「まず、雪ノ下殿と八幡なのだが、二人とも生きている」
「なにいってるの!あたりまえじゃん!噂見たく二人が心中だなんて…そんなことあるわけないじゃん…でもよかった…」
若干そういうことも予想してたのだろう、うれしくて少し泣いているようだ
「でもどうしていなくなったかはわからん」
「それさ、この間ゆきのんのお母さんが来たとき言ってたんだ、ゆきのんは高校卒業と同時にどっかの会社の偉い人と結婚する予定だったんだって」
「なんと!でも姉がいるではないか、普通姉が先に嫁に行くのでは?」
「ゆきのんのお姉さんね、陽乃さんって言うんだけど、陽乃さんは婿養子を取る予定だから嫁に出せないって言ってた」
「なるほど、そういうことなら合点がいく」
「それでね、あたしも知らなかったんだけど、ヒッキーも初め結婚を阻止しようとしてゆきのんの家まで直談判に行ってたんだって、なんど追い返してもしつこいぐらいに来てたんだって、でも学生の分際でうちの責任とれるのかって言ったら来なくなって、その数日後に居なくなったんだって、ゆきのんのお母さんね、お前たちのせいだ、お前たちのせいでうちは大損害をこうむっている!って言ってゆきのんのことなんか心配する気配すらなかったんだ、まるでゆきのんを道具みたいにしか見てないみたいでね、こんなのゆきのんがかわいそうだよ…」
最後の方は言葉にならならず由比ヶ浜はまた泣いてしまう。
「それで駆け落ちか、八幡はやる男だとおもっていたがここまでとはな、やはり我のラノベが原因なのだろうか?」
由比ヶ浜がようやく落ち着いたところで材木座は問いかける
「それで由比ヶ浜殿は八幡達のところに行きたいか?」
「当然じゃん!」
「それが全てを捨てることになってもか?八幡も雪ノ下殿も家もなにもかも捨てたのだ、おぬしにその覚悟があるか?」
「え?あたしもそうしないといけないの?」
「当然であろう、雪ノ下殿の家は相当の権力者だ、足取りをつかまれたが最後一気に逆戻りになる、八幡と雪ノ下殿との努力を無駄にするわけにもいくまい」
「うーん、そっか、そうだよね、でもいきなりそう言われても…」
「まあじっくり考えるとよかろう」
「うん…」
「それと実はおそらく我だけ雪ノ下殿と連絡を取れる立場にあるようだ、最も連絡するときは主にトラブルが起きたとき限定だが」
「え?そうなの?あたしがいくらメール送っても電話してもダメだったのに、なんで?」
「それは今回のようなことが起きるのを見越してだろう」
「どういうこと?」
「問い詰められても知らない物は言いようがないということだろう」
「なにそれひどい!」
「あと着信やメールの痕跡を残さないってこともあるだろう、むしろそっちかもな」
「そっかーそれなら納得だ」
「それに由比ヶ浜殿は思ったことが態度に出やすいから、安易に連絡をとってしまうと、周囲から親しい二人がいなくなったのになんであいつはいつも通りなんだと不審に思われる可能性があるということも言っていたな」
「うー、それはあるかも…あ!でも今教えてくれたよね、どうして?」
「うーむここからが本題なのだが…」
「由比ヶ浜殿、我とその…期間限定で付き合ってくれないだろうか?」
「へ?中二と?どうしてそうなるの?」
「それはだな…」
材木座は計画のあらましを話す。
八幡も雪ノ下殿もいずれ由比ヶ浜殿も希望があれば呼び寄せるつもりでいるということ、今までは言わない方が由比ヶ浜殿の為だと思っていたこと、でも状況がどんどん悪化してくのでそれまでずっと自分たちのことを黙っているのはあまりに残酷なことだと気が付いたということを話した。
「そっか…ゆきのんもヒッキーも私のことを考えてくれた上でのことだったんだね」
「うむ、あの二人がおぬしを見捨てるわけなかろう、むしろ心配していたぞ、八幡なぞは由比ヶ浜殿がとち狂って自分で作った飯を食って自殺とかしてないかとまで言っていたが、いったいなんのことだ?」
「中二には関係ないよ!ヒッキーもひどい!ちゃんと練習しているんだよ!最近サボり気味だけどさ…でもさっきも言われたけどあたしって態度に出やすいから今後はちょっとまずいかも…」
「うむ、そこで先ほどの話に戻るのだ、彼氏、まあつまり我のことだな、それから慰められたことにして元気を取り戻したという風にすればいいということだ」
「え?それって中二と嘘の付き合いするってことだよね?そんなことをゆきのんとヒッキーが本当に言ったの?」
「まあ嘘の告白をして、嘘の関係を築くだけだ、本気でどうこうするわけではないので安心してほしい」
由比ヶ浜の目が途端に険しくなる。嘘の関係、嘘の告白、奉仕部にとって大変トラウマがあるワードのようだ。
実はこの案の原案を出したのは材木座本人だった。