不幸をあなたに   作:黒猫街夜

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こっちは久しぶりの投稿です!
すいませんでした!
もう一個の方の小説もぜひ読んで下さい!


完膚無き敗北と糾弾

朝食も食べ終わり4人を外に追い出す。

追い出すなんて酷い?

知らん。休日に押しかけてくるのが悪い。

 

寝間着からいつもの浴衣に着替え食材を買いに人里に向かう。

幸裏の家は人里から少し離れた魔法の森の境界に位置する場所に建てている。

 

あぁ、休日の朝に何でこんなに疲れなきゃならないのか。

疑問でしかないが、なんだかんだ言って幸裏も楽しんでいるところがあるのでお互い様だろう。

 

すると頭上から何かが近づいてくるのを察した。

気になり上を見上げてみるとそこに居たのは幻想郷の巫女。

博麗霊夢だった。

 

その顔には眩しいくらいの笑顔があった。

しかし何故だろうか?

あの笑顔を見てたら背中に寒気が走ったのは。

 

「よぉ霊夢。久しぶりだな」

 

「えぇそうね。だいたい2ヶ月ぶりぐらいかしら」

 

「そのくらいかな。それで?わざわざ下に降りてきて何か用か?」

 

「いや実はね最近お賽銭がとっても少ないの」

 

「いつもの事じゃね?」

 

「あぁ?」

 

「分かった、俺が悪かったからヤクザみたいな顔と声を引っ込めろ」

 

「…そう。やっぱりあんたの仕業だったのね」

 

「は?一体何を」

 

「言い訳無用!」

 

咄嗟(とっさ)に飛んできた弾幕を避ける。

 

「危ないな!?なんのつもりだよ!?」

 

「うるさい!どーせあんたがうちの賽銭箱になにかしたんでしょ!」

 

問答の合間にも容赦ない弾幕が飛んでくる。

 

「ひでー言いがかりだな!?根拠は一体なんだよ!」

 

「そんなものないわよ!」

 

「ふっざけんな!そんな根拠もなく退治されてたまるか!」

 

「うるさいわね!強いて言うならあんたの能力が根拠よ(・・・・・・)!」

 

「知るか!だいたいなんで俺がそんな事をしなきゃならん!?」

 

いわれなき罪で詰問(きつもん)されていることに軽いイラつきを覚え言い返すが、帰ってきた返答は理不尽極まりないものであった。

 

「それこそ知らないわよ!どうせ私のお賽銭を奪い取るつもりだったんでしょ!」

 

「言いがかりが過ぎるだろ!だいたいな!お前の賽銭なんて俺が何もしなくても元々入ってる方が珍しかったじゃねぇか!」

 

「言ったわね!?ええそうよ!どうせお賽銭がないのなんていつもの事よ!でもね!お賽銭がなかったせいで一週間以上インスタント味噌汁とふりかけだけだった私の身にもなって見なさいよ!」

 

「な、なんて貧乏な…」

 

「うっさいわね!そういうわけだから大人しく私に退治されなさい!」

 

「どういうわけだよ!」

 

「お腹がすいてむしゃくしゃするからストレス発散のために私に殴られなさいって言ってんの!」

 

「八つ当たり!?」

 

「うっさいわね!大人しく退治されなさいよ!」

 

裂帛(れっぱく)と共に放たれた弾幕の隙間をすり抜け、ギリギリ(かわ)す。

 

「だーくそ!霊夢!これは弾幕ごっこってことでいいんだよな!」

 

「ええいいわよ。さっさとかかってきなさい!」

 

「じゃあ遠慮なく行かせてもらうぜ!」

 

スペルカードを抜き取る。

別に戦闘は得意なわけでも好きな訳でもないのでこんな弾幕ごっこなんてやることないと思ってたんだがなぁ。

 

「不幸 ディザスターレター!」

 

大きく円を描き左右から挟むように攻撃する百は下らない黒い手紙が霊夢に向かう。

 

「しゃらくさい!」

 

しかし霊夢はそんなもの気にもせずに俺に向かって突っ込んで来る。

 

払い棒を前に突き出す刺突(しとつ)で。

 

弾幕が霊夢のいる位置に到達する頃には既に1歩先の位置にいる。

弾幕が追いついていない。

 

「げふぅ!」

 

刺突が綺麗に腹に決まり視界が暗転していく。

 

あぁついてない。

最後にそんな事を考えながら幸裏は意識を閉ざした。

 

♢

 

「ふぅ、スッキリした!」

 

足元に倒れている幸裏を清々しい笑顔で見下ろし最初の一言がそれだった。

 

仕方ないと思う。

この所は食生活があまりにも悲しすぎたのでとてもむしゃくしゃしていたのだ。

 

幸裏には悪いとは思っている。

なので今度インスタント味噌汁を奢ってあげようと思う私はとても優しいと思う。

 

他人が聞けば自分がやっておいて何を言ってるのかとか、そもそもお前のインスタント味噌汁は貰い物だろうとか色々ツッコミが待っていることだろう。

 

しかし霊夢にはそんな自覚はなく、本気でいい事をしていると思っていた。

 

「さて帰るか」

 

「幸裏!?どうしたの?」

 

帰ろうと思い(きびす)を返すと頭上から幼い声が聞こえる。

見上げてみればそこに居たのはルーミアだった。

 

「だいじょーぶよ。ちょっと気絶してるだけ」

 

「...なんで気絶してたのだ~?」

 

こちらを睨みつけながら聞いてくる様子から薄々霊夢が犯人だと勘づいているのだろう。

めんどくさいことにってしまった。

自業自得だが珍しく反省する霊夢だった。

 

「いやちょっとね……弾幕ごっこでやりすぎちゃったのよ……」

 

「ふーん。そーなのか~」

 

声が完全に疑っていた。

まぁこの状況を見ればしょうがないのだが…

実際霊夢が全て悪いわけだし。

 

「はぁ、悪かったわよ。やりすぎちゃったとは思ってる」

 

これは本当だ。

流石にここまで一方的な八つ当たりをしておいて何も思わないほどじゃない。

 

「…そーなのかー」

 

帰ってきたいつものセリフは(かす)かな疑いが含まれていたが仕方ないと。

確実に私が悪いのだから。

 

「ルーミアちゃーん!」

 

頭上から声が聞こえる。

間違いなくいつもルーミアと一緒にいる4人。

 

「わっ!幸裏さん!?どうしたの?」

 

1番に駆け寄ってきた大妖精に揺さぶられているが幸裏は一向に起きる様子がない。

絶対やりすぎた。

 

他のちっこいのも次々幸裏のそばに駆け寄り心配している。

本格的に心が痛くなってきた。

 

いやまぁ100%私が悪いのだけど。

精神攻撃ならとても成功しているからもう許して欲しい。

 

ふと全員の目線をこっちに感じたので何を見てるんだと睨み返してくなるがどう言い訳しても悪いのは私。

言い訳するのは愚策だろう。

 

「はあ~悪かったわよ。ほんとに」

 

「…もう幸裏に八つ当たりはしない?」

 

言葉だけ聞けば子供の舌足らずな声で可愛らしいのだが視線は絶対零度と言っても差し支えなかった。

 

「しないわよ。ほんとに私が悪かったから」

 

一応納得してくれたのか軽く頷いてルーミアが他の4人に話しかけ幸裏を持ち上げる。

 

そしてそのままどこかへ飛んでいった。

 

次からもう少し優しくした方がいいだろうか。

そう魔理沙に言ったら正気を疑うような目で見られたので頭をひっぱたいた私は悪くないと思う。

 


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