ドラゴンクエストⅤ~新たなる世界と新たなる者たち~   作:メソウサ

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第4話 サラボナの町 その6

「ど、どうなっているんだ、これは?」

 

帰宅したルドマンが最初に口にした言葉はそれであった。

ようやく帰って来たと思えば、自慢の邸宅の内外は何やら一悶着あったかのように荒れ、使用人の1人はベッドの上で意識不明のまま眠っている。

誰がどう見ても、明らかにただ事ではない。

いくつになっても可愛い孫であるレックスたちの訪問、という嬉しいサプライズも目の前の出来事の流石にせいですっかり何処かへと吹き飛んでしまっていた。

 

 

「…フム、私の留守の間にそんなことが起こっていたのか」

 

レックスたちから事情を聞き、ルドマンはようやく事態を飲み込むことが出来た。

 

「他人事のようだが、大変だったな…。最悪の場合、被害は私の屋敷に止まらず、このサラボナの町全体に及んでいたのであろうからな」

 

ルドマンはそうレックスに礼を告げた。

当のレックスは、今回の事件の解決に自分はあまり力になれなかったと反省しており、ルドマンの礼に対しては「うん」と返答するだけに止めている。

 

「エィシルも災難であった…。彼女の容態はどうなんだ?」

「…お医者様からは何とも言えないって」

 

答えたのはルドマン夫人であった。

ブリードの攻撃などで受けたエィシルの肉体のダメージは呪文で回復させたものの、彼女を蝕んだ魔瘴については誰も確実なことを言えないでいた。

ディーは、魔瘴に侵されると命を落としたり、稀に魔物へ変貌することもあると言っていた。

どのくらいの魔瘴に侵されてしまうとそういった危険が発生してしまうのか、それはディーも詳しくは知らないようであったが、少なくとも1度魔物に変貌してしまったら戻す方法は無いという。

エィシルの場合、デボラがあの指輪を渡してから指輪が外されるまでにさほど時間は掛かっていない。

したがって、魔瘴に侵された時間も多くは無い筈なのだ。

少なくとも彼女は魔物には変貌せず、今もちゃんと人間の姿を保っている。

苦悶の表情を浮かべてはいるものの、ちゃんと生きてはいるのだ。

 

「…お前たちが気に病むことではない。彼女を、エィシルを救ってくれたのだろう?そこは胸を張るべきだ」

 

ルドマンはそう言ってレックスの肩に手を置いた。

 

「でも…」

「レックス、お前たちがいなければエィシルは自らの手でこの町を破壊し尽くしていたかも知れんのだ。そんなことを仕出かしてしまった後であったら、例え正気に戻れたとしても辛いことにしかなっていなかっただろう。だが、そうはならなかった。それは、間違いなくお前たちの功績なのだ」

「お祖父様…」

「だから、そう落ち込むような顔はするな。お前にそんな顔は似合わんよ、レックス」

「…うん」

 

ルドマンにそう言われたことで、レックスは大分救われたような気持ちになっていた。

それと同時に、彼女のような犠牲者をこれ以上出してはいけないと心に固く誓う。

 

「…さて、遅くなったがレックスや。こんな遠い所までよく来たな。歓迎するぞ」

「うん。お久し振りです。お祖父様」

 

お互いに久方振りの再会の挨拶を交わすと、そのまま皆を連れてリビングルームまで足を運ぶ。

デボラも無言のままついてきていた。

流石の彼女も今回の件には色々と思うところがあったのだろう。

先程までの覇気は感じられない。

レックスたちは暫く彼女をそっとしておくことにした。

リビングルームに着くと、ルドマンは目ざとくリーヴのことを見つけて声を掛ける。

 

「君は…?」

「えっと、その…」

「彼はリーヴ。今は僕たちと一緒に旅をしてるんだ」

「そうか。レックスの友人ならば大歓迎だ。遠慮せずにゆっくりしていきなさい」

「は、はい!」

 

その後、レックスたちはルドマンと色々な話をした。

他愛のない世間話やレックスたちの思い出話。

部外者であるリーヴは多少の居心地の悪さを感じたものの、彼らの話は興味深くて退屈はしなかった。

そして、話題はルドマンの外出先へと及ぶ。

 

「そう言えば、お祖父様は今まで何処へ出かけてたの?」

「うむ、仕事で北の方…アイゼンパークまで行っていたのだ」

「アイゼンパーク?」

「そうだ。噂の新興国ガレオン領内にある町だよ」

「ガレオン…」

 

その国の名をレックスはよく知っていた。

ここ暫く父、ひいてはグランバニアを悩ませていた問題の国。

偶然にもルドマンはその国へ足を運んできたばかりという。

 

「ねえ、良かったらそのアイゼンパークって所がどんな所だったか教えてよ」

 

可能な限りの情報は集めておきたいとレックスはルドマンに尋ねた。

 

「うむ、構わんぞ」

 

ルドマンは快く答える。

 

「そうさな…。まず、私が何のためにアイゼンパークへ行ったか、というところから始めようか」

「確か、仕事だっけ?何の仕事で行ってたの?」

「うむ。主には武器と防具の輸出についての交渉だ」

 

先祖代々、富豪の一族であるルドマンだが、辿っていけば元々は武器や防具などを扱ういち商人であった。

何もない平民であった祖先たちが非凡な商才を活かし、常に成功し続けたからこそ今のルドマンがあるのだ。

そしてルドマンもまた非凡な商才の持ち主で、今もなお現役で世界を股にかけ、持ち切れない程の私財を更に増やしているのだ。

 

「交渉は残念ながら破談となってしまった。まあ、私から破談にしたのだがな。ハハハ!」

 

ルドマンは笑いながらそう言った。

 

「どうしてそんなことを?」

「…何やら焦臭いものを感じてな」

 

レックスに尋ねられると、一転してルドマンは真剣な表情となる。

 

「いくら、魔物たちが再び凶暴になりつつあるとはいえ、この時代にあそこまで大量の武器防具の輸入…。まるで、戦争でも始めるのではないかと思ったのだ」

「…………」

「いくら金になったとしても、人と人との争いの火種になりかねない商売は私の本意ではない。それに、もしも戦争が始まってしまえば、サラボナの町も巻き込まれ、無事では済まないだろう。そんなことは絶対に阻止せねばならない」

 

ルドマンは力強く言った。

 

「…そう言えば、アイゼンパークについて聞きたかったのであったな」

「あ、うん」

「うむ、一言で言うとアイゼンパークはとても活気のある町だったぞ。商人の町という異名に相応しく町中に店があって、皆商売に精を出していた」

「へー、それだけ聞くと楽しそうな町だな」

 

リーヴは興味津々といった表情で言った。

長年、木こりとして森の中で暮らしていたので、たまに行く町の活気への憧れが強いのであった。

 

「ああ、少なくとも表面上はな」

 

ルドマンはそうリーヴへ言葉を返す。

何か、含みがあるような言い方であった。

 

「…これは、あくまで私見だが、活気の中に何処か怪しさというか、後ろ暗さのようなものを感じたのだよ。アイゼンパークには妙な噂もあったしな」

「噂?」

「ああ。我々商売人の間では、アイゼンパークについてこんな噂があるのだ。“アイゼンパークには表とは別の顔を持った、闇のマーケットがある”とな」

「闇の、マーケット…!」

 

レックスはその言葉を復唱した。

渦中の国内にある町、そしてそこにまつわる良からぬ噂。

ルドマンでなくとも、何処となく焦臭さを感じさせてくれる。

 

「…兎にも角にも、あの町へ深入りするのは良くない。そう思って商談を打ち切って来たのだよ」

 

ルドマンは言い終わるのと同時に口へ紅茶を含んだ。

 

「只今戻りました」

 

と、その時、この場に1人の男が入ってきた。

男の顔を見て、ルドマン夫人がにっこりと笑いながら口を開く。

 

「おかえりなさい、アンディ」

 

アンディと呼ばれた男はルドマン夫人へ礼儀正しく頭を下げた。

 

「おお、アンディ。戻ってきたか。君の妻と可愛い娘へ帰宅の報告は済ませたかね?」

「ええ、しっかりと。それにしても、お気遣い有難うございました。僕としては、仕事をきちんと終えてからでも良かったのですが…」

「いや、いいんだ。暫く外出していたのだ。家で待つ家族に早く顔を見せたいと思うのは当然だからな」

 

そう言ってルドマンは笑った。

 

「おや、レックス。君も来ていたのかい?」

「うん、久し振りだねアンディさん」

「…この人は?」

 

この場にいる全員の中で、唯一面識の無いリーヴが不思議そうに尋ねる。

すると、ルドマン夫人が優しくリーヴへ彼の素性を教えてくれた。

 

「彼はアンディ。離れの別荘に住んでいて、今は主人の仕事を手伝っているのよ」

「よろしく。君はレックスの友達かい?」

「え?あ、ああ、そんなもんです。よろしく…」

 

リーヴはたどたどしく答えながら、頭をぺこりと下げた。

 

「アンディさんもアイゼンパークへ行ってたの?」

 

レックスが尋ねると、アンディは頷いた。

 

「先程、奥方様が仰られたように、僕は今ルドマンさんの仕事を手伝っていてね。アイゼンパークへ行ったのもその一環なのさ」

「毎度のことながら、アンディには助けられているよ。私ももう若くないしな」

「そんな…。昔からの知り合いという理由だけで別荘までお貸し頂いて、その上こうして仕事まで…感謝の言葉が尽きないのはこちらの方ですよ」

「なあに、君にはフローラの件で色々と迷惑を掛けてしまったからな。その罪滅ぼしとでも思ってくれ」

「それはルドマンさんが気にすることでは無いですよ。もうずっと昔の話ですから…。おっと、話が逸れたね。すまない。アイゼンパークについてだったよね?」

「アンディさんもお祖父様と同じ考え、なんだよね?」

「ああ、そうだ。尤も、僕はずっとこのサラボナの町で過ごして、今みたいにルドマンさんの仕事を手伝うようになるまで他の町へ行ったことなどないから、そこまで自信があるわけではないのだけれどもね。ただ、あの町の人々からは何かを隠しているような、そんな後ろめたさのようなものを感じたよ。少なくとも、ルラフェンやポートセルミとは明らかに町全体の空気というか雰囲気が異なっていた。それは確かだね」

「うむ、私も同意見だよ」

 

アンディが話す間、ルドマンは何度もうんうんと頷いていた。

個人的な主観とは言え、こうも意見が揃うと信憑性も増してくる。

と、アンディが何かを思い出したかのように口を開いた。

 

「…そう言えば先程、町の外でアイゼンパークから来たという商人に会いました」

「ん?この町の近くにか?一体、何の用だ?」

「行商…のようでした。何やら宝石を売っていました」

「宝石…?」

 

レックスたちは、つい先程の出来事を思い出す。

エィシルが暴れる切っ掛けとなったのは、彼女のつけた指輪の怪しげな宝石が原因であった。

あの禍々しい程に黒い石は記憶に新しい。

 

「ふぅむ、行商で宝石とは珍しいな」

「その男に『奥様に1つ如何ですか?』と言われましたが、断りました。何やら怪しい感じがしましたので」

「賢明な判断だ。怪しいものはなるべく避けるに限る」

「…そいつは今何処にいるの!?」

 

突如、先程まで無言で佇んでいたデボラが会話の間に割り込んできた。

眉間に皺を寄せ、凄い剣幕である。

 

「デ、デボラさん…。貴女はいつも突然ですね…」

「んなことよりも私の質問に答えなさい、アンディ!あんたに指輪を売りつけようとした商人は今、何処なの!?」

「別れた後、そのまま引き返して行ったようなので、もう町の外へ出てしまったと思いますが…」

「…………!!」

 

デボラは勢いそのままに屋敷の外へと向かって行ってしまった。

呆気にとられるアンディへルドマンがすまなそうな顔で頭を下げる。

 

「ふう、全く…。すまんなあ、アンディ。うちの娘がまた迷惑を掛けたようで」

「いえ、それはいいのですが、デボラさんの様子がいつにもまして変なのが気にはなりますね」

「確かに…。一体、デボラの奴はどうしたんだ。何時もイライラしてはいるが、あんなにピリピリはしていないのだがなあ」

 

つい先程屋敷で起きた出来事を詳しくは知らない2人には、デボラが何時もより苛立っている理由は分からないようであった。

自身の失態によって騒動が起こり、エィシルを危険に晒してしまった。

そのことに対して彼女なりに責任を感じているのだろう。

 

 

「…………」

「?どうしたんだ、レックス?さっきから黙りこくっちゃって」

 

リーヴが不思議そうに尋ねる。

アンディから宝石について聞かされから、レックスは何か考え込むような様子であった。

暫くして、レックスは何かを決心したように軽く頷く。

 

「…うん、決めた」

「決めたって何をさ?」

「次の目的地さ」

「え?次の目的地って、まさか…」

「うん、そのまさか。アイゼンパークに行くよ」

「なんと!」

 

レックスの言葉に真っ先に反応したのはリーヴではなくルドマンであった。

 

「レックス。先程も話した通り、あの町は普通ではない。物見遊山で行くような所では無いのだぞ?」

「うん、分かってる。でも、だからこそアイゼンパークには行く必要があると思うんだ。それに、アンディさんが言ったアイゼンパークから宝石を売りに来た商人っていうのがとても気になるし」

「う、うーむ」

 

ルドマンは唸る。

レックスとて、もう幼い子供ではなく、腕に覚えがあることもルドマンはよく知っていた。

そして、詳しくは分からないものの、何かしらの目的があって旅をしているということもそれとなく察している。

だが、それでもレックスのことを心配してしまうのはレックスが本当の意味で孫だからなのだろう。

実のところ、ルドマン夫妻とレックスに血の繋がりは無い。

正確には、レックスの母であるフローラがルドマン夫妻の実の子供では無いのだ。

しかし、ルドマン夫妻はそんなことは関係なく、フローラを実の子供のように愛し育み、そしてレックスや彼の双子の妹であるタバサのことも愛した。

ちなみに、デボラもルドマンの実の娘ではない。

また、彼女とフローラは実の姉妹…と、少しややこしい関係になっている。

無論、ルドマン夫妻はデボラにもフローラと同様に愛情を注いでいたことは言うまでもない。

 

「…どうしても、行くのだな?」

 

ルドマンが確認すると、レックスは力強く首を縦に振った。

それを見たルドマンは目を閉じ、息を吐く。

 

「…そもそも私にレックスを止める権利など無かったな。すまない、余計なことを言ったようだ」

「そんなこと無いよ。お祖父様が心配してくれてるのが分かったから」

「そうか…。だが、敢えてもう一度言っておく。あの町に深入りするのは危険だ。誰それが悪いというわけでなく、町全体が危険な雰囲気を醸し出しているのだ。あんなのは過去に見たことがない異様な光景だった。…それだけは肝に命じておいてくれ」

「うん、分かった」

 

そう言ってレックスは笑ってみせた。

レックスの笑顔を見て、心配そうな表情だったルドマンも幾分かは和らいだようである。

側で見ていたルドマン夫人とアンディもレックスの意見を尊重するようであった。

 

「…おいおい、そんな怖い話を先に聞いたら、流石に行くの躊躇われるって」

 

一方、リーヴはルドマンたちの話を聞いて、少しびびっていた。

つい先日までただの木こりだったのだから無理もない。

そんなリーヴを見て、先程から無言でレックスたちの話を聞いていたドラきちが思わず口を開く。

 

「別にお前は来なくてもいいんだヨォ。来てくれなんて頼んでないんだヨォ」

「なっ!?べ、別に行かないって言ってるわけじゃねえぞ!!あ、アイゼンパークだあ?い、行ってやろうじゃねえか!」

「無理してるのバレバレだヨォ…」

「無理なんかじゃねーし!む、寧ろワクワクしてるし!」

「足、震えてるヨォ」

「武者震いだし!」

 

リーヴとドラきちの言い合いに、思わずその場にいた全員が吹き出し、ルドマン邸は笑い声に包まれる。

まだ、エィシルの容態など、解決していない問題はあるが、それも何とかなるだろうと思えるような、そんな明るい雰囲気がそこにはあった。

事実、2階で今まで苦しそうな表情を浮かべていたエィシルがその瞬間、穏やかな表情に変わって安らかな寝息をたて始めたのだ。

まるで、願いが通じたかのように。

 

 

「…ったく、何処にもいないじゃない!」

 

周囲を見回した後、デボラはがっくりと膝を落とした。

アンディから話を聞いてから、すぐに屋敷を飛び出したものの、やはり例の商人の姿は無かった。

デボラはその商人のことをよく覚えていた。

自身へあの忌まわしい指輪を贈ってきたのがその商人であったからだ。

その商人を初めて見たのは数日前のこと。

最初は全く気にも留めていなかったのだが、向こうから一目惚れしたと言い寄られ、しつこく求愛されていた。

 

「…どうしてあの時指輪を捨てなかったのかしら!私の馬鹿!!」

 

後悔しても遅い。

それは分かっていたが、どうしても言わずにいられなかった。

だが、何故か捨てる気にはなれなかったのだ。

今思えば、何らかの術でも仕掛けられていたのかも知れない。

 

「何者よ、あいつ…」

 

不思議なことに、その商人の顔を全く思い出せないでいた。

直接この目で見れば恐らく分かる筈なのだが、何故か今は顔が浮かばない。

元々、デボラは気に入った人物以外の顔も名前もろくに覚えないのが日常であったのだが、幾らなんでもここまで思い出せないということはなかった。

もしかすると、それもあの商人が何かしたからなのか。

 

「…帰るわ。今日はもう、疲れた」

 

自身の軽はずみな行動が原因とは言え、今日は色々とあり過ぎた。

普段は使わない呪文まで使用し、彼女の体力は底を尽きかけている。

デボラは屋敷へ帰る為に、来た道を引き返そうとした。

 

「ん?」

 

ふと、誰かに見つめられているような気がして振り返る。

しかし、誰もいない。

 

「気のせい…かしら」

 

デボラはそう呟くと、足を屋敷の方へと向けた。

 

 

「…まあ、いいとしようか」

 

デボラがいなくなった後、低い声でそう呟く者がいた。

 

「魔物化こそならなかったが、充分な力を発揮してくれた。一先ず実験は成功ということにしよう」

「ヒッヒッヒッ…」

 

その場へ更に男とも女ともつかぬ声が現る。

 

「…お前か。お前の方はどうだ?」

「こっちも成功しましたよぅ?やはり、直接体内に取り入れる方が手っ取り早いんじゃないですかねぇ?」

「それだと無理矢理飲ませる必要がある。そっちの方が手間だ」

「そうですかねぇ?1つ1つ魔力を込める方が手間だと思いますがねぇ」

「だが、魔力さえ込めておけば、後は勝手に向こうから手に取ってくれる」

「ヒッヒッヒッ、まあいいでしょう。どっちが正しいかなんて意味が無いですからねぇ」

「ああ、重要なのは魔瘴を広めること。その為には…」

「ヒッヒッヒッ…」

「…さて、俺はアイゼンパークへ戻る。お前はどうする?」

「ヒッヒッヒッ、私は一旦“あの方”のところまで戻りますよぅ」

「そうか。ではな。ルーラ!」

「ヒッヒッヒッ、ルーラ!」

 

直後、2つの声はその場から消えた。

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