『蛙の子は蛙』
俺を表すのならこの言葉が適切だろう。
『嘘八百』
これも入ってくる。そう、嘘つきだ。蛙の子は蛙、つまりは親も嘘つきだ。
でも、元々そうではないきっかけはあった。忘れもしないさ。
俺が11歳の時に両親は借金を残して消えた。
そこから俺は子供から詐欺師になった。もちろん学校にも行った。でも、友達は出来なかった。そりゃそうだ俺だって嫌だから。
勉強はかなりしたな、学校もそうだけどそれ以外…
お陰でかなり稼がせてもらった。かなり楽できた。
そのせいでかなり大変だった。かなり苦しかった。
どんな事もやらなきゃならなかった。
そのせいで……
でも、やめなかった。やめられなかった。やめたくなかった。
それしかないから、それでしか存在を示せないから、それでしか生きられないから、それしか知りたくなかったから、だからみんな俺の事をこう言うのだ。
『ペテン師』と
でも、もしも…もしもだ。この俺が誰かのために自分を犠牲にするような選択があったとしよう。
実に美しいね。自己犠牲の精神はとても見習いたい。もしも俺がこんな状況に陥ったのならもちろんいつもの笑顔を浮かべてこういうだろうね。
「任せてよ」ってね。でも、最後にこう続ける。
「信じれるかどうかはわからないけどね」
みんなはどっちかな?
ちなみに選択を間違えると…
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高度育成高等学校
話によれば希望する進学、就職先にほぼ100%答えるらしい。
嘘、とまではいかないが何となく怪しい。そう感じるのは同族的な本能なのかな。
まあ、ようはよく分からないという事だ。ただ、1つ確定しているのは今日から俺がここに編入するという事だ。
7月、本当に夏休みが始まる直前頃。こんな時期に、なんて思われるだろうな。まあ、そんな事は知らない。だって学校側から編入の案内が届いたのがつい先日なのだから。俺には何の問題もない。
なんて心の中での言い訳合戦に花を咲かせているそんな時に目的地についた。
『1年D組』これから俺が過ごすクラスだ。
うんうん、言われなくても分かっているよこの学校の仕組みは。アルファベット順に優劣が付けられている事ぐらいね。説明受けたし。そして、担任の茶柱先生が教室に入りそれに続いて俺も入る。
教室内が一瞬で静かになる。それと同時に俺へと注目が集まる。
「先生〜、隣にいるのは誰ですか〜?」
おちゃらけた声で質問が来た。それに答えるように先生は話し出す。
「気になっているだろう。こいつは今日からこの学校に編入してきた四月一日だ。では自己紹介を」
そう促され、俺はそれに応える。
「四月一日 千里(わたぬき せんり)。『わたぬき』は知っている人は知ってると思うけど『しがつついたち』と書く。皆とは仲良くしたいと思ってる。だから目下の目標は皆と 連絡を交換すること。という訳で気軽に話しかけて欲しいな。よろしく」
比較的いろんな意味で軽めに自己紹介をして、指定された席に座る。
「やあ、よろしく。確か平田 洋介だっけかな。よろしく洋介」
「驚いたな。もしかして全員の名前を覚えてるとか?」
「もちろん。仮にも全員と仲良くなりたいと公言しているからな」
その後授業や休み時間、昼休みなどで着々と連絡先を交換しついには残りも少なくなっていった。
そして、放課後
「やあ、堀北鈴音と綾小路清隆」
そう、この二人が特に話しかけてもいなかったからな。今のうちにというやつだ。
「朝も言ったように俺みんなの連絡先が欲しいんだよね。友達になりたいだ。ダメか?清隆、鈴音」
「人の名前を気安く呼ばないでくれるかしら」
おっと、かなり不機嫌。
「ん?あぁ、悪いな馴れ馴れしかったな。ダメだったか?下の名前で呼ぶの」
「親しくもない人に気安く呼ばれるのが嫌なのよ」
「……清隆は?」
「俺は別に。好きに呼んでいいぞ」
「そうか!じゃあ、清隆も俺の事を千里と呼んでもいい!まあ、もちろん決めるのは清隆だけどな」
「わかった。じゃあ遠慮なく千里と呼ばせてもらう」
「ああ!それと、連絡先」
「ああ」
俺は清隆との連絡交換に成功した。
「す……堀北は?して貰えるか?」
「……」
「やべぇよ清隆。出会って1日もしない内に嫌われてしまったぞ」
「まあ、気にする事はないと思うぞ。きっといずれ機嫌も治すさ」
「そうか…まあ、いいや。それじゃあな、ありがとな清隆。俺これから生徒会長に挨拶してくるわ」
「!!?」
おおう、反応した。反応した。
「ん?どうした?堀北」
「…何でもないわ」
「そうか、じゃあ、また明日な」
そして、俺は道行く同クラスのみんなへ挨拶を終え。生徒会長の元へと向かった。
……なんて、そんな事はしない。
というより、もう既に終わらせていた。
だから俺は昼休みの時のことを思い出しながら寮へと向かった。
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昼休み
俺は3年のクラスへと足を運んだ。もちろん目的は生徒会長。堀北学に会うためだ。
3年A組の教室の前に行き、ノックしてから扉を開き目的の人物の名前を挙げてみたもののどうやら留守のようだった。話によれば生徒会室らしい。
そして、生徒会室へ
着いてすぐにノックをして入れさせてもらった。もちろん目的の人物もいる。
「失礼します。はじめまして。本日転入しました。四月一日 千里です。本日は生徒会長へ挨拶に参りました」
その生徒会長は椅子に座り、書類等を眺めながらこちらにほとんど目を向けずに話し出す。
「そうか、殊勝な事だな。知っていると思うが俺は生徒会長の堀北学だ」
「はい、存じておりますよ。では生徒会長は俺の事を知っていますか?」
「知らないな。今日初めて聞いた名だ。四月一日なんて苗字は珍しいからな、聞いていたら忘れないだろう」
「では…『千条時中事件』と言えば、分かりますか?」
その言葉を聞いた途端。今まで書類を捲っていた手が止まり、目が俺の事を捉えた。
「…そうだな、聞いたことはある。つまりお前がそうなのか?」
「ええ、逆に驚きです。生徒会長は知っているんですね。かなり極秘にされていたと思いますが?」
「まあな」
この事については本当にかなり極秘にされていた。その証拠にここまで聞いていた橘書記はこの話に付いていけてない。そして、空気を読んで話に入ってこない。
「というより、聞かされていたんじゃないですか?」
「どういう事だ?」
「会長、俺の名前を聞いた時…いや、俺がここに入ってくる時から既に目の動きがおかしかったんですよね。それを書類を見る素振りで誤魔化していましたね」
「…ほう。以外にも…いや愚問か?」
「はい。俺にそれは愚問もいいとこです。嘘は俺にとって呼吸も同じですからね」
会長への挨拶という名のジャブはおしまいにして本題に入るか。
「それでは会長。俺は今日から1年D組に所属になりました。このクラスには会長の妹さんがいますね」
「そうだな」
「もし、俺が何かの理由でその妹さんを利用する。そしてその際に妹さんが壊れてしまったらどうしますか?」
「関係ないな。お前が妹をどうしようがな。それは全て妹の責任だ、俺自身には何も無い」
「…それが聞きたかったんですよね。貴方と…綾小路清隆は敵に回しては怖いですから」
「……」
「それでは失礼します。橘書記、今度は貴女も会話に混ぜれるようなお話がしたと思いますので」
アフターケアも忘れないのが俺の流儀。
なーんちゃって。
「…四月一日 千里か」
「会長、あの生徒は一体…」
「そうだな…綾小路と南雲並に危険人物だろうな」
そんな会話が外からも聞こえる。危険人物…ね。
まあ、他の人に比べたら危険かもね。だって、俺に信じられる要素なんてないんだから。
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という事だ。
危険人物というレッテルを既に生徒会長に貼られてしまった俺。俺の見立てでは生徒会長は俺の事を公言するなんてつまらない事をするような人ではない。だから俺が何かアクションを起こさない限りは誰も俺については知らない。
でも、俺はそんな事はしない。ずっと隠れているような事はしない。俺の正体がバレようが、事件起こそうが俺は時が来れば隠れない。少し見ていてわかっている。清隆は俺とは正反対に目立とうとはしないようだ。
A組へと上がろうとするクラスの雰囲気。その中で埋もれようとしている清隆の考えは俺からして見れば浮いている。真実を知っている俺だからこそ思うことだ。
だけど、俺はそれを否定しない。だから俺は清隆の傀儡にでもなるとするかな。そうすれば自ずと清隆の存在はある程度は隠せるからな。ただ、清隆が素直に俺の事を使うかどうかが問題だろうな。まあ、どうにかして使ってもらわないと困る。…いや困らなくはないか。別に俺がしなくても清隆が他のやつを使っていけばいいだろうし。
つまりは無茶をしないとA組へは上がれない。そう、俺は何としてもA組へと上がらなければならない。約束された進路を得るためにはそれしかないからな…
そのためなら……
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四月一日 千里(わたぬき せんり)
11月30日生まれ、AB型
学力A
知力A
判断力A
身体能力B+
協調性A
評価
テスト、面接に於いても完璧にこなしています。しかし、我々が持つ情報によりD組への配属になります。正直、この学校にいる事さえ忌避するレベルの生徒でしょう。今後の学校生活に於いて要注意して行かなければならない。
やっぱり久しぶりだと感覚も忘れているかもです。
基本的にこの話は原作と同じような流れと行事で進んでいきます。時たまオリジナルの話を組み込みます。そのオリジナルの一部が今回と次回です。
そこからは原作の流れで…