……もう自炊するンゴ
ドールマスターみたいにお人形遊びするンゴ
やべぇよ。やべぇよ……ですの……
何かシルバーノアの親戚みたいな船が村の上空に来たのですけど。
ワイちゃんは現実から逃げたい。このままじゃ村のみんなが……
「あいつら確か人間にコキ使われてる魔族の一味じゃね?」
「人間に与する奴は見つけ次第殺せ!」
村のみんなが血わき肉踊るクリミナルパーティ開催しちゃいますわね。
そう、この村は魔族の村。人間なんて一人も居ませんの。
実はわたくし……ワイちゃんも魔族なのです。転生した当初は本当に困惑したのです。
まわりバケモンばっかりやんけ! 自分人間やめていいっすか?
この世界で産まれた当初は、何が起こって何が何だかわかりませんのよ! アンイン橋の橋渡しさん助けくさまいまし……救いは、ここにはないんやで。
そんな感じで混乱しまくってたし、周りの魔族達も殺気だってたのです……丁度今みたいに。
「おい、ワイちゃん! あいつらさっさと殺そうぜ! 日が明けちまう」
「おうち帰りたいですわよ……」
わたくしの名前はワイ。種族魔族。どっかの木星人かしら。
目玉が出ている訳でもなければ、全身黄色でバットで侵略する民族でもありませんのよ。
見た目はゴスロリ(アークデーモンおじさんの趣味で作ってもらった服)を着ていまして、恐らく普通の人間と見た目は変わらない、普通のお嬢様系男の娘ですの。
今世の親がキラキラネームつけたんが悪いんや! わたくしは普通の元JAAAAAAAPですのよ?
名付けたパッパはとっくに死んでもて文句言えないのですけど。
バッターに逢ってはバッターを斬り、ピッチャーに逢ってはピッチャーを斬る侍JAPなワイちゃんは争い事を好まない、平和な思考の持ち主なのですのよ。
「ワイちゃんがおる所が、みんなのおうちやねんでワイちゃん」
「わたくし争いとか嫌いなんですの。ほな」
そう言いながらワイちゃんはバットのような棒を持ちながら、そそくさと村長であるアークデーモンおじさんのおうちから退散する。
「流石ワイちゃん! いや、我らが王は殺る気まんまんやで……俺達もうかうかしていられない。いくぞ!」
「「「「地元やし負けへんでーーー!!!」」」」
ワイちゃんに続くように、村のみんなが優勝パレードのように着いて来る。
本当にこの方達は血の気が多くて嫌になりますわね。お淑やかで暴力がきらいなワイちゃんをみならってくださいまし。
普段村のみんなと遊ぶ時に使う広場の近くに奴らは降りてきましたの。
シルバーノアもどきから一際弱そうな奴が降りてくる。しかも何かわたくしに話しかけてきましたわ……
「辺境に魔族の村があると部下から聞いてやってきたのだが……おい。やめろ!」
「先頭打者本塁打ですわよ」
ワイちゃんはとりあえず殴りかかる。先手必勝や。こうして終わらない1回表が始まった。
この世界で産まれ、まずはじめにした事はみすぼらしく死にたくないという思いから、バグ技が再現できないかという事でしたの。
そして再現できる事がわかり、ワイちゃんは死ににくい身体能力を得て優雅に過ごせるようになりましたの。
そんなHPMPバグチートを使っているワイちゃんにとって、やっかいな敵になろう相手は
何故なら男の癖に女の子みたいな、というか見た目が幼女というかお嬢様なのです。
身の危険を感じたワイちゃんは、目の前の人間に上手く同化している魔族を殴ろうとしているのだが、回避される。
「待て! 部下共! インビシブルを使ってないで早く私を助けんか!」
のん気にわたくし達を見守る兵隊達に何やら指示を出すが、インビシブルを使うだけでその場から動かない。人望ないのかしら?
そしてワイちゃんは直感で知ってます。コイツがこの中で一番弱いって。
「村のみなさん! 雑魚は任せましたわよ!」
「「「「もうコールド勝ちやね! 流石お嬢!」」」」
流石かつての魔族の王であるパッパの元部下達だ。インビシブルしようがお構いなしに相手を殴る蹴る。
そう、ワイちゃんは魔族でしかも王族だったのだ。ワイちゃんの勝ち組人生はじまったばかりやねんで。
「やめんか! 私達は話し合いをしに来たのだ! 争いたい訳では無い……ん? この魔力の香り……どこかで……」
敵であるジャイアントリザードがアークデーモンおじさんや、グレーターデーモンおばさんと戯れている。
魔力の香りとか言ってるけどコイツただの変態やったんか。誰の魔力の匂い嗅いでんねや。
「まさかお前は……いや、貴方様は……」
「いくらわたくしが可愛いからって、媚を売っても脱ぎませんわよ」
「間違いない……私です。アンデルです! お忘れになられたのですか?」
コイツ誰やねん。
「コイツ誰やねん……ですわよ」
思わず思っている事が声に出てしまいましたわ。はしたない事ですわ。
「お嬢! アンデルって言えばロマリアの四将軍ですぜ」
「四番打者?」
「お嬢、それはいつもの遊びで使う名称ですぜ。四将軍ってのは軍の将軍って意味ですぜ」
「……それくらい知ってますわよ」
側に居るアークデーモンおじさんはわたくしに目の前の人間もどきを説明する。
「で、はるばるロマリアという遠い地から、アンデルさんは何の用なのですわよ?」
「お嬢、口調が無茶苦茶ですわよ」
「そうわよ」
少々テンパっていた為、口調がおかしくなったがアークデーモンおじさん、それくらいスルーしろと思いましたの。
まったくレディの扱いが下手ですわね。だからいつもグレーターデーモンおばさんの尻に敷かれていますのよ。
そう、ここは魔族のお嬢様しかいないお淑やかな村。アンデルさんのような力の無い魔族は立ち入り厳禁の華の園ですわよ。
そんなアンデルさんはしどろもどろにワイちゃん達に説明をするのです。
辺境に魔族が共同生活をしているコミュニティがあると聞いて、視察に来たらしい。
あわよくば魔族にしては珍しく協調性があるチームワーク◎だと思い、魔族である自分が話せばもしかしたら力を貸してくれるかもしれない。
そういった甘っちょろい考えでこの村にアンデルさんはやってきたらしいんですの。
「頭お花畑ですわね貴方」
「おお! 思い出してくれましたか! そうです。花の魔族であるアンデルです!」
よくわからないがワイちゃんの言葉は彼にクリーンヒットしていた。
嬉しそうな表情で近寄ってくるアンデル。こいつやっぱりGPなんちゃうか。
可愛いワイちゃんを手篭めにする気か、助けてアークデーモンおじさん!
ワイちゃんの目線で察したのか、颯爽とアークデーモンおじさんがわたくしの前までやってきてアンデルと対峙する。
「……人間に与した魔族が、どの面下げて今更やってきた?」
「あの時は若くて……あの方に従うしかなかったのだ……」
あの方って誰ですの。ナベ○ネでしょうか?
アンデルはしどろもどろに説明をする。
魔族の王が崩御した後、一般魔族は暗黒の時代に過ごし、泥沼の13連敗を記録するほどの混迷の時期に陥る。
最早これまでと思われた時に、暗黒の支配者と名乗る人間の王に球団合併申し込まれ、当時の力なき魔族たちは大幅な年俸ダウンにも渋々合意したとの事だった。
「つまりわたくしが王になって、貴方達をリーグ優勝に導けばいいのかしら?」
アンデルは要領を得ない表情をしていたが、王になるというわたくしの一言に喜ぶ。
「おお! かつて裏切ってしまった私を許し、導いてくださるのですね」
何、変な納得しとんねんこいつ。持ち直したバットを素振りしながらわたくしは予告ホームランのポーズを決める。
「ワイちゃん! おじさんたちを高みへ連れてって」
まるで甲子園に連れて行けとでも言いたげな感じで、アークデーモンおじさんはワイちゃんにおねだりする。おねだりパパかよ。
ぐぐってはいけないワードを脳裏に浮かべつつ、ワイちゃんは彼の言葉に返事をする。
「わたくしにお任せなさい」
「「「「おぉ!」」」」
そんなやりとりをアンデルは号泣して見ていたが、そんな彼の心情には構わずわたくしは要求する。
「ほら、アンデル。シルバーノアみたいなのに早く案内してくださいまし」
シルバーノア? とアンデルは疑問符が浮かびそうな表情になるが、特に気にしない事にしたらしく、ワイちゃんに恭しい態度で案内しはじめる。
アンデルの案内でシルバーノアっぽいモノに乗り込もうとすると、アークデーモンおじさんがハンカチを片手に見送りに来ていた。
「ワイちゃん! 達者でな!」
そして涙を拭ったハンカチをワイちゃんに渡しに来て手を振る。
わたくしはハンカチ王子ちゃうぞ、そんな物渡すなボケ……ですわよ。
先程とは打って変わって、村に残る気満々のアークデーモンおじさん達に見送られワイちゃんは旅立つ。
高みへと導いてくれとか言ったのに、ワイちゃんに任せっきりですのね。
手のひらくるっくるですよおじさん……握り締められていたハンカチは生暖かかった。
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そして、シルバーノアもどきに乗ったワイちゃん。
「MAP選択画面はまだですの?」
「ワイ様……まっぷというのは何のことでしょうか?」
要領の得ない返事をするアンデルに痺れを切らすワイちゃん。
どうやらMAP画面は出てないようですし。一瞬で瞬間移動できないみたいなのですわよ。不便ですわね。
それとも勇者パーティにしかMAP選択画面は表示されないのだろうか。ワイちゃんら魔族だもんな……
でもステータス画面は出てきますわね? 気になったワイちゃんはアンデルにステータス画面は見えるのか尋ねる。
「……わかりませんな。そのすてーたす画面とやらも」
はーつっかえ。つっかえ! (激怒)
アークデーモンおじさん達はちゃんとステータス画面見れたぞ。
あ、そう言えばこいつ力の無い、お嬢様ではない魔族でしたわね。わたくしとした事が取り乱してしまいましたわ。
「……という事はレベルという概念もわかりません事?」
「申し訳ございませんが……」
「なるほど……少々お待ちになって」
一応パーティ扱いなのかしら。アンデルのレベルやステータスは表示されていますし。
【アンデル】
LV57 HP304 MP272
攻撃力:29
防御力:39
魔力 :41
敏捷度:19
武器熟練レベル:パンチLV3
特殊能力
ディバイドLV1・デスLV1・マインドバスターLV2・キュアLV1
このままでは勇者に瞬殺されるレベルですわ。勇者って誰でしたっけ……
そもそもワイちゃんのバットもどきで一発退場やんけ。ですわ。
ちなみにわたくしのお嬢様的ステータスはこうだ。
【ワイ】
LV60 HP32868 MP32652
攻撃力:49+51
防御力:55
魔力 :89
敏捷度:25
武器熟練レベル:棒LV14・シューズLV2
特殊能力
ドリームノックLV3・乱れ打ちLV3・ストライクパワーLV3・スピードアップLV3・パワーシュートLV1・ナイスキャッチLV1・ミスキャッチLV1
ふふふ。これが平均的お嬢様魔族のステータスですの。若干魔力が死にステだが、お嬢様なので仕方ないのですわ。
ちなみにパワーシュート、ナイスキャッチ、ミスキャッチはアークデーモンおじさんやグレーターデーモンおばさん直伝の技である。
アンデルも攻撃魔法に頼らずわたくし達がやっていた特訓をやらせる方が良いかもしれませんわね。
「アンデル。貴方、もう少し鍛えたほうが良いですわよ」
「……」
アンデルは少々不満そうな表情をする。
先が長いので焦る事も無いし、無理強いはしなくていいか。
とりあえずアンデルがバレンシアタワーに行きたがってるので、そこで今後の予定を話す事にして、今はシルバーノアもどきの船でくつろぐ事にした。
人物系
ワイ お嬢様部に居そうな魔族で主人公の男の娘 服装は白と黒を基調としたゴスロリで白黒ニーソ 武器はバットのような棒 頭の中は常にハッピー
アンデル 頭お花畑の魔族 どうやらかつてのチームメイトだったらしいが……
アークデーモンおじさん かつての魔族の王の側近 ワイの育ての親
グレーターデーモンおばさん ワイの乳母