ようこそ史上最悪の詐欺師さん   作:時雨日和

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お待たせしましたね
書いて、書き直して、だらけてを繰り返してたらこんなにも時間が空いてしまった事を深くお詫び申し上げます



名詮自性

試験終了のメールが届いてから少しした後恵から着信が来る。

 

「どうかしたか?」

 

『どうかしたかじゃないわよ!あんたのグループの試験終了のメールが届いたんだけどどういうことなの?!』

 

「簡単な話だ。俺が終わらせた」

 

『え…?じゃあ、あんたは優待者が誰か分かったってこと?』

 

「ああ、お前から優待者である事を聞いた後から法則性を導き出した」

 

『はあ!?それだけで全部分かったわけ?!』

 

「少し足りないか、洋介からDクラスの他の優待者も聞いた。それで確信に至ったって感じだ」

 

『凄すぎでしょ…』

 

「まあ、それはいいとしてだ。お前の方はどうだ?」

 

『どうもこうも最悪よ!人は最悪だし!Cクラスの女子は何か突っかかってくるし!』

 

「ふーん…そうだな。俺も洋介もいないんじゃ保護のしようもないからな、誰か何となく人気そうな男子にでも媚でも売っておけ、それが誰かに邪魔…うーん、違うな喧嘩?しそうになっても続けろ」

 

『え〜…』

 

「文句言うなよ。組み分けはどうにもならないし、他の組にも干渉できないんだから」

 

『ならあんたから誰かに頼んでよ』

 

「アホ、お前は自分から過去をバラすきか?それ以外の事なら出来る限りは守るから安心しろ。俺が何もしていない時に限るけどな」

 

『……最後の一言が無ければ完璧なんだけど?』

 

「その割には声色が嬉しそうだが?」

 

『嬉しくない!!じゃあ!また連絡するから!』

 

と言ってから一方的に通話は切られた。

ひとまずは恵は大丈夫そうだ。ただ今回は少し波乱が起きそうな予感がする。恵には悪いけど俺は俺でやるべき事をしなくてはならないからな。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

試験が始まって2日目は特に何も無かったから飛ばそうと思ったがその真夜中、ほぼ3日目に差し掛かっている2時、3時頃俺が1人海の良く見えるデッキのベンチに座っていた。

すると真夜中の静かな空間に微かに人の声がする。音的に大声が反響して聞こえた感じだ。

 

「こんな真夜中に…喧嘩か?」

 

俺は何となく声のする方向へと歩いてみた。近づくにつれ誰の声かを何となく把握した。そして1人走り去っていく音がしたのでその走り去っていくやつに携帯で連絡してデッキに来るように伝えた。

 

少しだけ経ってからその人物が姿を現す。

そいつは無言で俺が座っている隣に座る。少しだけ暗闇でも分かる目元が少し赤い。

 

「どうしたよ恵。痴話喧嘩か?」

 

「ん…」

 

「はぁ…ほれ、何があったか話してみろ。この俺が聞いてやる」

 

「…ムカつく」

 

「洋介とは違うキャラにした方が話しやすいと思った俺の配慮だ」

 

「……私、Cクラスの子とちょっとゴタゴタがあってその友達が突っかかってきたの。それで私もムキになって突っかかったら軽い暴力されて脅された…」

 

「…それで?」

 

「それで…それを平田くんに相談しようと思って連絡したら綾小路くんと一緒に来たの…それで私はこの事を話して守ってって言ったの。そしたら平田くんはそのCクラスの子たちと話し合おうって言って…でも、あの感じじゃ私の話は聞かないし、私だって今更謝るのは嫌だから…それで私も意地になって無理言って…それで…」

 

「それで、走って離れたと…ふーん…」

 

「これさ…あんたならなんてあたしに言ってた?どうやって解決しようとした?」

 

「…無理だな。お前の性格とかを考慮した場合これを穏便に済ませる事は無理だ」

 

「なにそれ…じゃあ私はどうすればいいのよ!!」

 

恵は立ち上がって俺を涙目で睨んでくる。俺はそれに目だけ恵を捉える。

 

「恵、お前は少し勘違いしているぞ。これは明らかにお前が発端だ。それを洋介や俺に頼ること自体本当なら間違っている」

 

「あんたまで…もういい!助けてくれないなら!!」

 

「少し落ち着け、恵は確かに悪い。だが、全面的に恵だけの責任にはならない。なぜならお前とゴタゴタがあったのは別の人物だ。それを他の第三者、しかも被害者側の人物が割って入ったのは良くない。解決させるなら当事者同士で行うべきだからな」

 

「…………」

 

「ただ、これでは洋介の話し合い案を採用することになるが、これでは恵は無理だ」

 

「……ん」

 

「ならばだ、何もしないのが1番だ」

 

「はぁ?それじゃああたしは…」

 

「なら謝るか?」

 

「…嫌」

 

「ならこれだろ。確かに相手方が何をするかは流石に予測は出来ない。何かあった場合それこそ俺を呼べばいい」

 

「……信用出来ない」

 

「それでいい。俺の言う事100%を信じるな。20%でいい、頭の片隅にでも置いておく程度でいい。俺にだって出来ることと出来ないことがある」

 

「でも前にあんたはあたしを守るって言った」

 

「お前は信じるのか信じないのかどっちなんだ」

 

「…ちゃんと助けに来てよ?」

 

「だから…分かった助けてやる」

 

それを確認すると恵は部屋へと戻っていった。悪いな恵。どうやら俺はお前の約束を守れそうにない。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

3日目、夕方前俺は船の最下層フロアに続く階段に座っていた。理由はこの先のフロアで恵が虐められているからだ。

だが、俺はここで行くわけには行かなかった。なぜなら相手方を徹底的に叩き潰すためだ。

 

しばらくすると静かに扉が開かれる。そこから出てきたのは清隆だった。

 

「清隆!?」

 

「千里か、いると思ったよ」

 

「これは…まさかお前が?」

 

「…察しが付いているようだな」

 

「恵を手駒にするということか?」

 

「そういう事だ。そろそろ俺も動く必要があるからな」

 

「……理解した。なら真鍋志保たちは俺に任せてもらっていいか?」

 

「分かった。なら、画像を送っておく。好きに使ってくれ」

 

そう言って清隆は俺の脇を通る。

 

「随分と軽井沢に肩入れしているようだな」

 

「それはそうだ、大切な、大切な駒なんだから」

 

それを聞いてから清隆は少しだけここから離れた。それに続くように清隆とは別方向へと離れる。

 

またしばらくすると扉から人が出てくる。3人、4人か、その足音が段々と俺の方へと近づいてくる。うん、予想通り。

 

静かに俺がその進行方向へと歩いていくと、驚いたような声を出す。

 

「やあ、Cクラスの、こんな所でなにかしてたの?」

 

「あ、え?!わ、四月一日君!?嘘!?ど、どうして?」

 

「いやなに、俺のグループの試験が終わっちゃって暇だからね。見廻り?違うな…あ、探検かな?」

 

「そ、そうなんだ…それじゃあ私たちもう行くね。探検楽しんで」

 

「まあ、待てよ」

 

「「「「!?」」」」

 

「1つ話があるんだ。さっきからの挙動について言いたいことがね」

 

「わ、私たち急いでいるから…また!!」

 

「立ち去ってもいいが、いいのか?本当に」

 

その一言で走り出そうとした面々は動きを止め俺の方に振り返る。薄暗い空間に光り輝く携帯のディスプレイ。そしてその携帯を操作して映し出したこれまた薄暗い空間を映し出した先程まで彼女達が起こした出来事の一部始終。

 

「これ…なに?」

 

「な、な、なんで!?四月一日君が!?」

 

「もう少し上手い演技くらいしろよ。それに今聞いてんのは俺だ。答えやがれ」

 

いつもの有象無象達へと接した時とは違う、少しだけ本性を出したような口調で話す。

 

「ひっ!?」

 

「まあ、こっちとしては分かっているから聞かなくてもいいんだが…」

 

「どういうこと?!意味わかんない!」

 

「何を言う。簡単なことだろ?その場にいたんだから」

 

「なんで…」

 

「なんで?か…たまたまかな?」

 

「うそ…いや…」

 

「さてと…このままじゃ平行線か?このままなら、これの写真を先生に提出する。それなら最悪退学だな。それか、これを脅しにこれからの学校生活を過ごすかだな」

 

「嫌!!どっちも嫌!!!」

 

「どちらも嫌か…随分とわがままだな。そうだな、ならば友達として俺から1つ提案がある。この写真、消してやろうか?」

 

「ほんとに!?」

 

その一言に4人は顔色を明るくした。予想通りすぎる、面白くない。

 

「だが、消した瞬間友達という枠組みは消え、完全に俺と敵となる。そうなれば俺はお前らを徹底的に叩き潰す。どんな手を使おうと、龍園翔と同じような手を使おうともだ」

 

「え…?いや…嘘?嘘でしょ?!何なの?あんた本当に四月一日君なの?!」

 

「質問をしているのは俺だ。答えを迫っているのも俺だ。早く答えろ。退学か、利用されるか、破滅するかだ」

 

「…………」

 

4人は顔を見合わせる。そして、答えは利用される事を選んだ。俺はそれを聞いて満足した。なので、4人を帰す。ほとんど泣きながら1つ聞いてくる。

 

「何でこんなことをするの?」

 

「そうだな、クラスを上げるためってのもあるが、恵を虐めたからってのが大元だ」

 

「なんで…なんで四月一日君が軽井沢なんかのためにこんな事するの!?」

 

「たかが友達の分際で驕るなよ」

 

その一言に4人はひっ!?という小さい悲鳴をあげる。

 

「ああ、だめだな。ここに来てからどうやら俺は気が短くなったみたいだ。

だが、そういう事だ。お前らは所詮良くても友達、それに引き換え恵は俺の友達で仲間でありなおかつ保護対象だ。そんな相手と対等だとでも?はっ、笑わせるな」

 

「ほんと…誰よ…あんた……」

 

「……報告したければ翔にでも誰にでもしてみろ。したところでCクラス程度に俺に適う奴なんていないのだからな。まあ、報告したと分かればお前らはここには居ないだろうがな」

 

真鍋志保たち4人は逃げるように泣きながら走り去った。

 

「…………俺は四月一日千里だよ。お前らの良く知らない、外の世界でもあまり見せていなかった本当の…俺の本質だ。ここならバレる心配はないからな。

もういないか…」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

まさか、同じ時間に同じ場所で2人の人物に呼ばれるとは…面白そうだからどっちも断らなかったけど。

約束の20分前、早くも1人来た。俺の真正面に立ち俺の胸を何度も何度も叩いた。何も言わずにいるとそれは10分近く続いた。

 

そんな事をしている内にもう1人の約束の人物が来た。

 

「ダブルブッキングとは、いいご身分だな四月一日」

 

その声に恵は動きを止め振り返る。その先にいるのは我らが担任茶柱先生だ。

その姿を見ると恵は無言でこの場から去ろうとしたが俺はそれを止めた。

 

「どうして軽井沢を止めた?」

 

「まあまあ、いた所で問題ないでしょう?なら、ちょっといてもらっても大丈夫ですよね?」

 

「…お前らが今何をしていたのか気になるところではあるが、いいだろう」

 

「ありがとうございます。さて、本題に入りましょう先生はどうして俺を呼び出したんです?」

 

「聞いたところによるとお前は試験開始2日目にして優待者を全員把握したそうだな」

 

「ええ、まあ、正確には大体は1日目で目星はついてましたけどね。それがどうかしました?」

 

「私はお前の編入試験の結果を知っている。それに加えて今回の事もある。そして、協調性もあり向上心もあるように見えた。だから私は堀北や綾小路とは違い呼び出さずともAクラスを目指すものだと思っていたが、私が耳にしたところお前は結果的に自分がAクラスにいる事が目的らしいな」

 

取り繕うか、素で話そうか悩むところだな。

 

「……どうでしょうね。どこからそんなことが出てきたかは聞かなくてもわかるとして、仮にそれが本当だとしてそんな事ほぼ全員が思ってる事じゃないですか?」

 

「そんだな。そうかもしれない。だが、お前はそうはいかないその力をDクラスのために使い、クラスをAクラスに上げて貰う」

 

「…随分と命令的ですね」

 

「私はお前の担任、生徒の行動の半分近くは無理矢理でも動かす事が出来るからな」

 

「それでも、それで俺が動くとお思いで?」

 

「そうだな…動いてもらわなければ私は困る。だが、動かなければお前は退学だ」

 

「な!?先生!」

 

怒鳴る恵を俺は制した。

 

「退学ですか、それは一教師でどうこうなることですか?」

 

「ああ、私がお前の評価を書き換えればすぐにでも出来るぞ」

 

「退学……退学か………ふっ………ふふふ………ふはははははは!!!…いや…ははは、まさかこの俺にそんな脅しでくるなんて…そんな事とは…」

 

「…狂ったか?」

 

「7632万円」

 

「なに?」

 

「この額は俺が親に捨てられてから…つまり、小学6年生の時に稼いだ金です」

 

「「…は?!」」

 

「その次は1億と506万。

その次は1億と2362万。

その次は事故があったので少し少ないのと個人的な仕事があったので6258万。

とてもとても非現実的な数字でしょう?俺自身もどうしてこうなったのかよく分かってませんが…毎年確認するとこんな金額になってましてね」

 

「お得意のハッタリか?」

 

「ふむむ…まあ、俺が数えているわけじゃありませんが…」

 

「む?」

 

「いえ、何も…ハッタリ…そうですね。でも、先生なら知っているでしょう?俺がやったとされる事を」

 

「………」

 

「嘘つきだなんだと昔からよく言われてきましたけど…俺って自分から言ったことは確実にやり通してきたんですよ。

だから、俺は宣言しますよ。俺が退学した際にはこの学校の半分近くを同じく退学します」

 

「は!?ちょっと!何言って!!」

 

「笑えない冗談はここまでにしておけ、それにだ、ここから出た時後悔するのはお前の方だ。即刻お前の身柄を警察へと明け渡す。自分がやった罪がお前を追っている。この学校にいる事がお前の安全装置だと」

 

「証拠は出せるんですか?」

 

「なにを…」

 

「証拠ですよ証拠。俺がやったと言われている事、俺がやったという証拠です。先生が言っていることは全て俺が面接の時、もしくは先生との面談の時に言っただけ。それに、先生達もその事件自体は知っていても誰がやったかまでは分かっていない。しかも、それは警察も同じ事」

 

「……………貴様」

 

「ふふふ…わかりましたか?先生。足りないんですよ。俺を脅すには確実で、着実に、そして徹底的に殺す気で来なきゃ無理ですよ。

つまり…あなたじゃ枷が多すぎるって事ですよ」

 

俺は先生の横を通り抜け部屋へと戻ろうとする。

 

「あ、まあ、Dクラスが上がることに関しては俺的に別に良いので邪魔する気も何も無いので時には手伝ったりもしますよ。なので、先生は何もせずただ見てて下さいよ。俺が完膚なきまでに負けるまで」

 

部屋に戻る道中俺の体には1つの衝撃が走る。

その衝撃に足を止めてしまった。

 

「?どうしたのよ」

 

「…初動か」

 

「え?」

 

それこそ俺の体に刻まれた完全なる弱点。

 

「何でもない。悪かったな今日は…」

 

「え…あ、ちょっと…」

 

俺はその恵からの言葉を聞かず部屋へと戻った。

 

「くそっ…来やがったか…」




自分自身<敵<他人<同級生<友達<仲間<親友<保護対象<恋人<家族

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