母さんから告げられたことそれはいつも隣にいてくれた幼馴染るいの引っ越しについてだった。父親の仕事の都合で今月末までに引越しをするらしいとのことだった。
翌朝の登校中もるいに元気がなかった。元気にする方法を考えたがバカな俺には何も思いつかなかった。一限前に押井がやってきて
「ねえねえルイ君。るいちゃん元気ないけどルイ君と喧嘩でもしたの?」
「るいは実は…いや本人に直接聞いた方がいいだろうな。」
「聞くにも聞けないんだよねー。ルイ君一緒に来てよー。」
「わかったから制服の袖を引っ張るな。」
「るい。」
「何よ。」
「いつまで黙っているつもりだ?そろそろ話した方がいいと思うが…」
「ルイ君のくせに!ルイ君のくせに!私にだってタイミングがあるのよ!放っておいてよ!」
るいが席を立とうとしたとき俺は腕をつかんだ。
「離してよ!」
「いつまでも逃げられるわけじゃないんだ。いずれ話すとしても大事なことなんだ。今のうちに話した方が俺はいいと思う。」
「うん。ごめんルイ君。皆には話すね。私実はお父さんの仕事の事情で引っ越すことになったの。それも転校しなきゃならないほど遠くに。」
「そうだったんだー。だから元気なかったんだね。」
「うん。」
「るいちゃん。転校しても私たちは友達だから安心してね!」
「知…。」
「でも嫌だよ…。嫌だ嫌だ嫌だ。これからもやっぱりるいちゃんと一緒にいたいよ。うわああああああん!」
「知…。」
「俺だって嫌だな。いつも一緒にいた人が急にいなくなるってのはな。」
「ルイ君…。」
「私だってみんなと残りたい!みんなと一緒にもっと遊びたい!でも…で…も…うわああああん!」
「るいちゃあああん!」
この日は一日中空気が重かったが皆の気持ちは同じだった。放課後の帰り道俺は一人で歩いていた。すると。
「あれー?ルイ君?久しぶりー!」
「三嶋先輩。お久しぶりです。」
「あれあれー?なんか元気ないねー。そうだ!あそこのカフェに入ろ!そこでこの前に覚えたタロットカードで占ってあげるよーついでに悩んでいることも聞きたいなー。あ、お金は私が払うねー。」
「すみません。」
「いーのいーの。それじゃあ入ろっかー。」
「それじゃあ席は任せるねー。飲み物はコーヒーでいいかなー?」
「はい。お願いします。」
少しして三嶋先輩が席に来た。
「それじゃあさっそく始めよっかー。この中から一枚選んでー。」
「ではこれを。」
「このカードは審判のカードだねー。えっとこれは逆位置だから。ルイ君。近いうちにルイ君には重大な決断が迫っていると伝えるよ。」
「と言うと。」
「この決断をすると後戻りはできないってことだね。今のルイ君の状況も聞いてもいいかな?」
「じつは幼馴染が引っ越すことになりまして。その幼馴染はいつも俺のそばにいてくれて俺の活躍もいつもそばで見てくれていた大事な人なんです。そんな幼馴染を一人の異性として意識していてこれからもずっと一緒にいたいこれからも俺の活躍を見ていて欲しいと思いながら小さいころから俺のことを慕ってくれている従妹にも好意を寄せてしまっている。そんな状況なんです。」
「ルイ君の状況はまさにこのカードと同じ状況だねー。一時の感情で決めてしまったら後悔する。よく考えて決めてねと私からアドバイスするよー。」
「ありがとうございます。」
「私の勘だと成功するから落ち着いて決めて欲しいなー。」
「はい。」
その後コーヒーを飲み干してカフェを後にした。今の俺の思考をクリアにするには程良い苦さだった。
家に帰り日を跨ぐ頃になってるいとさくらどっちを選ぶのか俺にも覚悟は決まった。
翌日に買い物をして翌々日の帰りに俺は上条家に行った。
「あらルイ君じゃない。るいはまだ帰ってきていないけど。」
「凛さんお願いがあります。るいの引っ越しを何とか取りやめてもらえないでしょうか?」
「そうしたいのは山々だけど夫の仕事が…。」
「ちょっと待ってー!」
「えっとあなたは?」
「るいちゃんの友達の押井です。他の子たちもるいちゃんの友達です。私からもお願いします。」
「「「私たちからもお願いします。」」」
「そうは言っても。」
「そうか。るいはこんなにも愛されているんだな。」
「あなた…。今日はまだ仕事じゃあ…」
「引っ越しの準備などもあるだろうし今日は業務が早く片付いたことからってことから上司が早上がりしていいと言ってくれてな。あっはっはっは。」
「ルイ君。」
「はっはい!」
「るいのこと頼んだよ。」
「それって。」
「いやーこんなに友達や仲間がいるんだったら伝えてくれればいいのに。そんな友達を悲しませたくないからねー。私の単身赴任という形でるいと妻はこっちにい続けてもらおうと思う。」
「ありがとうございます。おじ様。」
「礼には及ばないって。ルイ君がきっかけなんだろう?」
「押井やほかの子たちは偶然でしたけど考えいたことは一緒だったみたいです。」
「知…。ルイ君…。」
「おーるい。僕は単身赴任で異動先に行くよ。友達に感謝しなさい。」
「皆…。ありがとう。」
「るい。少しいいか?」
「凜さん。おじさん。るいを少し借りてもいいですか?」
「「もちろん。」」
俺はるいを自分の部屋に呼んだ。
「この部屋は小さいころから変わらないわね。」
「確かに変わらないな。でも変わったものもあるし変えたいものもある。」
「これをるいに渡したい。」
「これって?」
「開けてみて欲しい。」
「指輪?もしかしてこれってプロポーズ?」
「本当のプロポーズは完全に自立してからにしたいから待っていて欲しい。でもペアリングとしてつけてくれると嬉しい。るい。こういうやり方はずるいかもしれないし受け入れてくれるかはわからない。でも伝えたいから伝えるな。るい。好きだ。小さいときにはまだよくわからなかったけど今は胸張って言える。俺天霧ルイは上条るいさんが好きだ。俺でもよければ付き合ってほしい。」
「…バカ。何で引っ越して離れ離れになって向こうの誰かを好きになってしまうこと考えているのよ。私にはルイ君しかいない。私の初恋はルイ君なんだから。このまま思い出の男の子にしなくてよかった。私の長い初恋が成就してよかった。ルイ君。私もルイ君のことが大好き。私でよければ喜んで。」
「るい…。」
「ルイ君…。」
「二人でイチャイチャしたいのもわかるけど皆にも報告しなさいよね。」
「うわっ母さん!?」
「お邪魔してます。おば様。」
「ほら二人とも外で報告してきなさい。」
「あっ戻ってきた。二人して何していたのー?」
「実は俺たち交際することになりました。」
「「「キャーおめでとう!」」」
「るいちゃんおめでとう!さすがルイ君。やるときにはやる男だねー。私見直しちゃったよ。」
「凛。るいに例の報告を。」
「あ、そうね。実はお父さんの手伝いで一週間近く家を空けるからルイ君の家と相談して一週間ルイ君の家で預かってもらうことにしましたー。」
「えええええ!」
「ようこそ天霧家へ!」
「幼馴染の両親とウチの親のネットワークスゲー。」
「るいちゃん。ルイをこれからもよろしくね。」
「はい!」
その笑顔はとてもまぶしいものだった。
翌日さくらにも報告をした。
「そっか従兄さんるいちゃんと付き合うのかー。あれっ何で私涙が。笑顔でお祝いしようと思ったのに。どうして涙が止まらないの?」
「さくら…。」
「やっぱり嫌だよ!どうしてるいちゃんなの!?私を選んでほしかったよ。私だって従兄さんのこと好きだったのにっ。」
「さくら…。俺だってかなり悩んだよ。両方選べるのならさくらも選びたかったよ。さくらも十分魅力的な女の子だから。でもごめんな。それでも俺たちのことを祝福して欲しいんだ。」
「そんなことを言われたら祝福するしかないじゃない。私の大好きな人なんだもん。」
「そっか。ありがとな。」
「でもしばらく立ち直れそうにない。それに二人を見たら嫉妬しちゃうかもしれない。ごめんね。時間が解決してくれることを信じるけど。」
「俺もこの傷を埋めてやりたいけどどうしようもない。ごめんな。」
「従兄さんは謝らないで。これは私の心の問題だから。でも安心して。お正月に皆と会うまでには落ち着かせるから。」
人生初の彼女はできたが手放しに喜ぶことができるのかわからない状況となってしまった。そんな6月半ばから下旬の出来事だった。
今回の告白のタイミングは初期案では卒業式でしたが二人だけのストーリー見てこれも織り交ぜたほうがいいなと思ったので入れてみました。