不幸をあなたに   作:黒猫街夜

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花粉症でくしゃみが止まらない黒猫街夜です。
では本編どうぞ。


霧の湖

幸裏は霧の湖に向け飛んでいた。

赤蛮奇の依頼で手紙を届けに来たのだ。

湖の上空に到着し、手紙の届け先であるわかさぎ姫を探すが、全く姿が見えなかった。

 

「最初はわかさぎ姫か、呼べば出てくるか?」

 

大きく息を吸い込み。

 

「わかさぎー!出てこーい!お前宛に手紙があるぞー!」

 

湖に向け呼びかけてみるが返事が無く、不思議に思い下に降りていく。わかさぎ姫はあまりこの湖から外に出ることは無く何時も此処に来ればいるのだが、今日はいないのだろうか?

では何処に行ったのか、全く検討が付かずに悩んでいると、湖から泡が上がって来るのが分かった。

 

「ぷはぁ!幸裏さんお久しぶりです~」

「ああそうだな。ほら手紙、赤蛮奇からだ。」

「あら~じゃあお返事書かなくちゃですね~ 」

 

わかさぎ姫は呑気な顔をしそういった。

そこでふと疑問に思った事を聞いてみた。

 

「そういえば、さっき呼んだんだが何ですぐ出てこなかった?」

 

するとわかさぎ姫は若干顔を赤くして、消え入りそうな声で

 

「あぁえっとその~...わ、笑わないでくださいね?」

「?分かった」

 

わかさぎ姫の様子に疑問を覚えながら了承する。

 

「.......寝てました...」

「へ?」

「だから寝てたんです!」

 

顔を完全に赤く染めながら恥ずかしそうにそう声を荒らげた。

 

「あ~起こしちゃったか。それはすまん」

 

これは完全にこちらが悪いので素直に謝罪する。

するとわかさぎ姫は微妙な顔をして。

 

「そんな素直に謝られたらもう怒れないじゃないですか~」

「そんな理不尽なこと言われてもな・・・」

 

あんまりな言い草に思わず苦笑いを浮かべていると、不満を覚えたのか、上目遣いで睨んできた。

 

「そんな顔されてもどうしようもないぞ?」

「そこは何とかして下さいよ~」

「何をどうしろってんだよ?」

 

もはや苦笑いしか浮かばなかった。

その後も、2人で談笑していると、わかさぎ姫が急に何かを思い至った様子で、一言。

 

「そういえば幸裏さんお仕事の途中じゃなかったんですか?」

「あっ」

「…どうするんですか?もう日が暮れますよ?」

 

わかさぎ姫の言葉に愕然とし、空を見上げると確かに太陽が沈みかけていた。 会話に夢中になり仕事のことをすっかり忘れてしまっていた。

 

「 やばい!忘れてた!」

「もう、ばんきちゃんに怒られても知りませんよ?」

「すまん!また今度な!」

「はい、待ってますね~」

 

わかさぎ姫に別れを告げもう1人の届け先である今泉影狼の元に急いで向かう。すると自分の家の近くに差し掛かった所で、向こうから小さな影が5人分近づいてきた。その影の中にひときわ目立つ金髪を見つけて、大体誰なのか察すると見つからない様に高度を下げる。

しかし。

 

「 あっ幸裏!見つけたのだ~」

 

何故かルーミアに見つかってしまった。

 

「…よく分かったな?」

「何となくなのだ~」

 

何となくで見つかったことに若干不安を覚えるがこの際気にしない事にする。

 

「おぉー!ルーミアよく気づいたな!」

「すごいねルーミアちゃん」

「ん~何かこう幸裏の匂いがするのだ~」

 

…気にしない事にする!!

「それよりお前ら今から帰るのか?もっと前に帰ってるかと思ってたぞ」

 

何せもうそろそろ太陽は沈み、夜がやってくる時間帯である。なのに今から帰るというのはいささか遅すぎると思うのだ。餡蜜を食べたらすぐ帰るように言ったはずなのだが。

 

「あの後餡蜜食べたらみんなで寝ちゃったのだ~」

「...お前らもか...」

「お前らもってどういう意味?」

「あぁ、わかさぎ姫の所に行ったら彼奴も寝てたんだよ。」

説明に納得したようで、何度も頷いている。

「てことはお前ら結局遊ばなかったんだな」

「幸裏の餡蜜が美味しいのが悪い!!」

「ぶっ飛ばすぞ」

「まぁチルノの気持ちは分かるけどね」

「うん、分かる」

「分かるのだ~」

「み、皆んな失礼だよ…」

「お前ら次から大妖精以外デザート無しな」

『『『『嘘嘘嘘!ごめんなさい!?」

「…お前らな~ちょっと現金すぎるだろ」

 

あのルーミアが語尾を伸ばさずに全員の息が綺麗に揃ったのを見て流石の大妖精も若干引いていた。

そうこうしているうちに、また話し込んてしまった。もう少し話していたいと思うがまだ仕事も終わって無く、彼女等にも寺子屋がある。

 

「お前ら早く帰って寝ろよ?遅刻なんてしたら先生に怒られるぞ」

 

それを聞き彼女達は揃って顔を青ざめた。それ程先生の怒りの頭突きが怖いのだろう。

 

聞き分けのいい彼女達に苦笑いをし、そのまま別れ影狼が居るで在ろう迷いの竹林へと急いで向かう。




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