魔術チートを貰ったらほとんどの魔術を使えなかった件   作:☆彡.。

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ソシャゲのリセマラが楽しくてひたすらリセマラしてたら評価たくさんついてて驚き


真実はいつもひとつ!

 少しして来たタクシーに乗り込む。

 茂みから出てきた神裂さんと土御門、上条と俺とイコとミーシャの六人が乗り込むのだ。

 ついでに神裂さんは2メートル近い日本刀を持っているので車内はパンパン。

 イコが窮屈を嫌って瓶の中に戻ったがそれでも五人である。

 上条の右手は色々と面倒なので前の席に座ってもらい、俺、神裂さん、土御門の順で後部座席に座る。

 因みに日本刀は神裂さんの肩からレバーの付近を通り、上条の座っている席の足元まで伸びている。

 ミーシャは俺の膝の上だ。

 一目で尋常でない抱き心地だと気づいたよ。

 インデックスちゃんも背丈的にいい感じだし御使堕しが終わったら抱いてみたい。

 今は高身長の男に見えてるらしいし。

 

 乗るのに苦労していざ出発というところで運転手は日本刀に迷惑そうにしていたが、モノがモノだけに文句は言えないようだ。

 

「問一。なぜ私はあなたの膝に座っている?」

 

「土御門はアイドルに見えてるらしいからダメ、神裂さんは日本刀があるし、上条は論外だろ?」

 

 絶賛炎上中のアイドルの膝に座りたいかと問うと仕方なく妥協してくれる。

 

「まあ、お前は元の場所に返してやるから安心しとけ」

 

 すぐ隣の神裂さんに聞こえないように呟くとタクシーは出発した。

 

 包囲網のそば、しかし野次馬とは離れたところでタクシーから降りる。

 火野神作の元に向かうには包囲網を突破せねばならず、どこを突破するかと上条が尋ねると土御門が指を指したのはすぐ隣の民家の庭。

 植え込みやコンクリート塀で道路からの視線は切れているが、警察もそこまで無能ではない。

 しっかりと確認くらいはしているのだが、その確認の合間、通信への応答や同僚との会話といったわずかな隙をついて抜けていく。

 土御門たちの動きにしっかり追従できている上条も一般人からかけ離れている。

 俺は自信が無いので最後尾を認識阻害の魔術を使って(使ってもらって)ついて行く。

 包囲網の中心、つまり火野神作が立てこもっている家はの表札は上条。

 つまるところ上条家の近所ではなく上条家に立てこもっていたのだった。

 俺たちは火野神作を捕まえるために中に入らなければならないのだが、さすがに数十人単位で囲まれている家に気が付かれずに入ることは難しい。

 

 囲まれている家に入れないならば包囲を崩せばいいとの事で神裂さんが火野神作が立てこもっている家を他の家と誤認させる結界を貼りに行く。

 

 その間に土御門の魔術口座が始まり、近代魔術師の行動理念、魔法名という誓い、最後に神裂火織という人間の生い立ちを聞く。

 神裂火織が聖人であったために幸運であったのなら、俺もそうなのだろうか?

 今のところ予想外の幸運にあったことは無いのだが……。

 

 最後に土御門の魔術を聞くと結界を貼り終わった神裂さんが帰ってきたので突入することに。

 

 上条家は外から中が伺えないようにカーテンの類で窓がすべて締め切られている。これでは火野神作がとこにいるか分からない。ステイルならば熱源探知でやれるだろうにと神裂さんが零す。

 

「熱源探知なら俺ができますよ――人がいそうなのはあそこですかね、他には無いので魔術なんかで誤認させられてないなら決まりです」

 

 指さしたのは一階の端、窓の配置から恐らくキッチンだと思われる。

 

「では、玄関からは土御門が、リビングからは私が、勝手口からはミーシャがお願いします。勝手口からはすぐには突入せず一拍置いてからお願いします」

 

 神裂さんの指示でそれぞれ配置につく。

 俺は勝手口、上条は玄関からだ。

 

 指示通りに少し待ってから勝手口から入ると既に戦闘不能となった火野神作とガスの元栓を閉めている上条がいた。

 開けた途端異臭がしたがガスが原因か?

 

「とりあえずここは狭いし火野神作を運ぶかにゃー。尋問するにしてもここじゃまともに出来やしない。外かリビングか、まっ答えは決まってるぜい」

 

 それにしても外国のお土産らしい置物ばかりだな。

 それにここに入ってからなにか違和感というか首筋がピリピリする。

 さっき土御門が風水の話をしていたし、もしかしてこの家そのものが魔法陣だったりするか?

 いくらお土産が量産品のレプリカとはいえ偶像崇拝の理論では僅かに力を持つはずだし。可能性はありそうだ。

 

 土御門が火野神作を引きずってリビングまで運び部屋の角に火野神作を投げ捨てそれを取り囲む。

 

 土御門手動で始まった尋問だが、こいつヤバい人だ。

 神裂さんが正義の味方だとすれば、土御門元春はダークヒーローと言ったところだろうか。

 ひとつの目的を定め、その為ならばどんな犠牲も厭わない、そんな感じがする。

 その代償が自分自身であろうが、恋人や家族であろうが、目的の遂行に必要ならば迷いなく切り捨てるだろう。

 

 そんな土御門の尋問だが、思わぬ終わりを迎える。

 火野神作の言う『エンゼル様』、それが二重人格によりもたらされたものではないかという上条の指摘に火野神作が強い反応を示す。

 そして、二重人格の人間が御使堕しの影響を受け、人格Aと人格Bが入れ替わった場合どうなるか。

 そして決め手となったのは土御門と神裂さんの外見について火野神作が発した言葉。

 それは一一一(ひとついはじめ)とステイル・マグヌスの外見に相当するものであった。

 そして火野神作が犯人でないならば、一体誰が犯人となるのか、その話をしていたところ上条があるものを見つける。

 それは幼い頃の上条と両親の写真だ。

 俺とイコは御使堕しの影響を全く受けていにないためにその写真は御使堕しが起きる以前の上条夫妻を若返らせたものに見えるのだが、ほかの人たちにはインデックスちゃんが写っているように見えるらしい。 

 しかし、上条父、つまり上条刀夜は入れ替わっていないように見えるのだ。

 俺とイコは全員が変わらないように見え、神裂さんたち魔術師は御使堕し発動後に上条刀夜と出会ったため違和感に気がつくことが出来なかったからおきた犯人の目星の付け間違えである。

 

 そして犯人が確定したと同時にミーシャが口を開く。

 

 「解答一、自己解答。標的を特定完了、残るは解の証明のみ。……私見一。とてもつまらない解だった」

 

 言い切ると同時に換気のために開けられた窓から外へ飛び出し走り去っていってしまった。

 

 俺が戻してやるって言ったはずなんだがな……。 

 しかし土御門からきいた天使の作りとして仕方がないのかもしれない。

 

「ミーシャは上条刀夜を殺しに行ったんだろう。おそらくそれが一番早い解決法だからな。だがこれほどの大魔術を術者一人で行えるはずはない。ついでに言えば上条刀夜から魔術を感じられた人はいるか?」

 

 土御門と神裂さんに視線を向けると二人とも首を横に振る。

 

「つーことは偶発的の起きたか誰かが上条刀夜を唆して起こさせた魔術ってことだ。偶然にしても唆されたにしても半径何百メートルっていう魔法陣はありえないだろう。つまり、陣はここにある。そのインクはこれらだろうな」

 

 俺が指さすのは海外のお土産だ。

 

「二次元の陣より三次元の陣。たぶんこの家そのものが魔法陣なんだろうな。俺は風水なんてわからないし偶像崇拝の理論だって詳しくない。だから土御門はこの陣を安全に解体する方法を探してほしい。解体には上条の能力が役に立ちそうだが――」

 

「俺は父さんを守りに行くぞ」

 

「――知ってた。ということで土御門はここで頑張っていてくれ。俺たちは急いで上条刀夜の元へ向かう」

 

 帰りのタクシーを拾うのには手間取ったが、その走りは驚く程に順調であった。

 これならミーシャが車を拾っていても先回りできるかもしれない。

 その考えの通り宿の付近に到着し、上条刀夜と接触できた。

 そして上条親子が会話をする。 

 上条は意図的に行った可能性があると思っているのかその方向で話をしているが、決定的なすれ違いで違うと気づく。

 

 上条当麻は御使堕しの話をしているのに上条刀夜はお土産の話をしているのだから当たり前だ。

 

 そんな話が終わるといつの間にかミーシャが浜辺に立っていた。

 上条は家での俺の話や、今のすれ違いについて語るがミーシャは聞く耳を持たない。

 獲物を手に、上条に飛びかかると、神裂さんが何らかの方法でその間を一閃し、砂煙が舞い上がると同時に上条とミーシャのあいだに割って入っていた。

 神裂さんが語り始める。

 ミーシャというのは俺の考え通りにロシアでは男性につけられる名前であり、ロシア成教にはサーシャクロイツェフはいたが、ミーシャクロイツェフというのはいなかったそうだ。

 

 神裂さんの言葉は続き、ミーシャクロイツェフも入れ替わりが起きてなければおかしく、その候補は――

 

 同時、ミーシャの両目がカッと見開き大地が揺れる。

 そして夕日が覗いていた空が一瞬で星の散らばる夜空へと切り替わった。

 

 ミーシャが夜空へと切り替えた理由は自身の属性強化のためらしい。

 そして神裂さんの分析によると水の象徴にして青を司り、月の守護者にして後方を加護するもの。旧約においては堕落の都市ゴモラを火の雨で焼き払い、新約においては聖母に神の子の受胎を告知したもの。

 つまり、『神の力』

 

 ミーシャ、いや『神の力』がバールを天に掲げる。

 月が輝きその周りに光の輪がうまれる。

 その輪は満月を中心に広がり水平線の彼方まで消えていく。 

 同時に、その輪のなか、つまり視認できる範囲に複雑な文様が描かれる。

 

 上条はその光景に度肝を抜かれ神裂さんに疑問を投げかける。 

 これは旧約において堕落した文明を丸ごとひとつ焼き尽くした火矢の豪雨らしい。

 

 なるほど、あれがそうなのか。

 

「上条は父親の方にいけ。お前の右手は便利だが味方を傷つける可能性もあるからな。何よりお前の運動能力じゃ足でまといだ」

 

「なっ――そういうお前だってそこまですごいわけじゃないだろ?」

 

「なめんな。これでも俺は聖人だ」

 

 上条を父親と逃がし『神の力』と相対する。

 

「ミーシャ、いや『神の力』。あえてガブリエルと呼ばせてもらおう。御使堕しが発動したのは全くの偶然だが、数多の天使達の中からお前が堕ちてきたのは偶然ではないだろう。それは分かってるな?」

 

「――h同体bc」

 

「そりゃ違う。確かに同質で引き合う力だが俺はお前ではない」

 

「何を言って――」

 

 神裂さんが問いかけてくるがあえて無視をする。

 

「つまり、俺のせいで堕ちてきたんだから俺が責任をもって還してやるべきだろう。だからお前は少し待ってろ」

 

「――rs拒否hlv早急lp」

 

「いいから待ってろ。待てないってんなら俺が暇つぶしの相手になってやるからな」

 

 言うが早いか、ミーシャは海水を操り、背中に接続すると巨大な水の翼へと変化させ、それでも叩きつけてくる。

 

 それを回避してミーシャの方に目を向けると叩きつけられた翼が十何枚と接続されていた。

 

「なるほどなるほど、しっかり見させてもらったぜ」

 

 俺も能力を使って海面から水を背中に接続し翼とする。

 

「『神の力』は水を司る大天使、それが抑える水の力を扱うとは、自滅する気ですか!?」

 

 神裂さんが叫ぶがそんな常識は通用しない。

 いままで俺はこの力の使い方を分からなかったが、実際に聖人として聖痕(スティグマ)を解放して活動する神裂さんをみて聖人としての力を扱えるようになったし、ミーシャが『天使の力(テレズマ)』を扱い、『神の力』のみに許された大魔術を使うのを見てその力の扱いを覚えた。

 

 力の運用が覚えたてということを除けばこれでミーシャと俺とは対等だ。

 

 ミーシャの水の翼を防ぐように俺の翼を割り込ませ、海水が槍のように向かってくれば水球を持って防ぎ、俺を飲み込もうと水球が迫ってくれば翼で切り裂いて水を散らす。

 

 全て後手に周り、かつ力の運用が効率化されていないため一瞬の遅れがさらに生まれる。 

 その遅れはこの高速戦闘でも一つ一つならば特に問題のないものでしかないが、それが積み重なれば一手分、二手分と差が生まれる。 

 さてさて、俺はいつまで時間を稼げるだろうか。


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