Bug The Lad   作:闇と帽子と何かの旅人

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第五話『返らずの返球』

 ジェフリーの案内で帰らずの森を進む一行。

 

 「ここを、通ります、しゃがんで、進みましょう、私がお嬢様の、お尻は守ります」

 

 こいつやっぱ危ない奴やんけ。まあ、とりあえずわくわく気分で冒険や。

 

 「なぜこのような茂みの間ばかり通るのでしょう? わたくしもっと木々をなぎ倒しながら進みたくってよ」

 「ここは、監視カメラ、センサー、トラップが多くて」

 「それも壊しますわ」

 

 意気揚々とバットを素振りしようとするがロリコンタッチで制止させられる。意外とこのGP肩が強い。

 

 「頼もしく、思いますが、やはりここは、静かに」

 

 不機嫌なワイちゃんを猿が笑っていたのでバットで小突く。猿は反省する。いい感じに芸が身についてますわ。

 一方グロルガルデはというと虫まみれで大変汚い。

 

 「グロルガルデ! あなた虫カゴみたいになってますわよ」

 「コレはロマリアのデカイ昆虫ダ、強イゾ」

 

 クソでかい昆虫が突き刺さっていたが害はないのでセーフ。

 

 「それより大きい道には骸骨と植物がたくさんいますわね」

 

 ワイちゃんの問いにジェフリーは一瞬表情に影を落とすが、説明をし始める。 

 

 「骸骨と植物……ですか……面倒なので、戦いは避けて、通りましょう」

 「こっちの狭い茂み通行の方が面倒やで、ですわ」 

 「それにしても、この先に、お嬢様は、なんの用で、行かれるのでしょう?」

 

 ヒーローインタビューのように問いかけてくるジェフリー。

 

 「この先に白い家(ホワイトハウス)みたいな建物がありまして……そこに仲間(チームメイト)がいるのですわ」 

 「仲間の為、ですか、お嬢様の、その心意気、ジェフリー感……」

 

 ワイちゃんはジェフリーの言葉をさえぎる。囲まれてしまいましたなあ。

 

 「骸骨と植物のお出ましですわね、片付けますわよ」

 「……コワレル」

 

 ……猿と機械はベンチですわね。ジェフリーはどうかしら?

 

 

 【ジェフリー】

 LV48 HP101 MP160

 攻撃力:20

 防御力:16

 魔力 :36

 敏捷度:10

 武器熟練レベル:杖LV5

 特殊能力

 デスLV3

 

 

 なんですのこのGP……変化球無しのストレート一本みたいな選手ですわね……

 

 「お嬢様、ここは、ジェフリーに、任せていただけないでしょうか」

 「そんなに言うのでしたら、あなたにここは全て任せますわ」

 「ありがとう、ございます」

 

 ジェフリーはそう言いながら、ワイちゃんの前に立ち迫りくる骸骨と植物をすべてデスで屠る。

 なんやコイツ……やっぱやべえやつじゃん。ですわ。

 

 「なんですの? 倒したのに浮かばれない顔をしてますわね。こいつら知り合いですの?」

 「知り合い……でしょうか、きっと彼らは、私を、覚えては、いないと、思います」

 

 急にシリアスムード出してきたので気にせず猿の毛を毟る。

 反省をする猿を見てワイちゃんは満足する。

 グロルガルデは虫を背中につけて飛行ユニットやぞ。みたいな雰囲気だしていましたわ。 

 

 「目的地まではどれくらいかかりますの?」

 「白い家は、あそこです、普段は警備が、厳しく」

 

 指差した方向へ石をバットでフルスイング! ワイちゃんの華麗なバッティングフォームに監視カメラはうきうきやろなぁ……ですわ。

 

 「ククク、場外だぞノーコン」

 

 グロルガルデに煽られムカついたので千本ドリームノックを打つ。

 すると白い家と周辺にドリームノックの跡ができましたわ。壮観ですわね。

 

 「白い家がボロボロですわね。とりあえず入り口から進みますわよ」

 「私は、この辺りで……」

 「白い家の中も案内頼みますわよ」

 

 適当に案内をしてもらおうと言ってみたが、そもそもここって関係者以外立ち入り禁止っぽい施設だと言っておいて今更思うワイちゃんであった。

 

 「……かしこまりました」

 「あっ……関係者でしたのね……このGP」

 

 何事かと出て来た警備員みたいな人はグロルガルデに虫を投げつけられてて気絶していた。

 ワイちゃんもキャーとか言ってお嬢様ポイント稼ごうかしらと思ったけど、やっぱ面倒なので無視……ですわ。

 

 適当に進むと何だかグロルガルデの親戚みたいなのがいたのでパーツを拝借する。

 『シンニュウシャコロス』しか言わなかったのは壊れていたからでしょう。再利用してさしあげますわ。

 

 「ナカナカよいパーツだ」

 

 虫も組み込んだ機械と昆虫のハーフ選手の誕生や! ついでに猿をグロルガルデに乗せる。

 

 「これは主人公機ですわね」

 「ククク、乗るか?」  

 

 さきほどまでポンコツでしたのに、謎の自信を見せ付けるグロルガルデにオレンジーナをかけようかと思ったが、猿が先に反省してたのでやめてあげましたの。

 

 先に進むとなんか公園みたいな場所に来たのですけど。

 

 「子供がいますわね、ここは天才野球少年育成専用施設かしら」

 

 などと適当に言ってみるとGPが悲しそうに自分語りを始める。

 

 「ここ白い家は、子供を使った、実験施設です、そして私は、ここの研究員でした」

 

 ここは性犯罪者の欲望満載施設か何か? 身が震えてきましたわ。

 しかも子供に向かってGPが走りだした。だが良く見てみるとGPは子供達に先生先生と言われ、慕われてるではないか。ひょっとして変態教師かなんかでしょうか? この国の教育機関にわたくし身震いしますわ。

 

 「元気そうで、なによりです」

 「先生! 顔色悪いよ? いつものセクハラコメントも無いし!」

 「私はもう、先生などでは、ないのです」

 

 またシリアスに持ってこようとしやがる。

 猿がキーキーうるさいと思って上を見上げると、そこにアンデルは居た。

 でもなんだかアンデルの居る高所のガラス割れてませんこと? 先ほどのノックが飛んだのでしょうか。

 

 「アンデルさん。ボールかえしてくださらない?」

 「ワイ様、これですね。お受け取りください」

 

 上からの返球にワイは落下点に入りキャッチ。完璧ですわね。

 

 「ナイスキャッチだな」

 

 ワイちゃんはグロルガルデからの熱い声援にこたえる。猿にボールを与えると喜んでいた。

 アンデルの居る上まで行くのが面倒なのでグロルガルデに乗り、上まで運んでもらう。

 

 「やっぱ主人公機は最高ですわね」

 「ククク、調子にのって落ちるなよ」

 

 猿が落ちそうになっていましたが、リードのおかげで落下は免れましたわ。

 

 ガラスを更に突き破り、まるでアメコミヒーローの如く登場するワイちゃん達。

 グロルガルデが何か倒れてるおっさんを踏むが、特に気にしないですわ。 

 

 「ワイ様ご無事で何よりです。よくたどり着けましたね」

 「森も砂漠もバット方位磁針で突破や、ですわよ」 

 「ククク、迷っていたぞ」

 

 アンデルがこちらに駆け寄る。よく出来たマネージャーやね。と感心しますわ

 それに引き換え一言多いなこの機神は。ファッキューグッロ。

 なにやら足元がぐらつく。グロルガルデはサッカーの如く足元の人物を蹴り、無事平穏な足元を確保する。

 サンキューグッロ。でも球蹴りはアカン。

 

 「グウゥ……急に球が飛んできたと思ったら、今度は重い何かに……」

 

 なんか吹っ飛んでたおっさんが起き上がりこちらを見ている。

 目と目が合ったらバトルやね。振りかぶって球を投げるワイちゃん!

 おっさんの顔面にビーンボールが直撃! ワイの勝ちやね。

 

 「ククク、デットボールだぞ」

 

 そんなルール教えてないのにグロルガルデは大○理論で勝ち誇った顔をする。

 

 「ワイ様一応お耳に入れますと、あの球が直撃した男がこの施設の責任者です」

 「じゃあそれを倒したわたくしがこの施設のトップですわね」

 

 倒れてたおっさんがまた立ち上がるので、今度はグロルガルデの投球が始まる。

 

 「コレで殺す」

 

 グロルガルデは一発退場余裕な発言をしながら球を投げ、またも責任者のオッサンの顔に命中する。

 

 「ここにはアンパイアはいないから安心ですわね」

 

 グッロとハイタッチをするワイちゃん。

 キャッチャーミットと化した責任者はキレながら近付いてくるが、優雅ではないので無視しますわ。

 

 「何者だこいつ! どこからきた!」

 「ガルアーノ、貴様こそ無礼な口を! この方はワイ様といって」 

 

 口論し始めるアンデルとガルアーノをよそに、ワイちゃんとグロルガルデはキャッチボールをはじめましたの。

 

 「ククク、あいつら会話のキャッチボールすら出来てないな」

 「正論過ぎて辛辣ですわね」

 

 口論が終わったのかアンデルは捨て台詞みたいな言葉を吐き捨てる。

 

 「所詮貴様は人間、我ら魔族とは考え方も目指すものも違うという事だな」

 

 すかさずアンパイアのグッロがアンデルにレッドカードを取り出し見せる。

 

 「ククク、人種差別発言は球界から永久追放だぞ」

 

 戸惑うアンデルだったが、それ以上にワイちゃんはレッドカードに畏怖していた。

 

 「それは球蹴りのやつやんけ……ですわ」

 

 とりあえずワイちゃんとアンデルと猿と機械で円陣を組み、ピッチに戻る。あら、マウンドでしたわ、いけませんわ。

 

 「それでアンデルさん、用事は終わりましたの?」

 「ええワイ様、それは視察という形で先ほど終わりました。ですがガルアーノは人間で我らの崇高な目的を理解できないようで」

 「もう解散総選挙やね……ですわ」

 

 そこにいる責任者のおっさんの政治生命にメスをいれるワイちゃん。

 

 「ガルアーノさん? わたくし達の道具になるのでしたら、生かしておいてさしあげてもよろしくてよ」

 

 決まったな、ワイちゃんのかっこいいセリフにみんな喜んでるやろうなぁ。ですわ。

 しかしあたりを見渡すとアウェイの空気に包まれていた。ここは赤ヘル市民球場かどこかでしょうか?

 ふと横を見たらパンツを覗こうとしてるGP(ジェフリー)がいましたの。どこからわいたのかしら……ほんとここの施設を誰か爆破してくれないかしら。

 

 「こんな小娘に付くとはな……アンデル貴様こそ落ちぶれたのではないのか?」

 

 アンデルはめんどくさそうな表情でガルアーノとかいうのを無視していた。

 

 「それにしてもGPはどうして公園からここまで飛んできたのかしら」 

 

 疑問をぶつけるとGPは照れながら話し始める。また自分語りかと身構えるワイちゃん。

 

 「恥ずかしながら、子供達に、その、投げられてしまって、丁度お嬢様、貴方が居たものですから、つい覗いてしまって」

 

 とりあえず面白いので放置しているとガルアーノ(キャッチャーミット)がしゃしゃり出てきましたの。

 

 「ジェフリー貴様がなぜ研究塔に居る? お前は砂漠に左遷したはずだが……それにしてもしぶとく生きていたのか」

 

 GPはキャッチャーミットを睨む。先ほどまでとは違うシリアスな瞳をしている。

 

 「ええ、生き残って、しまいました、このような研究に、携わったのにも関わらず、私は……神と言うのは、気まぐれですね」

 

 シリアスモードに突入し始めていた彼らを無視しようとグロルガルデに合図を送る。

 

 「ククク、無視のサインだな無視しておこう」

 

 サインを口で喋りますし、この機神ダメですわね。

 アンデルは本当にどうでもよさそうにしていましたわ。

 猿はリードごと落っこちたのか、子供の玩具になっていましたし。

 

 「あまり動物虐待をしてはいけませんわよー」

 

 下の子供達へ伝える。

 子供達はハーイ! と元気に返事をして猿の毛をむしる。

  

 「いい返事ですわね」

 

 球界の将来を担う子供達の元気な声にワイちゃんも元気をもらう。

 横を見たらまだGPとキャッチャーミットがレスバトルをしていた。

 

 「ガルアーノさん、あなたは、いつまで、このような研究を、なさるおつもりですか?」

 「ふん! 貴様のような一介の研究員風情にはわからん崇高な目的があるのだよ」

 

 レスバトルにアンデルが口を挟んでいましたの。

 

 「その目的とやらも所詮子供を使った子供だましだがな」

 「アンデル! 貴様の目的のために力を貸しているのだぞ。タワーの建設においての警備の件! 忘れたとは言わせんぞ」

 「警備? ただうろつくだけしか能のないような奴らが? あんな物、経験値とやらになって稼がれると先日判断して廃棄したぞ」

 「経験値? アンデル貴様なにをいっているのだ?」

 「そうだったな。お前も脳のない奴の一人だったのを忘れていたよ」

 

 ガルアーノは付き合ってられんとか言いながら逃げ出した。レスバトルはアンデルの勝利に終わる。

 サンキューアンデ。

 

 「もう終わりですわね、この施設も。それで、これからGPはどうするのかしら? またここで働くの?」

 「わたしは、今回……」

 

 シリアスっぽかったのでシリアスは無しでと注文する。

 

 「皆さんに、ついていきたいと、思います」

 

 ワイちゃんのスカウトに応じるGP。

 危険な奴ですけど、きっと面白い冒険になるはずですわ。

 GPは突如照れながらもったいぶった話し方をする。そういえばずっとこんなしゃべり方でしたわね。

 

 「それで、ですね、お願いが、あるのですが」

 「なんですの? おっしゃってくださいな」

 「子供達を、連れて行っても、構わないでしょうか?」

 

 ワイちゃんは思ったことを口に出していた。

 

 「未成年誘拐で逮捕ですわね」

 

 グロルガルデもなぜか口出ししていた。

 

 「ククク、3月以上7年以下の期間契約ダナ」

 

 それって懲役ではなくて?

 と突っ込もうとしたのですけど面倒なのでやめましたのよ、わたくし。

 

 「ありがとう、ございます、ここに子供達を残して、また逃げ出してしまったら、私は今度こそ……いえ湿っぽいのは、無しでしたよね」

 

 ガイストに子供をつれて乗り込むGP。彼は笛吹き男のようにおどけていましたわ。

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