「ふぁぁ~。」
男は布団の中で幸せそうな顔をしながら惰眠を貪っていた。
男は現代の常識に照らし合わせると明らかに違和感のある格好をしていた。左目を隠すかの様に巻かれた包帯、黒い生地に赤い桜の花びらを散らした浴衣、だがこの男の格好はここ、幻想郷では全くおかしく無い。何故なら幻想郷の文化は江戸時代あたりで止まっているのだ。
すると何かが近ずいてくる気配を感じた。
「起きたのか~?」
「 ん?...あぁお前かルーミア」
「朝起きたらおはようなのだ〜」
「...勝手に俺の家に上がっておいて言うことかよ...」
頬を膨らまして文句を言ってくるが知ったことではない。
ルーミアは人喰い妖怪ではあるが、男の作った料理を食べてからは人間を食べずにいる。
「で? 何で此処に居る?」
「ご飯を食べに来たのだ!」
「へいへい、何となく分かっちゃいたけどな」
そう言いながら床に落ちていた黒色の手紙を踏まないように台所へと向かう。
「...片付けないの?」
「面倒臭いからいい」
「ふーん…私が片付けてあげようか?」
「じゃあよろしく、1箇所に纏めて置くだけでいいぞ」
「分かったのだ~」
「...口調の安定しない奴め」
台所に行くとガチャっと扉の開く音と共に、喧しい声が聞こえてきた。
「ルーミアー!出てこーいー!」
「チ、チルノちゃん、ルーミアちゃんほんとに居るか分かんないでしょ」
「居ないのかな?」
「いや〜お兄さんの所に居なかったもう心当たりないよ?」
...うるさいのが4匹増えた。
ルーミアの方を見てみると手紙がきちんと重ねて端っこに避けてあった。だが肝心なルーミア本人が居なかったので、軽く見回すと既に戸の方に向かっていた。
それを見て今日は騒がしくなると理解し割と二度寝したくなった。
「 皆おはようなのだ〜」
「あ!ルーミアみっけ!」
「ルーミアちゃんおはよう」
「本当に此処にいたね…」
「でしょ?」
「おいバカ4人と保護者、今日は何しに来やがった?」
来ていたのは、チルノ、大妖精、リグル、ミスティアの4人だった。
この4人はルーミアと仲が良く、今日の様にルーミアがいるとこんな感じでよく家にくる。
「あ!
「チルノちゃん 、違うでしょ…」
「ルーミアを探しに来たんだよ」
「此処にいるかもと思ってね、来てみたんだよ」
「そうか、なら用事は済んだな。じゃあさっさと帰れよ」
「ご飯は食べてくのだ~」
「チッ!」
このまま誤魔化せないかと思ったがしっかりと覚えていたようだ。
正直忘れて帰ってくれた方が色々と楽だったのだが。
「いや迎え来たんだからかえr
「ご飯!?ならあたいも食べる!」
「はぁ!?いや帰れやルーミア迎えに来たんだろうが!」
「食べたら遊ぶ!」
「あぁもう!大妖精お前の相方何とかしてくれよ!」
大妖精にこの状況を何とかさせようとするが、ここで予想外の方から援護が来た。
「でも私の時はすぐ分かったって言ったのだ〜」
...向こう側に。
「いやそれはお前1人なら何とかなると思ったからであってさすがに5人は面倒臭いぞ!」
「あたい冷たいデザートが食べたい!」
「図々しいぞ⑨!」
「⑨じゃないもん!」
我ながら醜い争いをしていると分かってはいるがやはりとてもじゃないが5人分の飯なんて面倒臭いにも程がある。
なのでどうにか逃げようと考えを走らせるが、ルーミアが側に来て満面の笑みで
「デザートまだなのか~?」
...こんな笑顔で言われたら逃げるに逃げられなくなってしまう。
「はぁ...分かったよ餡蜜でいいよな?」
「わーい!餡蜜!」
まるで子供の様にはしゃいでいるチルノを見ていると、まぁこれも悪くないかと、そう思えた。
「じゃあ作って来るから大人しくしとけよ」
「分かったのだ~」
『『『『はーい!』』』』
台所に行きそこにかけてあったエプロン付け、餡蜜を作りだした
ーーーーーーーーーーーーーーー
「ほら出来たぞ」
「餡蜜♪餡蜜♪」
「美味しそうなのだ〜」
「その...すみません。私たちの分まで」
「食い終わったら帰れよ?流石にこれ以上お前らのお守りをするのはゴメンだぞ」
取り敢えず全員分のデザートを作り終え、自分の昼飯を作るため立ち上がる。
コンコン
「幸裏さ~ん。居ませんか〜」
「あぁ客か。居るぞ、入ってこい」
ドアを開け入って来たのは首抜けの赤蛮奇だった。
「今日は何の用だ?」
「影狼と姫に手紙を届けたいのです。」
手紙の配達。それこそが幸裏のやっている仕事である。
「今日中か?」
「はいお願いします」
「じゃあ今から行ってくるわ」
「お願いします。...あのすみません、1つ聞きたいのですが...何故エプロン付けてるんですか?」
空気がピシリと音を立て固まった。
するとそこでようやく赤蛮奇が、誰かが奥に居ることに気が付いた。
「? 誰か来てるんですか?」
「...ああばか4人と保護者がな…」
それを聞き苦笑いをしている赤蛮奇が何となくイラついたので、デコピンを1発叩き込むと涙目になっている赤蛮奇を無視し手紙を届けるために出かける準備をする。
「じゃあ行ってくるわ」
「どっか行くのか〜?」
「ちょっと仕事にな」
そう言うと不幸の手紙の付喪神、幸裏は空を飛んだ。
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