随分待たせた割にはまだ戦わないし短いです。
つ、次から粗製どもを容赦なく叩き潰すよ???
ガンプラバトルカップ。
過去には世界規模の大会が行われており、現在でも複数の有力企業による金を惜しまぬスポンサー力によって、賞金の設定された大会をいくつも開催されている。
その何れもが各企業の広告塔のようなものだが、ガンプラ人口を更に増やすという意味合いでは効果は絶大だったと言える。
現在ガンプラの普及率は世界的に94%を超えている。
正に、ガンプラに黄金の時代を……というやつだ。
それで、そのガンプラバトルカップだが。
これは季節ごとにどっかの企業が開催しているて、今年の一月……つまり年が変わってからの初ガンプラ大会は大人達の事情というか抽選会やらで〝オーメル〟に決定。
企業主催のガンプラバトルカップ本戦の場所はスポンサーのオーメル・サイエンス社が本社を据えている西アジアのイスラエルのイェルサレムで行われる。
まあ、本戦の前に先ず日本の選考会から突破しないといけないのだが、これがまた面倒くさいよ。
「わーい!喰べごたえのあるガンプラばっかだねー!」
「トガ兄さん。会場、着いた」
「んー……分かってはいたけど人多いわー。流石企業大会への切符戦。枠に入ろうって輩が沢山居るな」
何といっても全人類の殆どがガンプラバトルをやっているのだから、知名度の高い大会・イベントではものっ凄い数の参加者で溢れる事になる。
偶に〝有澤重工〟という隠れマニア向けの企業が温泉名に因んだ大会(会場も温泉で、中には実際に温泉に浸かりながら戦うケースもアリ)を開いたりするが、やはり年初めの大会は人数が凄い。
見渡す限り人、人、人、で背負ったリュックにガンプラケースをこれでもかと詰め込んでいたり、ガンプラの工具を持ち歩いてたり仮装コスプレをしていたり。
ほんと見ていて飽きないけど、こいつら全員ぶっ倒すとなるとマジで面倒くせえ。
「全員、オーメル杯に参加資格を持つファイター。それに、有名な高校生も、いる」
「へぇ、存外そんなもんなのか」
今回の選考会。
内容は参加者による潰し合い。
この為に会場全体に大規模なバトルシステムまで配備して、最早潰し合いと言うよりは〝蠱毒〟だな。
「日本選抜として9人のファイターを選び、チーム戦、個人戦で好成績を狙う……か」
実力者はほんの一握りとはいえ、難しいんじゃね?弱い奴らばっかだし。
「でも、メイジンとイオリ・セイが、いない?」
「既に枠内に入ってるんじゃないか?もしくは本当に出ないのか」
メイジンはともかくイオリ・セイは世界大会で優勝した実績もある日本のファイターの頂点だ。
今はガンプラを普及しているって聞くが、日本ガンプラ協会が放っておく訳がないと思うんだけど。
「情報、いる?」
「要らない。その方が楽しめるだろ」
「前回、ので、トガ兄さんの情報は出回ってる、のに。……物好き、だ。なんて呼ばれてるか、知ってる、よね」
「全てを焼き尽くす黒い鳥。喰い散らかして飛んでく渡鴉ってな」
紅葉は既に参加者たちのガンプラや戦い方を把握しているらしい。
だが、俺は敢えて聞かないことにした。
だって、その方が良いバトルになりそうだろ?
若干呆れ顔の紅葉は移動で草臥れたガンプラのパーツのズレの修正や細やかな調整を始めた。
葵はいつのまにか居なくなっていた。
多分会場外の露天を制覇しに行った。
「紅葉、少し散歩してくる」
聞いてはいないだろうけど、紅葉のリアル戦闘力はキチガイ染みている。
きっと不届き者が表れようとも、ただのテロリストが表れようとも、ガンプラを修正しながらでもボコボコにするだろう。
ひとまずこっちはこっちで会場を見て回ることにした。
どんなバトルシステムなのか外観だけでも把握したいからだ。
「おい、トガ!奇遇じゃねえか」
「ん?ああ、アドか!これは、たしかに奇遇だ」
人混みの中でも頭一つ二つ飛び抜けた長身の大男が俺に向けて手を振っている。
ガンプラ学園の先輩にあたるアドウ・サガが満面の笑みを浮かべて辺りを見回している。
やれやれ、人殺してそうなどう猛な笑みを浮かべて何をそんなにはしゃいでいるのやら。
「見ろよ。日本でも上位のランカーが集まってる。くはっ、鳥肌が立ってきやがった」
強い奴?ーー俺はアドに倣って辺りを見回してみる……しかしいずれもワンダフルボディぐらいの実力で、良くてダン・モロ。
アドの言う強い奴と俺の強い奴の基準は違うのだろうか。
「観戦しかできねえのが悔しいぜ」
ん?アドのやつ、観戦しに来たのか?
「オーメル杯に向けて実力派のファイターにだけ参加資格があるんだと。俺らんとこからはシアが選ばれた」
「シア?キジマ先輩の妹の……」
「お前と同じ学年のな。ま、あいつはビルダーの実力を買われたって話らしいぜ」
へえ、キジマ・シアね、紅葉とビルド能力はどっちが上か気になるな。
「実力があるなら学生だろうと起用する。そして集められたファイター達。日本も本気で獲る気だぜ」
そ、そうなのか……こんな奴らじゃノーマル相手が関の山だと思うんだが、オーメル杯を本気で獲れるなんてアドの思い違いってわけじゃないのか?完成してないガンプラAC使っても俺なら一人で全員潰せるぞ。
「っと、ウィルフリッドに席取りを頼んでたんだった。じゃあな、トガ」
「ああ」
アドと別れ、バトルシステムを見に行く。
最新型を導入したらしく、最近見慣れた型ではない。
数を確認すると今回の参加人数の三分の一の数だった、まさかとは思うが、人数を3グループに分けてグループごとの人数で選考する気なのか。
「トガ兄ぃー!」
「おー、葵………いっぱい買って来たな」
見るものは見たので紅葉の元へ帰る途中露店を巡り終えた葵と遭遇、食いしん坊な妹は余りあるお小遣いを使って露天全部の食べ物を買い漁ってきたようだ。
明らかにギチギチと膨らんだ袋を小柄な少女が軽々と手に持っている事に凄く違和感を感じる。
「兄も食べる?」
「いやー、俺は…良いかな?」
見てるだけで胸焼けしそうだ。
しかしこいつ、これ食ってそのあと三時のおやつって同じ量を喰べるからな……栄養が何処に行ってるかは知らんけど。
「兄さん、葵。調整、終わった」
「さんきゅー」
「わーい」
紅葉から受け取った黒いガンプラ、俺の相棒。
さて、他の奴らはこいつ相手にどれだけ耐えられるか……。
『これよりオーメル杯選考会を始めます。ファイターの皆さんは3つのグループに分かれ、各ブロックで3人生き残るまで戦ってもらいます。それからーーー』
「3つのグループでやるんだと」
「なら、別々?」
「えー、戦いたいぃー」
俺たち3人が同じグループに固まるのは良くない。
何故なら俺たち兄妹の戦いに周りが付いていけず、全てのガンプラをボコボコに破壊してしまうからだ。
といっても、これはワザと破壊しているわけじゃなく、俺と紅葉と葵の戦闘の余波でこうなるんだ。
この事件が理由で俺は全てを焼き尽くす黒い鳥なんて呼ばれる事になったんだが……まあ、大会運営もその事を分かってて俺たちを別々のグループに分ける様にしたのかもしれないな。
「あ、運営からメール来た」
俺Aグループ、紅葉Bグループ、葵Cグループで戦ってくれと、推測通り別々に分けるか。
1つのグループで有望な選手を俺たちが潰すのを恐れたかな。
「じゃあまた後で」
「うん」
「ぶー。あとでねー!」
3人それぞれ割り当てられたバトルシステムのところへ向かう。
……と、その前に俺はバックの中から1つの被り物を手に取り頭に被せた。
アリーヤのヘッドパーツだ。
いやいや、前回、初めてガンプラ大会に出た時は3人で少しやりすぎて結構な数のファイターから恨まれんてんだよね、だからこうしとかないと……いやー人気者は辛いわー。
因みに紅葉と葵も外観は違うけど愛機に似せた被り物を使ってる。
葵は試合中もおやつを食べるので口元が開くタイプだけど。
「!?レイヴンだ」
「黒い鳥……!」
「鴉…来てたのか!あいつ」
おうおう、バトルシステムにガンプラを置いただけなのに早速周囲がざわついて来たよ。
たった一回大会に出ただけなのになー、そんだけ悪名高い戦い方をしたと言うべきか?別に普通に撃って切って壊してーってだけだと思うんだけど?
『これよりAブロックガンプラバトルを開始します』
アナウンスの指示に従って全員がガンプラを設置、俺もそれに倣い武装確認、パーツも…完璧、紅葉も良い仕事をする、帰ったら頭撫で撫でした上でチューをしてやろう。
『Battle system combat mode!』
搭乗者名:カラスマ・トガ
機体名:ストレイド
ーーbattle standby
プラフスキー粒子が散布され、無機質な会場が宇宙を、キラキラした星明かりを鮮明に彩る。
その中で一機、俺の愛機は複眼をギラリと光らせた。
ああ、興奮して来た。
たとえ偽物、紛い物の映像だとしても、〝俺たち〟にとって宇宙ってのは特別なもんなんだよ……なあ。
それに、傭兵ってやつは例え平和な世界でも戦う事をやめられないバカらしいや。
さあ、敵を全て焼き尽くしに行こうか。
「カラスマ・トガ、ストレイド。何もかもを全て焼き尽くすッ。まっ黒にな……!」
次からだ、次、次……。
主人公観点からの強さ基準はカラード上位陣とORCA旅団くらいじゃないと満足出来ないようです。その中でもホワグリ、リリウム、照美、ローディー、少佐、真改、ロイ兄貴、古王、ネオニダス、ド・ス……くらいかな?ド・スは雑魚だろって……とっつき職人の時点で強者認定だよ!
皆さんもダン・モロが強いとは思えないだろう?酔っ払い親父が強いとは思えないだろう?(散弾バズは強いけどね)まさかキルドーザーに手こずるリンクスではないだろう?(カーチャン戦のアルドラグレキャ&ミサイル撃ってくるあいつは別として)