ガンダムアーキテクトレイヴンズ   作:人類種の天敵

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案外生きてる

 

 

通知

烏丸渡鴉様。

ガンプラ学園の入学セレクション合格をおしらせします。

 

「うぇーい」

 

一枚の通知書を持って喜ぶ。

ガンプラ学園の入学試験を合格した事がこの紙に書かれていて、この紙一枚で俺は今日からガンプラ学園合格者の肩書きを得たぜ。

 

ちゃっちゃーん 渡鴉は 合格通知を 手に入れた 。

 

「つってもガンプラ学園の何処かすごいのか分かんないけども」

 

選んだ理由も家から近いからだし、ガンプラ学園の入学試験は学科じゃなくてガンプラバトルとかいう噂を聞いたからだ。

結果的に噂は正しかったけど。

 

『へー。キミ、やっぱ規格外だよね。ガンプラ学園がどれだけ名門かも知らずに受けて合格するなんてさ』

 

「樹里奈。それバカにしてんのか?」

 

高音寄りの透き通る声が受話器越しに耳の中へスラスラと入る。

今俺は中学校の知り合いと電話で話していた。

 

『そんな事ないけど?で、キミあのガンプラで行ったのかい?それなら納得出来るというものさ』

 

「アクアビットマン」

 

『ひょ……』

 

奴の言葉を失った瞬間が想像出来て思わず笑う。

以前こいつにアクアビットマン自体は見せたことがあって、それでバトルって本気かい?(笑)と笑われたことがあった。

お前のレールガンを使うくらいならアクアビットマンで戦うわ!と言い返して軽い突掴み合いに発展していくのだが、奴もまさかあのアクアビットマンをガンプラ学園の入学試験で使うなど夢にも追わなかっただろう。

 

「どうだ?お前が散々バカにしたアクアビットマンで勝ったぞ」

 

『む、むむー』

 

何か言いたげな声音。

もう一押しか。

 

「デッド何ちゃらのアドウを倒したぞ」

 

『デッドエンドをかい!?それは……凄いねえ!』

 

「そうだろうそうだろう」

 

奴もアクアビットマンの凄さを目に染みて実感したようだ。

 

『ボクも前に一度やった時はレールガンごと腕をやられてね。仕方ないからレーザーブレードだけで戦ったけど、彼結構強いよね』

 

「あれ。なんだ、お前もやったことあるのか」

 

『うん。あるよ』

 

まさか、樹里奈と戦闘経験があったとは。

しかしこいつ、アドウとの戦いにもレールガン持ち出すとか頭おかしいんじゃねえの?

 

『……キミ、今ボクのことをレールガンバカと頭の中で思っただろう』

 

おっとマズイ。

このレールガンバカを怒らせてこいつが作ったポンコツレールガンを自宅に送られてくるのは精神的に来る。

 

「言ってない」

 

『いいや、言ったね!』

 

「言ってない」

 

『言った!もーう怒ったよ?今度キミの家に試作したレールガンを持って来るからね!』

 

「頼むからヘリを落とせないし人形兵すらKO出来ないポンコツレールガンを持ってこないでくれください」

 

いやー、ほんとあれはびっくりしたね。

すんげー溜めが長いくせしてサポート用のヘリは落とせないわ人形兵に当てても吹っ飛ぶだけで倒すことも出来ないしさ、アレだよアレ、神世ポンコツの域を超えてるね。

見た目と演出は派手なのによ(笑)

だから産廃なんだっつーの(笑)

 

『むきー!!三個入り4セットで絶対持って来るから!覚えてろー!』

 

ビトウ・ジュリナはそれを最後に通話を切った。

醜くもあり恐ろしくもある捨て台詞に背筋が冷やっとしたのは俺の幻覚か否か。

ポンコツレールガンお断りの張り紙でも貼っていようか考えていると、部屋のドアがノックされた。

入ってどうぞーというと、紅葉色の髪をした少女が入って来る。

 

「イレギュ……トガ兄さん」

 

「お前今自分の兄に対してイレギュラーと言おうとしたね?」

 

「……なんの、こと?兄さんはいつも変なこと、言う、よね。だから変なガンプラ、作る、よね?いつか、修正しなきゃ」

 

無礼な物言いの妹、烏丸紅葉。

元気で食い気のある葵と比べて口数は少なく、顔の表情筋がまったく変わらずいつも冷静で大人しい性格。

時折意味不明な数字群を羅列したり虚空を見つめて頷いたりと少々電波ちゃんの気が強いが、それも含めて可愛い妹だ。

ただね、日夜俺の部屋に忍び込んで修正修正呟きながら俺のガンプラを弄らないで欲しいの。

寝てる間以外なら触ってもいいからさ?なんで俺が寝てる時に弄っちゃうの?恥ずかしい?お兄ちゃんに見られるの恥ずかしいの?

 

「そろそろ、大会」

 

「あー。だった」

 

そういえばそろそろガンプラの大会があった。

そういうスケジュール管理やマネジメントは紅葉がたいそう好物なので1から9まで任せっきりにしている。

俺がやるとどっかで穴があり、葵がやると注意書きの紙を喰われてしまうのだ。

 

「ん。チームの登録は済んでる。から」

 

「おーけ。いつもあんがとな」

 

「……ん」

 

流石俺の妹、内心褒めちぎりながら感謝すると、他人には判り辛いものの嬉しそうにはにかんだ。

待って俺の妹が超可愛いんだが。

 

「それと」

 

「?」

 

部屋を出た紅葉は中を振り返っていつもの仏頂面を笑顔に崩した。

 

「試験合格おめでとう。兄さん」

 

「おー………アリガト」

 

まったく、俺の妹は魔性スキルEXだなー。

血が繋がって無かったら襲ってたぞオイ。

もう少し自分が女だっていう気持ちを持てとお兄ちゃんはだなー。

 

「妹に発情とかシャレにならん」

 

照れ隠しにガンプラを手に取る。

黒いケースから取り出した黒いガンプラ。

ギャプラン・フライルーをベースにレイレナード社の中量二脚ネクスト〝アリーヤ〟を再現した機体。

もっとも、こいつもアクアビットマンと同じでまだ完成してはいないのだけど装備は一応揃ってる。

 

まず左腕にはガンダムAGE2 ダークハウンドが使うドッヅランサーのドッヅガンを実弾仕様に換装した銃槍型のアサルトライフル。

突いてよしそのまま撃つもよしのなんちゃってマーヴ。

 

そして右腕にギャプランのロングヒートブレードを一度分解、ビームピストルにブレード部分を上下に二本固定して真ん中に出力増幅装置を付けた白兵戦可能のレーザー兵器。

撃ってよし、斬ってよしのなんちゃってレーザーバズーカ。

 

背中にはフルドドllに試作1号機fbのユニバーサル・ブースター・ポッドを盛ったり整えたりしてミサイルコンテナに見立てた〝最強〟の分裂(WG)ミサイルを装備。

 

他にムーバフルシールドバインダーにフレアを付け加えたりと色々だ。

 

これだけでも俺の求めた構成だが、肝心のコジマ粒子が無いのでクイックブーストが使えない。

プラフスキー粒子をコジマ粒子に見立てて設定考えたけど無理だった。

あと俺の製作技術があまり高くなくて満足できる性能じゃない。

 

「あーあ。どっかにいねーかなー……ガンプラ動かす分に害のないコジマ粒子持ってる奴!」

 

淡い期待をしてみるが、そんな人間居るわけがない。

それに、リアルでコジマ粒子があったら等身大ガンダムを動かして戦争が起こってる。

結局無理なものは無理と早々に結論を出して机の引き出しからスケッチブック、シャーペンと消しゴムを取り出した。

いつもの日課だ。

ガンプラで戦う時がファイターなら、この時はアーキテクトの仕事と言うか。

 

「今日は何を描こうか?」

 

ページをめくるたびに出会ったネクストが姿を現わし、リンクスの顔もまた脳裏に浮かぶ。

 

アンビエント。

メリーゲート。

ヴェールノーク。

シリエジオ。

フィードバック。

ノブリス・オブリージュ。

トラセンド。

雷電。

リザ。

ステイシス。

フラジール。

旅団。

 

そして、ホワイト・グリント。

 

いままで思うがままに描き連ねたは良いが、こいつらを作成する気は今の所ないない。

ただ、このままではなにか勿体無い気がして、直ぐにネットにアップロードしたら誰か作るかな……と思い付いた。

まあ、こんなものを描いたところで作る物好きなんて少ないだろうが。

 

「まあ、アレだ。作るのが上手い誰かに作って貰え」

 

もし縁があったらまた戦うことになるさ。

 

 

 

 

 

 

この日、個人による複数のガンプライラストのラフ画がネット上にアップロードされた。

十何種に及ぶそれは見るものの想像を掻き立て、とある〝企業〟達の目に留まることになる。

 

アメリカ

 

「……なんだこりゃ。実弾に対して効果的な重装甲に扱いやすい火器。このコンセプト、なかなか面白いな。おい!開発部と社長に繋いでくれ。面白いのが見つかりましたってな」

 

西アジア

 

「デザイナーはどうやら無名らしく、これ以前の記録は見つかりませんでした。その点も踏まえて我が社のニューモデルに彼のデザインを採用することは、我が社としても一考の価値はあるかと……いかがでしょう。悪い話では無いと思いますが?」

 

イギリス

 

「ほう?中々良い腕をしておる。まさか、似たものを考える奴がいたとはな」

 

ドイツ

 

「〝破壊天使計画〟を開始する。彼らを呼べ」

 

イタリア

 

「わぁ。これ可愛いですね〜。ちょうど納期を守れなかったビルダーを切ったところですし。今回はこの子にして見ましょうか〜」

 

南アジア

 

「大アルゼブラ万歳ィィーーーーッ!!!」

 

 

 

 

 

 

???

 

「主任。働いて下さい」

 

都内の高層ビル群の一つ。

清潔さを保ちつつも部屋の主が几帳面でない証拠か、机の上には資料がバラバラに散らかり、ゴミ箱に入りきらなかった紙屑が丸めて放置されていた。

その中を一目見て舌打ちをする女性が1人。

秘書然とした格好にきっちりメガネをかけた女性が座り心地の良いデスクチェアの上で眠り被る男に話しかけた。

 

「んぁ?……あー?キャロリーン?今何時ィー」

 

主任と呼ばれた研究員はツナギに白衣を羽織る独特なスタイルの男だった。

彼は新進気鋭の新興企業で、自家製のオリジナルガンプラを開発するのが仕事であったが、机の上には成人雑誌とMSではないナニカと落書きしか無い。

 

「主任。また徹夜でへんなのの開発ですか。それにこんなものまで。業務に不必要な物資に経費は落ちませんので」

 

「そんな堅いこと言わないでよキャロリーン。ホラホラ、コレとかさっきコンビニで見つけちゃってさァー。キャロリンに似てると思わない!?アッ!実物より胸が大きいってコレ……キャロリン詐欺じゃーん!?(笑笑笑)ツーカキャロリンハAカップー(棒読み)ギャハハハハ!!!?」

 

手に取ったグラビア雑誌のグラドルと目の前の女性を何度も比べてバカ笑いする主任をキャロリンことキャロル・ドーリーは非常に冷めた目で見ていた。

そして一呼吸の後に主任の喉元へ手刀を突き付ける。

あまりに早すぎる挙動で主任は笑顔のまま固まり、数秒後に自分の首から頭が飛んでいく瞬間を幻視した。

 

「……言いたいことはそれだけですか?それではーー」

 

「エ、アッ、いや……アノ」

 

「ーー消えろ。巨乳好き(イレギュラー)!!」

 

触れてはならぬ逆鱗を乳房と勘違いして鷲掴みにするのは主任の悪癖であり日常だ。

結局キャロリンに格ゲー染みたフルコンボを喰らってボロ雑巾になるのはコレが初めてではなかったというわけだ。

 

「それで?本当にただ遊んでいただけですか」

 

「いやや、まさかね!?そんなまさか!ちょっと面白い奴見つけちゃったからさー」

 

ーー仕事どころじゃなくてね!

 

主任が見せたパソコンから数々のイラストを一目見たキャロルは、たしかにこれは仕事どころではありませんね、と嘆息した。

 

「名前は……Architect アーキテクトですか。すぐに調べます」

 

「オッケー。んじゃ、俺は社長に話つけてくるわ。後ヨロシク」

 

 

 

それぞれの企業は、無名のデザイナー〝アーキテクト〟を中心に動き出す。

それはまだ年の明ける前、12月のことであった。




作れなくとも絵は描こう。
何故なら落書きが好きだから。
とりあえず今回の登場人物(主人公と双子覗く)が分かった奴はドミナント。
個人的に大アルゼブラの人とかポンコツレールガンとか分かりやすそうw
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