ここにきてから、一週間たった。
俺に最初に声をかけてくれた女の人は、この冒険者ギルドのギルド長の娘さん「マルカ」という人だった。
俺はここに来るまでの経緯を説明したら、彼女は「もしかして、異世界転移っていうやつかしら?」と言っていた。
どうやら、ここは元居た世界とは全く別の異世界らしい。
彼女は異世界に来て無職無一文になった俺に住む部屋と毎日三食の食事を用意してくれた。
彼女の親切な対応には感謝してる。しかし
――これじゃまるで、すねかじりニートじゃないか……
俺は、ベッドから起き上がり部屋を出た。
俺は依頼が張ってある掲示板に向かった。
ここに所属している冒険者は、ここにある依頼を受けてお金を稼いでいるらしい。
俺は、依頼の内容を確認する。しかし、依頼は異世界の言葉で書いてあるので何が書いてあるのかは全く分からなかった。
「タカヒロー。なーにしてんのー?」
マルカさんがにやけた顔をしながら、話しかけてきた。
「ずっとお世話になってるのもダメかなと思って依頼を見てたんだけど何書いてあるのかがさっぱりで……」
「んじゃさぁ。私と一緒に依頼受けない?」
「ほえ?」
女の子の突然のお誘いでマヌケな声が出てしまった。
「わたしね、初めての仕事は自分と同じ初心者冒険者とパーティを組んでやりたいって思っててさ」
俺は彼女がギルドでは料理や掃除、書類の整理ばっかしている姿しか見てなかったのでこの誘いには驚いた。
「も、もちろんこちらからもよ、よろしくおねがいします!」
可愛い女の子からの誘いなので、返事が少しどもってしまう。
「んじゃあ、まずこの依頼から受けてみようよ」
彼女は、トカゲっぽい絵が描いてある依頼を手に取った。
「ここウォッシュ町とペーパ町の間に生息しているリザードマンの討伐、報酬15万ノック。この依頼良くない?」
報酬が内容に見合ってるかは分からないが、彼女が良いというならたぶんいい依頼なのかもしれない。
「いいんじゃないかな」
「んじゃあ、受付に行って受注しに行こう」
受付の窓口まで行って依頼の紙をそこにいるおじさんに見せた。
「この依頼を受けるのですね。それではギルドカードを見せてください。」
「ギルドカード?」
「そういえば、タカヒロはまだ持ってなかったんだっけ。ギルドカードはどこのギルドに所属しているかと職業の証明書に使えるカードなんだよ」
「新規に作成するなら、この書類にお名前の記入ととご希望の職業に丸印をお願いします。」
そういわれ出された紙には名前を書くと思われる欄と、その下に6つ何かの名前が書いてあった。
「右から順に戦士、剣士、盗賊、僧侶、魔法使い、武闘家、って書いてあるよ」
マルカが親切に教えてくれた。
名前を書いた後、少し悩んだが魔法使いに丸印を着けた。
何故魔法使いなのかというと、せっかく魔法の存在する世界に来たんだから魔法を使ってみたいというのと、直接戦うとなれば結構汚れそうと思ったからだ。
自分の名前が刻まれたギルドカードをもらった後、受付を離れた。
「これでタカヒロも立派な冒険者だね。」
「そういえばマルカさんも冒険者なんでしょ。職業は何にしたの?」
「私?私は職業を選ぶときは剣士を選んだわ」
俺たちは昼食を取りながら談笑していた。
「私、討伐前に装備整えてくるから少し待ってて」
「装備?」
確かにこれからモンスターと戦うのだから装備くらいは必要だ。しかしそんなもの買う金すらない。
「タカヒロの装備は私が準備するから安心して」
そういうと彼女は二階に上がっていった。
待ってる間、俺は彼女が剣士の恰好をした姿を想像する。
身動きのしやすい鎧を着た姿で、華麗に敵を倒していく姿をイメージしていると、こちらに誰かが向かってくる足音が聞こえる。
「お待たせ―」
彼女の声がする方向に顔を向ける。
彼女は自分の体より大きそうな両手剣を背負っていた。
戦士は重、剣士は軽な武器を使うイメージがある