トントン拍子に事は進んだ。依頼人で暗殺者の
リボーンが確認する限りミアたちの動向をマフィアたちが監視している様子はないそうだ。本当に暗殺者は公演中の彼女を襲うつもりなのだろうか?監視がないということで、とくに細工もせずにミアたちは纏めた荷物を全て持ち、そのまま獄寺の住むマンションへとやって来ていた。
ツナはスイートルームのチャイムを押すよりもよっぽど楽なひとり暮らし用のマンションに少しだけ安堵しながらボタンを押した。ピンポーンといかにも日本らしいチャイムが鳴ると、嫌々ながら獄寺がドアを開けて出てきた。
「・・チッ、誰だよ?こんな時間に訪ねてくるヤツは・・・って、じゅっ10代目とリボーンさんっ?!俺の家を訪ねに来られるなんて、どどうかされたんですかっ?!」
「ちゃおッス!」
「いや〜獄寺くん、これには深いわけがあって・・・」
不快そうにドアを開けた獄寺だったが、ドアを開けた先に立っていたのは自身が尊敬するツナの姿だった。獄寺があたふたしはじめると、ツナはみんなでやって来た訳を話そうとした・・しかし、その瞬間なぜか後ろからミアが突っ込んできた。
「キャーッ隼人じゃないっ?!会いたかったわ〜っ」
獄寺は突っ込んできたミアを思わず抱きとめながら、なにが起こってるんだ?と頭にハテナを募らせている。
「隼人がこんなところにいるなんて思わなかった!隼人はミアの
「・・ミアっ?!ミアこそどうして日本に?・・ああ、そうか。今貼られてるあのポスターはやっぱりミアのことだったんだな」
獄寺はミアの姿を確認すると、自身で納得するように呟いた。一方、獄寺に抱きとめられたミアは感極まって涙を流しながら獄寺の首に自らの腕を回し、ちゅっと獄寺の頬に口づけていた。獄寺も満更ではないようで腕の中のミアの頭を撫ではじめる。
あまりに突然の出来事に呆気にとられる一同だったが、どうやらミアと獄寺は知り合い以上の関係だったらしい。
あーコホン、と見るに見かねたジョシュアが咳をする。
「えーっと、ミアさんと獄寺くんはお知り合いなんですか?」
こんな茶番をマンションの廊下で見せつけられると思っていなかったツナのライフポイントはゼロだ!リア充爆発すべし、そう思いながらツナは泣く泣く知り合い以上の関係であろう二人に声を掛けた。
「隼人はミアの幼馴染で
「10代目すみません!ミアは小さいときに俺の面倒を見てくれてたんです。それなのに俺はミアに・・・」
獄寺はミアとの関係に何か思うことがあるらしい。ミアの方はとくに気にも留めていないようなので、何も遠慮することはないと思うのだが・・これ以上踏み入るのは二人のことなのでマナー違反な気がする。
「獄寺!とりあえず、中に入って話したいことがあるんだが大丈夫か?」
「俺の家でいいんならどうぞどうぞ!勝手にあがってください」
そういって獄寺は部屋に一同を案内した。やっと獄寺の部屋にお邪魔することができたツナはホッとした。
ひとり暮らし用のマンションというだけあって獄寺の部屋に全員が入って腰掛けると、広いと感じていた部屋もすぐに狭くなってしまった。
獄寺の家を訪れた訳をツナが説明しはじめると、獄寺はミアの命がマフィアに狙われていることについて、ミアの才能は天性のものだから仕方がないと頷いていた。
「・・というわけで、ミアさんとジョシュアさんが元々滞在する予定だったホテルが危険だってことで、獄寺くんの家で二人を匿ってほしいんだ?」
「理由はわかりました!俺もミアたちはホテルから遠ざかるべきだと思います。ぜひ俺の家を今回の滞在場所として使ってください。ただ・・・」
獄寺は、ただ・・・と言葉を濁した。
「ただ・・・?」
「うちに寝る布団と場所がないんですよ。俺の部屋にあるベッドと客用の布団が一組しかないですし、この家に三人寝るのは・・・ミアも一応、じょ女性だし?俺が別なとこに泊まればいいんスかね?」
「ここに滞在する間、獄寺くんが二人の護衛なんだから別なとこに泊まっちゃったら意味がないんじゃないかな?」
「あ。そうッスよね、確かに俺が出てったら意味ないッスね。でも三人は・・・」
う〜んと一同はうなり始める。布団なんて買えばいいとは思ったが、獄寺の家はひとり暮らし用の1DKで大した広さではない。ここに三人寝るとなると確かに狭い。言われてみれば三人寝るのは難しいかもしれない。
リボーンもツナもとくに何も考えずに獄寺の部屋にミアとジョシュアを案内してしまったわけだが、ミアはすれ違ったら振り返ってもう一度見てしまいたくなるような雰囲気を持つ美少女なのだ。
そんな彼女はマネージャーだというジョシュアを含めて、男と同じ部屋に寝ることに抵抗はないのだろうか?思わず、ツナはミアのことを盗み見てしまった。ミアはそれに気づいたのか場を取り繕うように言った。
「あ〜うん。ミアのことなら気にしなくていいから!最初はジョシュがいるなら知らない人の家でも大丈夫〜って思ってたけど、もはや隼人となら同じベッドで寝てもいいし〜?そしたら、布団も無理して買う必要ないし、寝るスペースもなんとかなるよね?そうだよね?」
ミアは久しぶりに獄寺と過ごせることを喜んでいるのか嬉しそうに言ったが、獄寺はミアの発言を聞き、ピシッと固まってしまった。当然だと思う。
ミアは男と同じ部屋に寝ることについて、とくに何も感じていないようだ。もはや、獄寺となら同じベッドで寝ても構わないなどと言い出す始末。
ジョシュはどう思う〜?と、ミアはジョシュアに話を振った。ジョシュアは彼女の保護者的なポジションなのだろう。何かを決めるときにミアは必ずジョシュアの意見を聞く。
「そうですね、ミアお嬢様がそう思われるなら大丈夫じゃないですか?私はこちらのリビングで一人で寝るので。お嬢様は愛しの
ジョシュアは大して興味がなさそうに言った。そのジョシュアの言葉を聞いてミアはなぜか真っ赤になった。
何を今さら真っ赤になることがあるのかと思うが、ミアは天才バイオリニストなどと呼ばれているものの、年相応・・いやそれ以上にかなり抜けたところがあるようだ。
「ジョシュ!それ、隼人の前で言っちゃダメなやつだよ〜っ」
「ミアお嬢様、残念ながら先程から何度もご自分で隼人様のことを
ジョシュアは平静を装いながらもミアのことをからっているようで眩しくなるような笑顔を浮かべているが、何が可笑しいのか口元が笑いで引き攣っている。
ところで、なぜ彼らは獄寺のことを“
「ミアっ!お前、まだ俺のこと
ついさっきのミアの隼人となら同じベッドでもいい発言のせいで固まっていた獄寺が戻ってきたようだ。急に会話に割り込んできた。
「そそ、そんなことないっ!久しぶりに隼人に会えて、思ってたよりも身長が高くなってたり男の子っぽくなって寂しくなっちゃったけど、隼人はミアの
「そうゆう意味じゃねえ!なんで俺がお前の
獄寺はジョシュアのことを指さして、ミアに向かって言い放った。そもそも、俺はコイツが気に入らねえ!とジョシュアに噛み付くように獄寺は言った。
「あっああ、そうゆうことね。ジョシュとはその、隼人が家出した後に引き合わされたから・・色々事情を知ってるっていうか、なんていうか・・・」
ミアが言いづらそうに伝えると獄寺はさっきまでの威勢はどこへやら、急に俯いて黙り込んでしまった。
「隼人、ごめん!そういうつもりじゃなかったの。ジョシュはとにかくミアの事情を知ってる信頼できる人だよ、多分!」
「多分とはなんですか。私は5年間、全身全霊を持ってミアお嬢様を支えてきたつもりですよ。私のことを気の許せる兄みたいだと言ったのは貴女でしょう」
「確かにそうなんだけど〜今はそうじゃなくて〜、うーん。ちょっとジョシュは黙ってて!
ね〜許して隼人〜?ミアの
◇
なんなんだ、もうツナはこの場にいることに疲れてきた。身内同士のただの痴話喧嘩だ。リボーンは大丈夫かな?とふと思い、すぐ横にいるリボーンを見てみるとスピーッと鼻息をたてて寝ていた。
もう知らない。俺はこの現場にいない人間になる。ツナはそう決めた。
完全に蚊帳の外になってしまったツナは、目の前で獄寺の機嫌をとっているミア・ヴォーチェという人物について少し考えてみた。
イタリアの
リボーンとツナに依頼をお願いしてきたときは話し方や動作が丁寧で、落ち着いた雰囲気を持っている大人っぽい人だと思っていた。しかし、いざ蓋を開けてみると180°真逆。年相応といえばそうなのかもしれないし、年齢よりも幼いといえば幼いのかもしれない。
バイオリニストとして名を馳せている彼女は様々な音楽の才に秀でていてパーティーにひっぱりだこ。昔からマフィアに目をつけられており、彼らに捕らわれそうになったことは数知れない。イタリア国内にいては命がいくつあっても足りないと他国に留学したり、ワールドツアーと称し各国を渡り歩いてマフィア達の魔の手から逃亡していたそうだ。
マフィアとの追っかけに嫌気が差したミアはついに、心に決めた人がいるからパトロンはいらないと断言したわけだが、それが裏目に出て今回の暗殺予告となってしまった。実は彼女のマネージャーであるジョシュアは現在22歳で5年程の付き合いで、彼は表向きは彼女のマネージャーだが本当は彼女専属の護衛らしい。ただ今回は暗殺を予告されて護衛が一人では流石に物足りないと判断し、俺たちに依頼したそうだ。
そして、彼女は獄寺の幼馴染だという。ツナは獄寺の幼い頃のことは知らないが、ビアンキのこととか家出をしたこととかを考えると色々大変だったのだと思う。そんな獄寺の幼馴染だというミアは彼の過去のことをよく知っていて獄寺が気を許せる数少ない人物の一人なのだろう。
だからこそ、3つ歳下の獄寺のことを
獄寺の夢小説じゃないです!許してください!
連載始まりました、一生懸命頑張りますので
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