ようこそ史上最悪の詐欺師さん   作:時雨日和

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えー…お待たせしましたと言うことさえ烏滸がましい程お待たせしました。

いやうん、本当に申し訳ございませんでした。代わりと言っては何ですが…今回の四月一日君は闇オブザ闇でございます。こういう風なタイプが好き私みたいな人には好きかもしれませんので…

それと、現在4巻の終盤の話ではありますが、5、6巻辺りまでの内容を含んでますんでネタバレ超絶注意です。あと軽井沢さん成分は低めです。あとキャラ崩壊かもです


戦戦兢兢

「ただいま」

 

静寂な世界はこの言葉でまたいつもの世界へと塗り替えられる。

 

「準備は出来ているか?」

 

出来ている。いつもと同じようでいつもと違う。相手の望む、欲しているものを。

 

「お前はどうする?」

 

これはいつも通り。あなたについて行く。喧騒鳴り止まない大都市だろうと、静寂が支配する地平線のみの荒野だろうと、力あるものが支配するスラムの街だろうと、私はあなたについて行く。

 

「そうか、そうかそうか…でもな、近々…約半年後、卒業してから俺が行くところはお前は行けない。ならどうする?」

 

行けない?私があなたについていけない?

寂しい、苦しい、悲しい、嫌だ、嫌だ、嫌だ。

 

「それからはお前一人で、俺の事を知られないように生きる。出来るか?」

 

「出来ない」

 

「そうか、ならどうするかを考えろ」

 

考える、考える、考える、考える、考える、考える、考える、考える、考える、考える…

 

「考えた」

 

「ならそれを実行しろ。俺は止めないし、尊重してやるぞ。俺を楽しませて、騙して、殺してみろ。そうすれば俺は喜ぶぞ?なあ、ジャック」

 

あなたを楽しませられる?喜ばせられる?騙せる?殺せる?嬉しい、楽しい、愉しい。

 

「死ね」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

気がつくと部屋は暗かった。最近ではありえなかったが、どうやらほぼ丸一日中寝ていたようだ。うわ、試験メールと恵からの着信履歴がやばい。

 

「ま、これでこの旅中は持つだろ」

 

恵からの直近のメールに従って動いていこうかな。おお、体が痛い、バキバキと関節が鳴りまくるなぁ…

 

メールに書かれていた場所、カフェへと向かう。どうやら清隆に呼ばれたらしい。この風を見ると清隆はうまく恵を駒にする事が出来たようだ。

そして近づくにつれて誰がいるかが見えてくる。恵はもちろん清隆、洋介、堀北、健、そして唯一俺に背を向けているCクラス龍園翔。

 

「おまえが頭を下げて俺に頼むなら、「答え合わせをしてやってもいいんだぜ?」」

 

その翔の言葉に被せた俺の声に反応して翔は振り返る。

 

「てめぇは、この前夜中にそこの女と盛ってた奴じゃねぇか。何のつもりだ」

 

「いや、ははは…悪いね特に意味は無いさ。たまたまここを通ったら話し声が聞こえてね。それで、聞こえてきた内容を推察して翔が言いそうな言葉を選んでみたら見事にドンピシャだったって訳。凄くない?!」

 

この言葉を聞いて翔は露骨に不機嫌な表情をした。

ちなみに見ているDクラスの面々はポカンとしたような表情をしていた。あ、恵はちょっと怒ってそうな表情だな。

 

「あー、ごめんね。話の腰を折るような事をして俺はもう戻るよ。それじゃ、ごゆっくり」

 

俺は飄々と"いつも通り"の仕草、口調でその場を去った。

本当はもう少し遊んでいたかったが、あそこで俺がしばらく滞在していたら翔が本格的に俺に目をつけかねない。今はまだ堀北だけを標的にされていた方が何かと楽だ。

 

(ほんと…俺って嘘しかつかないな)

 

転入当初誰にでも目をつけられても問題ないとか思ってたがこの学校のシステムは予想以上に厳しい。

…でもでも、こういう風なのが得意だし大好きなんだよね。逆境って言うの?そういうのがね。慣れてるし、ほんとにね。

 

「呼び出して悪かったな、桔梗」

 

あの場で翔の話を聞くのも実際は悪くはなかった。あれから何もせずに聞いていれば軽く喧嘩を売られるくらいで済んだと思う。俺は何もしなければちょっと調子に乗ってる洋介程度の認識だろうからな。

でも、あれは実際は恵への顔見せだったから直ぐに離れた。それに、ほら目の前にお客さんも呼んでたし。

 

「ううん、気にしないで。でも珍しいよね。四月一日君」

 

「ん?何がだ?」

 

「だって、あんまり四月一日君と喋ってなかったから私嫌われてるなかなって思ってたんだ」

 

「ははは、そんな訳ないさ俺は嫌う人間はいないからな」

 

「へぇ、ほんとに?」

 

「本当さ、連続殺人犯だって嫌わないさ」

 

「あはは、そこまで言うんだね。やっぱり四月一日君って面白いんだね。もっといっぱいお話すれば良かったよ」

 

「なに、まだまだこれから卒業まで長いんだ。これから話していけばいいさ、退学しなければの話だけどな」

 

「うーん、そうだね。どんなタイミングで退学になるかわからないもんね。うん、お互いそうならないように頑張ろうね!」

 

俺はその言葉に笑って返すだけだった。

この一連の会話の中での桔梗はいつも通り人好きされそうな顔で、笑顔で話していた。

 

さてさて、それがこれからどのように変化するかな?

 

「それで四月一日君はどうして私を呼んだの?」

 

来た。そろそろ来るだろうと思ってたタイミングだ。

今この場は誰もいない船首近くのデッキ。時間帯もまあまあといった所か。確実に人が来ないとは言えないが…まあ、良いだろう。来た所で困るのは俺じゃないんだから。

 

「ああ、それなんだが…ちょっとした世間話の1つ何だが…『ーー中学の学級崩壊』って知ってるか?」

 

「何?それ。ちょっと私詳しくなくてよく分からないな」

 

ふっ、流石だな桔梗。動揺も隙も少ない。

 

「そうだったか、でもまあもしかしたら内容を聞けば分かるかもしれないぞ?

確かブログだったか?その中で匿名の人物がその学級崩壊したクラスメイト全員の秘密とか悪口を書いて…それが原因だったか?」

 

「…へぇ、怖いね。その事件、でも何でその話を私に?」

 

もう少しだ。もう少しで…

俺は手すりにもたれかかりながら話を続けた。

 

「いや何…実を言うとあの中に俺の友人もいてね」

 

「!?」

 

「それで当時の話を聞いたんだよ。はは、凄まじかったらしいな。お前もそう思うだろ?なあ、犯人の櫛田桔梗」

 

目を向けたその先には先程までの櫛田桔梗はいなかった。そこにいるのはほとんどの人が知らない取り繕わない櫛田桔梗の姿だった。

 

「本性を現したか?」

 

「…なんで?」

 

「なんで、か。さっきも言ったろ友人に聞いたんだ」

 

「違う!そんな事を聞いているんじゃない!どうしてわざわざそれを言ったのかを聞いてるの」

 

「ふーん、そっちか。なら教えてやるよ。俺とお前は"同じ"だからだよ。裏切り者の櫛田桔梗さん」

 

「っ!?」

 

この一言で完全に動揺した。余裕が無い、驚愕した表情。ああ、こういうのが俺は好きなんだ。

そして俺は桔梗の目の前、手を伸ばせば、足を伸ばせば全身に届く距離まで迫った。

 

「知ってるぜ。全てかどうかは知らないが、少なくとも自分が優待者である事を翔にばらした」

 

「なんで…」

 

「質問が多いな、桔梗。なんでもかんでも俺が説明すると思う」

 

「黙れ!」

 

その顔だ。余裕がない時に出るこの顔は誰でもある。こういう時ほど…

 

「…ふっ、まあいい、お前も晒したくもない本性を晒してんだ。それに見合った対価を払ってやるさ。

簡単な話だ。お前は目的がある。その目的のためにCクラスの翔と協力して行うため。俺たちDクラスのとある1人を退学させるための恩売りってところか?」

 

「……っ」

 

「どうだ?誰にもバレていないとでも?はは、まんまと騙されてるよな堀北も洋介も…」

 

その瞬間俺の右腕は掴まれ桔梗の胸へと押し当てられた。

 

「何が目的なの?」

 

今まで桔梗の口から聞いたことの無いような低い声が俺の耳に響く。

 

「目的?そうだな…お前の弱みを握るためだとしたら?」

 

「ふふふ…残念だったわね。これでもう無理よ。あなたの指紋はもう私の服にべっとり…ほんと男ってのはこういう時弱いわよね」

 

そう言って俺の右腕を離した。

 

「ほんとだな…」

 

そして俺は左手をポケットから出し持っていた端末を確認する。

 

「おお、よく撮れてるな。我ながらバッチリだ」

 

そう言って俺が見せたのは今の一部始終。桔梗が俺の手を掴んで自分で自分の胸に押し当てた映像だ。

 

「っ…!?

でも…指紋は残って」

 

「ああ、それなら…」

 

俺は右掌を見せてゆっくりとあるものを"剥がした"。

 

「え…」

 

「透明なゴム手袋のようなものだ。それを掌に覆うように付けていた。これだけで指紋なんて付きようがないさ」

 

一瞬の愉悦はその後のどん底の絶望を与えるのには効果覿面だったようだ。

そして即座に俺はさっきの映像を消した。

 

「…何がしたいの?」

 

「特に理由はないな。俺の個人的な趣味だ。あと、お前はどんなを手を使おうと俺には勝てないってのを刷り込ませる牽制か」

 

「狂ってる……あんたは一体何なの!!」

 

「…何なのか、か…そうだな。強いて一つだけ挙げるとするならお前と同じ事件を起こした犯人ってところか?」

 

「…同じ事件?」

 

「そうさ…お前は1つの学級を崩壊させたが…俺は学校"全てを崩壊"させた」

 

「学校…を…?」

 

「あぁ、卒業式の日にその学校に関すること、ほとんどの生徒と教師、それら全ての悪事やら秘密を卒業式会場はもちろん、その街全てに晒した。あとは簡単だ。

卒業式は崩壊、噂は噂を呼びそれがどんどんと肥大化、ほとんどの入学希望者は辞退、在校生も転入手続きを求め自殺するものも少なくなかったな」

 

これを聞いた桔梗は震えていた。恐怖していた。それはいつもの元気な人に好かれている桔梗でもなく、素を出し相手を見下し罠にはめるような桔梗でもなかった。

 

「く、狂ってるなんてものじゃない!!一体…一体なんの理由があってそんな…」

 

「理由?理由なんてないさ」

 

「は?…」

 

「理由なんてない。お前のように秘密がバレたとか、復讐のためとかは無い。

ああ、強いて言うなら道端に猫が死んでいたからかな。あれが無ければやっていなかったかもな。あんな面倒臭いこと」

 

人が1番恐怖を感じるのはどんな場面だと思う?圧倒的な戦力か?圧倒的な暴力か?

そんな奴も居るだろうな。否定はしない。哲学に正解が無いようにな。故に俺の持論を言おう。

 

「狂ってる…狂ってる狂ってる!あんたは…あんたは人殺しだ!悪魔だ!」

 

「知ってるさ。俺は天才じゃなく破綻者だ。自覚してる。

俺は悪魔だ。何度も言われ慣れてきた。

でもな桔梗、狂って悪魔にでもなるやつが居なければ正義の味方なんて現れないんだぜ?

この言葉覚えておけよ」

 

俺は桔梗に背を向けその場を立ち去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"絶対の恐怖は絶対の勝者の前にしか現れない"




お待たせしてすいませんねほんとに、少しずつ四月一日君の本性が出かかってます。
あとこれだけは最後に言わせてください。別に私は櫛田さんのこと嫌いじゃないですからね!櫛田さんファンの方、分かってください!



まあでも、低評価でも仕方ない自覚はありますんでほんと
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