俺のデッキの末端価格は840円   作:MrM3

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第3話

 

カードショップを目指して走ること15分、現在時刻は17時を過ぎて夕暮れ時だ。

俺はデュエルモンスターズをした事は無いので、カードショップに入店したことは一度も無い。どこのカードショップが一番良いのか、などの情報も俺は持ち合わせてはいなかった。

なので取り合えず一番最初に発見したカードショップ……ではなく『GAME』と書かれたゲーム屋さんへ入店して、ここら辺のカードショップで一番良い店を聞く事にした。ゲームショップの店員ともなれば、そういった情報に詳しいと思ったからだ。

 

―――カラーン♪

「いらっしゃい」

 

『GAME』と書かれたお店に入るとオレンジ色のバンダナをしたおじいさんが、扉から直線上の位置に設置しているレジカウンターに座っていた。店内にはそのおじいさん以外に店員は居いない、というよりお客さんが居ない。この時間帯のお客さんの出入りが偶々居ないだけなのか、はたまた単に人気の無い店なのか……。

いや、今はそんな事はどうでもいい。俺はこのお店に情報を聞きに来ただけなのだから。

 

「おじいさん。

ここら辺で一番良いカードショップを教えてください」

 

「ん? カードショップかのぅ?

カードが欲しいんじゃったら、この店にも置いてあるぞい?」

 

そう言っておじいさんは疑問に思いながら、レジカウンターの下にあるデュエルモンスターズのカードを指差す。おじいさんは俺がそのカードの存在に気づかなかったと思ったのだろう。

しかし、俺は気づいていた、そのカード達の存在に……。あえて見て見ぬふりをしたのは、そのカードに表記された値段が高かった。『お買い得!』と表記されているカード一枚の値段が1800円もするのだ。

俺にはデュエルモンスターズの相場に関する知識は無いが、たった一枚のお買い得カードがそんな値段で売買されているとは到底思えなかった。なので俺はこのお店でカードを購入するのはハズレだと踏んで、見て見ぬふりをしたのだ。

 

「いえ、もう少し金額の安い所で買おうかと……」

 

「ハァーハッハ! そうかそうか。

じゃが、ワシの店の値段はこの辺で一番安いぞい。

他のお店だと……大体、この値段の1.2倍ぐらいするからのぉ~」

 

このおじいさんは俺の発言に大爆笑するのだが……俺としてはおじいさんの発言を聞いて、笑えるものではなかった。このおじいさんの言ってることが本当なら、このカード達の値段表記は適正なものといえる。相場の話が冗談なら笑話で終わるのだが、あの表情からして嘘を言ってるようには見えない。

どうしよう……財布の中身が840円しかない今の俺じゃあ、到底購入出来ない。

 

「あ、あの……俺、明日までにデュエルモンスターズのデッキがいるんです。

でも……今財布の中身が840円しかないんです。……なんとかなりますか?」

 

「ふん……840円かぁのぅ…。

デュエルモンスターズのデッキというのは、最低でも40枚はいるからのぅ」

 

「よ、40枚!?」

 

おじいさんの発言に俺はただただ驚くしかなかった。お買い得カードで1800円なら、

1800×40=72000……む、無理だ! 今の俺の所持金じゃあ、到底無理だ。一度家にキャッシュカードを取りに戻って、コンビニのATMでお金を引き下ろせば問題ないが……。あのお金は海外で仕事をしている両親が俺の生活費にと充てたもの、無駄使いをするのは気が引ける。

 

「ハァーハッハ、な~に、心配せんでもよい。

ワシの店にはあまり売れない、ジャンクカードがあってのぅ。

中には使い方次第で、かなり優良な効果を持ったカードもおるんじゃが……。

使う人がほとんど居なくてのぅ……一枚あたり21円で販売しとるものもあるんじゃよ」

 

何ッ、21円だと!……21×40=840円だから丁度買える!

なるほど、どうやら神は俺の味方だったらしい。

 

「おじいさん! そのジャンクカード40枚分買います!」

 

「おぉ! そぉーか! そぉーか!

買ってくれるか……カード達も喜ぶわい。

ちょっと待っておれ……えーと確かここに…おぉ、あったぞい!」

 

レジカウンターの後ろにあった棚から、箱を取り出すおじいさん。

その箱の中には300枚以上のデュエルモンスターズのカードが入っていた。ぱっと見で、茶色のカードや紫色のカードなど色が違う……何で、カードの色が違うんだ?

 

「おじいさん、これがデュエルモンスターズですか?

何か……カードの色が違うんですけど…そういう仕様ですか?」

 

「ん? お主、デュエルモンスターズのこと、なーにも分かっておらんようじゃのぅ。

デュエルモンスターズのルールが分っておらんと、デッキ構築は難しいぞぉい?

なんなら、わしがデュエルモンスターズのことを手取り足取り教えてあげようかのぅ」

 

「え? おじいさんもデュエリストなんですか?」

 

「ハァーハッハ、まぁ、今は嗜む程度じゃがなぁ。

ワシには孫が居るんじゃが、その孫にデュエルモンスターズのことを教えたのはワシなんじゃよ。今ではデュエルキングと呼ばれるほどに強くなっておるじゃ。祖父として、孫が有名になるのは鼻が高いわい」

 

おじいさんは思い出に浸るように話すのだが……そもそもデュエルキングってなんだ?

有名ってことは、それなりにおじいさんの孫は強い人だということは分るが……。

いや、ちょっと待てよ、そもそもそんな有名な人に『自分が教えた』と言い張るこのおじいさんは、ひょっとしたらかなりの実力者なのではないか?

そして、そんな人にデュエルモンスターズの事を教えてもらえば、840円でも良いデッキが組めるかもしれない。そして何より、校内で一番強いレイに勝てるかもしれない……よし!

 

「おじいさん! 俺、デュエルキングってのがイマイチよく分らないけど、おじいさんの孫が強い人ということは分りました! そして、俺にもデュエルモンスターズの事を教えてください! 俺、明日のデュエルに勝たないと大変なことになるんです!」

 

「ほぉ……遊戯のことを知らん子もまだおるんじゃなぁ……。

それより、わしにそんな必死になって頼み込むなんて、相当な事のようじゃのぅ…。

よし、わかった! お主にはデュエルモンスターズの事を色々と教えてやるぞぃ!」

 

「ありがとうございます!」

 

おじいさんにデュエルモンスターズのことを教えて貰えることになった。これで帰ってからルールを調べたりだとか、戦略的なものを調べたりしなくて済む……。だが、俺にデュエルモンスターズのことを教える為に、おじいさんがお店を早めに閉店した事については、正直心が痛んだ……俺の都合でおじいさんには迷惑を掛けてしまった、本当に申し訳無い。

だが、だからこそ、俺はこのおじいさんからデュエルの事を色々と吸収しなければならない。それが協力してくれたおじいさんへの一番の感謝になるからだ――

 

 

 

 

『コホン、まずデュエルモンスターズというのは―――』

 

お店の奥にある客間で、おじいさんのデュエル講座を受ける事3時間……。

竹刀まで取り出してやる気満々のおじいさんに、デュエルモンスターズの基本のルールからデッキ構築におけるモンスターと魔法&罠の基本的な配合などを教えもらっている。

 

どうやらデュルモンスターズというのは、モンスターカードや魔法カード、罠カードを上手く使って戦うカードゲーム。そして、相手のライフポイントを0にすれば勝利らしい。

 

「じゃが、相手のライフポイントを0にする以外にも勝つ方法はあるぞぉい。

デュエルモンスターズはデッキからカードが引けなくなったら負けなのじゃ。だから、相手のデッキを多く墓地に送って、勝利する手段もある。

その他にも、特殊なカード効果によって勝利できるカードもある―――それがコレじゃ」

 

おじいさんが見せてきたのは、『封印されしエクゾディア』というカードだ。

攻撃力と守備力は1000ポイントと、あまり高い数値ではないが特殊な効果を持ったカードらしい……それ故に、世界でも珍しいカードとのことらしいが……。

 

「(このカード……しわくちゃだ…)」

 

あのカードは見て判るぐらいにしわくちゃだ。多分、水に濡れたのが原因だと思われる。

いくら珍しいカードといっても、コレではこのカードに価値など無いのではないか?

 

「エクゾディアは5枚のカードを揃えたら、デュエルに勝利できるんじゃ……ん?

ハハハ、このカードの状態が気になったかのぅ?」

 

「えっ!? えっと……はい」

 

表情に出ていたのだろうか? おじいさんは乾いた笑い声を上げながら、此方に問い掛けてきた。その表情は何やら複雑そうだ。

表情から察するに、あまり良い事ではないようだが……。

 

「このカードはのぅ、昔孫に渡したカードの内一枚なんじゃ。

本来ならこのカードは5つのパーツによって完成するモンスターなんじゃが……エクゾディアとこの左腕以外は全て無くなってしまってのぅ」

 

「無くなった? お孫さんが無くしたんですか?」

 

おじいさんは首を振り、こちらの考えを否定した。

 

「遊戯はわしから受け継いだカードを大切に扱っていたんじゃ。このエクゾディアもそれは変わらんかったんじゃがのぅ……心無いデュエリストによって海に捨てられたんじゃ」

 

「……ひどい…」

 

おじいさんの話を聞いて、『ひどい……』と言わざるをえない。

俺は未だデュエリストではないが、そのデュエリストが最低なヤツだと理解した。

 

「しかしのぅ……その捨てられたカードを遊戯の友達、城ノ内のヤツが拾ってくれてのぅ。

船で移動中じゃったから、2枚しか拾えなかったと言っておったが……わしは嬉しかった。

カードの為にそこまでやったあやつの根性とデュエリストとしての成長ぶりに、わしは感動したものじゃ」

 

船の移動中に拾ったって……その人、海に飛び込んだって事だよね?

2枚しか拾えなかったって言ったらしいけど、下手すれば溺れる可能性だってあったのに……城ノ内って人、凄いな。

 

「そして色々と終わった後にのぅ、遊戯から謝罪と『また同じ事があったら嫌だから』という理由で、わしがエクゾディアとこの右腕を保管しておるんじゃよ。

それにこのカードはわしが魂を込めて作ったデッキの一部、わしは死ぬまでこのカードは大切にするつもりじゃ」

 

『まっ、まだわしは若いがのう。』と言いながらガハハハ! と笑いだすおじいさん。

笑って良いのか悪いのか判断できない為、俺はとりあえず苦笑いを浮かべておく。

だってこのおじいいさん、見た目的に80才ぐらいいってそうだもん。

 

「デュエリストというのは、カードを大切に扱うべき存在じゃ。

少年もデュエリストになるなら、この事を肝に銘じておくことじゃ。

そうそれば、デッキは少年に応えてくれるはずじゃよ」

 

「分かりました、俺、頑張ります!」

 

「うむ、その意気じゃ。

ではまず、箱の中にあるカードから40枚を選んでデッキを構築するのじゃ。

デュエルモンスターズのルールやデュエリストとしての心構えを知った今の少年になら、きっと良いデッキが作れるはずじゃよ」

 

おじいさんはそう言いながら、店で見せた箱を取り出した。

その箱の中身は勿論デュエルモンスターズのカード……約300枚。

その300枚の中から自分の選んだカードで、自分だけのデッキを作る。

 

「(何だろうな……ちょっとワクワクしてきた)」

 

顔がついつい綻んでしまう。

今ままでやっていたカードゲームは全てトランプやダウトといった、平等なカードスペックで争うゲームだった。当然、カードのスペックが一緒な為、手札に勝敗を大きく左右される。言わば戦術ゲーム。

しかし、このデュエルモンスターズは自分の考えたデッキを作れる。言わば戦略ゲーム。

なら、デッキの組み方次第で無限の可能性がある。無論、この300枚のカードにも――

 

「無限の可能性は、ある」

 

まずは箱からカードを取り出し、カードの攻守や効果テキストを見ていく。

効果処理の仕方が分からないカードはおじいさんに聞き、そのカードの使い道を模索する。

『さっき見たカードとコレなら』『いや、こっちの方が汎用性が』など、カードと一体一で睨めっこする。

そして300枚のカードを見終えた後は、デッキの軸となるカードを選別する。

『大革命』『弱肉一色』『ワイトキング』……効果の強いカードはこれぐらいだ。

『大革命』と『弱肉一色』は相手のカードを一掃する力を持っている。発動できればかなり強い効果だが、発動条件が難しい。さらに言えば、『大革命』の発動に必要なカードが1枚足らない。これでは『大革命』が発動できる可能性は0だ。

『弱肉一色』の発動条件に合うモンスターは幾らかいる。だが攻守が低い上、なんの能力も持っていない。これでは『弱肉一色』の発動条件である”フィールド場にレベル2以下の通常モンスターが5体いる時”を成立させるのは難しい。

 

「となると……やっぱりコイツか…」

 

手に取ったのは『ワイトキング』。

攻守は0だが効果は強い。状況によってはこのカード達の中で一番強いカードとなる。

サポートに使えそうなカードも幾らかあるし、何よりワイトシリーズのカードが奇跡的に複数枚あった。これなら、デッキを作っても大丈夫そうだ。

 

さて、軸になるカードが決まった。

後はこのカードと相性の良いカードを加えていけばデッキができる

 

 

Side 双六

 

今日は珍しい客が来よった、それがわしの目の前にいる少年じゃ。

老いぼれのわしなんかにデェルモンスターズを教えてほしいとは……昔を思い出すのぅ。

嘗ては城ノ内もわしにデュエルモンスターズの指南を受けたいと言って来たものじゃ。

まぁ城ノ内の場合は手始めに”大会賞金が目的”という腐った根性をこの竹刀で叩き直したんじゃがなぁ。

この少年も城ノ内のように、邪な考えがあるならこの竹刀で叩き直そうと思っておったが、その心配は要らんかったのぅ。わしの教えることを全て吸収しようとするあの目……本気で何かを得ようとする者の目じゃ、『デュエルで勝たないと大変なことになる』と言っておったぐらいじゃからのぅ……何か深い事情があるに違いない。

その事情を聞くのは……やはり、野暮というものじゃろうな……。

 

「墓地にカードを落さないと、このカードは活かせない……なら」

 

それに、今の少年の邪魔はしたくないのぅ。

カードとカードの相性を試行錯誤し、一番強いデッキを目指すあの目……間違いなく、デュエリストの目じゃ。

そして何より―――

 

「よし、後はコレを加えて……」

 

楽しんでおる。

きっと、自分の頭の中で色々な戦略や戦術を練っているんじゃろうなぁ。それが楽しくてしかたないのじゃろう。

そして、そんな少年に反応するかのようにカード達も喜んでおる。自分達の価値を必死に見出そうとしている少年に、カード達も反応しているのじゃろうな。

 

「で、出来たぁ。

おじいさん、コレ、出来ました! 俺のデッキです!」

 

ホホホッ、何とも微笑ましいものじゃのう。

遊戯が小学校のテストで100点を取って、わしに見せてきた時のように感じるのぅ。

どれ、少年がどのようなデッキを作ったか、見てみるかのぅ……。

 

ワイト       ×3 ワンフォーワン  ×1

ワイト夫人     ×3 魔法除去     ×2

ワイトメア     ×3 おとり人形    ×2

ワイトキング    ×3 スケープゴート  ×2

終末の騎士     ×3 下剋上の首飾り  ×1

メタモルポッド   ×1 闇の誘惑     ×1

魔道雑貨商人    ×3 光学迷彩アーマー ×1

ものまね幻想師   ×1 バスターランチャー×1

ネクロガードナー  ×1 エンジェル・リフト×2

カオスネクロマンサー×2 はさみ撃ち    ×1

カードーガンナー  ×2 反転世界     ×1

 

うむ……ワイトキングを軸にしたデッキじゃのぅ。

ワイトキングは墓地におるワイトの数だけ攻撃力が上がるカードじゃ……効果による攻撃力の上昇具合にも寄るが、場合によっては神のカードを倒す可能性のある見所があるカードじゃのぅ。初心者でこのカードに目を付けるとは、この少年にも見所がある。

 

さらに、この少年はわしが教えたことをちゃんと聞いておったのぅ。

ワイトデッキに必要な墓地肥やしをちゃんと入れておる。墓地肥やしはワイトデッキのように、墓地が増えることで強さが増すデッキには打ってつけの方法じゃ。

それにしても、よくこの短時間でわしの教えを理解したものじゃのぅ。城ノ内の時は一週間ぐらいは掛かったのじゃが……ハハハッ! いや、学習能力なら既に兄弟子である城ノ内を超えておるだけの話だのぅ!

 

「あの、俺のデッキってどうですか?

頑張って作ってみたんですが……」

 

むぅ? 返事が遅いせいで不安にさせてしまったようだのぅ。これは悪いことをした。

 

「うむ。不安にならんでも良い、よく考えられたデッキじゃ。

お主がピンチになった時は、必ずこのデッキは応えてくれるぞぃ」

 

このデッキからは脈動が聞こえてきそうなぐらいに、カード達が喜んでおる。

カード達がコレほどまでに喜んでいるデッキなど、遊戯や城ノ内、歴戦のデュエリストのそれと変わらん。

それほどにカード達が喜んでおるのだ――最高のデッキと評価してもいいぐらいじゃのぅ。

 

Side out 双六

 

「うむ。不安にならんでも良い、よく考えられたデッキじゃ。

お主がピンチになった時は、必ずこのデッキは応えてくれるぞぃ」

 

デッキと睨めっこしていたおじいさんが唐突に喋り出す。その表情はとても良い笑顔だ。

ふう。おじいさんの返事が遅かったからどこかミスしたのかと不安になったが、どうやら問題はないようだ。

 

「はい! ありがとうございます!」

 

おじいさんの手から俺の手へとデッキが手渡される。

心なしか、デッキトップで表になっているワイトキングがレアカードでもないのに妙な光沢の輝きを放っているが……まぁ、気のせいだな。おじいさんの講座を集中して聞いてたから、目が疲れたのだろう。

 

―――ガチャ……

『ただいま~じいちゃん!』

 

玄関の方から、誰かが家に上がり込んでくる音が聞こえた。声からして、若い男の人の声だ。『ただいま』と言っているので、家族の人なのかな? 

因みにおじいさんは『ん? あの声はもしや……』と言って、玄関に向かって行った。

 

『おぉ! やはり遊戯か! 

久しぶりじゃのぅ~。少し見ないうちにまた背が伸びたかの?』

 

『もぅ~じいちゃん。

高校卒業してからじゃ、背なんて伸びないよ。

それより、子供の靴が有るけど……誰か居るの?』

 

『おぉ、そうじゃった! そうじゃった!

実はデュエルモンスターズを教えて欲しいという子がおってのう。

色々と教えておったんじゃ。どれ、遊戯もちょっとあの子に会ってみてくれんか?』

 

玄関から聞こえてくるおじいさんの言葉を最後に、客間へと向かってくる足音が二人分。一つはおじいさんので……もう一つは、遊戯さんという人の足音なのだろう。

確か、遊戯さんはおじいさんの孫でデュエルが強い人なんだっけ? そんな会話をお店でした気がする。

 

「ほれ、遊戯。

彼が、さっきわしの言ってた子じゃ」

 

「へぇ……この子が…」

 

おじいさんが客間へと帰ってきた。そしておじいさんに続く形で、遊戯さんという人も客間へと来た。遊戯さんは小柄の体系をした、3色のツンツンヘアーが特徴の人だ。遊戯さんはデュエルモンスターズ界で有名な人らしいが……本人を見ても、俺の記憶には覚えの無い人物だった。

 

「初めまして、坂本惺です」

 

「こちらこそ、初めまして。

僕の名前は武藤遊戯、よろくね」

 

お互いに右手を出し合い、笑顔で握手を交わす俺と遊戯さん。表情と言葉使いからして、温厚で良い人のようだ。まぁ、あの気の良い性格のおじいさんの孫なのだから当然か……。

 

俺はこの日、武藤遊戯という人物に会いました

 

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