いやぁ本当にお待たせしました!
ちょいと周りの環境が変わりまして、こちらに割ける時間がとれませんでした。
あと話の構想に迷いが出まして……でも、何か書こうと思い立ち上がった次第!
何時エタるか分からない作品ですが、生暖かく見守ってください!
その後も懲りずにアルティナを愛でようと近づくはやてに、なのはの魔法である“レストリクトロック”が発動し、アルティナが興味をそそられたりとひと悶着あったが、何とか事態を収拾することに成功したリィン。
話をしたいと隊長室に備え付けられたソファーに腰かける。
「いやぁ、お見苦しいところをお見せしたなぁ。私、可愛いもの見ると時々あぁなってまうんや」
「あ、あはは……おきになさらず。何というか……慣れてますので、この手の事態は」
「慣れてるんだ……」
なのはの苦笑いは、何故かリィンと親近感を覚えるものだった。時々なのではなく、普段からあぁなのではないか……? そう思ったリィンは恐らく間違っていない。
「ほなら、改めて自己紹介を。ここ、機動六課を預かる部隊長、八神はやていいます。よろしゅうな」
さっきまでの朗らかな雰囲気そのままに挨拶され、リィンは少し戸惑いを覚える。リィンが見てきた軍組織は格式を重んじ、上下関係や規律、挨拶などはしっかりするものだった。
とはいえ、相手はお世話になる組織の部隊長。一泊遅れながらに立ち上がり、敬礼する。
「リ、リィン・シュバルツァーと申します。階級などはありませんが、この子、アルティナの教官をしています」
アルティナもリィンにならい敬礼し名乗ろうとするが、苦笑いを浮かべたはやてが待ったをかけた。
「元いた世界が厳しかったんか知らんけど、あなたたちはあくまで次元漂流者や。他の世界でまでそない堅くならんでもえぇよ。な? アルティナちゃんも」
「……はぁ」
「まぁ座り」
「八神部隊長。そろそろ教導の時間ですので、高町なのは一等空尉、これで失礼します」
少し前の友達同士のような掛け合いではなく、ある程度意識した掛け合い。それでもやはりエレボニアのようなガッチリした敬礼ではなく、ふわりとした形式のようなものに見てとれた。
それに返礼したはやては、頑張ってなと一声かける。満面の笑みで受け取ったなのはは、そのまま部隊長室を後にした。
「さて、リィン君とアルティナちゃん。君たちはさっきも言うたように次元漂流者という扱いや。一応聞きたいんやけど、なんでこの世界に来たかとか分かるか?」
「いえ、自分達は突如空の空間が割けて、それに吸い込まれただけですので。……もしかすると、他にも吸い込まれていたので、ここに来た者もいるかもしれません」
「なるほどなぁ~……。ちなみにどういうところから来たんや?」
「ゼムリア大陸の、エレボニア帝国というところですが……」
場所の名前を告げると、はやてはまた難しそうな顔で腕を組んだ。
「聞いたことないなぁ……。フェイトちゃんはあるか?」
「うぅん、私もない。多分管理外世界なんだとは思うけど……」
どうやらリィンたちの世界ははやてたちの知るところではなかったようだ。
「ふむ、まぁええか。一応管理局で調べるから簡単な質問をしたいんやけどええかな?」
「あ、はい。それは勿論」
名前や年齢、出身世界に何をしていたか。そんな簡易的な質問をいくつか受けた後、ロングアーチに持っていって調べてくると言って出ていったフェイトを見送ったリィンたち。
「さて、一応これで質問とかは終わりなんやけど……リィン君たちの話やと、他にも飛ばされた人たちがおるかも、てことやんな?」
「えぇ。それなりの人数だと思います」
「せやったらリィン君たち、しばらく六課を拠点にしたらどうや? ここやったら情報も集まるし、行く宛てないやろ?」
それは願ってもない申し出だった。この世界に来たばかりで付近の地理も分からなかったし、一刻も早く他のみんなを見つけないといけない。
リィンたちのように固まってるならいいが、バラバラとなるならば危険だ。いくら普段教練で鍛えていても、この不測の事態で且つ単独となれば、万が一の危険に対応できるか分からない。
「助かります。その申し出、ありがたく受けたいと思います」
「ほんま? よっしゃ、ほなら手続きはこっちでやっといてもええかな?」
「問題ありません。ありがとうございます。それでこちらでお世話になるということで、何かこちらで手伝えることはありますか?」
「別にそれは気にせんでもええよ?」
「そういうわけにはいきません。色々してもらうならなおのこと、安穏と過ごすわけにはいきません。体も鈍りますし」
はやての言うように、漂流者と言う立場ならば、確かに働く義務などない。だがそこはリィン・シュバルツァー。じっとしているなど性に合わないし、リィン本人が手伝いたいと思っている。
「こうなったリィン教官は折れませんので、諦めた方がよろしいかと」
「うぅん……と言うても、手伝いかぁーーーそういや、リィン君はあっちの世界では教官やってるんやったな?」
「えぇ、やっていますが」
ポンッと、一つ手を叩いた。
「じゃあリィン君、うちでも教導してくれへんか? なのはちゃんたちから聞いた話やと、ガジェットを簡単に倒したようやし!」
※~※~※
「リィン・シュバルツァー。本日付けでフォワード隊の臨時教導を担当することになりました」
あの後、簡単な書類手続きを終えたリィンは、フォワード陣が訓練している訓練スペースに降りてきていた。ちなみにアルティナはリィンの補佐と言うことで隣に控えている。
さて、突然増えた臨時教官に困惑しているのはフォワード陣、そしてなのはだ。
「あ、あのぉリィン君? これは一体……?」
「ここにお世話になることになったので、何か手伝えるかと聞いたら、教導をつけて欲しいと部隊長が言われましてね」
会話しながら、今だ困惑しているフォワード陣に目を向ける。
青髪の少女のスタイルは……近接か。武器は右のナックル、しなやかな筋肉がついていて基礎体力も問題はないように見える。
オレンジ髪の少女は銃か。それも二丁。同じくしなやかな筋肉がついてる。反応や視野の広さなどはまだ分からないが、それはいずれ見られるだろう。
隣の少年は槍を用いた近接戦闘タイプか。年は大分若いが、その隣の桃髪の少女共々素質は感じられる。少女の方は……なんだ、手袋? これも後に見ればいいか。
総じて言えるのは、ポテンシャルは高い。鍛えれば伸びるだろう。いい薫陶を受けているようだ。
「ちょっと待った」
思案していると、突如赤髪の少女が待ったをかける。見た目は先程の少年少女と変わらない子供の見た目だ。だが見た目で判断すると痛い目を見るのは前の世界でも経験済みだ。
「何かな? えぇっと……」
「ヴィータだ。こいつらの教導を見ている」
(ヴィータ……か。名前は同じでも、クロチルダさんとは全く別人だ)
「お前ははやての紹介で教導を担当するようだが、こちとら実力の未知数なやつに任せるわけにはいかねぇんだ。そっちのチビッ子もよくわかんねぇしな」
君もチビッ子だがな、とは思ったが、喉元で留めておく。
「ここは一つ、勝負しちゃもらえねぇか? ……こいつらと」
『えぇっ!?』
「ヴィ、ヴィータ副隊長がお相手するんじゃ!?」
「バーカ。教導をつけてもらうのはお前らだし、こいつらの戦闘スタイルとか知っといて損はねぇ。あたしはお前らとの模擬戦を見て判断するさ」
青髪の少女の抗議を軽くあしらう。そのやり取りを見ていたリィンは、いい部隊だと感心を抱いた。
決して上司をなめている訳じゃなく、ちゃんと敬意をもっていて、且つ距離が近い。そこいらの教育もちゃんとしているのだろう。
「まぁ、俺は構わないよ。アルティナはどうだ?」
「問題ありません。ARCUSも準備できています」
『ARCUS?』
ヴィータを含めたフォワード陣が首をかしげる。
「あぁ、俺たちはこの世界の人間じゃなくて違う世界からやってきたんだ。ARCUSは俺たちの世界のデバイス、のようなものさ」
「ほへぇー。そんなのがあるんですね! あ、私はフォワード隊所属、スバル・ナカジマ二等陸士です!」
「ティアナ・ランスターよ。階級はスバルと同じ二等陸士」
「僕はエリオ・モンディアルといいます! 三等陸士です!」
「同じく三等陸士のキャロ・ル・ルシエです。よろしくお願いします」
「あぁ、よろしく。それじゃあ早速始めようか? なのはさん、場所はここを借りても?」
「うん。大丈夫だよ!」
ステージのセッティングをしてもらっている最中、アルティナと自分のARCUSの調整を軽くしておく。
「今回はそうだな……アルティナ、補助中心に、自分も攻撃できるようにアーツを組んでくれるか?」
「はい。しかしクラウ=ソラスが呼べないと、自衛手段が限られますね……。何か臨時の武器があればいいのですが……」
「それはまた考えておこう。今回は出来るだけ俺のそばを離れず、分断された場合は各個撃破だ。アルティナの実力なら可能だろう」
「了解しました」
『みんなお待たせ! 準備ができたから所定の位置について!』
なのはの声が辺りに響く。リィンとアルティナは互いに目を合わせ、頷き、ビルの廃墟が並ぶステージに駆け出した。
廃墟ステージは、主に災害救助の訓練やガジェットとの戦闘訓練。またはなのはとのシュートイベーションに利用される。それぞれが質量のある建造物で、瓦礫も当たると衝撃とダメージが入る。
『それじゃあ模擬戦を始めます!』
一つ、リィンは息を吐いた。相手がまだ発展途上の少年少女とはいえ、油断はできない。それに本気で相手をしないと、示しがつかないし相手にも失礼だ。
「トールズ第二分校、Ⅶ組教官、リィン・シュバルツァー」
「同じくⅦ組、アルティナ・オライオン」
『レディー……ゴーッ!!』
「参る!」「いきます!」
スタートの合図と共に、二人は駆け出した。その時、空中に青色の道のようなものが出現した。何本もの立体道路を作り出したそれは、スバルの先天魔法、ウイングロードだ。
「うおおおおおおおおおおおおお!!」
そして大きな叫び声と共に、スバルがウイングロードを駆けてきた。足元のブーツはローラーが内蔵されているローラーブーツ。リィンは足を止め、向かってくるスバルと相対する。
「アルティナ!」
「了解しました。ARCUS駆動ーーークロノドライブ!」
それはガジェット戦で見せた、対象の周りの時を早める導力魔法。時計を思わせる魔法陣は、すぐに光と消え、リィンとアルティナに吸い込まれる。
「八葉一刀流伍の型ーーー“残月”」
対しリィンは刀を一度鞘に戻し、居合いの構えをとる。
スバルは好機とばかりに加速する。右手のグローブ型デバイス、リボルバーナックルに内蔵されたカートリッジシステムを三発ロードする。
「どおおおおおおおおおりゃぁあああああああ!!」
「ーーー斬っ!」
それに対するリィンの返しは、一閃。
相手の向かってくる勢いを利用した一閃は、スバルの体を容易く宙へと投げ飛ばした。ちゃんと最低限の怪我ですむように峰打ちで。
「動きが単調すぎる。速さは大したものだが、それでは戦場で生き残れないぞ」
「クロスファイア! シュート!!」
叫びと共に飛来するオレンジの弾丸。述べ八発。
それに対応したのは、リィンではなくアルティナだった。
「ARCUS駆動ーーー切り裂け。ソウルブラー」
発動したのははやての制裁にも使用したソウルブラー。ただし今度のは戦闘用にチューンされたもの。時空を震わす波動は、放射状に飛来するオレンジの弾丸を余さずに叩き落とす。
「嘘っ!?」
「行くよストラーダ! うぉおおおお!!」
「援護します! ブーストアップ・ストライクパワー!!」
上空から槍、ストラーダを携えたエリオが、重力を利用して一気にストラーダを振り下ろす。
しかし、リィンはなんなく受け止めた。
「えっ!?」
「速いが、こちらも勢い任せだな。アルティナ、後方にいる魔導師は任せていいか?」
「お任せを、リィン教官。ARCUS駆動ーーー」
「頼んだ、ぞっ!」
「うわぁ!」
エリオを弾き飛ばしたリィンは、地を駆けた。その間もオレンジの弾丸は飛来していたが、コントロールもまだ粗があったのもあり、最低限の行動で回避しつつ、エリオに打ち込んだ。
「行くぞ! 螺旋擊!」
刀に闘気を纏わせ、叩きつけた。エリオもガードしたが、それを受けたストラーダが半壊してしまい、勢いに負けて後方に吹き飛んだ。
「さて、あちらは……」
エリオがダウンしたのを確認したリィンは、アルティナの方を見る。
「……終わっていたか」
そこにはキャロが目を回して倒れており、そのそばには小さなドラゴンがこれまた目を回していた。
「さて、残るは一人……。先程からの弾丸の方向から察するにーーーあの辺りか」
そういうとリィンはジャンプ。人間離れした跳躍力でビルの上に飛びたったリィンは集中力を高め、気配を探す。やがて前方にティアナを見つけ出した。
「見つけた。まだクロノドライブはきれていないな」
そうしてまた一つ、息を吐いたリィン。そして刀を構え、脚に力を込める。
「二の型ーーー“疾風”!!」
そうしてその場には土煙が舞い、リィンの姿は泡沫に消える。そして後には、ティアナの絶叫とビルの破壊音が辺りに響いたのだった。
待たせたわりに酷いなぁ……色々と(苦笑)
はい、今回はここまでです。戦闘描写は難しいなぁ……描くのうまくなりたい。