Side: エレナ・スカーレット
私は今現在、地面が一部ボコボコしてる荒野に座り込んでます。
...ん?さっきまで私お父様とお母様追いかけてたよね?森で見張ってたよね?...なんで荒野で座り込んでるの?
なんて考えていたのは束の間。私はすぐに辺りに飛び散っている血に気付いた。そして...そこらに群がるぐちゃぐちゃにされて原型を留めてない死体達。
「凄い...」
私は無意識に呟いていた。
...あ、お父様とお母様の気配!すぐそこじゃん!なるほどね、何らかの原因で気絶しちゃったのかー!
私はお父様とお母様の気配のする方へ駆け寄る。そして...私は絶句した。
「エ、レナ...か...?」
「お父様!?」
お父様が心臓を押さえて屈んでいた。とても苦しそうに。
更に近くにはお母様がいた。まだ生きてはいるけど...このままなら...!
「誰が...誰がこんな事を!!」
私は辺りを見回す。もしかしたらまだ犯人は側にいるかもしれない、それだけを考えていた。途中、変な石が割れているのを発見したが、あまり気にはならなかった。
そして...私は見てしまった。お父様とお母様を貫いてる武器を。それは、私がよく知っている武器だった。
─グングニル。
しかも、それは私が作り出している物だとすぐ分かった。
まさか...私が?
私が...殺した?
私の大切な人達を?
私の恩人を?
私が守ろうとした人達を?
よりによって...私が?
「あ、あぁ!あああああああああああああああああ!!!!!!!!」
私が殺したんだ!!
このグングニルが何よりの証拠!!!
何で! 何で!!
何で私が!!!!
「落ち着けエレナ!!!」
...お父様の渇によって私は少し落ち着いた...
でも...でも!!
「あれは...お前じゃ、無い!!」
...私じゃない?どういうこと?
「あれは...スカーレット、家の...狂気だ!!」
狂気...?何で私が?あぁ、やっぱり私は呪いの悪魔なんだ。私が存在しなければお父様やお母様を死なせることなんかなかったのに...!!
すると突然──お父様が自分の腕を思い切り私の口に押し当てた。勢い余って歯が刺さり血が出てきている。
「!?」
「エレナ...お前の持つ狂気の、封印は...不完全だ...だが、このスカーレット家の血で、完璧に、することが...できる...」
息を切らしながら言うお父様。こうしてるのも辛いはずなのに...!!
私がその状態のまま治癒の魔法をお父様に使おうとするが、お父様が静かに首を振って止めた。
─もう、不可能だ。
そう語りかけているようだった。
「そんなことより...早くこの血を飲みなさい...さぁ、早く!」
お父様は本気で願ってる...自分の生存よりも私の事を。
私がどうしようか悩んでいると、さっきまで、自分の回復に全力を注いでいたお母様が、突然自分の腕を切り刻む。そこからは血が垂れていた。
「貴方、ばかり...格好はつけさせませんよ...エレナ、私のも飲みなさい。一人よりは...二人ですからね...さあ、エレナ!」
今にも倒れてしまいそうな様子でお母様は言う。
私は二人に気圧されて、お父様の血、続けてお母様の血を飲んでしまった。体が何となくだがいつもより軽くなったのを感じる。
そうすると、二人はとても満足そうな顔をした。
そして...
「見た通りだが...私達はもう助からない...後は頼む」
「エレナ、私達からの最後のお願い...レミリアとフランをよろしく...ね」
「あぁ、あぁぁぁあ!!...お父様ァ!!お母様ァ!!!」
お父様とお母様はいきなり別の方角を向いて何かを呟いた後、そのまま息を引き取った。
「あぁぁぁ...ぁぁぁあ!!」
私は生まれてはじめて声を上げて泣いた。それは日が昇るまでずっと響いていた。その様子を誰かが見ていたなんて事を知らないで。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
Side: レミリア・スカーレット
...気付いたら森のにいた。確かに、いつ喚ばれてもいいように準備はしていたけれど...いきなり過ぎないかしら?
しかも周りにお父様とお母様居ないし...あれは要改造ね。
私が喚ばれたってことは、お父様とお母様がピンチになってるはず...まず二人を探さないと...
と、その時だった。
「あ、あぁ!あああああああああああああああああ!!!!!!!!」
この声は...お姉様の声?...やっぱり来てたんだ...
でも、こんな風に叫んでるお姉様の声なんて初めて聞いたわ...もしかしたらお姉様に何かあったのかも...!!
私は無我夢中でその声のする方へ向かった。だんだん木が無くなっていって荒野になっていく。
お姉様が見えてきた!大丈夫かな...って...え?
お父様...と、お母様...?何でそんな瀕死な状態なの...?
二人の体を何かが貫いてる...あれは...グングニルだ。しかもお姉様の。
まさか...お姉様が?いや、そんな訳がない。お姉様は私と同じようにお父様とお母様を愛していたんだから...
「落ち着けエレナ!!!...あれは...スカーレット、家の...狂気だ!!」
私はその声でハッとした。
そうだ...お姉様がそんなことするわけがない。お父様の言う狂気ってやつが仕出かしたことだ。
多分...その狂気ってやつは、私と疑似戦闘をしたあのお姉様だろう。そうなれば、私の抱いていたあの感覚の説明がつく。
良かった...と思ってる場合じゃない!なんとかしてお父様達を治療しないと...!!
お父様はお姉様の狂気の封印を確実にさせようと自分の血をお姉様に分け与えていた。お姉様はそれと同時にお父様の治療をしようとする。
その瞬間、お姉様に向けてお父様が静かに首を横に振った。
そんな...私は救えないの?運命を見る力を持っていたにも関わらず?私は...何もできないの?
ふと見ると、お母様もお姉様に血を分け与えていた。そのまま二人は、幸せそうな顔でお姉様に告げた。
「見た通りだが...私達はもう助からない...後は頼む」
「エレナ、私達からの最後のお願い...レミリアとフランをよろしく...ね」
それを言った瞬間、私の方を向いて、二人同時に同じ形の口を動かし方をした。
お父様から軽く読唇術を習っていたので、なんて言ってたのかはすぐわかった。
『エレナを、二人で支えてくれ』
...分かったわお父様、お母様。それが二人の願いなら...
「あぁぁぁ...ぁぁぁあ!!」
お姉様が、声を上げて泣き出した。初めてみる姿だった。
お姉様の性格上、絶対人前では泣かないはずだ。
お姉様...いつか、いつかでいいの。
だから...
絶対、お姉様に見合う妹になるから...見守っていてね。お父様、お母様。
とある即売会のお陰でモチベ上がりました。楽しかったです。