Ⅶ組が駆けるミッドチルダ   作:暁月千景

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 続いた―!!

 今回は他のⅦ組視点です。といっても、一部ではありますが。
 構成としては何人かに分けてその章ごとに登場してもらいます。軌跡のシステムまんまです。

 なお、見覚えがあるな~……とか、あれ? 既視感あるな~……とかとか、満載だと思います。
 逆にそのことでどういうことだ……? と思うかもしれませんが、構想の内です。
 仕方ないんや。作者にはやはり完全オリジナル展開は荷が重かったんや……。


 まだ何とかエタッてないです! 生暖かく見守ってください!
 
 




 5 ~一方、その頃~

 

 

 

「……ぅ……」

 

 周囲に木々が茂る所に、倒れる青灰髪の青年。

 

 新Ⅶ組の一人、クルト・ヴァンダールは少し痛む頭を押さえながら起き上がる。

 

「……ここは、どこだ?」

 

 軽く頭を振り、少しでもこの頭痛と倦怠感を飛ばす。

 その甲斐はあったのか分からないが、少しずつ思い出してきた。暗黒龍の寝所にいたのだが、突如空間が裂けて、そこに吸い込まれたんだった。

 

 静かに立ち上がり、自分の姿を見る。見たところ制服が少し崩れているだけで怪我もない様だ。左右の腰に下げている二本の剣もちゃんとある。軽く跳ねる。問題ない、しっかりと体の感覚も戻ってきている。

 

「あ、お兄さん目が覚めたみたい!」

 

「あぁ、目が覚めたようで何よりだ、クルト」

 

 少し木々の開けた先から声が聞こえた。そこには、褐色肌の青年とクルトと似たような空色の髪の女の子がいた。

 

「お二人とも……っ! ご無事だったんですね」

 

「えへへー。なんとかね」

 

「俺とミリアムは一足先に目が覚めてな。少し辺りを散策していたんだ」

 

 旧Ⅶ組のガイウス・ウォーゼルと、帝国の情報局所属でもあるミリアム・オライオンだった。

 両名とも暗黒龍の寝所で危機を乗り越えた先輩でもあり、仲間でもある。

 

「そうですか。それで何かありましたか?」

 

 何かあれば、程度の質問だ。突如この場所に飛ばされ、辺りは森ばかり。とにかくどうするべきかの標のようなものがほしい。

 

「それがさー、どこに行っても森ばかり! 街もなければ道もないんだよねー」

 

「そう、ですか」

 

 結果は何もわからず、ということだった。どの程度散策していたのか分からないが、少なくともすぐ近くに何かがある、というわけではないらしい。

 しかし、ガイウスのほうは違ったようで、顎に手をあてて何かを考えている。

 

「……ガイウスさん?」

 

「あぁいや。気のせいかもしれないが、ミリアムと辺りを散策しているときに、妙な風を感じてな」

 

「妙な風?」

 

 ガイウスという男はノルド高原の出身ということで、風の流れに敏感なところがある。ミリアムも以前、ノルド高原での任務の際に目の当たりにしている。

 そのことを知っているミリアムは右手を挙げた。

 

「じゃあ行ってみよー! ここでじっとしてるよりも、何かの手掛かりになるかもしれないし!!」

 

 クルトは苦笑いを浮かべた。

 以前オルディスであった時も思っていたが、どこまでも子供らしく、真っ直ぐな性格のようだ。それでいて、情報局の人間としてやⅦ組の一員として時折見せる鋭い表情。ガイウスはもちろんクルトよりも年下なのにもかかわらず、驚かされることばかりだ。

 

 もちろんこの意見に反対することもなく、ガイウス先導で妙な風の流れる元に向かうこととなった。

 

 

 

 ※ ※ ※

 

 

 

 木々が段々無くなり、どちらかというと丘陵といったような場所に出てきていた。

 ここまでの道のりは順調そのものだったが、それ故にクルトには不安が募っていた。

 ここまで結構な距離を歩いたにもかかわらず、魔獣に出会わなかったということか。辺りに導力灯も無いのにこの状況は果たして幸か不幸か……。

 

 

「そろそろだな……。二人とも、警戒していてくれ」

 

「むむ、それじゃあ―――ガーちゃん!」

 

 いよいよということで右手を挙げる。今までに見た銀色の傀儡≪アガートラム≫を呼ぶ動作だった―――はずだ。

 

「あ、あれ? もう一度……ガーちゃん!!」

 

 

 同じ動作を繰り返す。だが、特に何も現れない。

 

 

「どうしたミリアム?」

 

「んーそれが、ガーちゃん呼べないんだよ。さっきから違和感感じてはいたんだけど、このことだったみたいでさ……」

 

「そうなのか……それは痛いな」

 

「まあ一時的かもしれないし、ARCUSは持ってるからさ。アーツでの後方支援に回ることにするよ」

 

「そうか。頼む」

 

「任せて! ガーちゃんいないのは不安だけど、そうも言ってられないかもだしね」

 

 こういう迅速な判断ができるのは、さすが先輩兼情報局員というか。経験値が違うのだろうか。

 アルティナと同じ様なものと考えるなら、生まれたときから時から繋がりを感じ、同期していたといっていたようだし、それを感じ取れないのはかなりの不安のはずだ。というか同期とか一体何なのだと―――っ!

 

 

「ガイウスさん、これは……」

 

「……」

 

 

 どうやら目的地のようだ。

 眼前には切り立った崖のような場所。その中央には洞穴のようなものが存在し、門のような物も形どられていた。上部には目と生物の文様が薄気味悪く描かれている。

 

 うまく言葉にできないが、クルトは感じていた。全身に悪寒が走り、体の芯がどんどん冷えていくような感じ。これは強者と相対した時の威圧感とは全く別ベクトルの氣。近しいのはクロスベルの星見の塔、いや……暗黒龍の寝所に感じたものに似ている。

 だが、それらよりもはるかに醜悪な、何か怨念のようなものも感じている。これまで経験した場所のどこよりも危険に思えた。

 

 そして風を通して気配や氣に敏感なガイウスもまた、この場所の異様さに気が付いていた。そしてさらに言うなら、この文様に見覚えもあったのだ。

 どこだ、と腕を組み考える。

 この醜悪な氣は、一度感じたら忘れられるものではない。だが、様々な経験(・・・・・)をしてきたガイウスも感じたことはない。故郷、ノルドの石切り場のとはまた違った悪しき風。

 

 

 

 いや、待て。そういえば―――

 

 

 

「っ!? ガイウスさん! ミリアムさん!」

 

 クルトの声に我にかえる。目の前の洞穴から異様な、醜悪な気配が増してきている。

 何かが、近づいてきている。

 

「クルト、ミリアム! 何か来る!」

 

「オーケー! なんでもこーい!」

 

 

 来た。

 

 

 紫色の丸い、一つ目の魔獣。醜悪な角と羽のようなもの、そして背筋の凍るような赤い口。それは魔獣というより―――魔物、と呼ぶべき存在。

 音にならない声のようなものを不気味に上げながら、ふわりふわりとこちらに向かってきた。

 

「……」

 

 先ほどの威勢はどこへやら。右手を振り上げた状態で固まるミリアム。

 意識は魔物に向けつつ、ジト目でミリアムを睨む。

 

「……来ましたよ」

 

「いやぁ……あはは。これはボクも予想外というか……」

 

「こいつは……」

 

 ガイウスは何かに気が付いたようだが、そんなものお構いなしと魔物は咆哮をあげた。辺りに振動が響き渡る。

 

「っ!」

 

「わわっ。なにこれ!?」

 

「怯むな! 相手は1体だ。落ち着いてかかれば問題ないだろう」

 

「はいっ!」

 

「それじゃあ行こうか! ―――ARCUS駆動!」

 

 サポート体制に入るべく、ミリアムの回りに水色の帯のような陣が回る。駆動の合図だ。

 クルトは腰にさしてある二振りの剣を、ガイウスは背中の十字槍を構える。魔物は一つ目を爛々と光らせ、こちらに突進してくる。

 後衛を守るためにその直線状に割り込んだクルトは、双剣を十字に構え、受けの体制をとる。普段はこのような戦法はとらないが、クルトは自分よりもガイウスのほうが突破力があると考えたうえでの決断だ。

 

「―――ぐぅ! この……!」

 

 そして魔物の突進は想像以上に重かった。両腕に力を込めるが、拮抗はクルトに不利な形で崩れようとしていた。

 

「くらえ! ゲイルストーム!」

 

 その中でガイウスの繰り出した風を帯びた突きが、魔物の横っ腹に突き刺さった。思わぬ方向からの攻撃のおかげで、魔物はバウンドするように横に転がっていく。

 なるほど、これが横槍か、と思ったのは内緒だ。

 

「お待たせ! アナライズ!」

 

 そして情報を調べるためにミリアムが発動させたのは≪アナライズ≫だった。

 これにより、ミリアムの目にはまるでゲームのように相手のステータスや弱点まで見ることができる。

 

「解析完了! 魔物の名前はビジョウ、耐性が豊富で状態異常は期待できないかも。バランスもいいから崩しも期待できないかな。弱点属性は……空! やっぱりこの空間は上位3属性が働いてるみたい! あいつの毒攻撃はこちらの能力を弱体化させるみたいだから気を付けてね!」

 

「了解だ! ミリアムは導力魔法(アーツ)で援護を頼む」

 

「あいあいさー!」

 

「クルトは―――」

 

「分かってます!」

 

 そう答え、クルトは一度右の剣を鞘に戻す。そしてその手で上着のポケットに入れてあるARCUSを手に取り、カバーを開ける。

 

「オーダー発動。速攻だ! 太刀風の陣!」

 

 ARCUSに内蔵されたオーダーシステム。このシステムを活用することで、仲間に様々な効果を付随させられる。

 その種類は各々違っているが、どれもその人の個性に沿った性質となっている。

 そして、クルトのオーダー≪太刀風の陣≫は、味方全体にスピードアップの硬貨を付随させ、攻撃直後の隙を極力抑え込むものだ。

 

 これにより、速度で圧倒的に優位に立つことができた。

 ビジョウはすでに起き上がっており、口元の赤は煌々と怪しく光っている。

 だがそれに毒があるとわかっている以上、食らうわけにもいかない。警戒しつつ、ARCUSをしまい鞘から剣を抜く。

 

「攻撃力は相当なものです! 一気に攻めましょう!」

 

「あぁ。―――ミリアム、クルトとリンクをつないでくれ」

 

「オーケー! じゃあ行こうか、お兄さん!」

 

「はい!」

 

 直後、クルトとミリアムの足元に光の線がつながる。

 

 それと同時に動き出す。クルトはその持ち前の速度を生かし、すぐさまビジョウの懐へと入り込む。

 

「おおおおおおおおおおおお! レイン、スラッシュ!!」

 

 繰り出されるのは双剣による乱撃。手数の多い双剣だからこそ使える斬撃は、着実にビジョウの体に傷を刻む。そこからにじみ出ているのは血ではなく、黒い靄のようなものだった。このことが、異常さを引き立たせる。

 

 レインスラッシュを叩きこんだクルトはすぐさま下がる。

 ビジョウの足元に浮かぶ十字の文様。

 

「いくよ! エクスクルセイド!!」

 

 そして光は弾けた。

 魔を浄化する聖光の光は、確かにビジョウにダメージを与えていく。

 空属性高位魔法の≪エクスクルセイド≫はビジョウの弱点でもある。これで倒れてもおかしくないほどのダメージのはず……っ!

 

 

「なっ……!」

 

「むむ、しぶといねー」

 

 確かにダメージは与えられている。それは体のいたるところから溢れる靄が証明しているように思える。

 しかし、ビジョウは堕ちない。その一つ目に殺気を滾らせ、今一度咆哮をあげる。

 それは先程よりも明確な殺意。それを乗せて大気を震わせる。余波を受けたクルトは身が縮こまるのを感じる。

 

 だが、その咆哮はすぐにやんだ。

 

 

「絶空鳳翼の力、思い知るがいい―――」

 

 

 突如、風がやむ。

 

 

 ガイウスがその手の十字槍を回し、目の前で構える。

 

 

「我が深淵にて煌めく金色の刻印よ。その猛き咆哮をもって我が槍に無双の力を与えよ―――」

 

 

 そしてガイウスを中心に吹き荒れる風。そしてガイウスの背中に浮かぶ金色の文様。

 それが何を意味するか分からない。だが、只ならぬものを見ている気がする。

 

 

 そして文様の光と混じった風を槍に纏わせ、上空へと投げる。その槍は空を貫き、やがて重力に従い落ちてくる。

 

 その槍はまるで女神の力が宿ったとさえ思える神々しさと大きさを備えていた。

 

 

 

「吼天―――鳳翼衝!!」

 

 

 槍はビジョウを飲み込み、そして大地をも穿った。

 

 

 

 

 ※ ※ ※

 

 

 

 

「ふぅ。こんなものか」

 

 一部大地は陥没しているが、ビジョウは無事に姿を消したようだ。

 巨大化した槍は、ガイウスが手を翳すと、すぐに元の大きさに戻った。

 

「すっごいねガイウス! あの大きな槍でばばーんって!」

 

 そして子供のようにはしゃぐのはミリアムだ。いや、実際クルトよりも年下の子供ではあるのだが。

 ガイウスはそのミリアムを苦笑いで迎える。

 

「あぁ。修業の成果さ」

 

「ふーん。でも……なるほどね。ガイウスと数カ月連絡が取れなかったのもこういうことだったんだね(・・・・・・・・・・・・)

 

「……さすがに気が付いたか。情報局のファイルで閲覧でもしたか?」

 

「そんなところかなー。ま、ガイウスはガイウスだし。ガイウスが皆に話すまで黙ってるから安心していいよー」

 

「……フフ、ありがとうな、ミリアム」

 

 

「?」

 

 二人で勝手に話が進んでいく中、ついていけていないクルト。

 ミリアムが何かを察したのだろうとは思ったが、内容まで察せられるほど、クルトは知っているわけじゃないのだ。

 

 

「所でさ、ガイウス。ここって結局どこなの? さっき何か気づいたみたいだけど……」

 

 ふと、ミリアムがそう切り出した。

 さっきの戦闘に移る前、ガイウスは確かに何かに気づいていた。クルトもそれは聞こえていたので、耳を傾ける。

 

「いや。俺の世話になった場所での書籍に、これと似たような場所が記されていた気がしてな。ただ、同じなのかはわからないが……」

 

「ホント? どこなの、それって?」

 

 

 

 

 

「かつて共和国を中心に震撼させたある一つの団体≪D∴G教団≫

 その教団は各地で子供をさらい、人体実験を施していた。その実験で各地にロッジという拠点を作っていたそうだ。

 

 

 

 そのロッジの一つが―――≪アルタイル・ロッジ≫

 

 

 

 

 異国の遊撃士を中心としたチームに壊滅させられた場所だ」




 何とか書き上げた――――――!

 はい。出てきましたね、アルタイル・ロッジ。そして懐かしのビジョウ。
 まあⅣのスクリーンショットらしきものにも出ていたので、Ⅳでも出るのかな?

 今回この場所を出したのにもちゃんと理由はあります。お楽しみに。


 さあて、次はいつになるのかな……?(白目)
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