乃木長門は勇者である   作:月影桜

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今回はアニメの第一話に合わせるため短めです。

戦闘シーンは途中で区切りたくなかったからだけど、一話との文字数の差が...



しゅくしょうかい

神樹様に選ばれたと聞いたときは理由がわからなかった。

 

 

神に見初められるのは無垢な少女のはずなのに。

 

 

でも彼女も選ばれてしまったから理由なんて要らなかった。

 

 

特にそれが文字通り■を■げて戦うものだとわかったときには彼女を......彼女たちを守らなきゃいけないと強く思った......

 

 

勇者御記298年 乃木長門記

 

 

 

***************

 

 

 

最初のお役目を果たした次の日学校に着くと朝の学活前に4人で立たされた。安芸先生がお役目についてクラスの人たちに言うらしい。ああこれ機密事項じゃないのか?でもまあいきなり授業中にいなくなったりしてたら不信に思われるから軽くばらした方がいいか。それより休み時間に問い詰められそうだから逃げるか......そもそも問い詰められるほどのつながりがなかったんだった。目から汗が......

 

 

「昨日お話しした通り4人には神樹様の大切なお役目があります。だから教室から突然消えても、慌てたりせず心の中で応援してあげてください」

 

 

休み時間になると三ノ輪が質問をうまく躱していた。流石三ノ輪。俺とはコミュニケーション能力が雲泥の差だ。そんなことより今はこのラノベを読破するのが先である。昨日学校に置き忘れちゃったからなー。すると不意に鷲尾さんが立ち上がる。

 

 

「こほん。ねえ三ノ輪さん、乃木さん、乃木君。よ、よければその......これから祝勝会でもどうかしら......?」

 

 

鷲尾さんがそんなことを言い出すとは思わなかったな。イネスにどう連れてくか悩んでたところだし丁度いい。勿論園子と三ノ輪は快諾した。

 

 

「いいな、それ。付き合うよ。場所は......イネスが良いと思うんだけどみんなどうだ?」

 

 

みんなから賛成を貰ったのでイネスのフードコートで祝勝会をすることになった......のだが

 

 

「今日という日を無事に迎えられたことを大変うれしく思います。本日はお日柄も良く......」

 

「堅苦しいぞー。かんぱーい!」

 

 

鷲尾さんは良くも悪くも凝り性というか......かなりの真面目さんだな。

 

 

「ありがとねすみすけ~」

 

「え?」

 

「私もね、すみすけを誘うぞ誘うぞ~って思ってたんだけど、中々言い出せなくて~。だからすごく嬉しいんだよ~」

 

「鷲尾さんから誘ってくるなんて初めてじゃない?」

 

「実はそうなんよ~!」

 

「まあ今まで合同練習とかもなかったしな」

 

「それなのにアタシら初陣よくやったんじゃない?」

 

「私も興奮しちゃって~。ガンガン語りたかったんだ~」

 

 

乃木さん家の園子さんは昨日散々俺に語ってたんだけどなぁ。おかげで少し寝不足気味だ。

 

 

「実は......私も。その......話がしたくて3人を誘ったの。3人の事あまり信用してなかっと思う。3人が嫌いとかじゃなくて、私が人を頼るのが苦手で......」

 

 

まあ俺も似たようなものだしな。ただ俺の場合人を頼るのが。ではなく人を信じるのが。本当に独りである人間が独りで何でもできるのであればほかの人に頼る必要はない。だけどこの3人はお互いの弱点を上手くカバーしあってこそ力を発揮すると思う。あくまで俺の感だが。

 

 

「でも、それじゃダメなんだよね。私ひとりじゃ、多分何もできなかった。3人がいたから......だから、その.......これから私と仲良くしてくれますか!」

 

 

俺と三ノ輪と園子は互いに微笑みあい

 

 

「もうすでに仲良しだろ?」

 

「まあそういうことだ」

 

「嬉しい!私もすみすけと仲良くしたかったんだ~。ほら、私も友達作るの苦手だったから~。すみすけも同じ思いだったんだ~嬉しいなすみすけ~」

 

「乃木さん......そのいつの間にか言ってるすみすけっていうのはなに?」

 

「あ~、いつの間にかあだ名で呼んでた~」

 

 

流石園子だな。でも園子に友達ができてよかった...理解されにくいタイプだからな。

 

 

「嬉しいけど......それ、あまり好きじゃないかな」

 

「じゃあわっしーなは?アイドルっぽくない~?」

 

「もっと嫌よ。乃木さんもそのこりんとか嫌でしょ?」

 

「わ~!素敵~!」

 

「忘れて......」

 

「じゃあわっしー!どう?」

 

 

園子の目が輝いているのを見てか鷲尾さんは諦めたようだ。

 

 

「まあ、それでいいかな」

 

「よろしくね、わっしー!」

 

「じゃあアタシのことは銀って呼んでよ!三ノ輪さんは余所余所しいな~」

 

「そうだね~。微笑ましそうに眺めてるなっくんもね~」

 

「俺に飛び火したっ!?」

 

 

気配は完全に消したと思ってたのに......園子には効かなかったか。まあ本人からのご所望なら仕方がない。

 

 

「わかったよ、銀。これでいいか?」

 

 

俺の呼び方に納得したのか三ノw......銀は満足げに頷いている。そして鷲尾さんが困惑しているのを見て

 

 

「あはは。まーいっか。よーし、今日という日を祝って、みんなで絶品ジェラートを食べよう!」

 

 

 

***************

 

 

 

というわけでみんな各々の味のジェラートを買って食べる。ちなみに俺はマックスコーヒー味だ。どうやら旧世紀にはペットボトルや缶コーヒーとしても売り出していたらしいが、神世紀にはもうこのジェラート屋にしかその名前は残っていない......自分で作ったりしてみてたんだが、やっぱり何かが足りない。その点このジェラートは最高だ。本を買いに来たときに見つけて以来ずっと通っている。

 

 

「はふぅ......しあわせ~メロン味大正解~」

 

 

ふと鷲尾さんの方を向くとなにやら難しい顔をしてジェラートにガンをつけていた。ジェラートに何か因縁でもあるのだろうか?

 

 

「鷲尾さんそんなにジェラートを睨みつけてどうしたんだ?」

 

「いえ......宇治金時味のジェラートがおいしくて......」

 

 

何やら小声で「美味だわ!ほろ苦抹茶とあんこの甘さが織りなす調和が絶妙。でも浮気した気分......」などと言っている。もしかしたらジェラートを食べるのは初めてなのかもしれない。

 

 

「そんなに美味しいなら~、あ~ん」

 

「えっと......こういうの初めてで」

 

「ん~美味しい~。初めての共同作業だね~」

 

鷲尾さんはその言葉に赤面している。なんか君たち初々しいですね。まあこの分ならこの祝勝会も開いた意味があったと言えよう。

 

 

「やっぱり最強はこのしょうゆ豆ジェラートだな!」

 

 

なにそれ、なんかちょっと美味しそうだな。今度来たら食べてみよう。鷲尾さんと園子が味見をさせてもらっていたが、難しい味。だそうだ。

 

 

「なっくんのは何味~?」

 

「マックスコーヒー味だ!」

 

「なっくんがいつになく元気だ~」

 

「マックスコーヒー味は至高だからな。」

 

 

珈琲なのに明らかに練乳の比率のほうが大きい暴力的な甘みが疲れた体に効く。帰ったら第6回マックスコーヒー自作実験をするか。以前は確か砂糖の量が多かった気がするからそこを踏まえて再挑戦だな。くだらないことを考えていると園子が俺の方に口を開けて待っていた。

 

 

「あ~ん」

 

「仕方ないな。はいよ」

 

「ん~。ちょっと甘みが強いけどおいしいね~」

 

 

どうやら園子には甘かったようだ。その甘すぎなくらいがいいアクセントになってていいと思うんだが......と鷲尾さんがなんか顔真っ赤にしてこちらを見ている。どうしたのだろうか。

 

 

「か、か、か、間接キス!?しかも異性で...」

 

「鷲尾さん......俺たち兄妹だぞ?別にこのくらい普通だろ?」

 

 

俺が呆れたように返事をすると鷲尾さんは「そうよね......二人は兄妹よね......」とつぶやいてなにやら難しい顔をしていた。そして遠慮がちに言う。

 

 

「ごめんなさい。二人があまり似ていないから兄妹だということを忘れていて......」

 

「アタシも驚いたなー。二人とも全然似てないから最初はわからなかったよ」

 

 

園子が心配そうにこちらを見つめてくる。この話はあまりしたくないのを知っているが故の表情なのだろう。でもこの二人なら俺は話してもいいと思ってる......がここは祝勝会の場だ。あまり空気を悪くしたくない。だから俺は表面的なことだけ言うことにした。

 

 

「ああ。同じ学年だしな。それに俺は乃木家に養子として入ったんだよ。だから乃木の血は入ってないんだ」

 

「そうだったのね......そういえば乃木君と乃木さんはどちらの方が早生まれなの?」

 

「会話の内容的に長門のほうがお兄ちゃんなんだろうけど誕生日いつなんだ?」

 

 

鷲尾さんと銀が何かを察したのか別の話題を聞いてくる。

 

 

「私は8月30日で、なっくんは8月28日なんよ~」

 

「まあだから実際年の差はないようなもんかな」

 

 

二人とも、そんな近かったの!?と驚いている。この誕生日の近さなので普段は兄妹というより幼馴染、もしくは双子感覚だ。

 

 

そろそろ解散かな。3人に声をかけて解散しようと腰を上げようとしたとき鷲尾さんが俺に待ったをかけた。

 

 

「乃木君......あの時言いそびれてしまったから......助けてくれてありがとう」

 

「お礼を言われるようなことじゃないんだけどな。仲間を助けるのは当たり前だ」

 

「それでも、言いたかったから......」

 

「そうか......」

 

 

こう面と向かって言われるとちょっとアレだ。こんな実直に礼を言われることはあまりないので気恥ずかしくなって目を逸らす。唐突な俺の反応に鷲尾さんが戸惑っている。

 

 

「なっくんが珍しく照れてる~!」

 

「別に照れてないっての......」

 

「ふふっ」

 

「鷲尾さんも笑わないでくれ......」

 

「ごめんなさい。つい」

 

 

こうして俺たちの初めてのお役目は何とか無事に終わった。

 

 

 

 

 

 

 

これは、4人の勇者の物語。

 

神に選ばれた少年少女のおとぎ話。

 

 

いつの時代も神に見初められるのは無垢な少女たちである。

 

しかし、法則に例外がつきものなように。

 

彼もまた例外の一部である。

 

そして例外がいるとしても

 

その結末はきっと―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最後に例のやつぶっこみました。やっぱりちょっとでも不穏な空気を残さないと(使命感)

長門君はお役目のため養子になったわけではありません。そこらへんは後々語っていきます。

そして長門君の誕生日、戦艦長門の着工日です。進水日にしなかったのはこちらの都合で念のためです。
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