俺のデッキの末端価格は840円   作:MrM3

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第16話

 

編入生活2日目。

レイの告白が今回の目的だとしても、俺達は一応学生である。

学生の仕事は勉強……という訳で今は授業中だ。

この教室には、オベリスクブルー、ラーイエロー、オシリスレッドの一年生達が勢ぞろいしている。教室に居る人数は25人弱といったところだ。

そして、今俺が座っている席は前から2列目の席だ。その隣にはレイが座っている。

因みに、十代さん達は俺達の前の席に座っている……知り合いが近くに密集してるこの席は、中々に良い席だと言えるな。

 

「デュエルモンスターズのデッキは40~60枚数と定められている。

なのでデッキ構築の際、60枚のカードでデッキを組む事は可能だ。

しかし、そんな事をすればデッキが回らなくなり、自分が勝てる可能性を縮めてしまう。

なので多くのデュエリストはデッキを40枚近くにして―――」

 

今教鞭を振るっているのは、グラサンを掛けた教員。ご存知、矢ヵ城先生だ。

矢ヵ城先生の授業は実用的なデュエル知識を教えるものだ。直に教えられた事が活かせるとあって、この授業は生徒達の中で好評らしい。伊達にグラサンは掛けてないな。

 

「そして、デッキのカードを1枚変更するだけでも大きな変化が起こる。

その結果は良くなる場合もあれば、当然悪くなる場合もある。

自分のデッキに合ったカードを選べるかが、重要と言えるだろう」

 

『だがッ』と、先生は拳を握って力説し始めた。

クール系かと思いきや、熱血系も混じっているようだ。

 

「デッキのカードを変更する際、簡単にデッキを強化できるカードがある。

そのカードについて―――坂本、君が答えてみろ」

 

先生は俺を指名してきた……何故だ。

何故、沢山いる生徒の中で、昨日編入したばかりの俺が指名されなければならないのだ。

と、内心愚痴りながらも答えを考えてみる…………解からん。

 

「(レイ、ヘルプ)」

 

隣にいるレイに助けを求める。

だが、レイは俺の声に反応することなく。ただ頭をコクコクと少し動かすだけだった。

……成る程。レイはどうやら夢の国へ行ってしまったらしい……どうしよう。

 

「ほら、あれだ。

編入試験の時、私がデュエルを中断して言った事を思い出してみろ」

 

回答が遅かったのか、先生はヒントを俺に言ってきた。

編入試験の時のデュエル? そんな何週間も前のことをいきなり言われても困るが……。

 

「あぁ、えっと……あッ、汎用カードですか?」

 

記憶を辿って、ようやく答えが出た。

成る程。確か、おとり人形を今は入れてないとか、汎用性のあるカードを採用しているとか言ってた気がする。

そして、先生は俺の答えに満足したのか。大きく頷いて、グッジョブしてきた。

 

「そうだ。サイクロンや大嵐といった汎用カードは、ほとんどのデッキに入れれるカードだ。入れて邪魔になることはまずない。

デッキを組む時にカード枚数が足りなくなったら、汎用カードを入れてみると良いだろう」

 

―――キン~コ~ンカ~コン……。

先生が喋り終えた後、授業の終了を告げる音が鳴り響いた。

教室に響くその鐘の音は、俺やレイの通っている小学校のそれと変りはない。

 

「……ふむ。

午前の授業はここまでにするが、午後からは数名の代表生徒でデュエルをしてもらう。

なお、デュエルは実力の公平を規すため、同じ寮の者の同士で一戦ずつ行う予定だ。

そして、残った生徒はそのデュエルを見て、そのデュエルの感想レポートを書いてもらう。

実際にデュエルをする事も重要だが、他人のデュエルから得れるものも大きいからな」

 

「はいはい! 先生!

オレ、その代表でデュエルする方をやりたい!

ただ他人のデュエルを見て感想書くなんて、オレの性に合わないぜッ!」

 

先生の説明を聞いてる最中。目の前に座っている十代さんが元気良く手を上げ、席を立って、デュエルをしたいと立候補し始めた。

その元気の良い声を近くで聞いたせいか、レイは目を擦りながら『うるさいなぁ』とぼやき始める……どうやら、夢の国から帰還して来たようだ。

 

「うん? あぁ、遊城か。

安心しろ。オシリスレッド内での実力を考えたら、君が代表になるのは当然だ」

 

「よっしゃぁ!

ありがとな、先生!」

 

十代さんの要求は断られること思ったが、先生から許可出た。

会話からして、十代さんの実力がオシリスレッド内で指折りだから選んだそうだが……。

果たしてどれほどなのだろうな? 十代さんの実力って。

 

「そして、遊城の対戦相手は……坂本、君だ。

編入試験で私に勝ったように、今度は遊城に勝ってみろ」

 

先生はまた俺を指名してきた……。

十代さんとのデュエルに興味はあるが、皆の前でデュエルというのは気が進まない。

何故なら、俺達の見た目は周りから少なからず浮く。編入生という肩書きもそうだが、

帽子を常に被ってるし、背の高さも並みの小学5年生ぐらいしかないのだ。

下手をすれば怪しまれる……だから、頼むからあまり俺を目立たせないでほしい。

 

「いや、別に俺じゃなくても良くないですか?

そこはほら、翔でも良いんじゃ―――」

 

「僕にアニキの相手なんて無理ッス!

惺君は僕に、皆の前で恥を掻けって言うんスかっ!?」

 

俺の意見は本人に非難されてしまった。

てか、恥を掻く前提って何だよ。意味が解からないよ、翔さん……。

 

「丸藤一年に遊城の相手は無理だ。

遊城はオシリスレッドに在籍してるが、それは昇格の話を蹴ってるからだ。

本来の在籍はラーイエローとなるはずだった。そんな遊城に勝てる可能性があるオシリスレッド生なんて、編入してきた坂本と早乙女しかいない。

これはもう決定したことだから、変更はしない。だからちゃんとデュエルしろよ、坂本」

 

「むぅ……了解で~す」

 

変更しないと言っているので、もう何を言っても変更はしないのだろう。

そう考えた俺は、仕方なく了承することに……。

それにしても、十代さんって昇格の話を蹴ってたのか。

まぁ、昇格するかしないかなんて本人の自由だし。過去の事なのでどうでもいいが……。

 

「へへっ、惺とデュエルかぁ。

くぅ~、何か今から燃えてくるぜ! よろしくな惺!」

 

「あぁ、此方こそよろしくな、十代」

 

互いに握手し、午前の授業は幕を閉じた。

 

 

午前の授業と午後の授業の間にあるもの……それは昼休みだ。

では、その昼休みには何をするか? ……ふっ、愚問だな。昼食を取るにきまってる。

という訳で、今は食べ物を販売してる学校の購買部に俺とレイは居る。

因みに、学園の構造を把握できていない俺達が、購買部へ迷うことなく辿り着けたのは、道案内してくれた十代さん達の御かげだ。

お礼を言ったら『俺達も購買部に行く予定だったから気にすんな』との事。良い人達だ。

 

「はいはい!

お会計は一列に並んでおくれよぉ~!

あ、こらそこ! 割り込みしちゃダメだよぉ!」

 

レジをしているおばちゃんが、レジに殺到している生徒達を捌いている。

レジの周りにいる生徒の数は15人以上にも及ぶ……その生徒達の会計を一人あたり6秒で終らせるあのおばちゃんは、プロと言って良いだろう。

で、俺達の目的である食べ物なんだが……

 

「おい、押すなよッ!」    「ちょっと! 今私を押したでしょ!」

「うるせぇ! 早くしろッ!」 「俺じゃない! アイツだ!」

              :

              :

              :

 

食べ物の販売所には、既に何人もの生徒がごった返していた。

その場においては、レッドもイエローもブルーも関係なく。男女も関係ない。

もはや購買部ではなく、修羅場と言っていい光景が広がっていた。

 

「……惺。

お金渡すから、何か食べ物を買って来てくれないか?」

 

「……嫌だ、というより無理だ。

あんな修羅場に行ったら、体格差で押し潰される」

 

俺とレイはただ呆然と修羅場を見ているしかなかった。

小学5年生の体格であの中に入り込んだら、ただでは済まない。

最悪、骨折覚悟で挑まないと戦利品である食料はゲットできないだろう……。

そうして、今の状況に困っている時だ。視界の隅に、ビニール袋を持って手を振っている十代さんの姿が映った。

 

「お~い、2人共!

お前達の分も買ってきたぞぉ~!」

 

……なんて人だ。

十代さんは早々と自分の分だけでなく、俺達の分まで手に入れてくれたのか。

 

「レイ、神は俺達を見放さなかったようだ」

 

「……うん。

あぁ、何だろう? 十代に対する評価が、うるさい人から良い人に昇格した気がする」

 

『何だよ、うるさい人って?』と、レイにツッコミを入れたかったが。十代さんが待ってる場所へと向かうことを優先する。折角買って来てもらったのだ、待たせては悪いというものだろう。

 

「ほら、お前達の分だぜ。

ドローパンが4個入ってるから、2人で2個ずつだからな?」

 

そう言いって、十代さんは此方にビニール袋を渡してきた。

それを受け取って、代金を支払おうと財布を取り出す……が、それを見ていた十代さんは『待った、待った!』と手で制した。

 

「これは俺達3人からの編入祝いだ。

昨日の事もあるし。金なんて要らないって!」

 

「そうッスよ」

 

「そうなんだなぁ」

 

十代さんだけでなく、近くにいた翔さんや隼人さんまでもが、笑ながらそう言ってくる。

なんて、なんて良い人達なんだ! その優しさで、胸が一杯になってしまうじゃないか!

そんな胸に込み上げてくる思いを込め『ありがとう』と、十代さん達にお礼を言い。

その後、俺達は食事を取るべく、近くのロビーへと向かった。

 

到着したロビーには数十席を越えるテーブルと椅子が用意されており、既に食事を食べてる生徒も沢山いる。

その中で空いてる席を探し、空いていた中央付近の椅子に腰を下ろす。

正面には十代さん達3人が座り、それと対面する形で俺とレイが座っている。

 

「2人共、遠慮せずにドローパンを食えよぉ?

このパンはここの購買部の名物で、中身に何が入ってるかランダムなパンなんだなぁ」

 

隼人さんは自分のドローパンを片手で持ち、ドローパンの説明をしてくれた。

ドローパンというのは、市販のハンバガーのバンズに何かを挟んだモノらしい。

ランダムであるが故に、外から中身が見えないように包み紙で覆われている点については当然と言えよう。見えてしまえば、ランダムの意味がないからな。

 

「因みにドローパンの当たりは、黄金の卵パンて言うだ。

沢山あるドローパンの中で、一日限定一個しかない幻のパンって呼ばれてるんッスよ。

そのパンを食べる為に、僕もドローパンを何回か買ってるんだけど……中々当たらないんだよねぇ…はぁー。

僕も一生に一度でいいから、アニキや明日香さんみたいに黄金の卵パンを食べたいッス!」

 

「まっ、翔もその内当たるって。

それよりも2人共、黄金の卵パンはスゲェ~美味いんだぜ!

他にもコロッケとかピザなんかも入ってて、毎日食べても飽きないんだ」

 

翔さんはなんか闘志に燃え。十代さんはドローパンの中身について語ってる。

つまり、当たりを引けるかどうかを試すパン…。

”何を引くか”という点では、デュエルのドローと同じと言える……成る程。

だから、ドローパンというのか。中々に面白いネーミングセンスだな。

 

「それじゃ……いただきます」

 

「ボクも、いただきます」

 

レイと一緒のタイミングでドローパンを口に運ぶ。

口に入れた時に広がる、バンズ独特の食感とパサパサ感を堪能し。何か変わった味や食感がないか、舌で探ったり、噛んでみるが……何も感じない。

気になって噛んだパンの断面を見てみる……うむ。何も入ってないとな?

 

「うん? どうしたんだぁ、惺?

……まさか―――」

 

「黄金の卵パンッスか!?」

 

「……いや、違うだよ。隼人、翔。

これ見てくれよ、まさかの不良品だ。中身が空っぽって……ちょっと購買部に行って来る」

 

中身がランダムという設定のクセに、まさかの中身がないだと? 

そんなもの詐欺だ、詐欺以外の何ものでもない。

だってそうだろ? ガチャガチャに100円入れて中身が空っぽだったら、店に文句言うだろ? 言わない方がおかしいと思う。

という訳で……この不良パンを正規パンにチェンジしてもらわなければならぬ。

 

「あぁ! 待つッス惺君!

そのパンは(から)パンって言って、一番のハズレパンなんすよ!」

 

席を立った直後、翔さんに止めれてた。

てか、空パンって何だよ。こんなものが商品とかありえないだろ。

 

「それにしても、珍しいモノを引いたんだなぁ……。

確か空パンって、一月に一回出るか出ないかのパンなんだなぁ。

そう考えると、黄金の卵パンよりもレアだぞ、惺」

 

隼人さん、そんな事言われても嬉しくないです。

こんなものレアでも何でもないでしょ? 中身の具を全部取れば一緒なんだから……。

あぁ、でも、そうしたら具なしパンという名前になるか…。いや、どっちも一緒だな。

所詮、どっちにも具が無いんだから。

 

はぁーとため息を吐きながら、一緒に食べたレイの方を見てみる。

レイはドローパンを食べてから一言も喋ってないのだ。気にならない方がおかしいだろう。

『レイもハズレ引いたかな?』と、同じ境遇の仲間を求めるように、すがる思いで俺は

レイのドローパンを覗いてみる。

……中身は煮込みハンバーグのようだ。くぅ、裏切り者めッ。

 

「はむ、はむ……美味しい」

 

ぐぬぬ……幸せそうに食いやがって…。

 

「レイ、この激レアドローパンとお前のドローパンを交換―――」

 

「却下」

 

「くぅ……。

じゃ、じゃあ、せめて煮込みハンバーグのソースを少しくれ。

こんな味気ないバンズを全部食べるのは無理だ。助けてくれ、いや、助けてください」

 

十代さん達の贈り物であるが故に、捨てるなど論外だ。完食するのが当然だろう。

だが、このバンズを完食するのは難しい。味がしないのもそうだが、バンズだけだと口の中の水分が大量に持っていかれる。もう口の中はパサパサ状態なのだ。

こんな状況を打破するには、レイのドローパンに挟んである煮込みハンバーグのソースをこのバンズに足すしかないのだ。もう、バンズ革命を起こすしかないのだ。

 

「もぉ……しょうがないなぁ。

ソースだけだぞ? メインの煮込みハンバーグはあげないからな?」

 

頼み込んだ末、レイは渋々自分のドローパンの上のバンズを取り除いた。

そしてドローパンの中身である、煮込みハンバーグの姿が露になる。

その光景を見て、思わず煮込みハンバーグを強奪したくなる衝動に駆られるが……そんな事をすれば、レイからの制裁が待っているので自重するとしよう。

おとなしく、自分の空パンのバンズをレイの煮込みハンバーグの上に被せ、グリグリと少しだけ回し。味気ないバンズにソースの味を染み込ませていく。

元からバンズが被せてあったから、あまりソースがバンズに付かなかったが……まぁ、それでも十二分にマシと言えるだろう。

 

「これでこの空パンの攻略が可能となった……()を言うぞ、レイ(・・)

 

「何、上からものを言ってるんだよ。

というより、ボクの名前を寒いギャグに使うな!」

 

有無を言わず、頭上に強めのチョップが振り下ろされた。痛いの一言である。

どうやら、俺が思いついたギャグはレイにとって不愉快だったようだ。

『わるい、わるい』と、レイに平謝りしながら、自分の空パン(ソースver)を口に運ぶ。

うむ。ソースの味がほのかに広がってくる……なんとか完食できそうなレベルに昇格したな。

 

「う~ん……。

昨日からずっと気になってたんだけど……2人は、なんでそんなに仲が良いんッスか?

まだ知り合って間もないはずッスよね?」

 

食事を再開し始めたところで、翔さんから質問が投げかけられた。

まぁ、翔さん達は俺達の事を詳しく知らないのだし。この質問は仕方ないと言えるだろう。

 

「ボクと惺は幼馴染なんだ。

家も隣同士だから、仲が良いのは当然だよ」

 

「あぁ、なるほどッス」

 

「なんか、納得したんだなぁ」

 

レイの説明で、翔さんと隼人さんは納得したようだ。

十代さんも『幼馴染かぁ! なんか、楽しそうだな!』と言ってることから、納得したのだろう。……いや、そもそも十代さんのことだから、俺とレイの関係を気にしてなかったのかもしれない。十代さん、あの性格だからね。

と、そうこうしてる内に、ようやく空パン(ソースver)を食べ終えることができた。

『あぁ、なんとか完食できたなぁ』と、完食できたことに感動を覚えつつも、俺は次の

ドローパンへと手を伸ばす。

もはや一ヶ月に一回しかでない、最悪のハズレパンを引いた俺に恐れるモノなどないのだ。

ビニール袋から取り出した、ドローパンの包み紙をはずし。『美味しいものであれ』と願いを込めて、上のバンズを取り外してみると…………ん?

 

「何だコレ?」

 

ドローパンの中身は、四角形の何かを白い包み紙で包んだモノだった。

指に伝わってくる硬さを考えると、チーズとかではない。もっとちゃんとした強度があるモノだ……一体何なんだ、コレ?

 

「あぁ!? 惺君!

それ、カードパンッスよ!」

 

……カードパン? 何それ?

 

「惺は珍しいものをよく引くなぁ。

それは具の代わりにカードが入ってる、カードパンなんだなぁ。

それも滅多に出ない、レアなドローパンだぞぉ」

 

何? 具の代わりにカード?

おい、マジか。じゃあ、このパンも具無し……もろハズレじゃないか…。

 

「なぁ、なぁ!

何のカードが入ってるのか、早く見せてくれよ!」

 

俺が自分の引き運の無さに絶望している最中。

十代さんは机に身を乗り出し、興奮したように目をワクワクさせていた。

他の3人も、視線を俺の手元に集中している事を察するに、興味があるのだろう。

その様子に『カードの事が気になるのは、デュエリストとしての嵯峨か』と、思いながら包み紙を外していく。

ガサガサと音を立てながら包み紙を外すと、中にはカードが4枚入っていた。

・レッドポーション

・ワンチャン!?

・金華猫

・生者の書-禁断の呪術

魔法カードが3枚、モンスターが1枚。

ふむ……レッドポーション以外の3枚のカードは、目を通したことのないカード達だ。

その3枚のテキストに目を通していく……うむふむ。

ワンチャンス!? は、レベル1のモンスターを手札に加えるサーチ効果。

金華猫と生者の書-禁断の呪術は、モンスターの蘇生効果を持ってるているらしいなぁ…。

使えそうなカード達なので、今度デッキ調整をする際、デッキに投入してみるとしよう。

 

「惺のデッキに使えそうなカードだね。

と言っても、流石にレッドポーションは使わないと思うけど…」

 

「まぁ、レッドポーションの効果は『自分は500ライフポイント回復する』だからなぁ。

流石に俺のデッキには入らない……その他の3枚は、いずれ入れる予定だ」

 

レイは俺のデッキを知っている。その為、このカード達の有用性を解かっているようだ。

伊達に校内ナンバーワンの称号を持っていただけはある……といっても、元が付くけどな。

今は俺が校内ナンバーワンとなっている。俺はレイにデュエルで勝利したのだから、校内ナンバワンの称号が俺に移るのは当然のこと。まぁ、今その称号の事はどうでもいいが…。

 

「へぇ~。惺って、こんな面白そうなカードもデッキに入れるのか……。

へへっ。惺がどんなデッキを使うのか、今からワクワクしてきたぜ!」

 

十代さんのテンションが急上昇中である。

俺がどんなデッキを使うか期待してるようだが……そんな風に期待されても困る。

840円分のジャンクカードで組んだデッキだから、当然珍しいレアカードなど入っていない。

精々期待に応えれるとしたら、デッキのテーマがワイトデッキというところしかないのだ。

なのであまり期待しないでほしい……。

 

「ほら、惺も十代みたいにテンションを上げたら?

『俺が勝つけどな。わーははは!』ぐらい言ってみると良いと思う」

 

「いや、どこの下っ端だよ、それ?

まぁ、知ったとしてもそんな痛いセリフ言わないけどさ……」

 

レイの本気なのかギャグなのか判らないボケに対応した後、具なしパンと化したドローパンを一口食べてみる。

味気は無く、口の水分も再び失われていく……苦行の再臨である。

……こうして。俺の残りのお昼休みの時間が、このドローパンとの戦いで終ったのは言うまでもないことだろう。

因みに、レイの最後のドローパンの中身はエビカツであった。解せぬ―――

 

 

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