結城玲奈は勇者である~友奈ガチ勢の日常~   作:“人”

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誠に。誠に、ありがとうございます‼︎お待たせしました。
まさか、あんなに評価が増えるとは思わなかった。……なんか催促したようで申し訳ない。


評価のメッセージ、本当にありがとうございます‼︎書きたいように書けましたとも‼︎………でも、心が痛い。




今回もやばい。何がやばいって、『伏線回収できるぜヤッホーい‼︎』と盛り上がったら中二病特有の長い説明書になってしまったでござる。(やばいのがそれだけとは言っていない)




感想と評価に、再び多大なる感謝を。


友奈vs友奈

———私が生まれたのは、彼女———高嶋友奈が来世での郡千景の幸せを祈ったその時。

でも、私は友奈のことを、生まれる前から知っていたのです。

 

私を構成する神々の中心となっているのは、一目連。嵐や暴風を司る神であり、高嶋友奈に憑依した精霊。だから私は、精霊の力を借りずとも風を操る能力を持っていた。

精霊としての一目連と神としての一目連は完全に同一、というわけではありませんが……相関があるのは事実。憑依させた精霊としての一目連を通じて、私の核たる一目連はずっと友奈を見ていました。彼女の祈りを聞き届けたのも、もしかしたら一目連が彼女を気に入っていたからかもしれません。

 

———だから私は、心底人間に失望していました。

 

どんな想いで勇者達が戦っているのを知っているからこそ、守られている分際で彼女達を非難する人間が許せなかった。だから、心の底から『殺してやりたい』と、神でありながら人間らしい事を思った。恐怖を押し殺しながら、自分を虐めていた者を含む人々を守ろうと奮闘している郡千景を集団でリンチした人間共が憎くて仕方なかった。

 

———そして、それが失敗だった。本気で『殺してやる』と思ったら、この世界の高嶋友奈が人間の大量殺戮を行ったのです。

 

 

具体的にどう殺してやろうか、考えがあったわけではなかった。ただ殺意を募らせるだけで、()の力は世界を歪め、私に祈りを託した者と同一存在である少女を鬼に変えてしまった。もしかしたら、私の中にある神の持つ並行世界の記憶も見せてしまったのかもしれない。

 

 

———だから、これは私の罪。本来善悪の概念が当て嵌まらない私が背負う、私が決めた罪悪。

 

どんな事をしても、私は鬼の少女が壊した東郷美森を救う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……そ、んな……嘘、だよね?……東郷、さん…?」

 

美森を抱き止めた友奈は、壁の上で呆然と涙を流した。

美森は反応を返さない。目元から頬に伝う涙の跡と、口元に残った吐瀉物の汚れが、彼女がどれほどの苦痛に晒されたのかを凄惨に物語っている。

 

———そして、完全に停止した呼吸と心臓の鼓動。

 

 

「う、あ…………」

 

『制服を着ているから鼓動を聞き取れないだけだ』という可能性に賭け、友奈は美森の制服を脱がせた。

 

そして。

 

 

「ああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!??!?」

 

 

目に入ったその有様に、悲鳴を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

———友奈の悲鳴を聞き、玲奈の中の優先順位が急変する。

当初の目的は、鬼の少女の無力化と、鬼に奪われた力の一部の回収。

 

しかし、そんな事よりも友奈の方が優先。

 

 

「大人しくしてなさいっ!」

 

「むぐっ⁉︎」

 

 

生み出した分身から伸びた蔦が高嶋友奈を雁字搦めに拘束する。———レオ・バーテックスを拘束する蔦よりも強度が強いのは、(玲奈)でさえ鬼の少女の力を侮れない証左か。

しかし、過剰なまでに絡みついた蔦は高嶋友奈に一切の行動を許さない。身動きどころか、鼻や口さえ覆い、呼吸さえも阻害する。やがて鬼の少女の姿は植物の蔦に覆われ、一部たりとも見えなくなった。

 

 

 

「友奈っ」

 

風で自らを飛ばし、玲奈は友奈の元へ駆けつける。友奈は泣きながら縋るように彼女を見つめた。

 

 

「玲奈ちゃんっ!東郷さんが、東郷さんが、し、し……」

 

友奈がその先を口にする前に、玲奈は美森を見る。

 

「っ……」

 

神の意識を取り戻し、以前とは異なる精神となっている玲奈ですら、絶句した。

 

———友奈が制服を脱がして露わになったのは、青黒く変色し、腫れ上がった肌だった。

 

 

以前の白さの名残が全く感じられない、内出血でボロボロになった肌。血液がうまく流れずに溜まってしまっているのか、腹部の所々に不自然な黒い凹凸が瘤のように存在する。鎖骨は折れ、手足は変な方向へ曲がっていた。

 

だが。

 

 

「………大丈夫、まだ生きてる」

 

「……え?」

 

呼吸も心臓も止まっている。しかし、細胞の生命活動は止まっていない。

———過度にダメージを受けて心臓と肺の機能が止まってしまっていても、勇者システムが強引に美森の命を繋いでいた。

 

 

 

(……でも、このままじゃ助からない)

 

現在の勇者システムは、神樹の力を多く消費する。物理法則に逆らって勇者の命を繋ぐとなれば、その力の消費量は時間に比例して増していくことだろう。神樹が『助けられない』と判断した時点で、美森の命は失われかねない。

 

だから、玲奈は覚悟を決めた。

 

 

「友奈。何もかも後で話すから………あの偽物を、足止めして。東郷を、助けるために」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……少し早いですが、交換の時間です。———力の管理権を、私に戻して下さい。この身体の制御権は、あなたに譲渡しますから」

 

精神世界の樹海で、玲奈は千景と向き合う。

 

———玲奈の神としての力は、全て千景が管理をしていた。

結城玲奈は厳密には勇者ではない。なぜなら勇者は、神樹の力を借りて変身するもの。しかし、彼女は自身の神の力を用いて変身する。神樹の力を一切使用しないため、大赦にとっては何が何でも利用したい戦力だった。

 

満開の代償として失う機能を選べたのも、それが理由。千景が神の力を管理しているからこそ、千景は『大赦の満開システムを模倣した機能』の代償を自由に選ぶことができた。

———もっとも、『人でありながら神の力を管理する千景』ではなく、『その力元来の持ち主である玲奈』が取り扱っていれば、そもそも満開システムを模倣したところで代償など払わずに済んでいたかもしれないが。

 

 

「……でも、それは……!あなたが、玲奈としての人格を完全に喪失する、ということではないの⁉︎」

 

「それは、……やってみなければ分かりません」

 

「嘘よ。……あなた、最近自分の名前だって忘れたりしていたじゃない。私との境界が薄れていたからじゃ、ないの?」

 

 

———神の意識を取り戻す前の玲奈が、なぜ精神が不安定になった時ばかり勇者の姿に変身できるようになったのか。その答えが、『人格の境界』。

 

人間の玲奈の精神が不安定になると、千景と玲奈の意識を隔てる境界が薄まり、千景と玲奈との間に『繋がり』ができる。その繋がりを通じ、千景の管理する力が玲奈へ流れ込むことで、勇者の姿へと変身する事ができた。時が経つにつれて勇者としての力が上がっていったのは、その『繋がり』が変身する度に強くなっていったから。初めて満開した時に『人間の玲奈』が知らないはずの知識を得る事ができたのも、強い繋がりを通じて神の知識にアクセスできるようになっていたからだ。

 

 

「ですが、今のままでは東郷美森を助けることはできない。大赦の作ったシステムを利用する事で、二年前よりもあなたは私の力を暴走させずに使えるようになったみたいですが……それでも、不安定です。無理してこれ以上力を管理しようとすれば、あなたの魂が壊れてしまいます」

 

———玲奈が大赦から与えられた勇者システムは、リミッターに過ぎない。勇者に変身しても、大き過ぎる神の力の発現を制限するリミッター。勇者として変身する手順や、満開システムの模倣に方向性を持たせることで、結果的に神の力の自由度に制限を設ける。そして、力の出力も抑制する。そうする事で、玲奈と千景の現状を維持しようとしていたのだ。

 

 

「……でも、人間としてのあなたがいなくなれば………高嶋さんが悲しむ」

 

 

今の玲奈は、神としての意識と『人間としての結城玲奈』の意識が混在した状態だ。だからこそ、神としての意識を取り戻しても人間時代の人格の名残を引き継いでいる。

だが、その人格は今の肉体に紐付いている『人間の玲奈』の精神に誘導されているからだ。肉体との結び付きがなくなれば、玲奈の精神は完全に神のものへと変性する。………そこに、友奈の姉としての人格は存在しないだろう。

 

だが。

 

 

「私を舐めないで下さい。たとえ神でしかなくなっても、私は友奈を舐め回さずにはいられないくらいに愛せる自信があります!」

 

「……この期に及んで、何を……」

 

「そこは呆れるところですよ。……それに、東郷美森と郡千景がいなくなるのと、私1人が消えるの………どちらの方が傷が深いのか、誰にでも簡単に分かる事でしょう?」

 

比べる対象が違えば、あるいは異論を挟めたのかもしれない。例えば、『愛する家族と見知らぬ他人』ならば、明らかに後者を切り捨てた方が心を傷めずに済む。———罪悪感は、別にして。

しかし、今回は『義理の姉1人と親友2人』。前者を切り捨てた方が傷は浅いと、玲奈は考えた。———そもそも、人間としての人格がどうなったところで、玲奈そのものが消えるわけではない。価値観や考え方などの精神性が変化するだけだ。

 

「それに私は、私の行動を制御できません。あなたを幸せにする可能性を捨てる事など、できないのですから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「勇者パァンチッ‼︎」

 

「アハッ。勇者、パーンチッ」

 

結城友奈と高嶋友奈の拳がぶつかり、大気を揺らす。元は同じ魂を持つ、2人の少女同士の戦い。

 

———高嶋友奈が拘束を突き破ったのは、玲奈が美森の側で治療を始めた数秒後の事だった。玲奈が美森の治療に神の力を集中させる必要がある以上、力を分けた分身の強度が下がってしまうのは必然。

しかし、レオ・バーテックスは未だに囚われたままだ。それはつまり、レオ・バーテックスでさえも解けない拘束を、高嶋友奈は自力で破った事を意味している。なぜなら、強度が下がってなお、レオ・バーテックスよりも高嶋友奈に施された拘束の方が遥かに強いものなのだから。

 

———しかし、異常なのは結城友奈も同じこと。

そもそも、高嶋友奈は美森を痛めつける片手間で犬吠埼姉妹2人をあしらう怪物だ。西暦時代の出身でありながら現代の勇者2人を圧倒する怪物と互角に渡り合っている時点で、今の友奈の戦闘力は他の勇者を大きく上回っているのは自明だった。

 

 

「どうして東郷さんをあんな目に遭わせたの⁉︎」

 

怒りのままに、自分と似た姿の鬼の少女に拳を振るう。対する相手も、まるで鏡合わせのように拳を振るって迎撃。身体能力だけでなく、戦闘技術や動作の傾向まで似通っているからこその現象。

友奈の問いに、鬼の少女は残忍に笑って答えた。

 

「ぐんちゃんを巻き込んだからだよ。ぐんちゃんに苦しい思いをさせる奴らは、例外なく皆殺しにする。その為に私はいるんだからッ!」

 

 

 

 




玲奈「大丈夫。(肉体は)まだ生きてる」




さて、まだ誰にも気付かれていないであろう伏線があるけど………無事に忘れずに回収することはできるのだろうか?
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