正月に美知留と初詣に行く最中に進路の話になった。
「レイ、前にコスのブランドを立ち上げるのが夢って言っていたのは覚えていますか?」
「ああ。覚えている。」
「それなんですけどまずは資金がないと難しいなって思ったことから保育士の資格を取ることにしました。保育士を選んだ理由としましては年末年始に話した保育士の職業体験をして適性を感じたためですね。」
「そっか。それで俺には何ができる?」
「大学に行くために勉強教えてください。」
「美知留も将来のビジョンが見えてきたんだな。なら俺はできる限りのことをするだけだ。」
「レイ…。アタシ受かるためにも頑張るね。レイの進路は大丈夫なの?」
「一応模試は過去に受けたものはA判定。過去問は同レベルのほかの大学の問題を集めた本のやつをやっているが今のところ正答率はどの教科も8割くらいだな。俺が狙っているのは文学部で学芸員と司書を一応取ろうとは思っている。」
「おっ礼二。あけおめー。」
「恭介偶然だな。あけおめ。来年は受験だけどお前は進路どうするんだ?お前は俺と違って理系が強かったと思うが…」
「一応教員免許狙っている。」
「なるほど。科目は?」
「理科かな。化学は好きだから。」
「俺は資格取りながらプロ目指すって所だな。」
「それは俺も同感。」
「後はボーカルだけだな。」
「今度の全国大会でいい感じのがいればいいけど。」
「お参りで願っておくか。」
「そうだな。」
お参りで俺は良い縁に恵まれますようにと願った。
休みが明けて美知留と恭介と登校していたら後ろから遠山が来た。
「あけましておめでとう。真島君、九条君、戸村さん。来年は受験ね。納得のいく進路に行けるようにお互い頑張りましょ。」
「そうだな。だが遠山、勉強は大事だが学校で学ぶのは座学だけではない、人付き合いや息抜きの仕方など他の勉強もある。そういう勉強もしないと大事な時に戦えなくなるかもしれないからな。気をつけろよ。」
「俺もそれには同感だな。ここ受験するときでもたまに楽器を息抜きにやっていたしな。」
「俺もやっていた。」
「私より成績のいい人に言われたら何も言い返せないじゃない。」
「後は俺たちは気負っていないからな。主席になるとか考えていないし。最善を尽くせばそれで良しってこととお互いを軽くライバル程度に思っている位しかないかな。」
「それであの成績?」
「ああ。」
「今度ノート見せてもらってもいい?」
「見たところで何も足しにはならんとは思うがな。ただ普通にノート取っているだけだし。」
「それでもいいの。お願い。」
「はあ。わかったよ。」
「ありがとう。」
その日の始業式に週末に行われる全国大会に出場する風町達にゅーろんと俺たちevil jackの壮行会が行われた。全校生徒に盛大に応援してもらったことから負けられないと思った。
その日に悠、里見、秋山を呼んで冬休みに練習した新曲を部室で合わせた。
「大丈夫そうだな。」
「ああ。さっきの感じめっちゃよかった。」
「この調子でいけばそこそこいいところに行けそうですね。」
「里見油断はするな。全国大会だからこれくらいの奴らはザラにいるだろうな。最初からいいところ程度で言っていたら入賞すらない。」
「すみません。」
「わかればいい。」
コンコンコン
「来たか。」
「レイ。完成したよ。」
「美知留やっとできたか。」
「そりゃあ全国大会ですから気合い入れて作りましたよ。達成感も半端なかったですし。」
「ありがとな。幾らだ?」
「今回は無料でいいですよ。年末のイベントのが安く済んだのと入賞して賞金貰えたので。」
「ありがとうございます。戸村先輩。」
「良いって良いって。最高のパフォーマンス期待しているからね。」
「それじゃあ。っとその前にいったん着てみてください。キツイか確認したいので。」
「わかった。」
「それじゃあアタシはいったん外に出ています。着替え覗くのはさすがに躊躇われますので。」
「着替え終わったから確認してもらってもいいか?」
「どれどれ。ピッタリですね。さすがはアタシ。」
「その通りだな。」
ついに運命の週末全国大会の会場の都内の音大に着いた。俺はこれほどの緊張は初めてライブした時以来だった。
受付を済ませて控室の更衣室で着替えを済ませて出演順まで待った。持ち時間は30分予め練習した時には問題ない時間だった。
「evil jackさんお願いします。」
「はい。」
俺たちはトリから一つ前だった。そこからは悠のMC、俺の作曲、悠の作詞、恭介のしっかりとした土台によって今までにない最高のパフォーマンスができた。満足のパフォーマンスができたと胸を張って言えるものだった。
そして閉会式の結果発表となった。
「グランプリ 海府学園 death acid、準グランプリ聖櫻学園 evil jack」
この結果を聞いて俺は納得した。海府学園のボーカルこそ俺の求めていたボーカルだったからだ。
控室に戻って帰る準備をしていた時口論が耳に入った。
「湊転校するってマジか?!どうして黙っていたんだよ!」
「すまなかった。練習の大事な時期だったから言うにも言えなかった。」
「グランプリ取れてこれからって時に何でこういうことに。もういい!お前みたいな大事なことを伝えられない奴は俺らにはいらねえ!」
「当然の報いだな。すまない。」
「失礼。先程はグランプリおめでとう。ボーカルの君の名は?俺は九条礼二。あまりにも俺の望んだ理想のボーカルだったものだから声をかけさせてもらった。」
「俺の名前は木塚湊、来月からこっちの六王学園に編入予定だ。」
六王学園は聖櫻学園より少し上のランクの進学校だった。
「なら良かったらだが俺のバンドに来ないか?ベース、もう1人のギターも揃っている。ドラムはそこにいる恭介。本名は真島恭介だ。」
「お前変わっているな。他校の用済みとなった初対面の人間に声をかけるってには。だが悪くない話だ。その話乗らせてもらおう。」
「決まりだな。」
バンドコンテストは準グランプリという悔しい結果に終わったが一番の問題だったボーカルが決まったので悔しいより嬉しいの気持ちが強かったバンドコンテスト全国大会となった。後日黒川に聞いたらにゅーろんは別会場でグランプリだったとのことだった。
今回でバンドコンテストは終了となります。現在の小説内の時間軸は高2の1月です。