先に言っておきます。ある程度沿わせますが、リィンたちが入ることで少しずつずれていきます。
ご容赦を! 某作者がいったことですが、1つの歯車が入るなら、原作通りになるなんてあり得ないってね!
7月。帝都地下にて、新旧Ⅶ組は死線を潜り抜けた。
伝承に聞こえし暗黒竜は、その名に違わぬ力を見せつけた。だが新旧Ⅶ組の連携に騎神、機甲兵の連携を見せ、見事に災厄の権化を退けることに成功した。
その後リィンは蒼のジークフリードと邂逅。激しい戦いの末、蒼のジークフリードは撤退のため、蒼の騎神、オルディーネを呼んだ。
リィンは遂に、その間違えようのない証拠を前に、かつて死んだ筈の親友であり、かけがえのない仲間の名前を叫ぶ。
しかしリィンの叫びは、ジークフリードに届くことはなかった。意に介さぬジークフリードは、思わせ振りな言葉を落として、消えていった。
帝都地下の墓所は静寂に包まれる。リィンも灰の騎神ヴァリマールから降りて、皆と合流していた。
このとき、皆の緊張は既に解けていた。共和国のテロリストから始まり、果ては暗黒竜に蒼のジークフリード。一時も気を抜くとこ等許されない修羅場が続いていた故、緊張の糸が切れてしまった。この事を誰が責められよう。
そう。その刹那の暇が、致命的な隙を生んでしまった。
「っ!? な、なんだっ!?」
突如、大気が揺れた。それは比喩でもなんでもない。地震などとは違う、確かに空気が振動する感覚。そしてそれは、墓所の上空に現れた時空の裂け目にあった。
「な、なに……あれっ!?」
「裂け目だと……?」
百戦錬磨である旧Ⅶ組、アリサやラウラが狼狽えてしまったのも仕方の無いことだった。空属性の導力魔法、ダークマターに酷似しているが、それとは比べ物になら無い威圧感があった。
予期せぬ存在により、誰一人として動くことができない。だが事態は、静観など許さない。
「っ!! こ、これは……っ」
思わず溢れたリィンの声。裂け目を中心に、全てを吸い込まんとする暴風が一同を襲った。
その吸引力はまさに、ブラックホールと言っても過言ではない。今までに経験したことの無い圧倒的な吸引に、反応できずに一同の体は宙に浮き始める。
「くっ! みんな、近くの人の手を握るんだ! 絶対に離すな!!」
いち早く反応を取り戻したリィンは、近くにいたアルティナの手を握る。だがそれが限界だった。他を掴んでいる時間はない。
せめて、アルティナは離すまいと、グッと体を引き寄せ抱き締めた。
「リィン、さん」
「アルティナ、絶対に離すなよ!?」
キュッと、繋がれていない左手でリィンのコートを握りしめる。そこで、リィンとアルティナの意識はブラックアウトしていった。
帝都地下の墓所は、まるで何事も無かったかのように、辺りは静寂に包まれていた。
※ ※ ※
辺りを埋める鬱蒼とした木々。そして何故かそこだけ気がない広場のような場所に、人が2人横たわっていた。黒髪に白コートの青年、そして絹糸のような長い銀髪に青の制服、肩にケープをかけた少女だ。
2人は決して離しはすまいと言わんばかりに、ガッチリと抱き合っている。だが少女の幼さも合間ってカップルには見えない。因みに実際にもカップルではない。
そんな2人の所に、近づく2つの人影。
「ねぇフェイトちゃん、この辺り、だよね?」
「うん……そのはず」
茶髪の長い髪を2つに纏めてある女性に、長い髪を金髪を2つに纏めてある女性だ。2人とも町中の視線を一手に奪えるほどの美人だが、白基調のロングスカートに、黒基調の布地の少ないレオタード。その服装はとても一般人が着る服装ではない。
重ねて言えば、2人とも走っているわけではなく、飛んでいた。ゼムリア大陸では、間違いなくお目にかかれない光景だ。
魔女? あれは別物だろう。
そんな2人が、遂に青年たちーーーリィンたちが倒れている広場へと差し掛かった。
「!? 見つけた!」
「2人……うん。反応のあった数と一致するね。でも何でこんな場所に……」
「わからない……。とにかく保護しないと」
着地し、保護のためにリィンたちに触ろうとしたその時、不意にリィンが目を覚ました。
「っ! 誰だ!?」
それは八葉の剣士ならば習得する気を読む……などという生易しいものではないだろう。言うなれば恐ろしく鋭い危機察知。見知らぬ人間の接近は、リィンを覚醒させるに充分な刺激を与えた。
「……んぅ……リィン、さん……?」
そしてそれは、抱き合っていたアルティナを振りほどくことになり、その衝撃によりアルティナも覚醒に至った。
「アルティナ、無事か?」
「……はい。問題はないようです。ですが、いったい何事ですか」
「あーのー……私たち、生体反応を感知して駆けつけた管理局の魔導師、なんだけど……」
おずおずといった感じで、白服の女性が手をあげる。それに対して、リィンは警戒を解かず、腰の太刀を確かめる。幸いにして、破損は見当たらない。
「魔導師? 何ですか、それは。管理局? 聞いたことの無い組織です」
「えっ! 管理局知らないの?」
「それに魔導師のことも……。なのは、もしかしてこの人たち」
「次元漂流者……かな」
リィンたちは預かり知らないが、白服の女性、高町なのはや金髪の女性、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンにしてみれば、少し都心から離れているが、ここミッドチルダで魔導師や管理局を知らないのはあり得ない。
可能性とすれば、管理外世界から突如何かに巻き込まれた次元漂流者か、余程の辺境育ちかだ。
だが、2人の装いから見て辺境出身の線は薄い。選択肢はこれで次元漂流者しかなくなった。
加えて、リィンの構えている武器は太刀。ミッドチルダではほぼほぼ見ることの無い武器。しかも見た感じデバイスというわけではないようだ。機構や外見もそうだが、魔法要素を感じない。
「と、とにかく! お願いだから武装を解除してください! 私たちは争いに来たわけではありません!」
「……」
高町なのはは両手をあげて、戦闘の意思はないことを主張。それを見てようやく、リィンは警戒を解いた。
「……すみませんでした。咄嗟とはいえ、無礼を働いてしまいました」
「い、いえ……気にしないでください」
「いきなり知らない人の気配が近づいたのを感じたもので。しかし……」
辺りを見渡すリィン。ここに来て、ようやく自分達の置かれた状況を把握した。
(そうだ。確か俺たちはあの裂け目に吸い込まれて……)
先程の墓所とは似ても似つかぬ森のなか。あまりこういった経験が無いため信じがたいが、別の場所に飛ばされた、ということだろう。
だがこの感じ……。森だから確実にそうとは言えないが……。
(もしかして、エレボニア帝国内じゃないのか?)
「リィン教官」
ふと、近くに寄っていたアルティナがリィンに呼び掛けた。
「どうした、アルティナ?」
「複数の駆動音を感知。ーーー来ます!」
「何っ!?」
「なのは、もしかして……」
「うん……」
戦術オーブメントを構え戦闘体勢のアルティナ。思慮の海に沈んでいたリィンも遅れながら太刀を抜いた。
改めてリィンも感覚を研ぎ澄ませる。……音は三機、前方から……来る。
「ガジェット……っ!」
青を基調にした細長いフォルム。真ん中にはセンサーなのか、黄色いカメラのレンズのようなものが埋め込まれていた。それを囲む四基のレーザービット。ガジェット・ドローンと呼ばれる機械兵器だ
そしてこのガジェット・ドローン、厄介な性能を兼ね備えている。
「……くっ! やっぱり魔力が上手く結合しない……」
通称AMFと呼ばれる高位防御魔法、アンチ・マギリンク・フィールド。並みの魔導師ならば、一切魔力を結合させられず、一般人並みの性能へと貶める魔導師の敵ともいえるフィールド魔法。
とはいえここにいる2人は、巷ではトップクラスの魔力を誇るエースたち。普段であれば封じることのできるAAAを凌ぐ魔力をもって数刻もかからずに殲滅できる。
「でも何とかする! リミッターなんて関係ない!」
そう。後に説明することだが、この2人には魔力に制限をかけるリミッターが存在する。これにより大幅に出力を抑えられている。
だがそれでも、2人は歴戦の勇士。このくらいのガジェットは問題にならない……が。
「リィン教官、どう見ますか?」
「弱点は真ん中のセンサー。そこを潰せば沈黙するだろう。強度も見た感じ、結社の人形兵器には遠く及ばない。アルティナ、クラウ=ソラスはどうだ?」
「……。ダメです。クラウ=ソラスとの繋がりを感じません」
「やはりか。俺もヴァリマールとの繋がりが感じ取れない。となると……オーブメント頼りになるな。いけるか?」
「問題ありません。多少の不安はありますが、いつどのような状況でも、リィン教官のサポートが私の任務です」
「ははっ、ありがとうな、アルティナ」
一般人からすればかなりのピンチに、この2人は冷静に戦況を分析していた。その上にリィンはいつもの流れでアルティナの頭をポンポンしていた。これにはなのはとフェイトも困惑を隠せない。
「さて、それじゃあさっさと片付けるか。サポートは頼んだぞ」
「了解です」
「ちょ、ちょっと待って! もしかして、戦う気ですか!?」
「危険です! 下がってください!」
太刀を下段に構えたリィンに、たまらずなのははツッコミを入れた。なのはたちからすれば、リィンたちはただの一般人。不意の事故に巻き込まれた次元漂流者。いくら武装しているからといって、戦わせるわけには行かなかった。
だが、リィンたちは構えを解かない。
「大丈夫です。このくらいなら……アルティナ!」
「はい。ARCUS駆動ーーーいきます! クロノドライブ!」
アルティナを中心に魔方陣が展開された、かと思えばあっという間の発動で、弾かれた光はリィンの元に集い、時計の針が進む、そんな魔方陣が足元に浮かび上がった。
(この子、AMFの状況下で魔法を……っ!?)
(いったい、何者……?)
「おおおおおおおおお! 二の型『疾風』!」
リィンの体が前傾に沈んだかと思えば、突如リィンの姿がかき消えた。否、その身に風を纏い、下半身を利用した驚異的なスピードにして、消えたように見えただけなのだ。
「ーーー斬っ!」
そして元の位置に戻ってきたリィンが残心し、太刀を一度払い鞘に戻す。チンッという甲高い金属音が響いたその直後、ガジェット三機の胴体は斜めを境にズレ、やがて爆発。その身を物言わぬ鉄の塊へと変えた。
ふぅと1つ息を吐き、戻ってくるリィン。
「お疲れ様です、リィン教官」
「あぁ、サポートありがとうな」
「任務ですから。それに今程度の相手に、私のサポートは不要だったかと」
「そんなことはないさ」
そしてまた、アルティナの頭をポンポンと撫でる。
「……リィン教官。この行動に不埒な意図が?」
「無いからっ!」
目の前での掛け合いを他所に、高町なのはは驚愕を隠せないでいた。
相手は管理局でも手を焼く機械兵器。それはなのはたちも例外ではなく、歴戦の勇士とはいえAMFはやはり厳しいものがある。
それなのに、だ。目の前の年端もいかぬ少女は魔法を使って見事青年をサポートした。AMFに耐えうるほどの魔力の持ち主かとも思ったが、無理をして発動した様子もない。
そして、ガジェットをまるで紙を切るかのように易々と両断したリィンと呼ばれた青年。サポートがあったとはいえ、目の前の青年は自身の膂力、そして圧倒的な速度を利用して一気に三機のガジェットを殲滅した。
フェイトと肩を並べるほどの速度、それは今までに出会ったことのない存在だった。
(この人、ただの次元漂流者なのかな?)
などと、珍しくなのはが怪訝そうな考えになるのも無理はなかった。
とはいえ、次元漂流者に違いはない。いくら戦闘能力を持ち合わせていても、一般人。保護の対象なのだ。
「お強いんですね」
「あ、すみません……でしゃばってしまって。貴女たちだけでも対処できたでしょう」
「そんなことはありません。助かりました」
対処ができたのは本当だ。だがこの青年よりスムーズに対処できるか、と言われれば微妙なところだろう。
「なら良かったです」
「ところで、私たちは貴方たちを保護するためにきた管理局の魔導師です」
「あ、はい。先程も聞きました」
「う。そ、それでですね、行く宛も無いなら私たちと一緒に来てくれませんか?」
「……そうですね」
正直、ありがたいことだ。エレボニアではないのなら、この辺りに詳しい人に着いていった方がいい。怪しいには怪しいが、リィンにはどうにもこの2人が悪人には思えなかった。
「……それではお願いします」
「はい。ご協力ありがとうございます」
「いえ、こちらこそお世話になります。自分はアルティナの教官をしています、リィン・シュバルツァーと申します」
「……アルティナ・オライオンです」
「そういえば名乗ってませんでしたね。時空管理局機動六課所属、スターズ隊長の高町なのはです」
「同じくライトニング隊長、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンです。よろしくお願いします」
これが、リィンたち新旧Ⅶ組を襲った不可思議な出来事の始まり。
バラバラになったⅦ組は、果たして再び合流することができるのか。元の帝国に戻ることができるのか。
物語の幕は、まだ上がったばかりだーーー。
スマートフォンより投稿しているので、更新は不定期です。
プロットも無いので、勢いと思い付きだけです。それでもいいならお楽しみください!
先に言っておきます。エタると思います(笑)
その腹積もりでよろしくお願いします!