Bug The Lad   作:闇と帽子と何かの旅人

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 「あの小娘……いや、あの魔族は何者だ?」

 機神グロルガルデと戯れているワイと呼ばれる小柄な魔族を遠目に見つつ、困惑した様子で小猿がアンデルへ質問する。

 「言ったであろう。貴き魔族の血脈と」
 「まさか本当に……生きておられたのか」

 小猿は驚愕したような表情でアンデルを見やりながら呟く。アンデルは頷きながら小猿に再び話し掛ける。

 「うむ……そのまさかだ。だが、これは極秘事項だ。我ら魔族(、、)以外は知ってはならぬ。わかるなヤグン?」
 「……わかっている」

 ヤグン(、、、)と呼ばれた小猿は楽しげに機神と戯れている小柄な魔族を見ていた。


第四話『助っ人外国人ジェフリー』

 猿をペットにして意気揚々と空港から旅立つワイちゃん達一行。

 

 「この猿芸達者ですわね」

 

 とりあえずグルグルバットで遊んだりしていた。

 

 「ちゃんとできましたわね。ご褒美にこれ差し上げますわ」

 

 ペットに褒美も忘れない。これが選手のモチベーションというものですわね。

 グロルガルデに付いていた虫をとって猿の口の中に詰め込む。

 

 「お利口な猿でよかったですわ。それはそうとこれから何処へ向かうのかしら?」

 

 アンデルにこれからのキャンプ地と有望選手スカウトについて聞いてみる。

 

 「ワイ様のお力だけでも十分でしょうが、スカウトとなると人が多い場所が良いかもしれませんね」

 「ほんで? ええ所はどこにあるんや……ですわ」

 「これからガルアーノの研究施設である白い家に向かうところでございます」

 

 白い家? めっちゃ※国やんけ……ですわ。

 

 「なんやその大統領が居りそうな所は。始球式要員でも集めんのか……ですわ?」

 「ワイ様が望まれるような大統領ではございませんが、ガルアーノはアルディア国の大臣で重要な人物でもあります」

 「ほーん、それは楽しみですわね。野球の本場の政治家なら嗜み程度やっているはずですし」

 

 アンデルはちょっとわかりかねます……と逃げていったので、引き続き猿に餌付けをして遊んでいた。

 

 「グロルガルデさん? 後出しは反則ですわよ!」

 「ククク、知らなかったのか、これぞ必勝法」

 

 猿は虫を食べていた。

 

 

 西アルディアサルバ砂漠

 

 「この砂漠を越えたら森がありまして……」

 

 アンデルに構わずいくワイちゃん。これには名スカウト達も度肝をぬかれるやろなぁ。

 いつの間にかアンデルがワイちゃん達とはぐれて迷子。流石のわたくしも苦笑いですわ。

 困った時はGPSでも搭載してそうなグロルガルデに聞くべきやとわたくしは思ったんですの。

 

 「ねえ、グロルガルデさん。わたくしたちどこにいるか、わかりますかしら?」

 「現実を見ろ迷子だぞ」

 

 ファッキューグッロ。

 アンデルとはぐれ砂漠で迷うワイちゃんと機械と猿。

 適当に歩くと何やら人が居てこちらに声をかけてくる。

 

 「先生! 人が来ましたぜ! 身包み剥いでやりましょう!」

 

 どうやら先生とよばれる人と愉快な仲間達らしい。先生とやらはどこや?

 

 「みなさん、慌てない、落ち着いて、順序良く、剥ぎましょう」

 

 奥からおっさんが出てきた。こいつが先生け。

 

 「おや、そこの少女は、わたしの獲物で、よろしいですね」

 

 見た目が幼女なワイちゃんに熱い眼差しを向けるおっさん。お、GPか?

 

 「先生……いいですけど、流石に幼過ぎはしませんかねぇ?」

 「アレ以上は、逆に、年寄りです」

 「流石先生! そこに痺れる憧れるゥー!」

 

 やべえ、あいつ本物のGPやんけ! ですわ。

 貞操の危機にわたくしは戦いを余儀無くされる。

 

 「グロルガルデさん。戦闘ですわよ!」

 「あたままわらん」

 

 頭まわらんとはどういう事だ。慌ててグロルガルデのステータスに異常が無いか確認する。

 

 【グロルガルデ】

 LV80 HP1 MP1

 攻撃力:1

 防御力:1

 魔力 :1

 敏捷度:1

 武器熟練レベル:パンチLV1

 特殊能力

 なし

 

 「どういうことですの……」

 

 グロルガルデは苦しそうに語る。

 

 「パーツが虫食いで無い」

 

 こいつ全然使いもんにならへんやんけ! 機神か何か知らんが二軍落ちやこいつ。

 

 「猿はいけそうかしら?」

 

 【ヤグン】

 LV5 HP61 MP20

 攻撃力:9

 防御力:9

 魔力 :4

 敏捷度:9

 武器熟練レベル:パンチLV3

 特殊能力

 スーパーノヴァLV1

 

 はぁーつっかえ! しかもあのハゲ将軍自分の名前ペットにつけてたんか。

 将軍の名を冠する癖に、その辺の下水管に詰まってるスライムのが強いんちゃうか。

 早くもワイちゃん達の冒険は終わりやね。廃部ですの。

 

 「なにやら、機械と、猿が、いますね、あいつらの、相手は、任せましたよ」 

 「わかりやした先生! 猿は剥製にでも、機械はパーツごとばらして売っちまうぞ!」

 

 こうなってしもたらしゃーないか。ワイの(封印されし右腕)が解き放たれてしまうんやろうなぁ……

 1人2人とバットで片付け、先生と呼ばれるGPにバットを付きつけ勝利する。そんな風に完全試合を達成するイメージを思い浮かべる。

 イメージトレーニングは大事やね。

 

 そんな風にイメージトレーニングをしていると、アホな猿が捕まっていた。

 そもそもグロルガルデはパーツ無いじゃねえかと強盗たちに無視されている。

 忍び寄るGPの魔の手! ワイちゃんの運命はいかに!

 

 「で、こんな砂漠で何しとるんですの?」

 

 強盗を適当にスイング練習がてら殴り、先生と呼ばれる人物の喉元にバットを突きつけ詰問する。イメージどおりですの。

 

 「いいです、幼女に、倒される、これは、本望」

 「わたくし、こう見えて男ですわよ」

 

 再びバットを突きつける。

 

 「なんと、この世に、そのような、神秘が」

 「アカン奴ですわね……ここの地理がわかるかしら? 迷子なの」

 「大丈夫です、この一帯、我らの、縄張り、このジェフリーに、どうぞ、どこへでも、何なりと、お申し付けください」

 

 句読点多過ぎとちゃう? 先生やったら赤ペンで修正されまくるで。

 ジェフリーにそうぼやきながら、バットで進む道をワイは示す。

 

 「あちらですか……その方角は……帰らずの森とよばれる、場所ですが、よろしいのでしょうか?」

 

 ジェフリーが何やら困っているが、秘密のオアシスでもあるんやろか? ですわ。

 

 「なんやそこは、帰らずの森とか原住民がわんさかおりそうですわね」

 

 とにかく進むしかないと適当に猿と機械に号令をかける。

 

 「森か……虫がまた多そうだな」

 

 グロルガルデは表情は無いが辛そうにしていていた。

 でも砂場でジャリジャリになるよりましでしょと思いましたの。

 猿は微妙に楽しそうにしている。古巣の森なのかしら。

 

 「お嬢様のような、強い方なら、大丈夫でしょうが、森やその奥は、危険です」

 

 ジェフリーが心配そうに話しかけてきた。GPのくせに何善人ぶっとるんやこいつは。

 しかも適当に身ぐるみ剥いだ強盗たちが先生先生とうるさいし。お前ら漱石のこころかなんかけ? ですわ。

 

 「すみません、私は、先生失格です、導く事ができませんでした」

 「先生! それでも俺ら先生についていきます!」

 

 あ、何だかこれは野球少年と監督みたいですわ。ワイちゃんはそんな少年達に事情を聞いてみる。

 

 「あなたたちはどうして、こんな砂漠で追いはぎなんてやっているのかしら?」

 「それは、この西アルディアという地は、弱きものには、生きていく事さえ、厳しい、私は彼らを、守る、そんなエゴで、悪事をやっていました」

 「先生はわるくねぇ! 俺達が非力だから!」

 

 熱い魂を感じますわ。あと熱い視線も。

 

 「食う物に困っていらっしゃるなら、そこにいるような鳥とか食べればいいんじゃありませんこと?」

 「しかし、あやつら、すばやくて、我々には」

 

 その辺にあった石を使い華麗なるピッチングを見せる。

 

 「近付かなくても倒せますわよ」

 

 ワイちゃんのピッチングに歓声が起こる。

 

 「先生! いや! 監督! 俺達にもその投球を教えてください!」

 

 こうしてワイちゃんによるピッチング技術の授業がはじまった。

 教えていくうちにワイちゃんのパワーシュートやナイスキャッチ・ミスキャッチのLVもあがった。人に教えると自分も成長するんやね。

 

 強盗達にピッチングを教えワイちゃんは満足! 強盗達の投球LVもアップ!

 

 これで狩りには困らんやろなぁ。鳥がおらんようなったら、人間でも狩りや。美味しいかは知らんけど。

 

 「助かりました、彼らを、路頭に迷わせる、訳には行かなくて」

 「ええんやで……ですわ」

 

 ジェフリーは涙を浮かべながら感謝をしている。ワイちゃんの人徳のなせる業やね。

 

 「まさか、幼女で、救世主が、現れるとは」

 「褒め過ぎですわよ」

 

 強盗野球少年たちと別れ、ジェフリーとワイちゃん達一行は帰らずの森へと進むのであった

 




西アルディア指名手配犯ジェフリー 幼くて可愛い子なら何でもおkのGP
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