スターウォーズ 伝説の賞金稼ぎ 作:Slave0629 らい
「よし、もう一回作戦について確認しよう。」
レイヴンクローに乗り込みマンダロアを出た5人はステラトが必死に考えた作戦に耳を傾けた。
「基地内に進入したらまず僕とサムで反乱軍のファイターと船全部に起爆装置をつけるからその間にタロンとレッドは管理室にいって外部との通信装置をぶっ壊せ。それまでは絶対僕たちの存在に気付かれちゃダメだ。それが完了したらこのジャンが作ってくれたオモチャで敵を基地の外におびき寄せ、そのタイミングでファイターの起爆装置を起動する。僕らが外で一暴れしている間に二人は中に残っている反乱者たちをできるだけ始末するんだ。最後に敵の数が減ったらジャンが空からレイヴンクローで爆撃する。」
ステラトが話しながら指さしたのはジャンが今回の仕事のために開発してくれたユニークな武器だった。見た目は巨大なブラスターのような物だが、銃口が大きくふたがついていた。
「すごい、これを一晩で?」
サムが武器を手にとって眺めながら言うとジャンはまあな、と得意げな顔であごを撫でた。たったの5人で反乱軍の基地を一つ吹き飛ばすと言うことになると一つでも間違えれば作戦失敗だ。おまけにマルーン基地には反乱軍の司令官の中でも特に戦闘力に長け、クローン戦争を生き延び今まで反乱軍の機密情報を守り続けてきたというミフ・アボットがいるのだ。
「作戦変更だ。」
黙って聞いていたタロンが突然口を開いたので皆が一斉にタロンを見た。
「何?」
「レッドはお前達が連れて行け。俺は一人で大丈夫だ。」
「バカ言うなよ、反乱者たちのど真ん中だぞ、一人じゃ何かあったら太刀打ちできない。」
「俺はそんなヘマはしない。」
タロンの説得力のない話にいらつきながらサムが口調を強めた。
「いい加減にしてよ!自分の事情で勝手に作戦を変えないで。」
「自分の事情だと?お前達も信用していないから俺に押しつけたんだろ。」
タロンは噛みつくように声を張り上げた。
「信用してないって?」
ステラトが静かに聞き返した。船の中に重たい空気が張りつめ、遠目に見ていたジャンがやれやれ、と呆れながら近くの椅子にどっかりと腰掛けた。
「こいつに決まってるだろ。」
タロンが投げやりにキーラを指さして言った。キーラは信頼されていないことは分かっているのか強がっているのか、何事もないような顔をしている。
「それどういうことよ。」
見かねたサムとステラトが口々にタロンに言った。
「さっきトルーパーが現れたときに僕らを助けてくれたじゃないか!僕たちは彼女を信頼してる。それに今は彼女の協力が必要だ。」
しかしタロンは納得しなかった。
「いいか、俺はお前達より長年賞金稼ぎをやってるんだぞ。経験もここにいる誰よりもある。信じられる奴ぐらい判断できる。ゲージの二の舞にはなりたくないしお前達をそんな目に合わせられない。何が最善だかは俺が判断する。お前達は俺に従っていればいいんだ、俺はこのチームのリーダーなんだぞ!」
タロンが一気にまくし立てたので周りにいた4人は唖然とタロンを見つめた。タロンのめちゃくちゃな発言に誰もが言葉を失った。
「すまない・・・」
しばらくしてタロンが我に返ったように呟いた。そしてクソッと投げやりに手に持っていたブラスターピストルを船の床に投げつけた。
「自分を責めて何になるの?」
サムがタロンの方を向いて言った。
「そうだよ。過去にしがみついてないで前に進まないと。」
タロンと長い間共に過ごしてきたサムとステラトはもちろん彼の苦しみを共有してきた。しかし彼が立ち直らない以上2人が何を言っても同じだった。チームで動いている以上仲間を信頼できなければ一緒にいる意味が無いのだが、サムもステラトもタロンにリーダーを任せて大丈夫かどうか疑っていた。その時2人を代弁するようにキーラが口を開いた。
「こんなに気遣ってくれる仲間がいるのにそれに応えないと。私なんて、今までで誰かを信じられたことは一度もない。」
その言葉はタロンだけでなくサムやステラト、そしてキーラ自信にも向けられたように感じた。
「信じてもらえたことも。」
キーラの言葉にサムやステラトは目を丸くした。いつも明るく冗談ばかり言っているキーラにも暗い過去があることを彼らは知らない。
「でも今は違うと思う。少なくとも、サムとステラトのことは信頼してる。それにタロンも。」
「おい!」
コックピットに座って一人だけ名前を呼ばれなかったジャンが怒鳴った。
「ジャンもよ。忘れてた。」
「忘れてたは余計だ!」
「本当に、根っからのドジだな。」
キーラとジャンのやりとりに暗い顔をしていたタロンがようやく笑った。
「すまなかった、最近上手くいかないことが続いて・・・全く信頼出来ないわけじゃない。ただ、俺はまだお前が何か隠してるようで気にかかるんだ。」
「別に。何も隠してない。」
キーラはタロンにそう言われると、ほんの少しだが目をそらして言った。
「嘘をつくのが下手だな。」
タロンが探るような目でキーラを見ると、キーラはしばらく黙っていたがとうとう開き直ることにしたらしい。
「隠してるのはお互い様でしょ。」
「まあいい、作戦に支障が出るような事じゃなければ。」
タロンとキーラの目が一瞬合った気がした。お互い探り合うように目をぎらつかせていたが何を考えているのかは分からなかった。ひと段落ついてジャンが椅子から立ち上がりコックピットに向かいながら肩越しに言った。
「似合わないことを言うようだが、今回の作戦はお互い信頼出来るかどうかにかかってるんだぞ。くだらないことで張り合うのはよせ。」
「そうよ、似合わないわ。」
「そこじゃないだろ!」
キーラは口を開くたびにトンチンカンなことを言ったが、今はそれでも周りの空気を和ませるのに丁度良かった。
「ハイパースペースに入るぞ。いいか、違法航路を通るんだから後戻りは出来ない。っていうかしない。」
操縦席に座るジャンがそう言うのを合図にタロンも副操縦士席についた。
「よし、出発だ。」
突然船全体がグラリと揺れた。目の前に巨大なマスシャドウが広がり機械がミシミシ音を立てる。このままだと陰に吸い込まれる!そう思った瞬間船がハイパースペースを飛び出した。
「ジャン!前!前!」
「見えていないとでも思ってるのか!」
ハイパースペースを出た先は巨大な惑星の目と鼻の先だった。ハイパースペースに質量の陰を落としていた惑星だ。1秒でもハイパースペースを出るのが遅かったらあのまま惑星を突き抜けてこの船は木っ端みじんになっていたはずだ。ジャンがレバーを一気に引き船体が急上昇する。
「「「うわあああ!」」」
コックピットの後ろの部屋に座っていたキーラ、サム、ステラトの3人は反動で後に飛ばされ鈍い音を立てて壁にぶつかった。
「さっきは小惑星帯で今度は惑星に突っ込む気か!」
「黙ってろ!」
ジャンは必死にハンドルを握り惑星の軌道から外れようと歯を食いしばっていた。この状態で惑星の引力に捕まれば間違いなく墜落する。エンジンを全開にして船は徐々に惑星から遠ざかっていった。
「開拓されてないハイパースペース航路を使うなんて聞いてないぞ。」
タロンは一息ついたジャンをすかさず問い詰めた。
「マンダロアからマルーンまで一直線に行く航路なんだ。途中惑星や小惑星帯にぶつかるのは仕方ない。」
マンダロアを出発してからというもの、途中で航路を遮る惑星や小惑星帯に出会うたびにハイパースペースを飛び出し目の前の物体にぶつかりそうになるのをスレスレで避けることの繰り返しだ。おかげで後ろのキーラたち3人は床を転がり回って何度も頭を打ち付けていた。
「どんなに危険か分かってるのか?」
「俺は前にもここを通ったことがあるから大丈夫だ。でなけりゃ俺は今まで生きてない。」
ジャンは余裕ぶってそう言ったが額から汗が流れていた。
「ちょっと、後どれぐらいで着くのよ。」
折り重なって床に倒れ込んでいた後ろの3人は一刻も早くマルーンにたどり着いて欲しいと祈るばかりだった。
「次のハイパースペースを出ればマルーンだ。」
「もうこんな目に合わずにすむんだね。」
「ああ、帰りもこのスリリングな体験をしたくなきゃな。」
「ベイダー卿、マルーンまでの違法航路に2機の船を感知しました。例の賞金稼ぎの船だと思われますが一応確認しますか。」
「行かしておけ。あの航路をくぐり抜けるのは今回のミッションの条件だ。生きて出てこられない者に用はない。」
マルーン
反乱軍機密情報基地
「着いたぞ、マルーンだ。」
最後のハイパースペースを飛び出して目の前に現れたのは、太陽に照らされてギラギラと黒光りする小さな惑星だった。決して美しいとは言い難いが今まで見たどんな星とも違う異様な雰囲気を放っていた。
船はマルーンの軌道に乗りそのまま大気圏内に突入した。見渡す限り岩が巨大な山と谷を造って連なっている。真っ黒なレイヴンクローの機体は岩の上を進んでもあまり目立たず好都合だ。
「こんな惑星に基地を置いたなんて信じられないな。」
強いて言えば見た目はイードゥーと似ているだろうか。しかし大きく違う点は、イードゥーは年中雨が降っているのに対しここは乾燥している。黒い岩がそのまま太陽の熱を吸収しレイヴンクローの温度センサーは800度を超えていた。
「オアシスがあるならおそらく深い谷の間だ。谷に沿って飛ぼう。」
ジャンはゆっくり船体を下げて、谷のすぐ上を飛んだ。下をのぞき込めば遠くに谷の底が見える。水が流れているなどということはもちろんないが、谷の底は陰になっており所々太陽の光が届いていて地上のように表面が800度になるということはなさそうだ。この漆黒の星に唯一存在するオアシスがあんなに暗いのではここに生息しようと思っても1ヶ月もしないうちに気が触れてしまうだろう。
「ステラト、生命体反応をスキャンしろ。」
「了解。」
レイヴンクローの優秀な生命体スキャナーは半径100キロ以内のどんなに小さい生命体でも感知することが出来た。サムとステラトが何日もかけて改良したものだ。
「もしかしたらクリーチャーを探知するかもしれない。」
昔からクリーチャーを見るのが好きだったステラトが少し楽しそうに言った。もちろん獰猛でないやつに限るが。
「クリーチャー?いるわけ無い。」
「宇宙空間をハイパージャンプ出切るクリーチャーもいるんだから、マルーンにいても何も不思議じゃないよ。」
テーブルについたコンピューターが辺りの地図をホログラムで映し出しセンサーが自分たちの位置を赤い点で示した。サム、ステラト、キーラの3人が身を乗り出してホログラムをのぞき込む。
「ん?」
数秒後、センサーが何かを感知した。船の進行方向10キロ程の位置にいくつもの赤い点が映し出される。
「どういうこと?」
サムは不思議に思いホログラムを拡大したり回してみたりしてみたが赤い点は明らかに自分たちに近づいている。10キロということは目の前に伸びる谷の先にそろそろ見えるはずだが、依然として真っ黒な岩場が広がるばかりだ。
「タロン!前に何か見えない?センサーが進行方向10キロ以内に生命体反応を感知したんだ!」
「何だって!?おい、ジャン止まれ!船を後退させろ!」
「待て待て、基地なんてないぞ?自分の目で確かめろ。」
ジャンはそう言いつつ突然レバーをガチャンと引いて急ブレーキをかけたので皆は一斉に前につんのめった。その拍子にコックピットに突っ込んだキーラが顔を上げると、確かに目の前は黒い岩が続く退屈な景色だったのだが、
「ねえあそこ、なんか不自然じゃない?」
キーラが何かに気付き窓の外をまっすぐ指さした先を見ると、確かに言われてみればという感じだが谷の底の岩が一部人工的に削られて平らになっているようだ。
「絶対にあそこよ。もしかしたら予想に反して基地は地下に埋まっているのかも。」
確かに、あれが基地の入り口だとしたら、船などが到着する時のために平らにしてあるのだろう。ジャンが船をゆっくりと谷の底に沈め、生命体反応のある場所から十分距離をとった位置に着陸させた。谷の底に行くにつれてレイヴンクローの温度計に表示はぐんぐん下がり地上では800度あった気温もすでに0度近くまで下がっている。太陽の光が当たっているのはほんの一部だった。
「行って確かめないと。」
「その必要は無い。こいつを使え。」
そう言ってジャンがパンパンに膨れた腰のポーチから取り出したのは見慣れない小さな黒い塊だった。最初はそれが何なのか分からなかったが、近づいて見てみるとその正体に気付き皆目を丸くした。
「何これ、こんな技術どこで手に入れたの!?」
サムが驚いて言った。それは超小型のプローブドロイドだった。ジャンの手の平にすっぽり収まるサイズだ。最新の技術を誇る帝国のドロイドでもここまで小さくはないはずだ。
「高性能の赤外線熱探知機付きで名前は“太っちょ”だ。」
「“太っちょ”?」
なぜ“太っちょ”というのかは謎だが、名前には全く似合わない見た目は完全に黒い石ころでマルーンの風景に完璧に同化する。岩にこれが張り付いていても反乱軍は目にも止めないに違いない。
「帝国にこの技術を売れば一生稼がなくてもやっていけるわよ。」
「帝国に売るつもりはねえ。これを使えば俺は何だって出来るからな。」
ジャンは大事そうに“太っちょ”を撫でるとステラトに持たせた。
「これがコントローラーだ。」
そう言って小さなコンピューターをレイヴンクローのコンピューターにつなぐと、画面に何やら細かい文字や記号がたくさん映し出された。もちろんジャン以外は解読不能だ。
「よし、早速ドロイドを偵察にいかせろ。」
「“太っちょ”だ!」
ステラトが小さいハッチを開けて“太っちょ”を外に送り出した。同時にジャンが手元のコントローラー兼通信機のスイッチを入れると“太っちょ”は小さい羽を高速で回転させて浮き上がり岩の開けた場所に向かって進んだ。
「羽で動くのね。」
皆は“太っちょ”の行方見守りながら深刻な顔で偵察の結果を待った。地下に基地があるとなると最終的にレイヴンクローで基地を爆撃するという手は使えない。“太っちょ”はゆらゆらと飛びいつの間にかレイヴンクローから大分遠ざかって黒い点が見えるだけとなった。
ガツンッ
皆で頭を抱えて新たな作戦について話し合っていると“太っちょ”が突然何かにぶつかったような音を立てて止まり、送られてきている映像がグラリと揺れた。
「何?」
カメラには何も映っていない。しかしどんなにコントローラーで“太っちょ”を前に進めようとしても空間の中にピタリと止まったままだった。
「こんな時に壊れるなんて!ボロすぎよ!」
気の短いキーラが悪態をついた。
「壊れたわけじゃねえ、前に何かがあって進めないんだよ。」
「ジャンまで壊れちゃったわけ?」
キーラは腰掛けていた椅子から立ち上がりコックピットの窓から外の様子を伺った。もはや“太っちょ”がどこにいるのかはこの距離だと全く分からないが、遠くに見える開けた場所には確かに何も存在しなかった。
「とりあえず熱探知機に切り替えてみよう。地下の様子が分かるかも知れない。」
“太っちょ”のカメラが熱探知に切り替わり発信されている映像が一変した。青白いホログラムが消え、代わりに温度の低いところは青、高いところは赤い色で示される新たなホログラム映像をテーブルの上に置いた通信機が映した。開けた場所をルーズでとらえたカメラには5度前後しかない谷底の真っ青な映像の中に赤々と熱を帯びて巨大な建造物が映し出されたのだ。
「何だこれは・・・」
今まで見えていなかった何もかもがホログラムに映し出される。何もない空間にあったのは、彼らの予想を超えた反乱軍の技術だった。
「ステルス船だ・・・」
ステラトが感心して言った。“太っちょ”の行方を塞いでいた反乱軍基地は、全体が巨大なステルス船だったのだ。
「#&***!&@*;~※」
「ああ、解除しないとな。」
「@!&@*:*、.。&#&☆§’⊄」
「何?そんなはずは無い。もう一度確認してこい!マルーンに俺たち以外の船が来てるはずがねえ。」