文化部合同合宿の朝俺は幻を見ているのかと思わされることがあった。それはなぜか美知留とルイが合宿の集合場所にいたことだ。
「ヤッホーレイ。来ちゃった。」
「何で美知留がここにいるんだ?美知留は帰宅部だろ?」
「確かにアタシは帰宅部です。ですけど時谷先輩が今年で卒業だから衣装政策などの技術をいろいろ教われればと思って頼み込んだら了承してもらったってわけですよ。」
「全く戸村があまりにも熱心だったものだからやる気を買ったってわけだ。後戸村のバイト先のお菓子も貰ってしまったからそのお礼ってのもある。」
と時谷先輩が説明をした。
「ちなみに俺は祐天寺先生からの合宿内での風紀の乱れがあった場合の取り締まり要員としての招集兼オカルト研究会の三嶋部長からの誘いがあったから参加だ。」
「ルイも大変だな。」
「まあ祐天寺先生が今回の取り締まりでも給料出るってのとあの人の頼みを断ったら後が怖そうだからな。」
「天霧君何か言ったかしら。」
「な、何でもありません。」
「悪い、遅れた。」
「悠も到着か。」
「バスは部活ごとだから俺らはこっちだ。悠は初めてだよな。」
「ああ。」
「先輩―そろそろ出発ですから早く乗ってください。」
「悪い、今行く。」
「軽音部全員揃いました。」
色々話していた間にほかのメンバーの乗車が済んでいた。
「静子ちゃん。これは注文の品だ。持って行ってくれ。」
「ありがとうございます。朝比奈さん。」
大量の飲み物や調味料が朝比奈家から注文されていたのをバスから見た俺らであった。バイト先の大島さんもその中にいた。そのほかにもいろんな知らない人もいたが恐らくOBの人たちの経営しているところに注文していた品だろうと見守っていた。
バス内で各部長が集まって部活の目標を報告していた。軽音部の目標は最終日前夜のオールナイトライブの成功にするとのことだった。ルイのほうのオカルト研究会は二日目の肝試しの成功、手芸部は一人作れる限りいろんなものを作ることとなった。
そしてバスが合宿所に到着した。初日の夕飯は料理部の目標の料理部による料理講習となった。内容はカレーだった。班ごとに違うからいろんなところで食べ比べをしてもいいとのことだった。
「九条君と真島君は去年よりだいぶ上達したわね。何か訓練でもしたの?」
「バイト先でキッチンもやることにしたのでその努力の賜物だと思います。」
去年お世話になった鍋島先輩がやってきたので俺たちは答えた。
「悠も意外と器用だよな。まあ花房の家で一緒に料理でもしていたんだろうな。」
「正解だ。ゆーちゃんからいろいろ教わったし。」
「カレールーは俺らの班は激辛だよな。」
「ああ合っている。里見、秋山の班は苦労しているみたいだな。」
「去年の俺らを思い出すな。」
「ああ。」
「西沢先輩がサポートに入ったみたいだ。」
「ホントあの人スゲー。」
「西沢先輩は何で料理上手いんだ?」
「あの人の家にも小さい兄弟がいるから家事をやっているらしい。」
「なるほど。」
作り終わって食べていたら美知留が来た。
「レイ、レイたちの班のカレーはどんなの?」
「激辛のポークカレー。美知留の班は?」
「アタシの班はキーマカレー。料理部の班の人たちがアタシたちが来る前からナン作っていてそれとのセット。良かったら食べに来てね。」
「俺らのところも良かったら食べてくれ。」
「うん!美味しいね。これってレイと恭ちゃんと神崎君の三人で作ったの?」
「ああ。そうだな。去年の合宿後からバイト先の焼肉屋でキッチンもやるようになった。」
「レイたち頑張ったんだね。」
「ああ。美知留の班のも少しもらいたいからいいか?」
「もちろん。」
美知留の班のカレーも美味かったの一言に尽きた。
食後風呂に入りに合宿所の温泉に向かうとルイが立っていた。
「ルイ、霧生。何やってんだ?」
「覗きの準備中か?」
「んなわけないだろ。むしろ逆だ。覗きにいかないように警備しているんだよ。外にも何人かいる。覗けるものなら覗いてみろってんだよ。祐天寺先生に報告してやるわ。」
「キャー――。」
「何事(だ)!?」
「って女子風呂じゃ入れねーな。霧生、確認頼む。」
「わかったわ。」
「俺は外の部隊の援護に回る。」
「俺たちも行くぞ。」
「応!」
そして向かった先には拘束されていた望月先輩がいた。
「何やっているんですか?先輩?」
「天使の入浴シーンを撮ろうとしていたのよ。ダメなの?女の子同士なのに。」
「当たり前です。このカメラは没収します。」
「望月さん。覚悟はいいわよね。」
「ヒィッ!?祐天寺先生!?話せばわかりますから何卒。お情けを。」
「確かに話せばわかるわね。拳と拳で語り合いましょうか。」
「ごめんなさーーーーーーーーい。」
「恐ろしかったな。礼二。」
「ああ。道理であの人を怒らせてはいけないわけだ。」
入浴後俺は合宿最終日に向けて作ったバンド大会用の曲の仕上げをしていた。そのため就寝は夜中の3時になってしまった。
「おはよう。今何時だ?」
「今は12時だ。おそよう。」
「作曲、作詞していたら遅くなっちまった。これを悠、里見、秋山、お前に夜中に送っておいた。」
「里見、秋山はすでに練習している。俺もこれから練習だ。」
「俺も起きたからそろそろ始めるか。」
「その前にいいか?九条。」
「日野先輩どうしたんですか?」
「今回のライブのトリをお前らのevil jackか風町たちのにゅーろんかどっちにするか悩んでいる。いったん協議するから少し来てくれ。」
「わかりました。」
「あ、礼二君。礼二君も話は聞いているのかな?」
「ああ。」
「どっちがトリをやるかなんだけど私はもう答えを決めているんだー。」
「奇遇だな。俺もだ。」
「それじゃあ、せーので言おうか。」
「ああ。」
「「せーの。」」
「「日野先輩のバンドがトリをやる。」」
「え?よく聞こえなかった。もう一回言ってくれ。」
「日野先輩が最後を飾ってくださいって言ったんですよ。」
「お前らはいいのかそれで。」
「「はい。」」
「その方が喧嘩になりませんし。代わりに風町たちをトップバッターにしてください。」
「礼二君…。なら先輩たちの一つ前を礼二君たちでお願いします。」
「わかった。二人がそう言うのならそれでいく。二人とも全力でやるようにな。」
「「はい!」」
その後俺は風町と別れてスタジオに向かった。そしてスタジオ内に美知留がいた。
「レイ。待っていましたよ。」
「どういうことだ?」
「他のメンバーは終わっている。」
「だから何がだ?」
「あーもう!鈍すぎですよレイ、採寸ですよ採寸!」
「あー衣装作成のか。」
「そうですよ。ですから図らせてください。」
「わかった。」
そして採寸が終わって美知留は出ていった。音源も欲しいと言っていたので渡しておいた。理由を聞いたら衣装の参考にしたいとのことだった。
二日目の夕食を食べた後肝試しのために合宿参加者全員集合してくじの班を決めた。結果、朝比奈、黒川、俺、恭介、悠の班になった。
「あやや…。怖いですー。」
「桃子。まだ始まってすらいないよ。」
そして俺らの番が回ってきた。
「仕掛けがなかなか来ないな。」
ピトッ
「何だこんにゃくか。」
「チッ」
舌打ちが聞こえた。期待外れのリアクションだったらしい。
その後もいくつかの仕掛けがあったが被害の大半が俺、恭介、黒川だった。リアクション薄そうなやつらにとか間抜けだと思っていた矢先に
チェーンソー持ったジェイソンのマスクをした女子生徒が前の茂みから現れた。
「あややーーーー!」
朝比奈が黒川に抱き着いていた。
「フヒヒヒヒ大成功ですね。」
少し歩くとゴールはあと少しの看板があった。
「もうすぐゴールだ。がんばれ朝比奈。」
「はい…。うぅ…。」
励ました次の瞬間木の上からミイラが逆さづりで降ってきた。
「あややーーーー!」
「ヒャッハー!嬢ちゃんビビった?ビビった?」
「その声ルイか?」
「誰のことだい?俺は見ての通りミイラだよ?」
「うえーーーーーーーん。」
朝比奈が泣き出した。
「朝比奈、もうすぐゴールだから行くぞ。」
「うぅ…。ひっく…。」
そしてやっとゴールした。
「お疲れ様です。こちらのアンケートを記入して303号室前のアンケート箱に入れてください。ご協力お願いします。
数分後、
「うえーーーーーーーん怖かったよー。レイー。」
「はいはい白々しい演技はバレバレだからな。まあ抱きしめてはやるけど。」
「それでこそアタシの彼氏です。」
美知留が三文芝居で抱き着こうとしていたので乗ってやった。
後から種明かしを聞いたらジェイソンの女子生徒が一年の甘利で最後のミイラがルイとのことだった。最後の二つの仕掛け以外で俺らを狙ったのは朝比奈を油断させるためだったんだろうと思った。アンケートの内容を見たら満足度診断と一番驚いた仕掛けについてだった。俺は勿論最後の仕掛けを選んだ。
3日目、4日目は練習に勤しんだ。3日目の夕飯はバーベキューだった。肉の種類の多さには驚いた。店長の大島さんだけではないだろうと思った。理由はラム肉もあったからだ。他の焼肉屋だかジンギスカン屋をやっているOBもいたんだと思った。
4日目の夜すなわち合宿最終日前日俺たち軽音部のオールナイトライブが始まった。風町たちのにゅーろんから始まって小牧先輩や西沢先輩のステージと様々なバンドがライブを行った。そしてラストから2つ目の俺らの出番となった。
「evil jackです。今回はギターの礼二がバンド大会のための準備もかねてバンド大会と同じセトリにしました。聞いてください。」
俺らのライブは始まった。オリジナルから始めてコピー、オリジナルのセトリで俺らの番は終了した。クオリティーはまずまずって所だと思える出来であった。
最後の日野先輩たちのライブはみんなで盛り上がれる感じのセトリで日野先輩のボーカルが映えるライブであった。
アンケートの結果は帰りのバスで発表されてルイがダントツトップだった。
夏休み最後のイベントの合宿も終わり残るは授業再開日を待つだけとなった。
今回の話はオリンピックの連休使って書こうと思いましたがモチベーションが上がらず今日に至りました。