空港でのトラブルも一件落着し、観光にいそしむ一行。
「廃墟ですわねここ。サッカー少年とかいそうで嫌な感じですわ」
そう言いながら見渡していると、元テロリストが威張りながら話し掛けてきやがりましたわ。
「俺の庭みたいなもんだからゆっくりくつろいでいけよ」
お言葉に甘え野球のミニゲームをやろうと準備を始める。
廃墟とはいえ、住んでる人が居るみたいですわね。
地元民のファンとのコミュニケーションも大事なプロ活動ですわ。
そうこうしているうちに強盗とかいう地元民の方々が沢山出てきましたし。
「有り金全部置いてきな!」
意気揚々と出てくる地元の強盗にテロリストは怯える。
「助けてくれ……」
「なんだお前アルフレッドじゃねえか、子供連れてなにやってんだ?」
強盗達と知り合いだったみたいですわね、この元テロリスト。
敵対球団でも同じ野球の民。ワイちゃんは気さくに話し掛ける。
「皆さんで野球しようと思いまして」
「やきう? 俺達はサッカー派だね!」
とりあえず強盗達をしゃれこうべにしてする球けりも面白そうだとは思いつつ、子供達とみんなで強盗達をバットで叩いて遊んでいましたの。
「ククク、俺のやり方が一番殺せる」
「ダメですのよ、子供達がラフプレーを真似し始めるといけませんわ」
グッロがいつも通りいけないことをしていましたけど、わたくしは年長者として子供にフェアプレーの精神を教えます。
これが皆から好かれるスーパースターの教えやね……ですわ。
「いい、ですね、そのフォーム、ちょうど、スカートの中が、見えます」
独自の観察眼で野球のミニゲームを観察するGP。
アンデルは猿を連れて、そろそろガルアーノとの打ち合わせの時間だと言いながら近所の屋敷に向かうみたいですので、あとで行きますわと言い一旦別れてしまいましたの。
「アルフレッドさんでしたっけ、あなたも野球やりませんこと?」
「そんなに俺のスーパー天の裁きが見たければ見せてや……」
子供達は新しい玩具を見つけて喜んでいるのか、アルフレッドというボールで遊んでいましたわ。
「ああ、あんなに、殴ったり、蹴ったり、私にも、してください」
GPも子供達とじゃれ合う、優しい世界ですわね。
強盗を叩いてもうんともすんとも言わなくなったので、ガルアーノの屋敷に遊びに行こうという事になりましたの。
子供達は遊び疲れたようで、GP先生と一緒に式典までガイストでお休みする事になりましたわ。
私とグッロとアルフレッドの三人で屋敷へ向かう事にしましたの。
「ガルアーノの屋敷前につきましたわね」
「ククク、警備の人間が居るな。殺そうか?」
「屋敷ごと壊したら中に居るアンデルさんが可哀想ですわ」
ふと隣に居るアルフレッドを見ると震えていた。
「アルフレッドさん。なに震えていますの? トイレですの?」
「助けてくれ……俺はガルアーノに雇われてあのテロを起こしたんだ。失敗した俺は命を狙われている……」
「ククク、介錯してやろうか」
「大丈夫ですわよ、死んだら適当に子供達にお土産にして配りますわ」
「ククク、頭の骨はパーツとしてもらうぞ」
そんな感じに仲良くおしゃべりしていたら目の前に車が止まりましたのよ。
「ガルアーノですわね、ごきげんよう」
優雅に挨拶をするワイちゃん。これにはみんなお嬢様お嬢様と色めくやろうな。
「銃を向けてきましたわね」
「ククク、銃ごとき避けれるのに突きつけても無駄だぞ」
グロルガルデさんったら相変わらずの正論を言いながら銃撃を避けて遊びはじめましたの。
茂みの裏でアルフレッドさんが助けてと連呼していたのは銃声でかき消された事にして無視しましたわ。
「貴様はあのときの小娘だな!」
ガルアーノも相変わらず品がない事ですわね。
とりあえず無視しながらアルフレッドを引っ張り館の中におじゃまするワイちゃん達。ついでにガルアーノも引っ張るのだがアルフレッドと激突してまたも意識不明になる。
広い屋敷を適当に闊歩するワイちゃんとグッロは銃撃でも浴びせられるかと思ったのですけど。
ガルアーノとかいうおもちゃを持っていたおかげで撃ってきませんでしたわね。
大広間に突入するワイちゃん達にアンデルは驚いていましたわ。
「ワイ様! ガルアーノとご一緒でしたか」
「この方のびてしまって……誰か冷や水を浴びせて差し上げなさい」
「ククク、血しぶきの方が起きそうだぞ」
「それはお洋服が汚れてしまいますから却下ですわ」
「流石ワイ様、気品に溢れていますな」
談笑するワイちゃん達だったが。
気絶したガルアーノとアルフレッドどちらが先に目を覚ますかで遊ぶ事になる。
「私はガルアーノに一票を、なんだかんだと言ってしぶとい奴ですからな。ワイ様はどちらに?」
「わたくしはこのテロリストやね。ですわ」
「ククク、審判をしてやろう。起きた瞬間殺して判定してやる」
さあ今か今かと目覚めを待っていたら、なんか見知らぬ女が大広間に入って来たのですわ。
「アルフレッド! あなたどうしてこんな所に!」
ワイちゃんは何事かと振り向いて尋ねる。
「あなた何者ですの? 今ガルアーノとアルフレッドが仲良くおねんねしてるところですわ」
「え? ガルアーノ? どうして弟とガルアーノが寝てるのよ」
困惑しているアルフレッドの姉ちゃんにきちんと説明するワイちゃん達。
「そりゃあ二人は愛し合う仲ですからですわ」
「ククク、今度の式典は結婚式典だな」
「ワイ様、お祝いの品はどのようにいたしましょう」
三人で遊んでいると女性は困ったような顔をしていた。
「え? 式典ってまさか結婚式なの? ガルアーノ……よくも弟を!」
血相を変え寝ているガルアーノに襲い掛かる女性をワイ達は、おう! やれやれ! 全部ガルアーノが悪いんや! と、虎のファンぐらいの声援を浴びせる。
寸前の所でアルフレッドが起きる。血相を変えた姉にビビリ、助けてくれと泣きながらつぶやくアルフレッド。姉と弟の感動シーンを見たワイ達は二人にサインボールを渡す。
「あなた達、何者なの? ガルアーノ相手にこんな事して……」
「姉ちゃん、あの人たちは俺の恩人なんだ」
珍しくイキってないアルフレッド。たぶん姉には敵わないとかいう、ちっさい男なのだろう。
「今回もワイちゃんの勝ちですわね」
「やはりワイ様は勝負事にもお強い、感服しました」
「ククク、ハプニングがあったから実質ノーゲームだぞ」
とりあえず寝ているガルアーノの顔に式典行くからと落書きをしておいた。
アルフレッドは俺この業界から足洗うよ姉ちゃん……とか言いながらワイちゃん達と一緒に式典へ行く事にしたようだった。
ちなみに猿は終始広間の席に置かれた食べ物を食べていたのでした。
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式典当日スメリア関係者の席はごった返していましたの。
「ワイ様、ガルアーノに無理をさせて席を用意しました」
「ガルアーノさん、使えるうちは生かしとくって言ったら素直でしたわね」
「ククク、脅迫でいつか捕まるぞ」
「あらグロルガルデさん、あなたも同じレベルですわよ」
初めての式典に一部の子供達は嬉しそうに空を飛んでいる。まるで雲みたいですわ。
あら、よく見ると各国の要人の子供とも仲良くキャッチボールしてますわね。
ただGPが子供のスカートを覗こうとして要人の子供から気味悪がられていましたけど、それも彼にとっては幸せなのかもしれませんわね。
「ペットOKだったのは幸いでしたわね」
「そうですねワイ様、ミルマーナの要人席にヤグ……猿が座っております。式の後ほど回収しましょう」
高貴な人間のように座れる猿に会場は盛り上がっている。
そりゃそうですわ。わたくしが芸を教えたのですもの。
ガルアーノは演説を始めるが猿に視線が集まり、誰一人として聴いている者は居なかったのです。
なんか女神像光ってるやんけですわ。
上空を見るとシルバーノアが滞空しており。ワイちゃんは目を輝かし次の瞬間そこにいく。
イメージトレーニングは完璧やね。
式典ではなんかアンデルがつまらなさそうにしていたので、帰り支度しておいてと頼んでおいたの。
「わたくしは今から上に居るシルバーノアの所に遊んでくるですわ」
「ワイ様、あれはアーク一味のシルバーノア……」
アンデルの説明もいい所でワイちゃんはグロルガルデに乗りましたの。
猿は各国要人から一本一本毛をむしられ喜んでいた。
「グッロ、ワイとジャストミートですわ」
「ククク、看板に当てると100Gだぞ」
「ワイ様、お気をつけて」
そう二人が合わさり最強風のヒーローになりうるのでありますわ。
次の瞬間ワイちゃんは空を駆け、グッロと共にシルバーノアに居たんや……ですの。
「よろしくですわよー」
挨拶を忘れないワイちゃんまじレディ。
「なんじゃこいつらは!」
アラブの石油王みたいなのが驚いていましたの。
「ゴーゲン、はじまったな」
「ふぉっふぉっふぉっ!?」
赤いバンダナをしている人は平静を装ってましたけどおじいさんは、あとからちょっと驚きながらこちらを見ていましたの。このおじいさんGPなのかしら。
「ククク、まさか七勇者のゴーゲンに出会えるとはな」
「あら、グッロお知り合いですの?」
「ククク、俺は元々こいつらを抹殺する為に作られた機神だからな」
ピッチングマシーンの自分語りとか誰が得すのでしょうか。わたくしは適当に操縦しているおじさんを一発ぶん殴り気絶したその上に座る。
「グロルガルデ! 何故貴様がここにおる? 神の塔でねむって居るのではなかったのか?」
「ゴーゲン! サンダーストームで女神像を壊さなければ……」
なんだかおじいさんと孫みたいな赤いバンダナの人が焦ってそうだったので、わたくし面白半分にドリームノックをしましたの。
そしてら適当に女神像にナイスバッティング。
「……君はいったい?」
きっとファンであろう少年の問いにワイちゃんは答える。
「わたくしはワイちゃんですわよ。ねぇグロルガルデ」
「ククク、いつもは俺が審判だが今日は任せたぞ」
「ではわたくしが審判をつとめさせていただきます」
「わいちゃんだと? お前達何を始める気だ!」
ルールは簡単だと説明する。
一球勝負でバットにかすりでもしたらおじいさんの勝利。
逆に球にバットが当たらなかったら負けですわ。
「グロルガルデ……勝負をもうしこまれたのなら、しかたないのう……」
勝負を受けるおじいさん。なんだか老体ですけど、もしや名のある選手だったのでは? そう思えるバッティングフォームを見せ付ける。
一方アラブの石油王みたいなおじさまは。
「これ以上船を壊さんでくれ」
泣いていましたわ。
「ククク、一球で仕留めてやる」
「お前さんごとき軽くひねりつぶしてやるわい」
ワイちゃんは盛り上がる! 世紀の対決に!
同時進行で赤いバンダナの兄ちゃんに贔屓のチームを聞いていましたわ。
「チーム? わからないな。ぼくはアーク、よろしくね。君はワイでいいのかな?」
「そうですわよ、
「そうなのかい? ちなみに父さんはヨシュアっていうんだ」
「あらまあ、でもキラキラネームで就職に困っても、お父様をうらまないで差し上げてね」
聖櫃と談笑しながら対決に集中する。
ピッチャーグロルガルデ、振りかぶって第一球投げました。まるで実況をするかのようにわたくしは熱弁をふるう。
球はジジイの顔面を目掛け飛んでいく。またビーンボールですわね。そう思いながら球の行方を追っているとジジイが居なかったのですわ。
「ふぉっふぉっふぉ、あんな球喰らったらひとたまりもないわい」
ゴーゲンは寸前でテレポートし球と勝負を避けた。それが気に入らなかったのか聖櫃くんが怒り出し、わたくし困惑しましたの。
「ゴーゲン! それだと負けだぞ」
しかし意外にもそれを止めたのは他ならぬグロルガルデだったのです。
「ククク、流石は七勇者と呼ばれるだけの事はある。俺の球を避けるとは、勝負を避けたな」
「こうでもせんと、おぬしが暴走しはじめるとおもってのう」
「ククク、俺はあの時とは違うぞ。審判結果を言え」
グッロがこちらに審判を求めていたのですわ。
「めんどうですので、引き分けでいいんじゃありませんこと?」
そう言いながら、操縦桿から降りるとスカートに引っかかって操縦桿も床に降りていましたの。
「ククク、妥当だな。俺もそう思っていたところだ」
熱い握手を交わすジジイと機神。
聖櫃と呼ばれた男は涙を流しながら拍手をしていまして、私も一緒に手を叩いていましたわ。
一方アラブ人はなにやら後方確認して慌てていましたわ。
「アーク! とっととずらかるぞ、ワシらの目的は果たした。それになにやら小型の船が追いかけて来ている!」
指差すアラブ人は女神像のなきがらになにやら興奮しているのかわめいていた。
ああいう趣味の人ですのでね。怖いです事。
「ククク、戻るか?」
「もう少しシルバーノアで遊びたいですわ。それにこの船ならMAP表示されそうですし」
ワイちゃんは面舵いっぱい! とか言いながらシルバーノアの運転を始める。
もちろんどうやって運転するか知らないですし、そもそも操縦桿ないですからまっすぐしか投げられない剛速球になりますのこの船は。
「アーク! その小娘を止めんか!」
「ワイ! 操縦できるのか? ピピンは寝ているし!」
「ふぉっふぉっふぉ。いざとなったらワシが……腰がいたい……」
「ククク、船の中で湿布してやろうか」
一瞬船内がダイヤモンドダストのように凍りつく。
「なにやら船が追いかけてきてますわね……あら? あれはガイスト?」
辺りをよく見ますと、追いかけてきている小型の船の後ろにガイストの船影が見えましたわ。
きっとワイちゃんを追いかけてきたアンデルやろなぁ。と思っていましたら。
「墜落するぞ! つかまっとれ!」
アラブ人の声がこだました次の瞬間。ワイちゃんはよくわからない海辺にいましたの。
グッロが錆びないか心配ですわ。