。」
「うああああああああああ!」
俺は周りを気にせずに泣いた。
「それだけずっとつらい思いを抱えていたんだね。よく頑張ったね。」
数分後有栖川先輩にお礼を言って音楽室を後にして軽音部部室に向かった。有栖川先輩は最後に「頑張って」と言ってくれた。
「礼二。どうやら過去の呪縛と決別できたみたいだな。」
「ああ。心配かけてすまん。」
「憑き物が取れたって顔をしているぜ九条。有栖川には感謝しないとだな。」
「いつものメンバーからマイナス1だったがさっき元に戻ったぜ。入ってきな。」
「礼二。俺も軽音部に入ることにしたぜ。」
「悠。来てくれると思ってたぞ。」
「役者もそろったことだから練習始めるか?」
「「「「はい(おう)!」」」」
俺たちは文化祭ライブに向けて練習を開始した。過去の問題と決別した清々しい放課後だった。
こうしたほうが次の話で盛り上がると思ったため前回の最後と今回でこのような形をとりました。それでは次回をお楽しみに!